2020年5月のコアアップデートを考察~アルゴリズムの変動と対策~
「コアアップデートは当分、先延ばしになるのではないか、もしくは小規模なアルゴリズムの変動にとどまるのではないか」
そう、考えたのはおそらく筆者だけではないはず。
しかし、件のそれ、そう2020年5月に起きたコアアップデートは、SEO界隈に従事する多くの方々を一喜一憂させるには十分すぎるといっていいほどの顕著な動きでした。
加えて、今なお細かな変化は続いていると捉えていいでしょう。
確かに、5月19日で一連の展開が完了した、とアナウンスされているのも承知の上です。
が、検索結果やその後告げられた「Core Web Vitals(コア ウェブ バイタル)」の流れを鑑みるに、まだまだ水面下では調整を図っているとさえ勘ぐってしまいます。
すでにあらゆるメディアや識者がこのテーマについて論じているのを傍目に、6月も後半を迎える今まで、なぜか(理由は単なる怠惰ですが)食指が動くことのなかった不肖・SEOライターの小生。そんな不届き者がこの先も一波乱ありそうな持論を匂わせつつ、今さら浸るにもやや冷めつつある5月のコアアップデートの余韻を、本稿にて少しだけブーストさせたいと思います。
どうぞ、ご一読ください。
目次
非常事態はコアアップデートの実施にも影響?
通常、コアアップデートは1年に3、4回ほど行われます。
おおよそ3ヵ月ペースで移行する背景から、前回(今年1月)を経て、次はおそらく3月末~4月といった時期を想定していたのですが、言うまでもなく世界を揺るがし続ける新型コロナウイルスの影響を考慮せざるを得ないなかで、従来通りにはいかないだろうと個人的には踏んでいました。
たとえば、Google Chromeのバージョンアップが延期となったニュースは、その典型。
したがって、非常事態であるがゆえコアアップデートに関しても同様の流れを汲むのだろうなと正直、推察していたわけです。
そんななか、気にかかることがありました。
3月下旬、自身の環境だけでなくGoogleサーチコンソールのエラーが頻繁に発生するケースに直面。
Googleの提供するツールでこうした現象が起きる際は何かしらの予兆とも捉えることができます。
「Googleが何か試行錯誤しているのでは?」「大規模なアルゴリズム変動の直前?」
いくつかの憶測がWeb業界において飛び交い、果たして偶然なのか(筆者が)運営しているサイトの順位に動きがみられたのも事実。
けれども、Googleからの公式アナウンスが特に無かったため、人知れずコアアップデートが行われるようなことは考えにくく、やや不可解ではありました。
他方、非常事態の最中なだけにそうしたイレギュラーの可能性も想定。
そうこう結論を下すには煮え切らないままだったわけですが、実際はご存知の通り。
「ウィズコロナにおいては、比較的小規模な変動を続け、しばらくは大々的にアップデートは起きない」という意見が、現実の様相を帯びてきたようにも思えたなか、5月にコアアップデートは実施されることになります。
Google公式アカウントが5月にコアアップデートを発表
2020年5月4日(米国時間)、新型コロナウイルス発生後、初のコアアップデートを実施したことをGoogleは発表しました。
特徴はやはり変動の大きさ。
大胆なようで非常に慎重なテコ入れだったと感じます。
より正確と思われる信頼度の高い情報をユーザーに届けるべく満を持して更新されたのでしょう。某の推察はものの見事に外れました。
おそらく経験上もしくはセオリーに倣うと、大規模な変動は控えるのではないかといった向きは少なくなかったはずです。一方で、あらためて考えてみれば前述したGoogle Chromeのバージョンアップの類とは異なるものであるのも明らか。
Googleは、検索結果を大幅に変えることで戸惑うユーザー以上に、その見直しが信頼につながるのだと判断したと考えます。
ご時世に向き合った英断。近年のYMYLでの動きはさらに加速し、言わずもがな、医療系の検索クエリだと著しく影響が出ています。
コアアップデートで評価されている要素
個人の運営しているサイトが軒並み落とされ、企業、その中でもスケールに比例して順位が決定されるようになったという言説を複数のメディアで拝見しましたが、やや乱暴な見解にも映ります。
おそらく、信頼性が一つのテーマになっているため、公式サイトが上位表示する傾向にあるのでしょう。しかし、その測り方はやはりサイト構築に起因していると考えます。
E-A-T
サイトの規模は権威です。加えて専門特化したコンテンツは信頼につながります。
そう、いわゆるE-A-T(権威性、専門性、信頼性)の要素を打ち出すことは大事です。うまく表現できていれば、大きなダメージは無かったのではないかと感じています。
YMYLの領域で大打撃をくらったサイトも確かにあったとは思いますが、相対的に競合が上回っただけかもしれません。コツコツと工夫を凝らし施策を実行するサイトが、アップデートのタイミングで陽の目を見るようになったケースもいくつか確認できています。
E-A-Tで評価されるということはまさに努力の賜物です。
インデックス数
インデックス数も同様。ここ最近、以前よりもインデックスされるまで時間を要する気がします。精査が厳しくなったともいえそうですが、クロールされやすい構造かどうかといった基本的なポイントが問題の場合も多いです。サーチコンソール上での登録リクエスト云々ではなく、しっかりサイトのつくりを見直すことからはじめるべきでしょう。
いずれにせよ、インデックス数が増えることは今なお有効だと考えます。もちろんコンテンツのクオリティは関わってきますが、先に触れた企業のスケール、その大小が問われるとすれば、おそらくインデックス数もまた一つの指標として作用している可能性は高いです。
関連性
良質なコンテンツ、ページが増えれば評価は上がりやすいでしょう。ただ気を付けたいのは無条件にということではありません。
大切なのはサイトのテーマと、カテゴリ・サブページとの紐づき、関連性です。
ここ最近は発リンクの重要度も増していると感じます。となれば、内部リンクも上手く活用したうえで、サイトテーマと関連性のあるユーザーの検索意図に沿ったコンテンツを多く作成できれば、自ずとE-A-Tやインデックス数にも寄与する形となり、結果、評価が高まるのではないでしょうか。キーワードによるとはいえ、実際、検索結果の上位はその傾向が垣間見えます。
動画
画像もそうですが、ビジュアルマーケティングは確実にユーザーの心を捉えていると、Googleは判断しているのでしょう。
検索頻度の高い質問やハウツー系のクエリだと、如実に分かります。
加えて、ナレッジパネルでの表示は、もはや動画時代到来、否、定着を高らかに宣言している決定打と言って差し支えないでしょう。
しかし、ここでも気を付けたいのは決して無条件ではないということ。
順位の高いページを見て気付くのは、トレンドを把握したキーワード選定(共起語、関連語含む)や、キャプションにおける的確な補足テキストです。
これらがいかにコンテンツをお膳立てしているか。
分析すればするほど、その役割の尊さに気付けるはずです。
SNS
SNSが流入間口となりアクセス数が増えれば、サイトの順位は上がりやすくなります。ユーザー行動は今や筆頭格に挙げられるほどの評価の判断材料です。
一方でSNSアカウント自体が上位に君臨する傾向も目立つようになっています。
主たるワードは人名や商品名検索。
更新頻度やエンゲージメントの高いアカウントだと、優位に働くでしょう。
緩やかとはいえ以前からこの動きは確認できましたが、コアアップデート後はより明確な印象です。
商品名の認知、ブランディングにはもってこいの活用手段だと考えます。
被リンク
コアアップデートによってトレーニングデータが強化されたのか、被リンクに対する評価は以前に増してシビアになっているようです。サイテーションも然り。ツール等使用しても大抵はあくまで参考値でジャッジすることになりますが、リンク元の価値が二極化している趨勢を感じます。
コアアップデート後のSEO対策
仮にコロナ禍を受けて今回のコアアップデートが発動したとするならば、どうしたってテーマの一つは信頼性を掲げないわけにはいきません。ではどのように獲得すればよいのか。大事なのはユーザーから信頼されている証を検索エンジンにもわかりやすく伝えてあげることです。つまり、サイトでの表現方法がカギを握ります。
たとえば、巷で星の数ほど見聞きした“ユーザーを意識したコンテンツを作る”という対策。それ自体は否定しませんが、「検索エンジンへの伝え方」という大事な要素が抜けているため漠然とした打ち手となりがちです。
誤解を恐れすぎているため(笑)、エクスキューズを含めますが、決してユーザーへの意識を軽視しているわけではありません。
ユーザーにとって役立つ情報の発信は、アルゴリズムに沿った形で伝えることが必要だという話です。
上記を踏まえ、まずは前章で述べた評価されている要素に対して愚直に施策を打つことをおすすめします。
以下、簡単におさらいです。
- インデックス数が競合よりも少ないのなら、サイトテーマに関連したコンテンツページを増やしていく
- 検索頻度の高い質問やハウツー系のコンテンツは、動画を設置しテキストで補足する
- 人名、商品名、サービス名で上位表示させたい場合、同名のSNSアカウントを立ち上げ運用する
2020年5月のコアアップデートまとめ
新型コロナウイルス感染が世界を脅かすなかで、1月に次ぐ2020年のコアアップデートに関しては様々な憶測が飛び交いました。
蓋を開けてみれば、5月4日に実施がアナウンスされ、5月19日を以て展開完了。
大方の予想を覆すかのごとく大きな変動を伴い、YMYL領域、特に医療関係のクエリ中心に影響を及ぼすこととなりました。
特徴的だったのが企業の公式サイトと個人ブログの対比です。前者は軒並み上昇し、後者は下落する傾向にあったこと。そこで浮かび上がってきたテーマの一つ「信頼性」はまさにコロナ禍であったからこそ求められたポイントだと、またもやSEO界隈の識者中心に騒がれましたが、冷静に分析してみると、これまで大事だとされてきた要素を確実におさえてきたサイトはきちんと結果を出しているようにも見受けられます。
そういうわけで、拙稿にてお伝えしてきた内容ですが、仮説にまみれた考察とはいえコンテンツ作成ひいては今後のサイト運用において参考にしてもらえると幸いです。
冒頭でも述べた通り、新たな指標が追加され、5月のコアアップデートの余波と重なり、明日にはまた大きな変動が生まれているかもしれません。
肝要なことは、情報収集を怠らず、今そしてこれからの状況を注視しながら、検索結果に対して冷静に分析することだと思います。
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