ABテストとは?メリット・デメリットや検証期間目安を解説!
Webサイトを運営している人は「ABテスト」という言葉を聞いたことがあるかと思います。ABテストとは、WebサイトのCVRを伸ばすためのマーケティング手法の1つです。AとBの2種類の改善を同時にテストして、どちらが良いかを試せるんです。
ですが、メリットだけではなくデメリットも存在します。事前に知っておかないと、思ったより数字が伸びなかった、導入した意味がないというケースも。
そこで当記事では、ABテストとは何か、メリット・デメリットやテストのやり方をわかりやすく解説しています。おすすめのABテストツールも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
ABテストとは?
ABテストとは、内容やデザインが異なる2つのページをランダムで表示させて、どちらが良いか検証する手法の1つです。「AとBどちらが良いか」比較するため、名称がABテストとなっています。場合によっては3つ以上比較するケースもあります。
特にランディングページ(LP)でのCVRを向上させたいときに有効です。毛㏍が良かったページに更新することで、CVRが増加します。なお、ページ表示は完全にランダムですが、同じ表示回数になるよう自動で調整されます。
なお、スプリットテスト・スプリットランテストと呼ばれることもあります。
ABテストを行うと良いケース
ABテストはWebマーケティングでよく行われる手法です。下記のようなケースでは、ABテストで検証したほうが良い結果を残せる可能性が高いです。
- コンバージョンに伸び悩んでいる
- LPやページの離脱率が高い
- CTA(ボタン)の色や文言を変えたい
- 画像や動画の中身を変えたい
細かい部分を比較できるので、ABテストをして様子見したいというときにも役に立ちます。
ABテストの検証期間目安
ABテストの検証期間は、最低でも2週間が良いです。数日~1週間では、母数が少なく本当に成功しているかどうかの判断がつきにくいからです。
もう少し長い期間で検証したい場合は、1か月を目安にすると良いです。
ABテストを行うメリット
ABテストを行った結果、CVRが大きく跳ね上がったという話を聞くと導入したくなりますよね。漠然としたものではなく、導入するメリット4点をまとめました。
- 改善後のCVRアップが見込める
- 大規模改修より低コスト
- 複数のパターンと比較できる
- 簡単に使えるツールが多い
それぞれのメリットについて解説します。
改善後のCVRアップが見込める
ABテストは検証結果が良かったほうに修正できるので、改善後のCVRが伸びやすいことが最大のメリットです。
色・文言・画像・位置など、些細なことでユーザーのアクションが左右されるからです。色を変更しただけで、いきなり数字が伸びるということもあります。
大規模改修より低コスト
サイトやLPの大規模改修は、予算も工数も大幅にかかります。ですが、ABテストを行えば部分的な改善ポイントが見つかる可能性があります。全体ではなく、一部の修正で終わればかなりのコスト削減になります。
導入費用がかかるケースが多いですが、ツールによって値段が違うので予算内に収まるものを選べば低コストのままで運用できます。
複数のパターンと比較できる
ABテストは2つのページの比較だけでなく、3つ以上と比較することも可能です。まとめて検証することで、短期間でより効果が高い案で修正ができます。
簡単に使えるツールが多い
ABテストツールの中には、機能がシンプルで使いやすいものから、マニュアルがしっかりしているものなどがあります。ある程度の理解力があれば、簡単に利用できるので導入のハードル低いです。
ABテストを行うデメリット
CVRが上がるのならABテストをやるべきと思われますが、実はデメリットもあります。
- 一定水準以上のアクセス数が必要
- 改善ポイントの判断が困難
- 100%良い結果になるとは限らない
メリットとデメリットを把握したうえで、ABテストをしたほうが良いのか考えましょう。
一定水準以上のアクセス数が必要
ABテストを行うには、一定水準以上のアクセス数が必要です。母数が少ないと、成功かの判断がつきにくく失敗に終わるケースが多くなります。
標本誤差の優位水準は5%以下、母数は400以上が理想です。母数が少ない場合は、検証期間を延ばして数を集めてください。
改善ポイントの判断が困難
ABテストは改善ポイントがわかりやすくなると思われがちですが、実は判断が困難なのです。その理由は、複数の要素を修正しテストで比較しているケースが多いからです。
色なのか文言なのか、はたまた違う要素が原因になっていたのか把握できないまま、なんとなく成功したから良いという判断になりかねません。
100%良い結果になるとは限らない
ABテストは100%良い結果になるとは限りません。検証期間中は良くても、実際に反映したらCVRが下がったということもザラです。また、AもBもほぼ同じ結果に終わったというケースもあります。
ABテストを行う際の注意点
ABテストで失敗しないためにも、次に紹介する注意点をしっかり把握しておきましょう。
- ABテストの目的を明確にする
- ターゲットを明確にして仮説を立てる
- 複数の要素を同時に比較しない
- 検証後も数字分析は怠らない
なぜ上記4点をしなければいけないのかを解説していきます。
ABテストの目的を明確にする
ABテストを行う最終的な理由は「CVR」向上ですが、CVRを向上させるための目的を明確にしておきましょう。
たとえば、問合せボタンのクリック率を上げることが目的であれば、ボタンの色や文言を変更すれば良いです。サイトの離脱率を下げたいのであれば、ファーストビューの改善をしましょう。
このように、ABテストを行う目的が明確になれば、どのページのどの部分をテストしたほうが良いかがわかりやすくなります。
ターゲットを明確にして仮説を立てる
ターゲットを明確にして仮説を立てることも重要です。
たとえば、「ターゲットが女性なのにファーストビューで男性の写真を利用している」場合であれば、「女性を呼び込みたいのに男性写真を使っているから離脱している」という仮説が立てられます。
資料請求ボタンが押されないというのであれば、「”無料で資料請求”のように費用が掛からないことを明示すればハードルが低くなるはず」など、ある程度どう修正すべきかの方向性が見えてきます。
複数の要素を同時に比較しない
複数箇所の修正を同時に検証してしまうと、どこが原因だったのか把握できません。ABテストを行うときは、1箇所ずつ検証してください。
そのためには、目的とターゲット層を明確にして仮説を立てる必要があります。
検証後も数字分析は怠らない
検証結果を反映したあとも、数字の分析は怠らないようにしてください。一時的に効果が出ても、継続したらマイナスになってしまうということもあります。
また、数字の分析次第では別の箇所もABテストを行ったほうが良いなどの判断がつきます。ABテストでもPDCAサイクルを回し、より良い結果になるようにしましょう。
ABテストのやり方
ABテストのやり方をざっくりまとめました。
ABテストを行う際の手順
- 手順1:目的やターゲットを明確にし仮説を立てる
- 手順2:テストパターンのサンプル作成
- 手順3:検証データの観測環境を整える
- 手順4:テスト実施
- 手順5:結果を分析しサイト改善を行う
上記の流れを意識し、ABテストの失敗をなくしましょう。Webサイト改善に向けてのプロセスを怠ると、ABテストは途端に意味を失います。
手順1:目的やターゲットを明確にし仮説を立てる
先にも開設したように、ABテストを行うならまず先に「目的やターゲットを明確にして仮説を立てる」ことから始めましょう。
どのページのどの部分でABテストを行うべきかがわかりやすくなります。
手順2:テストパターンのサンプル作成
どの箇所をABテストするか決まったら、テストパターンのサンプルを作成してください。AとB両方のサンプルを作り、仕様や文言など問題がないか確認しましょう。
サンプルを作ってみて、やっぱりイメージと違ったのでもう少し変更したいとなるケースは意外と多いです。
手順3:検証データの観測環境を整える
どのABテストと使うか、数字集計はどのツールを使うか、検証に必要な数字は何かなどをすべて洗い出し、必要があるなら新しく導入をしてください。
専任のエンジニアがいつのであれば、JavaScriptやCookieなどでテスト環境を構築するのもアリです。
手順4:テスト実施
テストサンプルの作成・計測環境の構築が完了したら、ABテストツールでテストを実行してください。
実行後は、パソコンやスマートフォンの実機できちんと表示されているか確認しましょう。ランダム表示なので、2パターンを確認できるまで根気よく更新してください。
手順5:結果を分析しサイト改善を行う
テスト期間終了間近になったら、検証に必要な母数が足りているか確認してください。足りているなら従来通りにテスト終了、足りていないならテスト期間を延ばすかの判断をしましょう。
検証に必要な母数が足りていれば、結果を分析して成功しているパターンでサイト改善すると良いです。
ABテストのおすすめツール5選
ABテストでもっとも有名だった「Google Optimize(オプティマイズ)」は、2023年9月30日に突然終了しました。無料版・有料版ともにです。その理由は、「お客様がテストのために必要としている機能・サービスを十分に備えていなかった」からと公式が発表しています。
このことから急遽、代替ツールを探す企業も多かったのではないでしょうか。そこで、ABテストでおすすめのツールを5つ紹介します。
- Optimizely
- AB Tasty
- VWO
- SiTest
- Juicer
とくに、最初の3つはGA4(Googleアナリティクス)公式が連携しているツールです。GA4で数字分析をしているのであれば使ってみるのも良さそうです。
Optimizely
公式:Optimizely
Optimizely(オプティマイズリー)は、世界中で愛用されているABテストツールです。GA4公式が連携しているツールの1つです。機能特徴としては、複数のページでテストが可能・JavaScriptやCSSでの自由なテスト設定が可能です。
アメリカで開発された有料ツールですが、日本では「ギャプライズ」が正規代理店でサポート&販売を行っています。以前は月額9,900円でしたが、2024年4月現在では「問い合わせ」となっているので金額が不明です。
頻繁に利用する機会があるのであれば、1度問い合わせてみるとのアリかと思われます。
AB Tasty
公式:AB Tasty
AB Tastyは、フランスで開発されたGA4公式公認のABテストツールです。AIを取り入れていて、ユーザー属性を細かく設定できます。ECサイトなどユーザー属性で左右サイトに向いています。テスト機能も多く、ABテスト・多変量テスト・リダイレクトテストなどが可能です。
AB Tastyも有料ですが、価格は公開されていません。プランに応じて見積もりを出してくれるので、気になるなら問い合わせをしてみましょう。日本語サポートは同様にギャプライズ社が行っています。
VWO
公式:VWO
VWO(Visual Website Optimizer)も、GA4公式公認のABテストツールでインドの企業が開発しました。JavaScriptタグをテスト対象ページに埋め込むだけなので、専門知識がない人でもABテストを試せます。また、従来のABテストではページごとのURLが必要でしたが、VWOは同じURLで大丈夫です。
簡易テストの作成もでき、マウス操作のみで数分あれば作れるほどシンプルな機能が備わっています。2023年1月から、日本語代理店ギャプライズで無料プランの提供が開始しています。テスト訪問者が月間5万人までなら無料です。
ギャプライズ社:ABテストツールVWO無料プランの提供のおしらせ
SiTest
公式:SiTest
SiTest(サイテスト)は、ヒートパップの解析機能に特化しているABテストツールです。ノーコードでサイトをカスタマイズできるうえ、「色」で視覚的に確認できるので、専門知識がない人でもテストしやすいです。
公式サイトが日本語なうえ、無料トライアルがあるので導入のハードルも低いです。無料版は、トライアル終了後でもそのまま利用できます。月間3,000PVまでの計測かつ、簡単なテストなら、無料版のSiTestで十分です。
Juicer
公式:Juicer
Juicer(ジューサー)は、基本プランが無料なABテストツールです。ABテストやペルソナ分析、アクセスログ分析など、9つの機能が無料で使えます。AIを導入していて、ユーザー属性の分析精度が高いです。
アクセス数や登録サイト数による制限もないので、費用をかけたくない人におすすめです。ただし、複数箇所変更する多変量テストには対応していません。
ABテストを上手く使ってサイトのCVRを上げよう!
ABテストを上手く使うことで、改善施策の成功率が上がります。有名な成功例では、オバマ大統領の献金サイトです。2007~2008年の選挙期間中に、ABテストによって継続的な改善を行ったことで140%もCVRが上がった事例があります。
ほかにも、有名企業が大幅な改善に役に立ったという事例がネット上にはあふれています。業績アップには欠かせないツールと言えるので、まずは無料で試せるツールでABテストしてみてはいかがでしょうか。
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