
広告効果測定とは?方法や主な指標・分析精度を高めるポイントを解説
広告の効果測定は、広告の精度を高めるために欠かせない業務です。しかし、どのように広告の効果測定に取り組めばいいのか、どのような指標を見るべきかなどが分からないと、適切な分析はできません。
そこで本記事では、広告効果測定とはどのような業務なのか、実施する重要性や測定するべき指標と改善方法、測定する際の注意点を紹介します。
より精度と効率を高めるための取り組みについても紹介するので、これから広告の効果測定に取り組んで広告の成果を高めたい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
広告効果測定とは?

広告効果測定とは、出稿した広告がどのような成果を生み出したのかを、データで確認しながら分析する作業です。無駄な広告費が発生していないか、改善が必要な広告が無いかを把握するために重要です。
広告は、適切なターゲットに届けなければ十分な効果を生み出せません。広告の内容や配信方法が合わなければ期待する成果が得られず、広告費が無駄になる可能性もあります。そのため、出稿後の効果を確認し、問題点を特定することが重要なのです。
広告の効果測定をしながら継続的な分析と改善を繰り返すことで、効率的に成果を上げられるようになります。
目的別の広告効果と主な測定指標

広告効果を分析するために測定すべき指標は、広告の目的により異なるため、まずは何を目的に配信するのかを明確にしましょう。広告の配信は、主に以下のような目的があります。
- 認知向上を目的とした広告
- 誘導を目的とした広告
- 獲得・売上を目的とした広告
それぞれ、具体的な広告手法と注目すべき指標を解説します。
認知向上を目的とした広告
認知向上を目的とした広告とは、商品やサービスを知らないユーザーに対して、SNS広告や動画広告、純広告、ディスプレイ広告などを活用して、認知度やブランド好感度の向上を目指す広告です。
より多くのユーザーに知ってもらうことを重視するため、インプレッション数だけではなく、シェア数、クリック数なども広告効果測定の指標として用いられます。
どのような商品・サービスでも、カスタマージャーニーの出発点は認知してもらうことです。ターゲット層を明確にし、よく利用するメディアやプラットフォームを分析してより多くの接触機会を生み出し、認知度向上につなげていきましょう。
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誘導を目的とした広告
誘導を目的とした広告とは、Webページやアプリなどに誘導し、商品やサービスについてより深く理解してもらうための広告です。
商品やサービスに対して興味を持っているユーザーが対象となるため、興味・関心からターゲットを絞るディスプレイ広告、SNS広告や、コンテンツマーケティングなどを活用します。その上で、ユーザーの問題解決や、ベネフィットと呼ばれる、ユーザーにとっての価値を伝える情報提供型の訴求を積極的に行います。
広告効果の指標としては、クリック数、CTR(クリック率)、CPC(クリック単価)などが挙げられます。広告の閲覧だけではなく特定のページへの誘導が重視されるため、広告の表示に対するクリックの効率や、誘導に対する広告コストが重要です。
データを集計しながら広告のクリエイティブやターゲティングを見直し、広告効果を高めていきましょう。
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獲得・売上を目的とした広告
獲得や売上を目的とした広告とは、商品やサービスの購入・申し込みといった具体的なアクションを促す広告です。
比較・検討段階のユーザーに対して、リスティング広告で商品名や「おすすめ」を検索しているユーザーにアプローチしたり、過去にサイトを訪れたユーザーにリターゲティング広告で再アプローチしたりします。
広告効果の測定指標としては、CV数(コンバージョン数)、CVR(コンバージョン率)、CPA(顧客獲得単価)、ROAS(広告費用対効果)などが挙げられます。最終的なCV数はもちろんですが、効率的に獲得に繋げられているかや、広告費用に対して利益を生み出せているかを確認することも欠かせません。
獲得・売上は、広告戦略の成果を判断する重要な指標です。しかし、効率的に獲得・売上の成果を上げるためには、認知を拡大し、情報コンテンツへ誘導しながら顧客を育成し、獲得・売上へ繋げる必要があります。全体を見据えた広告戦略の設計が重要です。
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広告効果測定の主な指標

広告効果測定で分析するべき指標は、主に以下の7項目です。
- CTR(クリック率)
- CPC(クリック単価)
- CV(コンバージョン数)
- CVR(コンバージョン率)
- CPA(コンバージョン単価)
- ROAS(広告費用対効果)
- LTV(顧客生涯価値)
それぞれの意味や計算方法、なぜ、分析する必要があるのかを解説します。
CTR(クリック率)
CTR(Click Through Rate)とは、広告や検索結果が表示された回数に対して、実際にクリックされた割合を示す指標です。「クリック数÷表示回数×100」で計算され、広告のクオリティを判断できます。
CTRが高ければ、ユーザーの興味や関心にあった広告を配信できていると評価できます。また、より多くのユーザーをコンテンツに誘導できているため、コンバージョンにも繋げやすくなるでしょう。
ただし、CTRの向上だけを目指してしまうと、質の低いユーザーのクリックばかりが増えてしまう可能性があります。過剰な表現を使ったり、「無料」を訴求しすぎたりするとコンバージョンにつながらずコストばかりが増えてしまう可能性があるのです。
ターゲットや商品・サービスに合わせた適切なクリエイティブや広告文を意識しながら、CTRの改善に努めていきましょう。
CPC(クリック単価)
CPC(Cost Per Click)とは、広告が1回クリックされるごとに発生する費用を表す指標です。「広告費÷クリック数」で算出され、リスティング広告やディスプレイ広告のようにクリック課金制の広告で使用されます。
CPCは、広告で設定したキーワードや広告の品質によって変動します。特にリスティング広告は、CPCが高いキーワードほど購買意欲の高いユーザーからのクリックを獲得しやすくなります。
そのため、CPCの高低だけで広告の成果を判断するのではなくCPAを分析することも重要です。特に異なるキーワード同士を比較する場合は、CPCだけでなくCPAを基準にすることで、より正確な判断ができるでしょう。
ただし、同じキーワードの場合は、広告の品質スコアが高ければ競合よりも低いCPCで広告を上位に表示できます。キーワードと広告文の関連性やCTR、ランディングページの品質を高めることが大切です。
CV(コンバージョン)
CV(Conversion)とは、広告を経由して目的のアクションを完了した回数を指します。対象となるCVは商品の購入やサービスの登録、資料請求の申し込みなど、企業やビジネスモデルによって異なるため、自社の定義を理解する必要があります。
CVを分析することで、広告がどれだけ成果に結びついているかを把握できます。どれだけ効率的にCVを獲得できていたとしても、総数が少なければビジネスの成長が伸び悩む可能性があります。逆に、効率が悪くてもCVが多いことで、評価されるケースもあるでしょう。
CVは、CVRやCPAなどの指標を計算するためにも使用されるため、必ず集計したい指標の一つです。
CVR(コンバージョン率)
CVR(Conversion Rate)とは、広告を閲覧したユーザーが成果に至った割合を示す指標です。「コンバージョン数÷クリック数×100」で計算され、ランディングページや誘導したユーザーの質を判断するために使用されます。
CVRを改善するためには、広告の内容とランディングページの訴求をマッチさせたり、CTA(Call To Action)と呼ばれるCVを促すボタンを改善したりなどの調整が重要です。また、EFO(Entry Form Optimization)と呼ばれる入力フォームの最適化も欠かせません。
どれだけ広告費をかけて集客を行っても、CVRが悪化するとコストの無駄が発生してしまいます。CVRの継続的な分析と改善によって広告費用対効果を高めることで、ビジネスの成長に大きく貢献するでしょう。
CPA(コンバージョン単価)
CPA(Cost per AcquisitionまたはCost Per Action)とは、1件のCVを獲得するために発生した広告費です。「広告費÷コンバージョン数」で算出され、予算の策定や広告の評価に用いられます。
CVが増えてもCPAが高騰している場合、広告費の無駄が発生している可能性があります。CPCの高騰やCVRの悪化、クリックの質、ターゲティングの質など、各指標を分析しながら、どこにボトルネックが発生しているのかを突き止めましょう。
CPAは、広告全体の成果を分析するためにまず確認したい指標です。定期的なデータ分析と調整を繰り返しながら、CPAを最適な水準に保つことが欠かせません。
CPAを継続的に分析しながら、広告のターゲティングを見直したり、クリエイティブを変更したりしながら、効率的な改善に繋げましょう。
ROAS(広告費用対効果)
ROAS(Return On Advertising Spend)とは、広告費に対してどれだけの売上を生み出したかを示す指標で、広告の投資効率を測る際に活用されます。「広告からの売上金額÷広告費×100」で算出されます。
ROASが1.0を下回る場合は投じた広告費を回収できていないため、CPCを抑えたりCVRを改善したりしながら、費用対効果の向上に取り組む必要があります。また、出稿している広告媒体のユーザー層が、ビジネスモデルに適しているかの見直しも有効です。
ROAS向上には、サービスの改善も欠かせません。しかし、広告の改善により広告コストを抑えながら良質な顧客の獲得を実現することで、より効率的にROASが改善されます。
ROASは、広告戦略の最適化と事業全体の成長を測る上で、非常に重要な指標です。
LTV(顧客生涯価値)
LTV(Life Time Value)とは、一人の顧客が取引を開始してから終了するまでの間に、企業にもたらす利益の総額を示す指標です。「平均購入単価×購入頻度×継続期間」で算出され、長期的な利益を分析する際に活用されます。
LTVの分析により、広告費やマーケティングコストの目安を判断できます。LTVが低い場合、CPAを抑えてもビジネスの収益性を十分に確保できない可能性があるためです。
LTVの改善はリピート率や客単価の向上などサービスの改善がメインです。しかし、広告でも売上に繋がりやすいユーザーの獲得が重要です。「無料」で検索するユーザーのように、売上に繋がりにくいユーザーばかりを獲得しているとLTVの悪化につながる可能性があります。
売上に貢献するユーザー層がいる広告媒体を見つけつつ獲得を強化し、LTVの改善に貢献していきましょう。
広告効果測定を行う際の注意点

広告効果測定を行う際は、以下のような点に注意が必要です。
- 市場全体の動向や傾向を理解する
- 広告効果に影響を与える外的要因を把握する
- 短期ではなく中長期で判断する
広告の効果は、様々な要因により変化します。何が原因で成果が変化しているのかを理解しないと誤った取り組みを実施してしまう場合があるので注意が必要です。それぞれ、くわしく解説します。
市場全体の動向や傾向を理解する
広告の効果を正しく測定するには、広告そのものの影響だけでなく、市場全体の動向や傾向を理解することが欠かせません。景気の変動や新たな技術の登場、社会の動向によって大きく左右されます。
過去には、スマートフォンの登場によりフィーチャーフォンの市場が縮小したり、動画配信サービスの普及によりDVDやBlu-rayの市場が縮小したりなどの変化が起こりました。逆に、テレワークの導入によりWeb会議システムが急増した例もあります。
広告効果を正確に分析するためには、市場全体の動きを素早く把握し、長期的な視点で評価することが重要です。
広告効果に影響を与える外的要因を把握する
広告効果に影響を与える外的要因の把握も、広告効果測定を行う際には注意したい点です。
夏の冷却グッズや冬の暖房器具など、季節によって需要が変わるものはよくあります。また、クリスマスや年末年始、ゴールデンウィークなどのイベントにより需要が高まることもあるでしょう。
競合の動きも無視できません。季節要因やイベントに合わせた広告の強化は、競合も取り組んでいます。そのため、競合の動向にも注意しないと広告を強化したのになぜか成果が上がらない、というケースも考えられます。
広告の成果を評価するときは、数値の変化だけでなくその背景を考慮しましょう。季節要因やトレンド、競合の動きを踏まえて事前に仮説をたて、どのような成果になったのかを踏まえながら分析することで、安定した成果や精度の向上に繋がります。
短期ではなく中長期で判断する
広告の効果を正しく測定するためには、短期間のデータだけで判断せず、中長期的な視点による分析も大切です。
短い期間のデータはサンプル数が限られるため、実際よりも広告の効果が良く見えたり、逆に悪く見えたりするケースが起こりやすくなります。また、季節要因やイベントなど、広告の効果とは別の要因で結果が左右されることも少なくありません。
そのため、広告の効果測定は一定の期間を設けて判断する必要があります。中長期的にデータを取得すれば、判断を誤る可能性を下げられるでしょう。
広告効果測定の分析精度を上げるポイント

広告効果測定の分析精度を上げるためには、以下の3点を意識して取り組みましょう。
- 施策ごとの目的や特徴を整理する
- 広告の要素ごとに効果を測定する
- ABテストを行いながら効果を測定する
漠然と広告の効果を見るだけでは、分析の精度は高まりません。目的や施策ごとの特徴や得意・不得意を理解し、広告を一つひとつ確認しながらテストをくり返す必要があります。それぞれ解説するので、分析の精度を高められるように取り組んでいきましょう。
施策ごとの目的や特徴を整理する
広告効果測定の精度を上げるためには、施策ごとの目的や特徴の整理が大切です。例えば、認知度を高めるための広告はインプレッション数やシェア数が重要ですが、購買を促すための広告はCVやCPAが重要です。このように、目的が曖昧なままでは評価すべき指標がズレてしまい、広告の成果を正しく判断できなくなるのです。
また、施策の目的が明確になっていないと、そもそも取り組むべき広告手法を間違えてしまう場合もあります。SNS広告は認知度の向上を得意としますが、売上目的には不向きです。逆にリスティング広告は、売上向上は得意ですが認知度向上には向きません。
施策ごとの特徴を適切に理解して目的に合わせて選択し、広告の効果を正しく評価できるように整理しましょう。
広告の要素ごとに効果を測定する
広告の効果を正しく評価するには、全体のパフォーマンスだけでなく、広告文やターゲットなど、要素ごとの効果測定も欠かせません。
広告の効果は、テキストや画像、配信タイミングなどの違いによって大きく変わります。広告文の単語を一つ変えるだけでクリック率が変動する場合もあるため、何が広告の成果に影響を与えているのかは、要素を一つひとつの丁寧な分析が重要なのです。
要素ごとに分解して測定し、具体的にどの要素が影響を与えているのかを把握することで、より精度の高い広告運用が可能になります。一つ一つ丁寧に測定する作業は手間がかかりますが、その手間が最適な施策の実現には必要です。
ABテストを行いながら効果を測定する
広告効果測定の分析精度を向上させるためには、ABテストの実施も重要です。広告の見出し、クリエイティブ、広告テキストなど、広告の要素を少しずつ変えた広告パターンを用意し、同じ条件下で配信することで、どの要素がより効果的なのかを判断できます。
ABテストの効果を最大化するためには、適切なテスト設計と実行が不可欠です。影響があると想定される指標や、必要なテスト期間・サンプル数を明確にすることで、どの広告が効果的なのかを分析できるようになります。
ただし、ABテストは一度だけでは効果がありません。継続的なテストと改善を行いながら分析の精度を高め、広告効果を高めていきましょう。
広告効果測定の精度を上げて費用対効果を高めよう

広告の効果測定は、広告の精度を高めていくために不可欠な作業です。適切に分析し改善を繰り返すことで、広告の成果を高められるのです。
ただし、広告は目的に応じて見るべき指標が異なる点に注意が必要です。「認知」「誘導」「獲得・売上」のどのフェーズで行う広告なのかを明確にし、目的に合わせた広告を出稿しながら、効果を測定していきましょう。
また、広告の効果測定を行う際には、市場全体の動向や外部要因による影響を踏まえながら、中長期的に分析を続ける必要があります。変化の要因を見誤ると、誤った広告の改善を実施する可能性があります。
広告の目的を明確にし、ABテストを繰り返しながら効果的な広告要素の精度を高め、そして広告の成果を高めていきましょう。
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