
アドネットワーク広告とは?仕組み・メリットデメリットや事業者の例をわかりやすく解説!
アドネットワーク広告は、少ない労力で多くの広告媒体へ出稿できる便利なシステムです。効率的で効果的な広告運用を目指せるため、多くの企業やマーケターが活用している広告手法ですが、そもそもどのような仕組みなのか、具体的にどのようなサービスがあるのかなど、よくわかっていないという人も多いでしょう。
そこで、アドネットワーク広告とは何かや、具体的なサービス例について、マーケティング初心者にもわかりやすく解説します。活用するメリット・デメリットや、効果的な運用方法についても紹介するので、これから広告に携わる方も、すでに取り組んでいる方も、ぜひ参考にしてみてください。
目次
アドネットワーク広告とは?

アドネットワーク広告とは、ひとつのプラットフォームから複数の媒体に広告を一括配信できる仕組みです。異なる媒体に広告が配信されても、一つの管理画面で配信状況の確認や数値の把握ができるため、データ分析や運用の手間を大幅に減らせます。
主な配信先にはポータルサイトや専門メディア、ゲームアプリなどがあり、アドネットワーク広告業者ごとに具体的な配信先は異なります。業者によって強みや提携先が違うため、狙いたいユーザー層や広告の目的に応じて、柔軟に使い分ける必要があります。
アドネットワーク広告が誕生した背景
アドネットワーク広告は、広告主と多くの媒体を効率的につなぐ仕組みとして誕生しました。
アドネットワーク広告の登場以前、広告は媒体ごとに個別で交渉し、出稿手続きを進める必要がありました。しかし、配信先ごとの調整や進行管理に多くの手間がかかり、担当者の負担は少なくなかったのです。出稿先によって広告効果にばらつきが生じることも多く、時間と労力を費やしても安定した成果につながりにくいという問題も抱えていました。
メディア側にとっても、広告枠を安定的に埋めることは容易ではなく、収益面での不安定さが課題となっていました。
そこで、広告配信の負担を軽減し、無駄なく最適な場所に広告を届ける仕組みとしてアドネットワーク広告が広まっていきました。複数の媒体に一括で配信可能で、リアルタイムな効果測定により広告配信の精度が向上したことで、より成果の見込める場所への広告出稿が実現したのです。
アドネットワークの仕組み

アドネットワークの仕組みは、広告を出したい広告主、広告枠を持つ媒体主、それらをつなぐアドネットワーク業者の三者によって構成されています。
広告主は自社の商品やサービスを広めるために広告を出稿し、媒体主は自らのサイトやアプリに広告枠を用意します。アドネットワーク業者は、複数の媒体の広告枠をまとめてネットワーク化し、その中から広告主の配信設定などを元に、適した掲載先を選定して配信します。
掲載先の選定は、広告のジャンルやターゲット層、媒体の属性などをもとに行われます。これにより、関心を持ちそうなユーザーに広告を届けやすくなり、広告の運用効率や広告効果を高められるようになるのです。
アドネットワークとDSPの違い
アドネットワークに近い仕組みとしてDSPがありますが、それぞれ配信先の設定やターゲティングの方法に明確な違いがあります。
アドネットワークは、複数の媒体に掲載される広告枠を束ねて一括で扱う仕組みのため、「どのような媒体に配信するか」を設定します。媒体側が保有する広告枠の中から配信先が決まるため、ブランドイメージに合った場所に広告を出しやすい反面、ユーザー単位で柔軟に配信先を調整することはできません。
対してDSPは、媒体単位ではなくユーザー単位で配信先を設定します。広告主は「どのようなユーザーに配信するか」を設定し、広告枠の入札をリアルタイムで行いながら、ユーザーに広告を配信します。
アドネットワークはユーザー行動に関係なく配信するため、アドネットワークは認知拡大に向いている一方、DSPは配信するターゲットを絞り込めるため、コンバージョン重視で広告を運用したい場合に効果的と言えます。
アドネットワーク広告の主なサービス例

ここでは、アドネットワーク広告の主なサービスを紹介します。多くの企業が活用している代表的なサービスは以下の5つです。
- Googleディスプレイネットワーク(GDN)
- Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)
- I-mobile Ad Network
- LINE広告ネットワーク
- docomo Ad Network
それぞれ、どのような特徴や強みがあるのか、解説します。
Googleディスプレイネットワーク
GDN(Googleディスプレイネットワーク)とは、Googleが提供するアドネットワーク広告です。Googleが保有する膨大な提携サイトやアプリ上で広告を配信可能で、YouTubeやGmailなどを含むさまざまな掲載面に広告を表示できるため、ユーザーの興味関心や行動履歴に基づいたアプローチができます。
GDNの強みは、Googleアカウントのログイン情報などをもとに、精度の高いターゲティングが実現できる点にあります。検索履歴や動画の視聴傾向など、複数のサービスから得られる情報を活用できるため、広告配信の精度が高まります。
広範囲にリーチしながらもユーザーとの関連性が高い広告を配信できるため、認知拡大と成果獲得の両立を目指したいユーザーにとって、効果的な手段といえます。
Yahoo!ディスプレイ広告(運用型)
Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)は、Yahoo! JAPANやその関連メディアを中心に構成された広告配信ネットワークです。以前は「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)」と呼ばれており、2021年6月に現在のYDAへ移行しました。
Yahoo! JAPANのトップページやニュース、知恵袋といった主要メディアに加え、提携サイト群である「Yahoo!広告ネットワークパートナー」にも広告が配信されます。Yahoo!広告ネットワークパートナーには朝日新聞DIGITALや食べログ、Game8など多様なジャンルのメディアが含まれており、幅広いユーザー層にアプローチできます。
また、YDAはYahoo! JAPANのIDと連携しているため、ログインユーザーの行動履歴に基づく広告配信が可能です。そのため、GDNと同様に精度の高い広告配信が可能です。
i-mobile Ad Network
i-mobile Ad Networkは、株式会社アイモバイルが提供する国内最大級のアドネットワーク型の広告配信サービスです。
静止画やバナーに加え、動画リワードやプレイアブル広告など、幅広い広告フォーマットに対応しているのが特徴で、クリエイティブ制作の支援も行っています。そのため、広告主はデータの分析や配信結果を踏まえたクリエイティブ改善に集中しやすくなり、より効率的に広告運用ができるようになります。
アドフラウド対策により、不正なインプレッションやクリックを未然に防ぐ仕組みも整えられています。不正なクリックやトラフィックの検知・排除を強化しているため、広告費が無駄に消化されるリスクも抑えられるでしょう。
豊富な広告フォーマットとクリエイティブ支援、セキュリティの強化により安定した広告運用に取り組むのがi-mobile Ad Networkの特徴と言えます。
LINE広告ネットワーク
LINE広告ネットワークは、LINEヤフー株式会社が運営するアドネットワーク型広告サービスです。月間9,700万人を超えると言われるLINEユーザーに加えて、ニュース・天気・マンガなど国内で利用者の多いアプリにも配信が可能です。
豊富なユーザーデータを活用した精度の高いターゲティングにより、広告効果の最大化を目指せます。静止画や動画、カルーセル形式など、訴求内容に応じた柔軟なフォーマットに対応しているため、多様な業種・商材に適していることも特徴です。
そのため、目的や商材に合わせて柔軟に活用しやすく、費用対効果を重視する広告主にとって効率的に運用できる媒体と言えます。
docomo Ad Network
docomo Ad Networkは、NTTドコモが運営する、ドコモ独自のメディアに広告配信が可能なアドネットワーク型広告サービスです。
「dmenu」「dポイントクラブ」「メッセージS」などドコモが運営する複数のサービスに横断的に広告を届けられるため、購買意欲の高いユーザーへのアプローチが可能です。ユーザーの位置情報をもとに広告を届ける独自のジオターゲティング機能も特徴で、リアルな行動に合わせた訴求が可能なのが他社にはない強みと言えます。
ドコモが保有する詳細な契約者情報や利用データを元にしたターゲティングが可能なため、精度の高い広告運用が可能になるでしょう。docomo Ad Networkなら、ドコモが保有する豊富なデータと独自機能を活用することで、効率よく成果に繋げられます。
アドネットワーク広告の配信方法

アドネットワーク広告の配信方法には、「ターゲティング配信」と「ノンターゲティング配信」の二種類が用意されています。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、目的に応じて使い分けるのが効果的な運用のポイントです。
それぞれくわしく解説するので、参考にしてみてください。
ターゲティング配信
アドネットワークのターゲティング配信とは、年齢層や性別、興味関心などの属性情報を設定して配信するターゲットを絞り込む広告の配信方法です。
Cookieを活用し、閲覧履歴や検索履歴などのユーザーデータをもとに、関心を持ちやすい広告を表示するため、広告の閲覧率やクリック率の向上、費用対効果の向上が期待できます。
ただし、ターゲット設定のズレやCookieの削除により意図しないユーザーに配信されるリスクもあります。特に、近年はサードパーティCookieの利用制限が進んでいますが、それでもなお、コンバージョンを重視する場合やターゲットが明確な商品・サービスの広告を配信する場合に有効な手法です。
▼合わせて読みたい
ターゲティングとは?設定する方法やセグメンテーションとの違い、その重要性を徹底解説
ノンターゲティング配信
アドネットワークのノンターゲティング配信は、年齢や性別、興味関心といった属性を絞らずに、幅広いユーザーに広告を表示する配信方法です。より多くのユーザーに広告を届けやすく、単価が比較的安価に抑えられる傾向があります。
関心の薄い層にも広告が表示されるため、クリック率やコンバージョン率は低くなる傾向にあります。反応の薄いユーザーに予算が消化されることで、費用対効果や広告効果の悪化につながる可能性もあるでしょう。
それでも、認知度向上を目的として広範囲にリーチしたい場合や、新規サービスのように顧客層を絞りにくい商材を扱う事業者にとっては有効な手法と言えます。
アドネットワーク広告のメリット

アドネットワーク広告が多くの方に利用されているのは、運用するメリットが大きいためです。特に注目したいのは、以下のようなメリットです。
- 複数の媒体に対して効率的に広告配信できる
- 目的やターゲットに合わせて使い分けられる
- 広告の効果をまとめて集計できる
それぞれ、くわしく解説します。
複数の媒体に対して効率的に広告配信できる
アドネットワーク広告のメリットは、複数の媒体に対して効率的に広告を配信できる点です。出稿や入札、広告配信、効果の計測まで一括で管理が可能で、媒体ごとに調整する必要がなく、広告運用にかかる手間や時間を抑えられます。
広告クリエイティブは媒体ごとの掲載枠に最適化されて自動表示されるため、配信先に応じて広告を作り直す必要もありません。制作リソースに余裕がない場合でも、効果的に運用しやすくなるでしょう。
限られたリソースで配信効率を高めたい方にとって、アドネットワーク広告は有効な手段と言えます。
目的やターゲットに合わせて使い分けられる
広告の目的に応じて柔軟に運用できる点も、アドネットワーク広告のメリットです。認知拡大を目指す場合はノンターゲティング配信が有効で、クリックや購入といった成果を重視する場面では精度の高いターゲティング配信が適しています。
興味関心や地域などのターゲットに応じた条件の設定も可能で、配信後に実際のデータをみながら調整することも可能です。他のオンライン広告と同様にリアルタイムに状況を確認・調整できるため、スピード感を持って最適化できます。
目的や競合に合わせ、競合や市場の変化にも柔軟に対応しながら成果の向上を目指せるのがアドネットワーク広告の特徴です。
広告の効果をまとめて集計できる
広告の効果をまとめて集計できる点もアドネットワーク広告のメリットです。複数の媒体に配信された広告の結果が一つの管理画面で確認できるため、数値の比較や傾向の把握がしやすくなるでしょう。
広告運用で成果を向上させるためには、リアルタイムでの効果把握とターゲティングの細かい見直し、クリエイティブの調整が欠かせません。出稿している広告媒体について、数値に基づいて比較・改善することで、運用のスピードと精度が高まるのです。
複数の媒体に出稿しても一つの管理画面で一元管理できる仕組みが、アドネットワーク広告を活用する大きなメリットと言えます。
アドネットワーク広告のデメリット

アドネットワーク広告には、メリットだけではなくデメリットも存在します。しかし、事前にリスクを把握し、適切に対策を準備することでデメリットは最小限に抑えられるでしょう。特に注意したいのが、以下のデメリットです。
- 想定していない媒体に配信される可能性がある
- 複数のアドネットワーク広告を活用すると管理が煩雑になる
- 配信先が重複する可能性がある
それぞれ、対策とともに解説します。
想定していない媒体に配信される可能性がある
アドネットワーク広告が抱えるデメリットの一つ目は、想定していない媒体に配信される可能性があるということです。ビジネス系メディアにエンタメ商材の広告を配信しても高い効果は見込みにくいでしょう。
ターゲティングの設定により、一定のコントロールは可能ですが、それでも完全な制御は難しい場合があります。
意図しない媒体への配信を減らすには、あらかじめ除外したい媒体やジャンルを設定しておく必要があります。各ツールには、プレースメント単位で配信先を除外できる機能が用意されているため、ブランドイメージに合わない媒体や効果がでていない媒体は個別設定により除外するようにしましょう。
複数のアドネットワーク広告を活用すると管理が煩雑になる
複数のアドネットワーク広告を活用すると、管理が煩雑になるというデメリットもあります。配信状況やデータをそれぞれで確認しなければいけないため、日々の調整や対応に時間がかかりやすくなるでしょう。
それでも、配信の幅を広げたい場合や、ネットワークごとの特徴を活かして広告を展開したい場合など、複数のアドネットワーク広告を活用したい状況は想定されます。
その場合は、業務の重複を避けるための役割分担や外部ツールの活用、集計の自動化などを通じて、運用体制を整えていきましょう。
複数のアドネットワーク広告を活用すること自体は効果的であるため、仕組みや体制を整えながら運用効率の向上を目指す必要があります。
配信先が重複する可能性がある
複数のアドネットワーク広告活用により、配信先が重複する可能性がある点もデメリットの一つです。各ネットワークが共通の媒体を保有しているケースがあるため、異なるネットワークから同一ユーザーに広告が重複表示されてしまうのです。
広告の重複は、広告効率の悪化につながるだけではなく、広告鮮度の低下によりユーザーの反応が鈍くなったり、ネガティブイメージの定着に繋がったりするリスクがあります。
各管理画面では、配信されている媒体の確認ができるため、定期的にデータを突合して重複や効率の悪化が起きていないかをチェックしましょう。細かい調整が、アドネットワーク広告で効果を高めるために欠かせない取り組みと言えます。
アドネットワーク広告で効率的に集客しよう

アドネットワーク広告は、複数の広告媒体に同時に出稿できる便利な広告配信サービスです。GDNやYDAを始めとした代表的なサービスを活用しながら、目標に合わせて適切に配信設定することで、運用効率を高めながら大きな広告効果が期待できるでしょう。
より広範囲にリーチするためには、複数のアドネットワーク広告の活用が効果的です。しかし、配信先の重複や管理工数の増加など、デメリットや注意点も存在するため、適切な運用体制や外部ツールを活用しながら、リスクの最小化を心がける必要があります。
現在のマーケティングにおいて、アドネットワーク広告は成果を左右する重要な手法です。仕組みを正しく理解し、継続的に運用改善を重ねながら、効果の最大化を目指すことが欠かせません。
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