CTR(クリック率)とは?CVRとの違いやSERPsにおける平均値と改善方法を解説!
Webマーケティングで活用されるさまざまな指標のなかでも、参照される機会の多いものとして「CTR(クリック率)」が挙げられます。Web広告や検索プラットフォームなどにおいて、「ページへのリンクがどれだけクリックされているか」を表す指標です。
自社サイトへの流入状況を知り、広告施策やサイト制作へと活かしていくうえで、CTRの適切な利用は欠かせません。この記事では、CTRの求め方や目標値の目安を示したうえで、具体的な改善方法について解説していきます。
目次
CTR(クリック率)とは
CTRは「Click Through Rate」を略した言葉であり、一般に「クリック率」と訳されます。具体的には、「広告やWebページが閲覧された回数に対して、どれだけクリックが生じているか」を表す指標です。
このCTRが高いほど、広告などがユーザーの興味を引けており、目的となるページへと効率的に誘引できていることを表しています。Web上での広告施策や、マーケティング戦略の成果を検証するうえで、CTRは不可欠な指標の1つといえるでしょう。
CTRが用いられる場面
CTRは「自身のWebコンテンツが表示された回数に対して、どれだけクリックが発生しているか」を表す指標であり、広告やSNSなど、さまざまな施策の効果測定に活用可能です。
代表的なのはやはり、Web広告の効果測定でしょう。広告施策ごとのCTRを算出することにより、「その広告からどれだけ目的のページへと誘引できているか」を確かめることができます。
これにより、「クリエイティブがユーザーの興味を引けているか」「ターゲティングは適切か」といったポイントを検証できるでしょう。
また、Googleなどの検索結果画面(SERPs:Search Engine Result Pages)において、「自身のWebページがどの程度クリックされているのか」を確かめる際にもCTRが参照されます。「タイトルや概要文がどれだけユーザーの検索意図に沿っているか」などを検証する際、有用な指標となるでしょう。
Web広告でCTRが重要な理由
上述のように、CTRはとくに「Web広告の施策効果」を確認する際に重要な指標です。広告を見たユーザーのリアクションを知ることにより、施策の最適化に向けたフィードバックを得られるでしょう。
たとえばWeb広告のCTRが低い場合には、クリエイティブやターゲティングなどを見直していく必要があります。また反対に、CTRが高い場合であっても、遷移先のページでコンバージョンにつながっていない場合には、ページ内のコンテンツや導線などを見直すことが求められます。
このように、「Web広告の施策においてどこに問題が生じているか」を見定めるうえで、CTRを確認することは欠かせない作業だといえるでしょう。
CTRの求め方
CTRは一般に、「リンクのクリック数」と広告やページの表示回数を表す「インプレッション数」をもとに求められ、以下の計算式によって表されます。
CTR(%)=クリック数÷インプレッション数×100
たとえばある広告が1000回表示され、そのうち30回クリックが発生した場合には、CTRは「30÷1000×100=3%」です。
なお、クリック数やインプレッション数の定義は、計測するプラットフォームによって少しずつ異なる可能性があります。とくに動画広告の場合には、「動画が何秒再生されればインプレッションとしてカウントされるのか」といった要件が異なり、それによってCTRの数値が左右される場面もあるため注意が必要です。
広告フォーマット別に見たCTRの目安
Web広告のCTRは、広告プラットフォームや業界によって水準に差があります。そのため広告出稿にあたってCTRの目標値を定める際には、プラットフォームの特性や業界の傾向について知っておく必要があるでしょう。
以下では広告の形態別に見た業界ごとのCTR平均値を紹介していきます。
リスティング広告の業界別CTR
アメリカ合衆国のWordStream(ワードストリーム)社による発表では、Google上でのリスティング広告の平均CTRは業界全体で「3.17%」とされています。リスティング広告の場合、その語句で検索するユーザーの意図や関心が明らかであることから、広告のCTRも高くなりやすいのだと考えられます。
業界別に見ると、CTRの平均値は以下のとおりです。
リスティング広告においては、「情報を知ること」と「購買行動」が密接に関わる分野でとくにCTRが高くなりやすい傾向が読み取れます。たとえば自動車(4.00%)や教育(3.78%)、不動産(3.71%)や旅行(4.68%)などは「商品・サービスを選ぶために情報を収集する」という側面が強く、広告に対する興味も引き出しやすいと考えられるでしょう。
ディスプレイ広告の業界別CTR
先のWordStream社のデータによれば、ディスプレイ広告の平均CTRは業界全体で「0.46%」です。検索行動にともなうユーザーの意図が明確なリスティング広告に対し、コンテンツの狭間に挿入されるディスプレイ広告はCTRが低くなる傾向が読み取れます。
業界別に見たCTR平均値は、以下のグラフのとおりです。
先のリスティング広告と比べると、ディスプレイ広告では平均値を大きく上回る業界が少なく、数値が横並びになる傾向が見られます。もっとも高かったのは不動産の「1.08%」であり、次いでデート・恋愛の「0.72%」と続いていますが、それ以降にはさほど大きな差は見られません。
高い数値を記録している不動産や恋愛関係は、意思決定に要するリソースが大きく、実際にニーズを抱えている人の心を占めやすいカテゴリだと考えられます。このように悩みや不安の心理的なウエイトが大きなカテゴリほど、ディスプレイ広告の効果が高くなる傾向が見て取れます。
SERPsにおけるCTRの平均値
あるキーワードで検索したユーザーは、検索結果に表示される多くのリンクのうち、どれをクリックしているのでしょうか。以下ではGoogleの検索結果画面(SERPs)におけるCTRの平均値について、表示順や要素ごとの数値を紹介していきます。
検索順位ごとのCTR
広告枠を含まないオーガニック検索の結果においては、やはり表示順位が高いほどCTRも高くなる傾向が見られます。アメリカ合衆国のFirstPageSage(ファーストページセージ)社が発表するデータによれば、検索順位ごとの平均CTRは次のとおりです。
上のグラフに見られるように、検索順位1位のページのCTRは40%近く、特定のワードを調べているユーザーの多くを自身のページに呼び込めていることがわかります。
その他、3位以上は10%を超える一方で、6位以降は5%を下回り、順位によるCTRの影響も小さくなっていく傾向が読み取れるでしょう。
一方、SERPsの「広告枠」に表示されるリスティング広告は、表示位置によってどの程度影響を受けるのでしょうか。FirstPageSage社のデータにおいては、以下の平均値が提示されています。
広告出稿によりSERPs上の目立つ位置に自身のページを表示することはできますが、上のグラフに見られるように、CTRとしてはどの配置でも「検索順位10位前後」と同等の数値となっています。
検索語句の傾向によっては「疑問に対する明確な答え」を欲しているユーザーも多く、広告枠を避ける心理が生じる場面も少なくないのでしょう。
一方で、上の数値は決して低いものではありません。購買行動に関わる検索をしているユーザーに対し、1%~2%のCTRが期待できるのであれば、広告を出稿する意義も大きいと考えられます。
SERPsの各要素におけるCTRの平均値
SERPsには広告枠やオーガニック検索結果のほか、ユーザビリティを高めるためのさまざまな要素が表示され、そこからサイトへの流入が発生するケースもあります。
先のFirstPageSage社によれば、SERPsにおける要素ごとのCTRは以下のグラフのとおりです。
まず上のグラフからは、「強調スニペット」が突出して高い数値を記録していることがわかります。強調スニペットは、特定のWebページから検索意図に適合する箇所のみを抽出し、SERPs上部にカード状で「検索ワードに対する答え」表示する機能です。内容が一目でわかる点や、配置的に目立ちやすい点などから、非常に高いCTRが算出されています。
その他、SERPsに挿入される画像検索結果や動画検索結果も、ビジュアル的に関心を引きやすく、CTRが高くなりやすい傾向が見て取れるでしょう。
広告のCTRを改善する方法
CTRを改善するポイントは多岐にわたり、媒体や業種によって観点が異なるケースがあります。以下ではまずWeb広告において、多くの状況に共通する改善ポイントについて解説していきます。
ターゲティングの最適化
Web広告のCTRを改善する際には、「商品・サービスに興味がありそうな相手に広告を表示する」という考え方が重要になるでしょう。
まずは自社の商品・サービスの特性を十分に検証し、競合との差を明確にしたうえで、「何をアピールポイントにするべきか」を見直すことが大切です。そのうえで、「自社の商品・サービスがどのようなニーズにマッチするのか」を見定めていきましょう。
さらに、そのようなニーズを抱えている人の年齢層やライフスタイルなどを具体的に考え、ターゲット像を鮮明にしていくことが求められます。自社の商品・サービスの典型的な受け手となる人物像を具体化するうえでは、「ペルソナ」を設定していくことも有効です。
キャッチコピーを工夫する
Web広告においてはユーザーの関心が即座に離れてしまうケースも多いため、「瞬時に関心を掴むための工夫」が重要になります。広告のキャッチコピーなど、クリエイティブ上の目立つ部分に置かれる言葉の「わずかな違い」でCTRが大きく左右されるケースも少なくありません。
広告を見た人から興味をもってもらうには、その広告が「自分に向けたもの」だと思ってもらう必要があるでしょう。「○○にお悩みの方」というように、ターゲットが抱える具体的な悩みや不安に対してアプローチしていく方法がまず効果的だといえます。
その他、数値を示すことで商品・サービスの効果をアピールしたり、キャンペーンによる「お得感」から訴求したりする方法も有効です。ただし効果・効能や満足度などの数値を示す場合には、その数値が正しいことの「合理的な根拠」がなければ景品表示法上の優良誤認表示にあたる可能性があるため、表記には細心の注意が必要です。
A/Bテストの実施
ターゲティングやクリエイティブなど、広告施策を改善する観点はさまざまですが、どのような角度から変更を加える際にも「A/Bテスト」が重要です。複数の改善策を実際に展開させてみて、「より効果の高い方法はどれか」を見定めていきましょう。
とりわけWeb広告のプラットフォームにおいては、計測したい期間や条件にあわせてCTRを簡単にチェックできるため、A/Bテストの結果も短いスパンで把握していけるはずです。
「CTRが思うように伸びないが、具体的な改善点が見つからない」というケースにおいても、さまざまな施策を実際に展開し、CTRの変化を確認していくことで改善につながることがあります。
SERPsのCTRを改善する方法
SERPsにおいては、検索順位が高いページほどCTRも高くなる傾向があるため、基本的には「上位表示を目指したサイト制作」を目指すことになります。SEOと共通するポイントも多くありますが、以下では「集客」を念頭に置いたCTRの改善方法について解説していきます。
キーワードを適切に選定する
SERPsからの流入を狙ううえで、まずは「どのようなキーワードで上位表示を狙うのか」を明確にしておく必要があります。検索ボリュームの多いキーワードは競合も多いため、上位表示が狙いにくくなるのです。
そこで、とにかく多くのユーザーを呼び込むことを考えるのではなく、「自社のターゲットに近いユーザー」だけを呼び込めるよう、キーワードを限定していくことが重要になります。
たとえばカーテンのECサイトであれば、「カーテン」のみを狙うのではなく、「カーテン 北欧風 安い」など、テイストや価格面のニーズを見越してワードを選定していくとよいでしょう。
一方で、絶対的に検索ボリュームの多いキーワードにもメリットがあります。それは「下位表示でも一定の流入を見込める」という点です。
たとえば「検索数が1,000のワードで下位に表示され、CTRが1%」の状態と、「検索数が100のワードで上位に表示され、CTRが10%」の状態とでは、どちらも実際の流入数は「10」となります。
こうした例からは、マーケティングにおいて必ずしも「CTRの向上」が絶対的な目標とはならないことが窺えるでしょう。まず「どのようなターゲットの流入を狙いたいか」を考えたうえで、キーワードをどの程度絞るのかを決め、自社の訴求したいポイントにあわせたキーワードを狙っていくことが大切です。
ユーザーの検索意図を把握する
実際のページ制作にあたっては、「ユーザーの検索意図に即したページづくり」が上位表示を狙ううえで欠かせません。
そのキーワードで検索したユーザーがどのような情報を求めているのかを考えながら、必要な情報を整理して提示できるよう、ページを設計していく必要があるでしょう。
「検索意図に適うページ」のあり方を知るうえでは、現状において該当のキーワードで上位表示されているページを参考にしながら、「ユーザーが求める情報は何か」を見定める方法も有効です。
必要な情報を抽出したうえで、「ユーザーが求める情報」と「自社として提示すべき情報」を自然な流れのなかで過不足なく提示できるよう、あらかじめ構成を固め、ページを作成していきましょう。
タイトルやメタディスクリプションを工夫する
SERPsの画面に自社のページ情報が並べられたときに、テキスト上に「ユーザーが気になるポイント」があれば、CTRも高めやすくなります。
競合のページタイトルを見比べながら、そこに埋もれないような文言を設定し、かつ「思わずクリックしたくなる工夫」を取り入れていきたいところです。
タイトル下に表示されるメタディスクリプションも、SERPs上でユーザーにアピールできる数少ないチャンスの1つです。限られた文字数のなかで「ユーザーが求める情報」を端的に提示しつつ、「クリックすることで何がわかるのか」という期待感を喚起していきましょう。
構造化データを利用する
SERPsにおける注目度を高めるうえでは、ページ内情報を内容にあわせて見やすく表示する「リッチリザルト」が強い味方になります。ページ内の商品情報や、Q&A、手順などのハウツー情報といった内容をSERPsに表示するため、ユーザーの関心を引きやすくなるでしょう。
リッチリザルトの形式で表示させるには、「構造化データ」によって検索エンジンに対してページ内情報をわかりやすく伝えることが必須になります。HTMLの知識が求められますが、自動で構造化データをマークアップするツールも展開されており、チャレンジする意義は小さくありません。
ただし、構造化データを利用したとしても、リッチリザルトとして表示されるかどうかは不確かであり、検索エンジンのアルゴリズムによって左右されます。
もちろん、リッチリザルトとして表示されなかったとしても、構造化データを通じてページ内情報が検索エンジンに整理して伝えられるため、SEOの面では効果が期待できるでしょう。
なお、構造化データの概要や種類、設定方法などについては以下の記事にて詳述しております。あわせてご参照ください。
>>>構造化データとは?非構造化データとの違いやメリットについてを解説
まとめ
CTRは「クリック率」を意味する「Click Through Rate」の略語であり、Web広告や検索プラットフォームなどを通じて「どれだけ自社サイトへの流入があるか」を確認するための指標です。
媒体や施策ごとにCTRを確認することで、「ユーザーを効率的に呼び寄せられていないポイント」が明確になり、現状の課題を捉えやすくなるでしょう。
CTRを改善するうえでは、自社の方針や商品特性などを整理したうえで、「どのようなニーズを抱える層に訴求すべきか」というターゲティング面を見直すことが求められます。そのうえで、ターゲットにあわせた情報提供ができるよう、クリエイティブやサイト構成を練っていくことが大切です。
ただし、CTRはあくまで「サイトへの流入率」を示すものであり、Webマーケティングの最終目標である「コンバージョン」や「売上」の動向を示すものではありません。
CTRの数値は低くても、SNSの投稿などで「認知向上」につながっていたり、ターゲット層に近いユーザーの流入を十分に確保できていたりするケースも考えられます。
マーケティングにおいてはCTR以外の指標や観点も組み合わせながら、総合的に現状の課題を浮き彫りにしていくことが求められるでしょう。
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