コンバージョン率(CVR)とは?サイト運営に重要な理由と計算式や平均値、改善方法などを紹介!
企業がWebサイトを作成する際の主な目的は、「認知拡大」や「売上の増加」といった集客面にあるでしょう。しかし実際に、「サイトの集客効果」を測るにあたって、どのような指標を用いればよいのかわからない場面もあると考えられます。
サイトを通じた集客効果を測定する際、主流になっているのが「CVR」という指標です。サイト上のコンテンツを通じて、商品購入や問い合わせなど「ユーザーからのアクション」がどれだけ起きているのかを知ることで、改善策にもつなげやすくなります。
この記事では、CVRの概要や計算式、業界別の平均値などをふまえ、実際の改善方法についても解説していきます。
目次
コンバージョン率(CVR)とは
CVRとは、「Conversion Rate」を略した言葉であり、一般に「コンバージョン率(以下CVR)」と訳される言葉です。具体的には、「Webサイトにアクセスしたユーザーのうち、コンバージョン(商品購入や資料請求などの成果)に至った割合」を表します。
たとえば自社サイトを100人のユーザーが訪問し、そのうち5人が資料請求に至った場合、CVRは「5%」です。
CVRは「Webサイトを通じた集客がどれだけ成功しているのか」を示す数値として、Webマーケティングにおける最重要指標の1つされており、多くの企業の施策改善に活用されています。
CVRが重要な理由
CVRはサイト制作のゴールとなる「コンバージョン」に関する指標であり、その数値は「サイトを通じてどれだけユーザーにアピールできているか」を端的に表しています。
換言すれば、CVRは「こちらが設定したゴールに到達したユーザーがどれだけいるのか」を示す数値です。CVRが低いほど、「ゴールに達する前にユーザーが離れている」ことになります。
そのため、CVRの数値をチェックすることで、「より多くのユーザーがゴールに到達するためには何が足りないか」が見通しやすくなり、施策の問題点を洗い出していけるでしょう。
たとえば「サイトの訪問者数は多いけれども、CVRが低い」という状況を考えてみましょう。訪問者数は確保できているので、「ユーザーが自社サイトにたどり着くまでの経路」には大きな問題がないと考えられます。その反面、ユーザーをコンバージョンへと導く「サイト内の導線やコンテンツ」には改善すべき点があるでしょう。
反対に、「CVRは高いけれども、サイトの訪問者数が少ない」という場合であれば、「サイトの設計」に関する側面よりも、SEOなど「外部からの流入」に関するポイントに問題が生じていることが窺えます。
このように、Webマーケティングの施策の効果を確認し、フィードバックにつなげていくうえで、CVRは不可欠な指標とされているのです。
CVRの計算式
CVRは基本的に「コンバージョンに至った数」を「サイトを訪問した人の数」で割った数値であり、以下の計算式によって求められます。
CVR(%)=コンバージョン数÷セッション数(サイトへの訪問数)×100
たとえば自社サイトに100件の訪問があり、そこから3件の問い合わせが発生した場合には、CVRは「3÷100×100=3%」となります。
CVRは用いる数値によって変動する
CVRを算出する際に注意すべきは、「そもそも何を成果(=コンバージョン)と考えるか」によって数値が大きく左右される点です。
問い合わせや資料請求、商品購入など、「サイトを通じたユーザーのアクション」が複数考えられる場合、どれをコンバージョンと見るかによってCVRは変わってくるのです。
また同様に、分母に置く「訪問者数」をどう考えるかによってもCVRは変動します。CVRの分母には「セッション数」あるいは「ユニークユーザー数」を置くのが一般的ですが、どちらを採用するかによって見えてくる側面は異なるでしょう。
セッション数は「期間内におけるWebサイトの訪問回数」であり、実際の人数ではなく「アクセスの総数」を表します。一方のユニークユーザー数は「期間内にサイトを訪問した固定ユーザー数」を表し、「実際に何人がサイトに来ているか」を示す数値です。
CVRの算出にあたっては、計測の目的によって分子と分母を考えていくことが大切です。たとえば「1人のユーザーからどれだけ興味を引けているか」を知りたい場合には、分母にはユニークユーザー数を置き、コンバージョン数には「資料請求」などユーザーにとってハードルの低いアクションを適用する方法がありうるでしょう。
あるいは「Webサイト上の施策が売上にどう影響しているか」を見たい場合には、分母にセッション数を置き、コンバージョン数に「商品購入」に至った数を置くといった観点が考えられます。
CVRの平均値
上述のように、CVRは「計算にどの数値を用いるか」によって大きく異なるため、はっきりとした目安を見つけることが難しい指標です。以下では経路別に、業界ごとのCVRの平均値を紹介していきますので、自社の特性にあわせてご参照ください。
ECサイトの業界別CVR平均値
ソフトウェア開発で知られるAdobe(アドビ)社の調査によれば、ECサイトのCVRは世界平均で「2.58%」という数値です。ECサイトのCVRはおおむね1%~4%程度が標準とされていますが、業界によって傾向が大きく異なることも珍しくありません。
Adobe社が2022年の第4四半期に実施した調査によれば、ECサイトの業界別平均CVRは以下のグラフのとおりです。
総じて、ECサイトにおいては「商品購入」というハードルの高いコンバージョンが設定されるため、扱う商品のカテゴリによっては数値が伸びにくい傾向があります。
先のグラフにおいて、もっとも低い数値となっているのは「電子機器」の1.9%でした。とくに高額な製品は検討に時間を要することも多く、CVRが伸び悩むケースも少なくないと考えられます。
一方で高い数値を記録しているカテゴリとしては、「健康・美容」の3.3%、「食品・飲料」の4.6%が挙げられます。生活必需品や「お試し」が比較的容易なジャンルにおいては、CVRが高くなりやすい傾向が見て取れるでしょう。
ディスプレイ広告の業界別CVR平均値
広告ソリューションを手がける米国のWordStream(ワードストリーム)社の調査によれば、ディスプレイ広告の平均CVRは全体で「0.77%」です。
ディスプレイ広告はさまざまなWebページの広告枠に埋め込める一方で、「別のコンテンツを目的に回遊しているユーザー」に対して広告を表示するため、関心を引くためには相応の工夫が必要となるでしょう。
なお、WordStream社が公表している業界別のCVR平均値は以下のグラフのとおりです。
顕著な数値を記録しているのは、3.34%の「デート・出会い系」や、1.84%の「法律関係」、1.57%の「雇用サービス」などです。
ここからは、プライベートな恋愛関係や、雇用や法律など、「人生のなかで人知れず抱えている悩み」にアプローチする業界が高い数値を記録する傾向が見て取れます。
ディスプレイ広告のCVRを伸ばすうえでは、ターゲットの抱える課題を捉え、そこへの解決策を的確に提示していくことが欠かせないでしょう。
>>>ディスプレイ広告とは?リスティング広告との違いと出稿するメリット
検索広告の業界別CVR平均値
先のWordStream社の調査では、検索広告の平均CVRは全体で「3.75%」という数値を記録しています。ディスプレイ広告に比べ、検索広告はキーワードに関連するユーザーのニーズが明確であり、CVRが高くなる傾向が見られます。
なお、WordStream社が発表している検索広告における業種別の平均値は以下のグラフのとおりです。
先のディスプレイ広告においては、恋愛をはじめとする「プライベートな悩み」に関するカテゴリが高くなる傾向にありました。検索広告においても、デート・出会い系が9.64%、法律関係が6.98%と、全体の平均値を大きく超える数値を残しています。
さらに検索広告で顕著なのが、6.03%を記録した自動車分野をはじめ、「専門的なカテゴリ」の数値も伸びている点でしょう。専門的な分野に関するワードを検索するユーザーは、その分野に関して「解決したい問題」を抱えていることが多く、それにマッチした内容の広告が成果につながりやすいと考えられます。
ここから、検索広告においては「その言葉を検索するユーザーの意図」を捉え、そこへと訴求する観点が欠かせないといえるでしょう。
CVRが伸び悩む原因
CVRの数値が伸びないケースにはさまざまな原因が考えられますが、Webサイトの導線やコンテンツなど「設計面」に問題があることも珍しくありません。以下では具体的に、CVRが伸び悩んでいるケースによく見られる原因について解説していきます。
Webサイトの導線がわかりにくい
Webサイトの導線は、「訪れたユーザーが欲しい情報にアクセスし、段階的に興味を深めていける構造」であることが望ましいといえます。
導線がわかりにくく、「どこを見れば必要な情報を得られるか」が把握できなければ、ユーザーの離脱につながり、コンバージョンにも至らなくなるでしょう。
サイトの導線や構造上の問題として、よくあるケースには以下のものが挙げられます。
- グローバルナビのメニュー名からページ内容が推測できない
- ページ遷移やCTAなどのボタン類が目立たない
- ページ表示速度が遅くストレスがかかる
- モバイルビューでレイアウトが崩れる
Webサイトのコンテンツに過不足がある
導線に問題がなくても、サイト上のコンテンツを通じて商品・サービスに対する理解を深められなくては、最終的なコンバージョンには至りにくいでしょう。
的確に商品・サービスの利点や効果をアピールできていなかったり、ユーザーの疑問や不安を解消できていなかったりすると、実際のアクションにはつながりません。以下のようなポイントについて、問題がないかを見直していくことが大切です。
- ファーストビューのデザインが商品・サービスのイメージと異なる
- 訴求ポイントがターゲットのニーズを捉えていない
- 商品説明などの文章に過不足があり、要点がわかりにくい
- 「FAQ」や「購入の流れ」の掲載内容が疑問を解消しきれていない
サイトの内容とターゲットがマッチしていない
CVRが伸び悩む原因として、そもそものターゲティングに課題があるケースも少なくありません。サイト流入の段階で、「自社の商品・サービスにマッチしないユーザー」の割合が高ければ、やはりコンバージョンにはつながりにくくなるでしょう。
ターゲティング面でのミスマッチが生じる例としては、以下のようなケースが考えられます。
- 狙っているターゲット層と掲載コンテンツがズレている
- サイトに流入してくるユーザーが自社のターゲットからズレている
コンバージョンに達するまでに手間がかかる
サイトを訪れたユーザーが商品・サービスに興味を抱いたとしても、問い合わせフォームなど実際のコンバージョンに至る「最後の窓口」で手間がかかると、入力のストレスからそのページを離れてしまうケースも考えられます。
入力フォームによくある問題点としては、以下のようなポイントが挙げられるでしょう。
- 入力する項目数が多すぎる
- 何を答えればいいのかがわかりにくい
- 郵便番号による住所の自動入力に対応していない
- 予約日時などの日付をカレンダーから選択できない
CVRの改善方法
CVRを改善するには、現状分析を通じて現在の課題を浮き彫りにしたうえで、ポイントに応じた対処をしていく必要があります。以下ではCVR改善に向けた現状分析の方法や、状況別の改善方法について解説していきます。
ヒートマップなど分析ツールの活用
CVRを改善するうえでは、「コンバージョンに至るまでのボトルネック」と特定することが不可欠です。まずはGoogle Analyticsなどの分析ツールを使いながら、「ユーザーがどのページにどのくらい滞在しているのか」を把握し、離脱が頻繁に起きているポイントを突き止めていきましょう。
離脱ポイントをより正確に把握したい場合には、ユーザーのページ上での行動を色彩によって可視化する「ヒートマップ」が有力な選択肢になるでしょう。ページ上でユーザーが注目しているポイントや、見過ごされているポイントが一目でわかるため、改善すべき箇所が明確になりやすいのが利点です。
ターゲティングの最適化
分析ツールを活用しながら、「そもそもサイトに自社のターゲット層を呼び込めているか」といった点についても検証しておきたいところです。
流入キーワードや経路、ユーザー属性などを分析しながら、「狙っているターゲット」と「実際の訪問ユーザー」がかけ離れていないかをチェックしていきましょう。
ターゲットと実際の訪問ユーザーが乖離している場合には、流入に至るまでの導線を練り直すことも選択肢になります。SEOにおけるキーワード選定や、広告におけるターゲット設定を見直し、期待値の高いターゲットを呼び込むための施策を打ち出していく必要があります。
また、サイト内のコンテンツについて、「ターゲットに訴求できる内容になっているか」を検討する視点も重要です。ターゲットの抱える悩みや課題を明確に捉えたうえで、キャッチコピーや商品説明などを通じて的確にアピールすることが求められるでしょう。
インターフェースを改善する
分析ツールを用いて改善すべきポイントを導き出したら、具体的に「その箇所の何がおかしいか」を検討し、改善策を講じていきましょう。
注目してほしいポイントにユーザーの目が届いていない場合には、サイトのデザインやページのレイアウトを工夫することが求められます。ユーザーの意識の流れを考えながら、「どこに何の情報を置けばわかりやすいか」を検証し、ユーザビリティを高めていく必要があるでしょう。
明確な改善策が見つからない場合には、A/Bテストを繰り返しながら効果の高い方法を取り入れていくことも重要です。
CTAの最適化
CTAボタンなどユーザーの「次の行動」につながる箇所のデザイン・レイアウトは、CVRに直結しやすいポイントだといえます。A/Bテストを実施し、実際の効果を確かめながらよりよい方法を見つけていきたいところです。
CTAの位置や表示方法についても工夫が欠かせません。CTAが目立たないとコンバージョンも生じにくくなりますが、反対にCTAが画面上につねに大きく表示されていると、コンテンツの閲覧に支障が生じ、理解の妨げになるおそれもあるでしょう。
ある程度ページを読み進めてからポップアップでCTAを表示する形式など、「ユーザーの関心の度合い」に合わせて表示する工夫を取り入れていく必要があります。
まとめ
Webマーケティングにおいて、CVRはWebサイトや広告、ECサイトなどにおける「施策の成果」を確かめるうえで欠かせない指標です。
CVRを通じて「どれだけ効果的にユーザーにアピールできているか」が把握でき、また施策のボトルネックを特定しやすいため、具体的な改善ポイントも見つけやすいと考えられます。
CVRを改善する際には、「コンバージョンに至るまでのボトルネック」をまず特定することが求められます。ヒートマップなどのツールを活用しながら、サイト導線の問題や、ターゲティングにおける問題などを見直していくことが大切です。
分析を通じて課題が明確になったら、ユーザーにとっての「見やすさ」「使いやすさ」という目線から改善策を講じていきましょう。
「訴求ポイントが適切に提示できているか」「ユーザーの不安や疑問に答えることができているか」といった内容面のほか、「ストレスなく情報を得られる導線」を整えることで、コンバージョンへの経路を設計することが求められます。
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