データマイニングとは?やり方、事例、ツール交えてわかりやすく解説
日々多くの情報に触れることが当たり前となった現代。そうしたデータを活用し、ビジネス全般の問題解決に役立てられる技術があります。それが「データマイニング」です。本記事では、具体的なやり方や事例、使えるツールの紹介など交えて、データマイニングについてわかりやすく解説します。
目次
データマイニングとは?
データマイニング(Data mining)とは、簡単に述べると、大量の情報のなかから有益な“知識”を得るための技術です。
一見して何の変哲もない情報でさえ、統計学や人工知能などの分析手法によって価値あるものとして見出すことができます。このプロセスはマイニング(採掘)と例えられ、そのまま(データマイニングの)呼称の由来です。
近年、ICT(情報通信技術)の進展により、情報の生成・収集・蓄積が容易になってきました。同時に、それら大量の情報(ビッグデータ)を有効活用しようとデータマイニングにも注目が集まっています。実際、顧客情報の管理や設備点検、教育現場でのカリキュラム設計などあらゆるビジネスシーンで、データマイニングは適用されています。
データマイニングで得られる知識とは?
そもそもデータマイニングで得られる“知識”とは何でしょう。
それは「DIKWモデル」と呼ばれる思考モデルで説明すると明快です。
DIKWモデルは、以下の4つの項目で構成されています。
- DATA(データ)
- Information(情報)
- Knowledge(知識)
- Wisdom(知恵)
見てのとおり、各要素の頭文字から命名されたものです。
また、このなかに“知識”が含まれているのもお分かりかと思います。
このモデルに該当する1~3のプロセスがまさしくデータマイニングです。整理されていない数値、すなわちデータを情報としてまとめ、そこから得られる傾向から知識を導き出します。
DIKWモデルでは、さらにその知識を知恵へと昇華します。知恵とは、知識を利用して人が判断する力です。この知識は「有用性があるのか」「どのように活用するのか」など最終的に人が判断する領域にまで踏み込みます。データマイニングの範囲から外れるとはいえ、知識を知るためにも知恵の定義も把握しておくに越したことは無いでしょう。
データマイニングを行う前に
実際にデータマイニングを行うためには、精度の高いデータの用意が欠かせません。
加えて注意したいのは、日々積み重なるデータを改変しないことです。意図的に削除や更新をしてしまうとデータに偏りが生まれてしまいます。あくまでも純粋なデータ(生データ)にこそ、データマイニングにおける原石(有益な知識)は眠っています。
データウェアハウス(DWH)について
データを収集・蓄積していくにあたっては、データウェアハウス(DWH)の活用が便利です。大量のデータを保管し蓄積するために設けられ、削除や更新は行いません。まさに前述した注意点に則ったシステムサービスです。
データクレンジングと正規化
収集・蓄積したデータは、コンピューター上での動作に支障をきたさないようデータマイニングのシステムに沿った調整が必要になります。つまり、加工が必要です。たとえば、数値や記号のバラツキを整えデータに統一性を持たせます。いわゆる「データクレンジング」です。また、データベースを整理する「データの正規化」もあわせて大切な作業に当たります。効率的な処理には欠かせない作業です。
データマイニングで代表的な2つのやり方
データマイニングのやり方は主に「機械学習」と「統計分析」の2つに分かれます。
先にそれぞれの違いを簡単に述べると「仮説を用意するかしないか」「ロボットか人か」です。機械学習は仮説いらずのままAIの技術におまかせできます。一方、統計分析は前提として検証したいテーマを自身で設ける必要があります。
以下、もう少しくわしく説明しましょう。
機械学習
データマイニングにおける機械学習とは「AI(人工知能)」を活用した手法です。近年はご承知のとおり、テクノロジーが進化し続けるなか、AI自体が急速に発展しています。データを読み取り相関関係を導き出し、人が担うには困難なカテゴライズの作業をしてくれるため、重宝する方も少なくありません。また、複雑な条件でのデータ解析も仮説を立てずに実行できる強みがあります。
統計分析
データマイニングにおける統計分析とは統計学や確率論を活用した分析手法です。多くの場合で事前に仮説をたてる必要があり、また、検証したい課題や事象に合わせたデータ収集の方法を選定する作業も発生します。そのため、できれば統計分野の専門家が担当することが望ましいです。が、巷にはデータマイニングツールも存在します。臨機応変に活用するといいでしょう。
データマイニングの活用事例
データマイニングは意外に思えるほどあらゆる場面、しかも身近なところで使われています。いいかえるならば、それだけニーズが高いわけです。以下、主な活用事例を取り上げます。
小売業
小売業の場合、商品の売上や顧客の行動データが多く蓄積されています。それらのデータを分析することで、季節や天候との因果や傾向、顧客の好みといった情報が解像度高く次々と浮かび上がってくるケースも少なくありません。結果、マーケティングにも生かせます。典型的なデータマイニングの活用事例です。
製造業
製造業においては、新たな製品開発や作業効率改善のためにデータマイニングが頻繁に活用されます。品質管理から機器のメンテナンス、事故防止まであらゆる観点で効果的です。
医療
プロの医師の判断だけでなく、AIによる精度の高い“知識”も現場では少なからず有効です。たとえば、画像診断やカルテ情報をもとに患者ごとの病気の診断や治療の判断の補助としてデータマイニングが活用されています。
金融業
金融業では顧客情報や取引履歴といったデータが数多く収集・蓄積されています。それらを起点にデータマイニングを活用し、融資の審査や金融商品の提案へとつなげていくケースもよくある例です。
教育
学校という職場では、それぞれの生徒で得意分野や苦手なことが異なるため、最適化されたクリティカルな指導法を生み出すことに苦戦される教員が実に多くいらっしゃいます。そこで役に立つのがデータマイニングです。生徒一人ひとりに関するデータを分析し、傾向をつかみ、知識を抽出することで、効率よく教育が行えます。教員の過重労働が大きく問題視される現代。データマイニングのニーズが高まっているのも容易にうなずけます。
主なデータマイニングツール
データマイニングは、Excelなどの表計算ソフトを使い自力で行えるものです。しかし、現実的にはデータが膨大であればあるほど、運用や分析に多大な労力がかかってしまいます。そこでおすすめしたいのが、データマイニングツールです。
以下、主な3つのツールを紹介します。
Visual Mining Studio
「Visual Mining Studio」は、株式会社NTTデータ数理システムが提供する、製造・医療・教育・金融などのあらゆる分野で利用可能なデータマイニングツールです。統計分析に関する手法が高精度分類分析や自己組織化マップ(SOM)といった最新のものまで数多く用意されています。また、画面設計のビジュアルも明確で、かつドラッグ&ドロップで直感的に操作できる点は、とりわけ初心者にとって大きなメリットです。
Social Insight
「Social Insight」は、株式会社ユーザーローカルが提供する、TwitterやFacebookなどソーシャルメディアの分析から運用支援まで行ってくれるデータマイニングツールです。
SNSアカウントや投稿・口コミをもとに抽出、昇華される情報、知識は効率的な運用をもサポートしてくれます。
すでに多くの企業が導入しているとはいえ、ソーシャルメディアのビジネス利用が現在進行形で活発化していく流れを鑑みると、今後もニーズは増え続けるでしょう。
SOFIT Super REALISM
「SOFIT Super REALISM」は、日本ソフト開発株式会社が提供する、データマイニングに必要なデータ整備を高速化できるツールです。操作性が高い点も好評を博しています。おそらくExcelの基本スキルがあれば、2時間程度の講習を受けるだけで簡単に使えるはずです。
一般的にビッグデータを取り扱う場合だと、データマイニングの6〜8割を「データ準備」の作業に費やすことになります。コスト削減に役立つことからも、おすすめできるツールです。
ビジネスの現場にデータマイニングを取り入れよう!
日に日に情報が増大し氾濫する昨今、地に転がり宙に浮いたデータであっても活用次第でビジネスの成果につなげることは可能です。データマイニングはまさしく、その役割を担います。
今後に向けて技術面のさらなる向上を踏まえれば、データマイニングを取り入れることは理知的な判断といえます。加えて市場では専門ツールが続々と登場するなど、実行する土壌が以前より明らかに整ってきている状況です。
したがって、必要な視座・視点を手に入れるためにも、データマイニングはビジネスにもはや不可欠といってもいいかもしれません。導入する機会があれば、あらためて拙稿を参考にしていただけますと幸いです。
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