ディープリンクとは?仕組みやAndroid・iOSでの作り方を徹底解説!
LINEのクーポンと押すとアプリが開く、X(旧Twitter)のソシャゲ投稿のリンクを踏むとゲームが起動するなど、Webページからアプリに飛ぶリンクのことを「ディープリンク」といいます。
これは、アプリケーションを活用する技術の一つで、近年では大手プラットフォームが開発に力を入れていて見逃せないものとなっています。
本記事では、ディープリンクの仕組みやAndroid・iOSでの作り方、導入するメリットを解説しています。大手プラットフォームの取り組み事例もあるので、ぜひ参考にしてください。
目次
ディープリンクとは?
ディープリンク(deep link)とは、Webサイトやストアページではなくインストール済のアプリへ誘導するリンクのことです。これは、スマートフォンの普及が進んだための仕様です。以前では、App StoreやGoogle Playのダウンロードページに誘導する仕様でした。
いちいちホーム画面に戻ってアプリを起動させる手間がないので、ユーザーアビリティの向上につながっています。
ディープリンクの重要性
近年では、モバイルアプリの単機能化が進んでいます。複数の機能をあえて持たせず、シンプルに作りあげているものがほとんどです。ユーザーは、目的に応じて複数のアプリを切り替えて利用しています。俗にいう“アンバンドリング”化が進んだアプリをスムーズに使いこなすには、ディープリンクはやはり必要不可欠なのです。
また、1機能1アプリが主流になるなか、所有するアプリの数も増える傾向にあります。ディープリンクがあれば、検索結果からダイレクトで飛べることやアプリ間での遷移が可能なため、管理も流動的に行えます。これらの理由から、近年ではディープリンクが重要と言われています。
ディープリンクは3種類に分けられる
ディープリンクは、デフォルトのものを含めて主に3種類に分けられます。
- ディープリンク(デフォルトタイプ)
- ディファードディープリンク
- コンテクスチュアルディープリンク
デフォルトのものは、先に解説したように「インストール済のアプリページに誘導するリンク」のことです。それ以外の2種類について簡単に解説していきます。
ディファードディープリンク
ディファードディープリンクは、デフォルトとは違い、アプリをインストールしていないユーザーに対して、アプリストアのダウンロードページを経由し、アプリ内のコンテンツを表示させるリンクです。
コンテクスチュアルディープリンク
コンテクスチュアルディープリンクは、デフォルトのリンク機能にプラスして、パラメーターを追加することでユーザーごとにウェルカムメッセージやおすすめコンテンツをアプリ内に表示するリンクです。
ユーザーが「どのページ、どのチャネルでそのリンクをクリックしたか」までチェックが可能です。
ディープリンクとハイパーリンクの違い
ディープリンクとハイパーリンクの違いは、リンク先のページが「アプリ」か「Webページ」かです。一般的に略して「リンク」と呼ぶものは、ハイパーリンクを指すケースが多いです。
ディープリンクの仕組み
本来のアプリは独立したプログラムです。Webページからアプリに移動するような機能はありませんでした。ですが、URLを構築する「スキーム」「ホスト」「パス」を、それぞれアプリ内で動作するよう指定するように組み込んだ結果、ディープリンクが実現できるようになりました。
ディープリンクの技術において代表格に挙げられる「Custom URL Scheme」と「Universal Links」の仕組みや動作についても簡単に説明します。
Custom URL Schemeの仕組み
Custom URL Schemeは、アプリ内の特定のコンテンツにリンクを提供することで、URLから該当するアプリを呼び出す仕組みです。
アプリに紐づけられたリンクをクリックすることで、起動の許可を確認するダイアログが現れます。
ただし、特定のコンテンツを呼び出すには、該当するアプリのインストールが必要です。インストールされていない場合は、ダウンロードページに移動するか、何も反応が起きないので注意しましょう。
Universal Linksの仕組み
Universal Linksはすでに存在するURLとアプリを結びつける仕組みです。カスタムスキームURLを指定することで、特定のWebページとアプリ内の場所を一致させます。
たとえば、“https://xxx.universal.links/example”というURLが設定されているなら、このリンクを踏んだ際、アプリ内の特定コンテンツが開きます。ダイアログが出てくることはなく、そのまま起動される仕組みです。
アプリをインストールしていない場合は、URLによって指定されているページやコンテンツに飛びます。
ディープリンクのメリット
ディープリンクは、ユーザーのアクションを減らしてサイト・アプリに滞在させやすいんです。導入するとユーザビリティの改善ができ、コンバージョン率の向上が期待できます。
- ユーザーアビリティが向上
- CVRが上がりやすい
ユーザーアビリティが向上
少し前までは、Webサイトからアプリに飛ぶためには、スマホのホーム画面に戻って起動させなくてはいけませんでした。この面倒な手間がなくなるので、ユーザーアビリティの向上につながります。
また、ディープリンクならWebサイトからアプリに直接飛ぶので、スマホのホーム画面に戻ってアプリを開くのが面倒・短時間で気分が変わったなどで離脱する可能性がなくなるメリットもあります。
CVRが上がりやすい
ディープリンクがあれば、クリック一つでアプリが開き注文ページへと誘導できます。手間がない分購入意欲が上がり、CVRが大幅に上がるかもしれません。
結局はユーザビリティの問題といえますが、その延長で、コンバージョンに支障をきたす羽目になるのは容易に想像できます。裏を返せば、そうした機会損失をなるべく減らすのに、ディープリンクはとても役立つと言えます。
Android・iOSでのディープリンクの作り方
実はディープリンクはゼロから作るのは大変です。「Google」「Apple」「X(旧Twitter)」「Facebook」などのプラットフォームに用意されている「ディープリンクサービス」を使ったほうが簡単です。
主な流れは以下です。
ディープリンクのざっくりした作り方
- 作り方1:プラットフォーム各種の広告アカウントにログイン
- 作り方2:iPhone・Androidなどデバイスを指定
- 作り方3:アプリのURL・IDを入力
- 作り方4:生成されたディープリンクを保存
- 作り方5:Webページに生成されたディープリンクを記載
作り方は各種プラットフォームによって違いますが、基本的にノーコードで作成できます。
次にプラットフォームを利用しない場合の作り方を「Android」「iOS」に分けて解説していきます。
Androidでのディープリンクの作り方
Appleが提供するディープリンクの技術「Universal Links」を使えば、Androidでディープリンクの作成が可能となります。そのためには、「App Indexing」の設定をしなければいけません。手順としては以下の3ステップです。
Androidの設定方法
Androidの設定方法
- 作り方1:「App Indexing」のライブラリを追加
- 作り方2:遷移先となるアプリコンテンツのURLを作成
- 作り方3:WebページとアプリをAndroidアプリリンクで結びつける
より細かくお伝えすると以下の流れで実装が可能です。
1.intent-filterを定義する
ディープリンクの仕組みは、URL SchemeによってActivityを起動することだと言えます。
仮にCustom URL Schemeをapp-name://sungrove/1111と指定しActivityを起動したい場合は、アプリ作成用ファイル「AndroidManifest.xml」で該当するActivityに以下のようなintent-filterを定義することになります。
2.Intent起動が必要
加えて、Intent起動が必要です。ディープリンクを張りたいWebページの<head>要素に以下のコードを追記し、アプリ内のActivityと紐付けます。
3.Webサイトのドメインを登録
その後、Google Play Developer Console の 「GOOGLE 検索のインデックスにアプリを登録」 でWebサイトのドメインを登録します。Google Search Consoleと管理アカウントが異なる場合は、確認メールが飛ぶため、そこで許可すればOKです。
結果、Google検索からユーザーがリンクを踏んだときに、特定のアプリコンテンツへと遷移させることができます。
iOSでのディープリンクの作り方
実は2017年にiOS向けApp Indexingの提供が終了しています。2024年4月現在は、Universal Linksで実装されている部分でのみ、App Indexingの利用が可能です。
そのため、iOS環境下でApp Indexingを使う場合には、iOS9以降のUniversal Linksを有効にする必要があります。加えて、アプリケーションにUniversal Linksの処理を追加しなければなりません。アプリとサーバで関連付けを行うためです。
具体的にはドメインごとに 「apple-app-site-association」ファイルを用意します。この時のファイルはjsonですが拡張子をつけず、このままのファイル名にしてください。次にアプリケーションのサポート内容を記録します。ファイルは、Web上のルートディレクトリに保管すれば完了です。
ディープリンクの取り組み事例
インターネットにおけるプラットフォーム各社は、ディープリンク機能を利用して、さまざまな取り組みを行っています。以下、有名企業を中心にピックアップしました。それぞれ一つのロールモデルになり得る事例ばかりです。ビジネスで活用する際、ぜひ参考にしてみてください。
Googleは、App Indexingがインストールされている場合、モバイル機器での検索結果に対して、アプリが表示されます。たとえば、最寄りのコンビニエンスストアを検索したときにこのツールが入っていれば、地図アプリが起動して、検索画面からコンビニエンスストアまでの道順を示せます。
また、このツールは、リスティング広告からアプリを開けます。したがって、広告からのCVRのアップが期待できます。
参照:Google 検索での App Indexing – Play Console ヘルプ
Apple
先述したUniversal Linksは、Appleが提供するディープリンクの技術です。これを実装することで、Webサイト内の検索結果からアプリケーションへと簡単に移動できます。なお、Universal LinksはiOS環境でのディープリストの現行基準です。
参照:Universal Links – Apple Developer
X(旧Twitter)
Twitterでは、投稿にリンクを含めた場合にアイキャッチ画像が表示される“Twitter Cards”と呼ばれるサービスが提供されています。
Twitter Cardsは何種類かあり、そのうち「App Card」がディープリンク機能を持っています。FacebookのApp Linksと同じく、口コミからダイレクトにアプリへ移動することを可能にし、遷移率も高い傾向にあるようです。よくあるのは、ソーシャルゲームの投稿です。リンクを押すと、ゲームアプリが起動する仕組みです。
参照:App Card | Docs | Twitter Developer Platform
Facebook(Meta)
FacebookではオープンソースのApp Linksを提供しています。このサービスを使えば、ディープリンク機能によってFacebookの投稿からアプリへ直行することが可能です。リンク元が、口コミ情報(投稿)だからなのか、遷移率は高い傾向にあるようです。
参照:Facebook App Links | Facebook for Developers
Amazon
Amazonが提供する「Fire TV OS」では、ディープリンクによって注目コンテンツのコンテキストや広告上のリンクから、Fire TV上のアプリに含まれる特定のコンテンツへとユーザーを遷移します。キャンペーンで表示されるコンテンツから、Fire TV上の注目コンテンツへの移動も可能です。
シームレスな遷移を容易く実現させることで、活発なユーザーアクションとその先のコンバージョンにつなげています。
参照:Fire TVのUIから注目コンテンツへのディープリンク | Amazon Fire TV
ディープリンクを活用してユーザーの遷移を増やそう!
何度も繰り返しているように、ディープリンクはWebサイトからアプリのページに直接飛ぶ仕様なので、ユーザーにとってはストレスがありません。興味を惹かれれば、すぐに購入ページやアプリコンテンツに飛べるので、CVRの向上にもつながります。まさに、企業とユーザーともにメリットがある技術なんです。
ビジネスにディープリンクを活用できれば、遷移数・CVRともに飛躍的な上昇が見込めそうです。だからこそ、基礎知識をしっかり把握しておき、適切な導入をしましょう。本記事が、その一助になれば幸いです。
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