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Dispo(ディスポ)とは?「インスタの再発明」招待制SNSアプリ

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Clubhouse(クラブハウス)の話題が加速していた2021年2月前半から、別のSNSも注目を集め始めました。「Instagramの再発明」との呼び声も高い、次世代招待制写真アプリ「Dispo(ディスポ)」です。

Z世代を中心に人気に火がつき、まだβ版しか発表されていなかったというのに2月14日には日本のユーザーが一気に増加したことで利用可能上限数である1万人を超え、招待を受けても利用できないという事態にまで発展しました。(2月24日に正式ローンチされたため、現在は上限なく、招待さえ受ければだれでも自由に利用可能です)

Dispoの最大の特徴は、撮影した写真を翌朝9時まで確認することができないということ。(AM9時~翌AM8:59までに撮影された分がAM9時に現像されます)

数年前に日本でもミレニアル世代~Z世代の間で写ルンですが爆発的なリバイバルブームを巻き起こしましたが、このアプリもやはり使い捨てカメラのような粗い画質と使い勝手、そして一発入魂ともいうべき撮り直しのきかない仕様が人気の秘訣といえます。

Dispoとは

Dispo

Dispoとは「使い捨て」を意味する“Disposable”の略で、つまりは“Disposable Camera(使い捨てカメラ)”を指しています。

もともとは、メインチャンネルだけでも1,880万人もの登録者数を誇る人気YouTuber、David Dobrik(デイヴィッド・ドブリック)が、使い捨てカメラで撮影した写真のみを投稿するInstagramアカウントを開設したことに始まり、その撮影方法などをさまざまなセレブが真似し始めたことから、Dispoの前身となるアプリ“David’s Disposable”が2019年1月に生まれました。

現在(2021年3月時点)はコロナ感染拡大の影響を理由にYouTubeの更新を停止しているDavidですが、以前はVlog撮影のために頻繁にパーティーに参加しており、そこでInstagramをよく利用しているユーザーたちが大量の使い捨てカメラを参加者たちに配り、自由に撮影してもらったのを翌日に回収して写真を全員に送るという行為を行っているのを見て着想を得たそう。

David’s Disposableは2020年9月には現在のDispoに改名されましたが、Davidは並行して純粋なカメラアプリだったそれにソーシャルアプリとしての機能を付随させるため、資金調達も兼ねて会社を設立。2020年10月には4億円以上にも上る資本を得ることに成功し、今後も積極的にアップデートを重ねていくことを発表しています。

Dispoはそのアプリの性質だけでなく、いちYouTuberが起業とプロダクト開発をやってのけるという、新時代の幕開けともいうべきスタートアップスタイルも含めて支持されているのです。

Dispoの特徴と魅力

Dispo撮影写真
(Dispoを使った撮影例※筆者撮影)

Dispoの最大の特徴は、「翌朝9時まで撮影した写真の確認ができないこと」だとお伝えしましたが、それはカメラアプリという面における特徴です。ソーシャルアプリにおける面では「友だちと共通のRoll(ロール)を作ることができる」ことが最大の特徴であり、魅力ではないでしょうか。

ロールとは、撮影した写真を仕分けるフォルダのようなもの。「朝日」や「好きな花」といったロールを作って、それらに該当する写真を撮るたびに格納することもできれば、「12/24」や「1/1」、または誕生日や記念日などのロールを事前に作っておいて、その日に撮影した写真がすべて入るようにするのもよいでしょう。

作成したロールを世界中の友だちと共有すれば、さまざまなシーンで撮られた「朝日」や日本では見かけない「好きな花」を見ることもでき、恋人とプライベートロール(任意のメンバーしか見ることができないロール)を作って互いに撮り合えば、翌朝9時に相手がどんな風に同じ時を過ごしていたかを分かち合うことができ、デートの余韻を楽しむこともできます。

先述のとおり、日本では2021年2月14日に爆発的に広まり、一夜にしてTestFlightによるβ版の上限人数1万人を超えてしまったことで、新たに招待されても利用できないという事態に至りましたが、日本でこんなにも早くに浸透していったのは理由があるかもしれません。

というのも、Dispoのアプリデザインは日本の使い捨てカメラを参考にしているとDavid自身が明かしているのは有名な話。彼はもともと富士フイルムのカメラを愛用しているというのもあって親日家であり、そのため、すべて英表記のみである(2021年3月時点)のにも関わらず、日本人にも使いやすく、なじみやすいと考えられます。

ちなみにDispoの運営担当者にも日本のユーザーが一気に増えたことは認識されており、公式Twitterアカウントにてその感謝のツイートもされています。

https://twitter.com/DispoHQ/status/1361004802403041280

今後日本での採用活動を行っていくことも発表されているので、ますます日本ユーザーの生活に寄り添ったSNSに進化していくかもしれません。

Dispoの使い方

Dispo撮影写真2
(Dispoを使った撮影例2※筆者撮影)

Dispoは使い捨てカメラをモデルにしているため、機能性について比較すると、Instagramやほかの写真SNSアプリの方が有能だといえます。あくまでも、撮影して翌朝の「現像」を待つ、そして親しい友人たちとロールを共有するだけ。

特に初日はBIOの設定、撮影、もしくは友人を招待すること(招待枠は20人)しかできません。積極的に使いたい人は、招待してくれた人を経由して、さまざまなロールやユーザーを閲覧したり、フォローしたりすることはできますが、保存している写真をDispoに取り込むことができないため(プロフィールアイコンにはDispo撮影写真以外も設定できます)、自分からなにかしら発信することはできないのです。そのため、まずはいろいろ撮りだめておくことをおすすめします。

BIO

BIO


こちらはBIO画面。アイコンとプロフィール、参加しているロール(プライベートロールは除く)が更新順に一覧表示されます。ロールの横から、そのロールに参加している一部のユーザーのアイコンと人数を確認可能です。プロフィール横の🔥(炎)、💥(衝撃波)、👥(人)のマークはそれぞれ、アクティブ度合いを示したものだといわれていますが、実際のところはまだ明言されていません。

おそらく🔥(炎)は特定のユーザーと写真を共有した数、💥(衝撃波)は「いいね」された数、👥(人)はフォロワー数を指すと推測されてはいるものの、明言を避けることで、現代の「SNS疲れ」の原因になりやすい、フォロワー数やいいね数ばかりを気にしすぎてしまうことを避けるという意図が背景にあることが見えてきます。自身がフォローした人数も表示されません。

Baby Animals

Baby Animals


余談ですが、設定画面には“Baby Animals”という項目があり、選択するとこのようなかわいい動物の赤ちゃんたちの写真が表示されます。Dispoにはこういった、開発者のユニークな遊び心が垣間見えるイースター・エッグが満載に仕込まれているのですが、そのすべてはまだ見つけられていないそうです。

Camera

撮影中


撮影の際は、画面下部からロールを選択しましょう。“No rolls selected”と書かれた部分をタップするとロール選択画面に遷移します。以前作成したロールから選ぶことも、参加している共有のロールから選ぶことも、もちろん新規作成することもできます。なにも選択しないと“My Library”に自動的に格納されるので、そこから好きなロールに振り分けてもよいです。

Library

Library
写真選択画面
create
create2


撮影する際にロールを指定しても、しなくても、自身が撮った写真はすべてLibraryで見られ、現像を待っている枚数も表示されます。もちろんそのほかのカメラアプリのように、スマホに保存することもできますが、せっかくなのでロールに追加してみましょう。

写真を選択し、下部に表示される“add to”を選んでください。なお、“share”を選ぶと、LINEやAirDropなどを使ってだれかに送ったり、スマホ本体に保存したりすることができます。

任意の写真を選んで“create”をタップすると、ショートムービーを作ることもできます。

すべて縦画面で集約されてしまうということもあり、正直、特に用途が見当たらない機能ですが、Instagramのストーリーズに活用するくらいはできるかもしれません。これもひとつのイースター・エッグ的要素でしょう。

Rolls

Roll
Scoreboard


参加しているロールを見たいときは最左のフィルムアイコンを押すとプライベートロールも含めて一覧表示され、その内のどれかを選択すると、ロールに格納されたすべての写真を閲覧することができます。ロール内にもプロフィール画面同様に🔥(炎)、💥(衝撃波)、👥(人)のアイコンが表示されます(上の画像はプライベートロールのため参加人数がわからない仕様になっています)が、その意味は上記同様です。

“Scoreboard”では、参加しているユーザーのだれがどのくらいそのロールに参加しているのかを見ることができます。“leaderboard”の📸(カメラアイコン)は、格納した写真が多いユーザー(3名まで)とその枚数、“superlatives”の❤(ハート)は最も「いいね」をしたユーザーとその数、🥰(ハートのついた顔)は最も「いいね」をされたユーザーとその数、👄(口)は最もコメントをしたユーザーとその数、😎(サングラスをかけた顔)は最もコメントされたユーザーとその数です。

刹那的だからエモい

インスタントカメラ

Dispoが「Instagramの再発明」と呼ばれていることは前述のとおりですが、Instagramといえば、「インスタ映え」ひいてはそれを揶揄する「インスタ蝿」なんていう言葉も生まれるほど、フォトジェニックな写真撮影や加工が過熱していき、その渦中にいることに疲弊するユーザーが続出し始めたこと、そしてそれを問題視し、いいねの数を見られないようにするなど仕様変更に乗り出していることもよく知られているところです。

その点、Dispoは「いいね」をつけたりコメントを送ったり、ロールを共有したり、といったソーシャルアプリとしては最低限の機能が搭載されているだけで、手持ちの写真を取り込めないことや撮った写真の加工もできないことから、ユーザー間には優位性が存在せず、ほぼ同じ条件下で利用できるといっても過言ではありません。フォロワー数やいいね数などが目立たないUIも特徴的でしょう。

日付順に並ぶその写真たちは、同じ日、同じ時間に、離れた場所で、あるいは同じ場所で、私たちがなにを見て、なにに感動し、なにに笑ったのか、違う視点と思い出を共有するためだけに撮影されました。

過去の記事で、Clubhouseの流行の理由としても「低機能でシンプルであること」を挙げましたが、その上で、Clubhouseが「雑談をする」ことを最大の目的とするならば、Dispoは「今を体験する」ことを目的としているといってもいいかもしれません。

両アプリはまだ黎明期の段階にあると考えられ、今後集客やマネタイズのためにさまざまな機能を追加していく可能性もあります。ですが、「映えさせなくてはいけない」「おしゃれでなくてはいけない」という、従来のSNS的概念から解放された、ゆるいムードこそが今の時代にはまったのだと考えられるべきでしょう。

そもそも招待されなくては利用できないアプリ=始めるまでのハードルが高いというのに、撮影した写真をすぐに見ることができないなんて、コンビニエントな世界を求めるのであれば、完全に逆行しているといえるはずです。

日曜日、Siriに起こされて、Clubhouseを流しながら天気予報アプリをチェックして支度をし、モバイルSuicaで待ち合わせ場所に向かい、PayPayでコーヒーを買って好きなプレイリストを聴き、電子書籍を読みながら恋人を待つような、スマホ1台ですべてが完結してしまえる生活の中で、写真だけが翌朝まで持ち越されるなんて、「エモい」以外に適切な言葉は浮かびません。

2人の思い出はその日だけではなく、翌朝の現像をもって、共体験としてさらに強く感じられるようになるわけです。もちろん恋人に限らず、友だちや家族でも同様にいえます。便利なものにあふれた時代ですが、だからこそあえての「不便益」を選ぶというのが、なんとも粋ではありませんか。

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この記事を書いた人

浦田みなみ
元某ライフスタイルメディア編集長。2011年小説『空のつくりかた』刊行。モットーは「人に甘く、自分にも甘く」。自分を甘やかし続けた結果、コンプレックスだった声を克服し、調子に乗ってPodcastを始めました。BIG LOVE……

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