休眠顧客を掘り起こしたい!復活させる方法と休眠化を防ぐポイント
多くの企業が抱えている「休眠顧客」。新規顧客の獲得や既存顧客の維持・育成に追われ、彼らのフォローにまで手が回っていないという企業も少なくないと思いますが、休眠顧客の掘り起こしは企業にとって多くのメリットがあります。
本格的に取り組むことでどのような成果が見込めるのか、本記事では休眠顧客の掘り起こしにより得られるメリットや休眠状態の顧客を復活させる方法、休眠化を防ぐポイントなどについて解説していきます。
目次
休眠顧客とは
休眠顧客とは、過去に接点があるものの、何らかの理由により、現在は疎遠になっている顧客のことを指します。たとえば、商談で失注して以降しばらく連絡を取っていない顧客や初回購入以降リピート購入せずにいる顧客など。特に、1回あたりの取引金額が高く、検討期間が長期化しやすいBtoBビジネスで発生しやすい傾向にあります。
休眠顧客が生まれる主な原因
それでは、なぜ休眠顧客が生まれてしまうのでしょうか。
人によってさまざまな原因が考えられますが、主な理由としては次の3つが挙げられます。
・商品・サービスもしくは企業に対して何かしらの不満を抱いている ・商品・サービスの必要性を感じなくなった ・商品・サービスの存在を忘れてしまった |
それぞれ見ていきましょう。
商品・サービスもしくは企業に対して何かしらの不満を抱いている
まず1つ目の原因として、顧客が自社の商品・サービスに対して何かしらの不満を抱いていることが考えられます。たとえば、「1度使ってみたけれどあまり使い勝手が良くなかった」「価格改定後の料金に納得できない」「接客時の対応がいまいち……」など。その理由は多岐にわたりますが、顧客が商品・サービスの購入・利用前に抱いていた理想と現実とのギャップが大きかったり、価格やスタッフの対応に満足できなかったりした場合は、リピート購入や成約につながらず、休眠状態に入ってしまう可能性が高いです。
商品・サービスの必要性を感じなくなった
企業側に原因があるのではなく、顧客側の状況変化により、休眠化してしまうケースも少なくありません。たとえば、加齢によって企業の想定しているターゲットから外れたり、ビジネススタイルやライフステージの変化によって顧客側のニーズが変化したり。企業に対して不満はなくとも、何らかの変化によって商品・サービスが不要になれば、いったんそこで取引が終了してしまうでしょう。
商品・サービスの存在を忘れてしまった
ただ単純に、顧客が自社の商品・サービスの存在を忘れてしまった可能性もあります。たとえば、初回購入時には好印象を抱いていたものの、他社の商品と比較する過程でその存在を忘れてしまったり、検討期間が長期化して、そのまま放置されてしまったり。このように、顧客本人も無意識のうちに休眠顧客化してしまうケースも考えられます。
休眠顧客の掘り起こしにより得られる2つのメリット
こうして休眠状態に入ってしまった顧客を掘り起こすことにより、企業側はどのようなメリットを得られるのでしょうか。
主なメリットを2つ紹介します。
①効率的に利益を創出できる ②企業の改善ポイントを見つけられる |
1つずつ見ていきましょう。
①効率的に利益を創出できる
今は疎遠な状態にあるとはいえ、休眠顧客はかつて自社商材に興味を持っていた、もしくは自社商材に魅力を感じて購入・利用してくれていた人たちです。もちろん、すべての休眠顧客を引き戻せるわけではありませんが、彼らが離反した原因を探り、それを解決できれば、商談や取引を再開させられるかもしれません。
また、新規開拓のように、新たに連絡先を入手したり、1から自社商材の魅力をアピールしたりする必要もなく、過去に入手した顧客データをもとに、効果的なアプローチを仕掛けられるため、新規で顧客を獲得するよりも低コストかつ少ない労力で利益を生み出せる可能性が高いです。
②企業の改善ポイントを見つけられる
休眠状態に入っている顧客が自社から離れてしまった原因を特定することで、企業目線では知り得なかった自社もしくは自社商材の弱点や改善点が明確になります。それらを今後の企業活動や商品・サービスの改善に活かすことで、新たな休眠顧客の発生も防ぎやすくなるでしょう。
休眠顧客を復活させるための5つのステップ
以上を踏まえたうえで、ここからは休眠顧客を復活させるための基本的な手順を紹介していきます。
Step1.休眠顧客の定義を明確にする Step2.休眠に至った原因を推測する Step3.訴求ポイントを絞り込む Step4.アプローチ方法を検討する Step5.施策を実行する |
上から順に詳しく見ていきましょう。
Step1.休眠顧客の定義を明確にする
まずは、休眠顧客の定義を明確にしましょう。たとえば、「最終商談日から1年以上経過した顧客」「最終購入日から半年以上経過した顧客」など。休眠顧客に決まった定義は存在しないため、自社商材の特性などを踏まえたうえで、どのような状態の顧客を休眠顧客として扱うのかを明確に定めておきましょう。
Step2.休眠に至った原因を推測する
休眠顧客の定義が決まったら、彼らが休眠に至った原因を探っていきます。
その際にチェックしておきたいポイントは3つ。
・過去の購入(利用)履歴 ・休眠期間 ・休眠に至ったきっかけ |
それぞれ簡単に解説していきます。
購入(利用)履歴
まず確認しておきたいのが、休眠状態に入る前の購入(利用)履歴です。成約に至っていない場合は調査できませんが、過去に利用履歴がある場合は「購入(利用)頻度」「購入(利用)回数」「1回あたりの購入(利用)額」などをチェックして、休眠前の顧客の動きを確認してみましょう。
なお、高頻度で何度も自社商材を購入・利用してくれていた顧客は、比較的確度が高く、復活後も大きな利益を生み出してくれる可能性が高いため、優先的にアプローチできるとベストです。逆に、購入・利用頻度が低く購入回数が少ない顧客は、引き戻せる可能性が低いため、アプローチ対象から外したほうがよいかもしれません。
休眠期間
次に確認しておきたいのが、休眠期間の長さです。
商談や取引が途絶えてから、長期にわたってアクションがない場合は、すでに自社に対する関心をなくしている可能性が高いため、再度アプローチしても引き戻せないかもしれません。休眠期間が長期化するほど、復活の見込みも低くなる傾向にあるため、自社で設定した休眠顧客の定義よりも大幅に期間を過ぎている場合は、アプローチの対象外としたほうがよいでしょう。
休眠に至ったきっかけ
最後に必ず確認しておきたいのが、休眠に至ったきっかけです。休眠前の顧客の動きや自社商材の打ち出し方などを調査することで、離反理由をある程度推測できるため、過去の購入(利用)履歴や商談・取引が止まったタイミング、その当時の自社の状況などを詳しく確認してみてください。
たとえば、値上げした時期以降に購入した形跡がない場合は、価格改定後の料金設定に不満を抱いている可能性が高いです。また、1度購入したものの、その後のリピート購入がない場合は、その商品・サービスが合わなかったか、もしくは顧客が抱いていた理想と現実に大きなギャップがあったのかもしれません。
前述のとおり、顧客都合で休眠状態に入るケースもあるため、すべての案件が企業側の原因で休眠化しているとは限りませんが、企業側に何らかの原因がある場合は、離反前の顧客および自社の動きを調べることで、休眠顧客を復活させるための糸口が見つかる可能性があるため、慎重に分析してみてください。
Step3.訴求ポイントを絞り込む
休眠に至った原因が判明したら、訴求ポイントを考えていきましょう。たとえば、先ほど挙げた例のように価格改定が原因だと推測される場合は、お得な料金プランを提示したり、割引キャンペーンの告知をしたり、コストパフォーマンスの高さをアピールしたり。顧客の心に刺さるようなメッセージでなければ、休眠顧客の復活は見込めないため、離反の原因を常に意識しながら訴求ポイントを絞り込んでいきましょう。
Step4.アプローチ方法を検討する
訴求ポイントとともに考えておかなければならないのが、アプローチ方法です。主な手段としては次の3つが挙げられますが、それぞれメリット・デメリットが異なるため、休眠顧客の特性に合わせて使い分けてみてください。
・電話 ・メール ・ダイレクトメール(DM) |
それぞれの特徴を簡単に確認しておきましょう。
電話
電話を利用する最大のメリットは、顧客と直接言葉を交わせる点です。口頭で話すため、自社商材の魅力を的確に伝えられますし、相手の反応を見ながら臨機応変に会話の内容を変えられるため、休眠に至った本当の理由も聞き出しやすくなります。
ただし、電話には、メールやダイレクトメール(DM)よりも担当者にかかる負担が大きいというデメリットもあるため、リソースが限られている会社は要注意。また、何度も連絡してしまうと相手に迷惑だと思われてしまうため、荷電する時間帯や頻度にも配慮する必要があります。
メール
大勢に向けて一斉に配信できるメールは、何よりもその手軽さが魅力です。ただし、その一方で、ほかのビジネスメールに埋もれやすいという注意点もあるため、顧客の目に留まるよう、タイトルや配信時間に工夫する必要があります。具体的なテクニックについては、以下の記事で詳しく紹介しているため、ぜひこちらもご覧ください。
また、メールによるアプローチを行う際は、あらかじめ設計したシナリオに沿って段階的にメールを配信する「ステップメール」を実施するのもおすすめです。既存顧客へのフォローアップや見込み顧客の育成に特化した手法で、定期的に顧客との接点を持てるという特徴があるため、ぜひ検討してみてください。
ダイレクトメール(DM)
ダイレクトメール(DM)も休眠顧客の掘り起こしに有効な手段の1つです。特にポストに直接投函される紙のダイレクトメール(DM)は視認性が高く、顧客の手に取ってもらえる可能性が高いため、高確率で自社の情報を伝えられます。ただ、ダイレクトメール(DM)はコストがかさみやすく、電話と同様に頻度を誤ってしまうと、かえって悪い印象を与えてしまうため、計画的な運用が欠かせません。
Step5.施策を実行する
訴求ポイントおよびアプローチ方法が決まったら、施策を実行に移していきましょう。
また、施策を展開してからは、定期的な見直しも忘れてはいけません。行動を起こしているのに何も変化がない場合は、訴求ポイントを見誤っていたり、アプローチ方法が適切でなかったり……と、何らかの問題が生じている可能性があるため、継続的にPDCAを回しながら、軌道修正してみてください。
顧客の離反を防ぐ!休眠対策として実施すべき3つの取り組み
最後に、顧客の休眠化を防ぐためのポイントを3つ紹介します。
①カスタマーサポートを改善する ②定期的に顧客との接点を持つ ③顧客データの管理を徹底する |
詳しく見ていきましょう。
①カスタマーサポートを改善する
顧客の声を拾い上げるためにカスタマーサポートを用意している企業も多いと思いますが、ここでの対応が不十分だったり、不適切だったりすると、彼らの疑問や不満を解消できず、そのまま離反につながってしまう恐れがあります。
対応によっては、顧客の不満をかえって増長させてしまう可能性もあるため、人員を増やしたり、マニュアルを見直したり、チャットボットを導入したりして、休眠化の原因となる疑問や不満を即座に解消できるよう、カスタマーサポートの改善・強化に努めていきましょう。
また、カスタマーサポート業務を効率化するために、顧客自身で課題解決できるような場(FAQやコミュニティサイトなど)を設け、問い合わせそのものの減少を狙うのも1つの手です。
②定期的に顧客との接点を持つ
インターネットが普及し、世の中に情報があふれる今、定期的に顧客と接触する機会を設けないと、すぐに自社の存在を忘れられてしまいます。どんなに魅力的な商品・サービスを提供していたとしても、その存在を忘れられてしまっては次につながらないため、企業側から積極的に顧客と接点を作り、自社の存在を忘れられないよう努めていきましょう。
ただし、過度なコミュニケーションはNGです。あまりにもしつこいと嫌悪感を抱かれてしまう恐れがあるため、顧客にとってもメリットのある情報を適度に発信していくようにしましょう。
③顧客データの管理を徹底する
顧客1人ひとりに対して最適なアプローチを仕掛けるためには、顧客データの適切な管理が欠かせません。入力ミスなどにより重複や欠損などの不備が多発している状態では、せっかく蓄積したデータを十分に活用できないだけではなく、場合によっては深刻な顧客トラブルに発展してしまう恐れもあるため、定期的にデータクレンジングなどを実施して、常に高品質な状態を維持できるようにしましょう。
事業を成長させるためには休眠顧客の掘り起こしが不可欠
休眠顧客の掘り起こしは、利益を拡大するうえで欠かせない重要な取り組みの1つです。今は商談や取引が途絶えているとはいえ、過去に1度は自社に対して興味を抱いてくれているため、適切なアプローチを仕掛けることで、再度顧客へと引き戻せるかもしれません。
前述のとおり、1から関係性を構築しなければならない新規顧客の開拓よりも効率よく成果につなげられる可能性が高いため、現時点で休眠顧客の存在に気づいているのであれば、ぜひ彼らの掘り起こしに挑戦してみてはいかがでしょうか。
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