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Drupalとは?メリット・デメリットやWordPressとの違いを解説

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日本の行政機関であるデジタル庁のホームページに「Drupal」が使用されていると一時期話題になったのは知っていますでしょうか。このDrupalは、セキュリティ性が高い、多言語対応、拡張モジュールが豊富でカスタマイズ性が高いことから、世界中で利用されているCMSです。

ですが、初心者でも扱えるCMSとして有名なWordPressより、導入・開発難易度が高く、利用するには躊躇してしまうことも。

本記事では、そんなDrupalについてをわかりやすく解説しています。導入するメリット・デメリット、導入手順はもちろん、DrupalとWordPressの違いについても紹介しています。どんなCMSなのかの理解を深めるために参考にしてください。

DrupalとはどんなCMS?

Drupalとはのイメージ画像

Drupal(ドルーパル/ドゥルーパル)とは、PHPというプログラミング言語で作られた、Webサイトを構築するためのCMSです。セキュリティ性が高いことから、世界中のグローバル企業や政府機関、教育機関などのホームページで採用されています。

Drupalは大きく分けて「コアモジュール」と「拡張モジュール」の2つで構成されています。コアモジュールは最初から搭載されているもので、CMSとしての基本機能であるブログ、RSSフィードなどのWebサイト機能だけでなく、多言語機能、ワークフロー機能といったものが備わっています。コアモジュールだけでも、ホームページを開設することが可能です。

拡張モジュールは必要な機能を後から追加したい場合に使用します。Drupalコミュニティが作成した4万点以上の機能を必要に応じてインストール可能で、カスタマイズ性が高いのが魅力です。WordPressでいう、プラグインのようなものとなります。

デジタル庁が採用したことで知名度アップ

2023年11月に正式リニューアルされた、デジタル庁のホームページがDrupalを使用しているということで日本で有名になったCMSと記憶している人もいるのではないでしょうか。当時は、日本での知名度が低かったこともあり、本当に大丈夫なのかという声もネット上であふれていました。

ですが、実はNASAや国連などのセキュリティが重視される公的機関で採用されているほど、強固なセキュリティを持つCMSなのです。デジタル庁が先駆けて導入する理由に納得がいくことでしょう。

Drupalの導入に向いているサイト

Drupalは、コーポレートサイトや採用サイトだけではなく、会員制のサイトやECサイト、ポータルサイトの構築にも向いています。セキュリティが強固なうえ、大量なコンテンツがあってもページ表示速度が速いためです。

また、投稿・コメント・いいねなどの機能も利用できるので、新しいSNSを開発することもできるでしょう。用途にこだわらず、どんなWebサイトであっても作れることがDrupalの強みとも言えます。

Drupalの利用料金は無料

Drupalは、ソースコードが公開されているオープンソース型のCMSのため、基本的に利用料金は無料です。

ですが、拡張モジュールの中には有料なものがあるうえ、サーバーやドメインなどの費用も必要となります。Drupalでホームページを制作すれば低コストというわけではないことは念頭に置いておいた方が良いでしょう。

Drupalの特徴やメリット

Drupalの特徴やメリットのイメージ画像

Drupalを導入するメリットや、主な特徴は以下の通りです。

  • 機密性が高いセキュアなCMS
  • モジュールによる拡張が可能
  • 100カ国以上の言語に対応
  • デザイン性が高い
  • SEO対策に有効
  • キャッシュシステム搭載

それぞれのメリットについて簡単に解説していくので、どういうCMSか知りたい人は参考にしてください。

機密性が高いセキュアなCMS

Drupalは、機密情報が多いNASAが使っているほどセキュリティが高いことが1番の特徴です。ソフトウェアのセキュリティを規格化・改善している非営利団体のOWASP基準を満たす設計がされています。

そのうえ、40名ほどで構成された専門のセキュリティチームがサポートしています。特定された脆弱性はすぐにセキュリティパッチを作成する、悪意あるプラグインを徹底排除するなどの動きを取っています。このことから、CMSの中でもトップクラスのセキュリティを保持していると言えるでしょう。

モジュールによる拡張が可能

先述した通り、Drupalには4万点以上の拡張モジュールが存在します。自分が欲しい機能に応じて、自由にカスタマイズできるのが魅力的です。拡張モジュールをダウンロードする際は安全性やアップデートの頻度も確認しておきましょう。古いバージョンの場合は、互換性がなかったり脆弱性が潜んでいるリスクがあります。

なお、Drupalの拡張モジュールをダウンロードしてもコアモジュールは変更されません。そのため、サイトの設定を変更する手間が省け、ミスなどによって基盤が崩れてしまう危険性も低いので安心して使うことができます。

100カ国以上の言語に対応

Drupalは、日本語・英語・中国語だけではなく、世界中の100ヵ国以上の言語に対応しています。多言語サイトの構築も用意となるでしょう。サイト上のあらゆるコンテンツや要素を和訳することもできます。

一般的なCMSの場合は、言語ごとにサイトを構築するか、プラグインなどの追加機能を使う必要があります。ですが、Drupalではその手間は一切不要です。

デザイン性が高い

Drupalは、無料で豊富な種類の中からデザインを選ぶことができる「コントリビュートテーマ」、自らの手で0から作る「カスタムテーマ」のほか、コントリビュートテーマを選んでからオリジナルデザインを作成することも可能です。

テーマを選ぶだけのCMSよりもデザインの自由度が高く、オリジナリティあふれるホームページを実現することができるでしょう。

SEO対策に有効

一般的なSEO対策に必要な機能が搭載されています。「XML Sitemap の自動生成」や「URLの最適化」はもちろん、「SNS投稿用のOGPタグの管理」「Google Analyticsとの連携によるアクセス解析」などの機能があります。

メタデータや内部リンクの管理もしやすく、拡張モジュールでカスタマイズしなくてもSEO対策に有効なホームページを作成できます。

キャッシュシステム搭載

キャッシュとは、一度使用したデータと取り出しやすい形で保存する仕組みのことです。Drupalでは、10種類のキャッシュシステムが標準搭載されています。各種データが最適化された状態でキャッシュされるので、システムを効率的に利用できます。

この結果、大量のコンテンツがあるホームページであっても、ページ読み込み速度の大幅短縮を実現しています。

Drupalのデメリット

Drupalのデメリットのイメージ画像

Drupalの特徴やメリットがわかったところで、把握しておきたいデメリットも紹介します。

  • 導入・開発の難易度が高め
  • プログラミング知識が必要
  • ネット上で情報を集めにくい

それぞれについて見ていきましょう。

導入・開発の難易度が高め

Drupalは、ほかのCMSとは違ってプログラミングやWebの知識が必要です。ホームページ作成中級者~上級者向けのCMSと言えるでしょう。

とくに、初期設定のサーバー構築からデータベースの設定と、拡張モジュールを使用して特定の機能を追加する場合は専門知識が必須となります。社内に専任がいない場合は、Drupalを取り扱う専門業者に導入・開発を依頼したほうが良いかもしれません。

プログラミング知識が必要

先述した通り、Drupalを使ってホームページ作成するならプログラミング知識は必要です。HTML・JavaScript・CSS・PHPは、最低限理解できていたほうが良いです。また、PHPで使えるテンプレートエンジンTwigの知識があると、さらに開発の幅が広がるでしょう。

ネット上で情報を集めにくい

DrupalはオープンソースのCMSですが、まだまだ日本でのシェア率は低めです。そのため、ネット上で日本語の情報を集めにくいことが大きなデメリットとなります。

公式コミュニティは原則英語です。サポートチームに質問をしようと思っても、英語ができないと問合せ自体のハードルが高くなってしまいます。そのため、独学でDrupalに関する勉強がしづらいのが現状です。

Drupalの導入方法

Drupalの導入のイメージ画像

Drupalの導入方法を初心者向けに簡単にまとめました。最初は導入の手間がかかりますが、慣れてしまえばコンテンツ作成やカスタマイズなどの様々な操作を行うことができるでしょう。

  • 手順①:動作環境を確認
  • 手順②:Drupalをダウンロード
  • 手順③:ファイルをサーバーにアップロード
  • 手順④:新規データベースを作成
  • 手順⑤:Drupalのインストール
  • 手順⑥:データベースやサイト設定を行う
  • 手順⑦:インストール完了後にサイト管理設定を行う

それぞれの導入手順について、もう少し解説していきます。かみ砕いて解説しているので、本格導入する場合は「公式ドキュメント 第3章インストールの準備」もあわせて参考にしてください。

手順①:動作環境を確認

Drupalの動作環境のスクリーンショット
参照:Drupalナビ

Drupalを使うためには、サーバー(Webサイトをインターネットで公開するための場所)にいくつかの条件を満たしてもらう必要があります。具体的には、PHPと呼ばれるプログラム言語がサーバーにインストールされていること、そしてMySQLやMariaDBというデータベースシステムが必要です。

多くのレンタルサーバーでは、これらの要件をすでに満たしていることが多いので、特別な設定をしなくてもすぐに使えることがほとんどです。もし自分でサーバーを管理している場合は、これらのソフトウェアがインストールされているか、CPUやメモリなどの容量は大丈夫かなど確認してください。

手順②:Drupalをダウンロード

動作環境の確認が終わったら、実際に導入していきます。「Drupal公式サイト」から、最新バージョンをダウンロードしてください。

最新の安定版「Stable release」を選択し、「Download」ボタンをクリック。ダウンロードされたZIP形式のファイルを解凍して、コンピュータ上にファイルを展開しましょう。

手順③:ファイルをサーバーにアップロード

解凍したDrupalのファイルをWebサーバーにアップロードする必要があります。これを行うためには、FTPクライアントというツールを使うか、サーバーに直接アクセスしてファイルをアップロードしていきましょう。

アップロードする場所は、通常Webサーバーの公開ディレクトリです。ほとんどの場合は「public_html」や「www」というフォルダ内となります。このフォルダにDrupalのすべてのファイルをアップロードしてください。なお、アップロードには時間がかかるケースがありますが、中断しないようにしてください。

手順④:新規データベースを作

次に、Drupalがデータを保存するためのデータベースを作成します。データベースは、WordPressでいうところの「MySQLデータベース」にあたります。

一般的なレンタルサーバーでは、簡単にデータベースを作成できる管理ツール「cPanel」や「Plesk」などが用意されています。この管理ツールにログインし、MySQLデータベースを新規作成します。データベース名、ユーザー名、パスワードを設定したら、その情報を必ずメモしておきましょう。インストール中にこの情報が必要になります。

手順⑤:Drupalのインストール

ここまでの準備が整ったら、ブラウザでDrupalのインストールを開始しましょう。ブラウザのアドレスバーに、サーバーにアップロードした場所のURL(ドメイン)を入力します。

URLを入力するとDrupalのインストール画面が表示されるので、「日本語」を選択して次に進んでください。そのままインストールを進めていくと「データベースの設定」画面にたどり着きます。先ほどメモしたデータベース名、ユーザー名、パスワードを入力して、インストールを進めてください。

手順⑥:データベースやサイト設定を行う

自動インストールが終わった後、次はサイトの設定です。まずは、サイトの名前を決めましょう。これがサイトのタイトルとなり、訪問者が見たときに表示されます。

また、管理者のメールアドレスやパスワードも設定します。このパスワードは管理者専用なので、他人には知られないようにしっかりしたものにしておきましょう。日本で運営する場合は、日本のタイムゾーンに設定しておくと便利です。設定が終わったら、「インストール完了」をクリックしてください。

手順⑦:インストール完了後にサイト管理設定を行う

インストールが完了すると、Drupalの管理画面(ダッシュボード)にアクセスできるようになります。「https://ドメイン名/user/login」でログインし、先ほど設定した管理者パスワードでサインインしてください。

管理画面では、サイトのデザインや機能をカスタマイズするために、テーマやモジュールを追加できます。最初は基本的な設定が済んだ段階なので、ここからさらにサイトを整えていきましょう。コンテンツを追加したり、サイトの外観を変更したり、必要に応じて新しい機能の追加が可能です。

DrupalとWordPressの違い

DrupalとWordPressの違いのイメージ

WordPressは、導入が簡単で初心者にも扱いやすいのが特徴です。プログラミングの知識がなくても、豊富なテーマやプラグインを活用することで、誰でもすぐにサイトを立ち上げられます。そのため、個人ブログや小規模な企業のサイトに広く利用されています。

Drupalはプログラミングの知識が必要ですが、複雑な機能を持つ大規模なサイト作成に向いています。セキュリティが非常に高く、細かい設定ができるため、大企業や政府機関での利用が多いです。

このように同じCMSでも、DrupalとWordPressには圧倒的な違いがあります。そのほかの、シェア率の高さやセキュリティ性、SEO対策のしやすさなどの違いを解説していきます。

シェア率の高さ

CMSの世界シェア率グラフのスクリーンショット
参照:w3techs

WordPressは圧倒的にシェア率が高く、世界中で最も使われているCMSです。初心者向けに使いやすいという理由で、個人サイトから企業サイトまで、さまざまなサイトがWordPressを選択しています。

対してDrupalのシェア率は世界中でNo.6。特に技術者や開発者によって支持されているCMSで、大規模サイトを作る際に用いられるケースが多いです。

カスタマイズの自由度

カスタマイズの自由度はDrupalのほうに軍配が上がります。Drupalでは、コンテンツタイプやタクソノミー(分類)などを詳細に設定できるため、プログラミング言語用いたカスタマイズ性が非常に高いです。

WordPressもテーマとプラグインによるカスタマイズ性は高いですが、Drupal並みの自由度はありません。

SEO対策のしやすさ

コンテンツSEO対策はどちらも似た感じですが、内部SEO対策はDrupalのほうが有効と言えるでしょう。

DrupalはSEOに関するカスタマイズ性が非常に高く、URL構造やメタデータ、内部リンクの管理まで細かく設定できます。特に、大規模なサイトや複雑なコンテンツ構造を持つサイトにおいては、Drupalの方がSEO対策を細かくコントロールしやすい点が大きな魅力です。

WordPressは「Yoast SEO」や「All in One SEO 」といったプラグインを使えば、ページごとのメタ情報やURL設定を自動で最適化できます。

サイトの速度やパフォーマンス

Drupalはページの読み込みが早く、トラフィックの多いサイト向けです。コンテンツの量が多い大規模サイトでも、安定したパフォーマンスを発揮しやすいです。

一方でWordPressは、プラグインやコンテンツの量が多くなるとサイトの表示速度が遅くなることがあります。不要なプラグインを削除する、画像や動画を圧縮するなどで対策しておいた方が良いです。

セキュリティの高さ

Drupalはセキュリティに非常に優れており、特に大規模なサイトや重要な情報を扱う場合に信頼されています。政府機関や大企業がDrupalを選ぶ理由の一つは、セキュリティ性の高さにあります。Drupalは、セキュリティパッチが迅速にリリースされ、開発者がセキュリティ設定を細かく調整できるため、非常に堅牢なシステムを構築することができます。

WordPressもセキュリティ対策を施すことはできますが、プラグインやテーマの脆弱性が問題になることがあり、定期的なアップデートとセキュリティプラグインの導入が必須となります。

まとめ

Drupalを使ってホームページ作成をするイメージ

セキュリティ性が高いCMS「Drupal」について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

プログラミングに関する知識が必要なので初心者向けではありませんが、機密性が高くセキュアなCMS・拡張モジュールによるカスタマイズ性が高い・デザインの自由度が高い・キャッシュ機能が豊富・SEO対策に有効などといったメリットがあります。顧客情報や機密情報を取り扱う大規模サイトだとしても、Drupalであれば安心かつ高パフォーマンスを発揮できるはずです。

日本ではまだまだシェア率が低いですが、世界では6位に食い込むほどメジャーなCMSです。定期的にアップデートも行われているうえ、新たな機能も次々に増えています。将来性があるので、日本企業だとしても先を見据えて導入を検討してみるのも良いでしょう。なお、どのCMSを利用するか迷っているのであれば、以下の記事も参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

小佐
不動産業界メディアの編集長を5年以上務めたのち、現在はWeb系ジャンルで執筆中。別途アウトドア記事の経験もあり。速筆&高品質(自称)をモットーにのらりくらり生きてます。オフは旅行とお酒を楽しみに自堕落生活。

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