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EdTech・ICT教育・eラーニング

EdTech(エドテック)・ICT教育のメリットと導入補助金

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情報技術が急速に発展する現在、「ICT教育」の普及が国家規模の課題とされています。これにともない、近年注目されているのが「EdTech(エドテック)」と呼ばれるビジネス領域です。

教育のデジタル化を強く後押しする政府の動きもあり、EdTechは今後いっそう市場規模を拡大していくと見込まれます。

この記事では、ICT教育の概要をふまえ、EdTechが重要視される背景や、eラーニングなど関連分野との違いも押さえつつ、EdTechの事例や補助金制度について紹介していきます。

ICT教育とは

ICT教育

以前から教育現場では、情報技術がもはや「前提」となった現代社会に適応すべく、情報機器の適切な活用が呼びかけられてきました。2010年頃からは「教育におけるICTの活用」が推進されはじめ、現在では学習用端末やネットワーク環境を全国の教育機関に普及させる動きが本格化しています。

ここでいう「ICT」とは、情報通信技術(Information and Communication Technology)を指しています。情報通信デバイスやソフトウェアなどを教育の現場に取り入れることで、「学習効果の向上」や「校務の効率化」を図るのが「ICT教育」の目的です。

教育現場に導入されるICTツールはさまざまであり、かつては教員が授業に用いるパソコンやプロジェクタなどが「ICT活用」の代表例でした。現在では、ツールの発展と多様化にともない、児童・生徒にタブレットやデジタル教科書を配布するなど、学習を支援するツールが増えています。さらに、成績管理ソフトをはじめ、校務を自動化・効率化するソフトウェアも導入が進んでいます。

このところ「教育現場におけるICT環境の整備」が急務とされているのは、2019年に文部科学省が発表した「GIGAスクール構想」を端緒とする動向です。「GIGA」とは「Global and Innovation Gateway for All」の略であり、「全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉」と訳されます。

GIGAスクール構想の具体的な内実としては、全国の児童・生徒に「1人1台の学習用端末」を用意し、「高速大容量の通信ネットワーク」を整備するための予算計上が挙げられます。これにより、教育機関がICT環境を整備するための導入経費に対して補助金が用意されるなど、官民一体となって教育現場を改革する動きが強まっているのです。

(参照:文部科学省「GIGAスクール構想の実現について」

ICT教育のメリット

先進技術を教育現場に取り入れることで、児童・生徒の学習効率はもちろん、教員側の授業準備や校務管理における負担削減にも大きな効果が期待できるでしょう。

たとえば「デジタル教科書」の普及により、児童・生徒は多くの教科書・参考書を持ち運ぶことなく、多種多様な資料にすぐさまアクセスできるようになります。ICTツールを適切に活用する方法を身につけることで、興味をもった事柄に対して、領域横断的に理解を深め、総合的な知識を獲得することにつながると考えられます。

教員側としても、従来の「板書型の授業」に縛られない柔軟な授業が展開でき、児童・生徒の主体性を引き出すためのさまざまな工夫が可能になるでしょう。校務の面から見ても、クラウドの活用により出欠や成績管理、教員間の情報共有などの面で効率化が期待できます。

このようにICTツールが発展・多様化した現在では、そのツールによって「なにができるのか」が明確になり、具体的な目的に対して導入計画を策定することも難しくなくなりました。GIGAスクール構想のもと、「ICTツールの導入と、それにともなうサービスの発展」というサイクルには、今後さらに拍車がかかっていくと考えられるでしょう。

EdTechとは

EdTech

EdTech(エドテック)とは、「教育(Education)」と「技術(Technology)」を組み合わせた言葉であり、教育現場に導入される先進的なサービスや、それらを取り扱う事業活動全般を指しています。

先に触れた「ICT教育」という言葉は、「教育現場への先進技術の導入」という社会的課題を、主に「教育機関の立場」から捉えたものでした。対して、「EdTech」は同様の課題を「ビジネス的な観点」から捉えた言葉であり、「先進技術によって教育現場にイノベーションを起こす事業」であることに力点が置かれています。

EdTechに数えられる分野はさまざまであり、現状のところその区分について統一的な見解があるわけではありません。概ね、デジタル教材をはじめとする「学習支援」の分野や、オンライン上でカリキュラムを展開するサービスなどの「学習管理」の分野、出欠・成績管理ソフトといった「校務サポート」の分野が主要なものとして挙げられるでしょう。

このほかにも、教育活動・学習活動において、先進技術によって改善・効率化が期待される場面は枚挙にいとまがありません。教育現場で「改善」が求められるあらゆる領域で、EdTechは発展する可能性をもっているのです。

eラーニングとは

「教育や学習の場面における情報技術の活用」という意味では、「eラーニング」もよく耳にする言葉です。eラーニングとは広く「情報技術を利用した学習」を指し、ICT教育やEdTechと重複する部分もありますが、言葉を用いる際の文脈や場面によって違いが生じます。

つまり、いずれも「情報技術の活用」を主題としてはいるものの、ICT教育は「教育機関」の立場をふまえており、EdTechは「事業者」の立場にもとづいています。対して、eラーニングは基本的に「学習者」から見た学習方法やコンテンツを指す言葉です。

ここから、「オンライン講義」など、同じサービスを指す場合にも、立場や文脈によって言葉が使い分けられることがあります。たとえばオンライン講義の場合には、それが大学などでのカリキュラムとして提供される授業であれば、ICT教育の例に数えられるでしょう。あるいは、それを実現させる「システム」や「プラットフォーム」などビジネス的な側面に焦点を当てる際にはEdTechが用いられ、さらに「時間や場所を選ばず学べる」といった学習形態としての側面を捉える際にはeラーニングが用いられる傾向にあります。

こうした関連語彙をビジネスの側から捉えると、「ICT教育の推進や、eラーニングの普及にともない、EdTech関連の市場が拡大していく」といった構図になるでしょう。

EdTechのサービス事例

ITを使った学習

先述のとおり、EdTechに含まれる事業領域は実に幅広く、さまざまな角度から多種多様なサービスが展開されています。ここでは主に、「校務サポート」「学習支援」「学習管理」の3つの分野について、それぞれ代表的な事例を紹介します。

クラウド型校務支援システム「BLEND」

児童・生徒の出欠や成績管理のほか、施設の利用手続きや教員間の連絡など、クラウド活用により効率化できる校務は数多くあります。そこで現在では、クラウドを通じて幅広い校務をサポートするサービスも複数展開されています。

たとえばモチベーションワークス株式会社による「BLEND」は、学校運営に求められる事務作業を包含的に効率化するためのサービスです。出欠や成績管理はもちろん、保健情報や進路情報の管理、さらに各種帳票作成などをクラウド化することで、教員側のリソース削減に貢献しています。導入の際には、基本的な機能に加え、現場のニーズに合わせてさまざまな機能を組み合わせることが可能です。

さらに、二段階認証によるログインやIPによるアクセス許可制限など、セキュリティ面も充実しています。校務においては情報流出などのリスクに対する懸念から、せっかくの便利なサービスの導入が見送られる場面も考えられるため、強固なセキュリティ機能は重宝されるでしょう。

こうしたサービスは、校務の非効率な部分を削減することで、教育現場において教員が児童・生徒にコミットするリソースを増やしてくれると考えられ、今後もシェアを伸ばしていくことが期待されます。

(参照:「BLEND クラウド型校務支援システム」

オンライン図書館「ジャパンナレッジSchool」

株式会社ネットアドバンスの運営する「ジャパンナレッジSchool」は、中高生の学習に役立つ辞書や参考書など約700冊を検索・閲覧できるサービスです。「一括検索」の機能により、辞書として「言葉の定義」などを即座に調べられることはもちろん、電子書籍ビューアでキーワードに関連した解説書の類いを読むこともできます。

こうしたサービスを通じて、児童・生徒は教科の枠に縛られることなく、自身の関心を自由に掘り下げていくことができるでしょう。たとえば「国語の文章でわからなかった言葉から、社会学に関連する書籍を見つけ、さらにそこから戦後史についての興味を抱く」というように、教科横断的な学習は、総合的な知識の習得につながっていきます。

その他、学習アプリをはじめ、学習用デバイス上で利用できるサービスやコンテンツは、学びの多様な可能性を広げ、児童・生徒の主体性を引き出す技術として、今後の発展が期待されています。

(参照:「ジャパンナレッジSchool」

AI型学習システム「atama+」

atama plus株式会社の提供する「atama+(アタマプラス)」は、AI技術によって最適な学習方法を導くことを目的としたサービスです。主に塾や予備校への導入例が見られ、現状では「成績向上のためのカリキュラム編成ツール」として運用されています。

概要としては、蓄積された学習データをもとに、「つまずきの原因」を解析し、AIが自動で「自分専用カリキュラム」を提案するシステムです。苦手な単元などを克服するために、効果の出ない学習を繰り返すのではなく、原因に直接アプローチすることを目的としています。

こうしたビッグデータやAI技術の活用は、教育の場に「一人ひとりが自分にとって最適な学びを実現できる環境」をもたらし、教育格差の是正にも寄与する可能性をもっています。成績向上という目的のほかにも、さまざまなかたちでの発展を予感させる技術だといえるでしょう。

(参照:「【公式】AI教材 atama+(アタマプラス)」

EdTech導入補助金について

eラーニング

教育現場のICT化を推進するにあたり、経済産業省は「EdTech導入補助金」を用意しています。教育機関等にEdTechツールを提供する「EdTech事業者」に対し、導入に必要な経費の一部を補助する制度です。

ツールを提供する事業者は、それを導入しようとする教育機関とともに、導入計画を取りまとめ、事務局に申請を行います。申請が認められれば、交付された補助金をもとに導入を進め、その後導入効果についてのレポートを提出するという流れです。

必要経費に対する補助率は、事業者の規模や導入ツールによって異なりますが、中小企業の場合に最大で2分の1、大企業の場合には最大で3分の1となります。また、補助対象となるツールは、児童・生徒が直接使用する「メインツール」と、教職員のみが使用する「オプションツール」に分類されており、このうち申請には「メインツール」の導入が必須とされています。

実際の手続きには、「事業者登録」と「補助金申請」の2ステップが必要です。2022年度の申請期間は7月中に一度締め切られ、再申請のために「2022年9月5日~2022年9月30日」が設けられましたが、こちらは「事業者登録申請において一度でも採択となった事業者」が対象です。そのため、初回の登録期間のうちに事業者登録を済ませていない場合には、今年度の申請は行えません。

(参照:「EdTech導入補助金2022」

ただし、同補助金はGIGAスクール構想により2020年から続いており、次年度以降も補助制度が継続していく可能性は十分に考えられます。

EdTech導入補助金の制度にも見られるように、ICT教育の促進は、いまや個々の教育現場における努力目標ではなくなり、国家規模のプロジェクトとして、多くの企業を巻き込む一大動向となっています。教育を技術で革新するEdTechの分野は、これからますます発展し、今後の社会に大きな影響を及ぼしていくでしょう。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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