GPT-4とは?GPT-3.5(無料版)との違いや使い方・料金体系・APIについて解説
GPT-4という言葉をご存知でしょうか?ChatGPTの上位モデルです。無料版のGPT-3.5と比較して、あらゆる面でアップグレードされています。ただ、「具体的に何が違うの?」「お金はかかる」など、疑問を感じている方も多いはずです。
そこで本記事では、GPT-4の全体像を解説します。GPT-3.5の違いをはじめ、料金体系やAPIなどにも触れています。ぜひ参考にしてください。
目次
GPT-4とは?
GPT-4とは、OpenAIが開発した大規模言語モデルです。テキスト生成AIのChatGPTに搭載されています。前モデルにあたるGPT-3.5(無料版)と比較して、あらゆる面でアップグレードされています。実際、アメリカの模擬司法試験では、GPT-3.5が下位10%程度のスコアだったのに対し、GPT-4は上位10%のスコアを記録しました。
or example, it passes a simulated bar exam with a score around the top 10% of test takers; in contrast, GPT-3.5’s score was around the bottom 10%.
引用:GPT-4|OpenAI
DeepL翻訳:例えば、司法試験の模擬試験では、受験者の上位10%前後のスコアで合格している。一方、GPT-3.5のスコアは下位10%前後だった。
また、GPT-4をさらにアップグレードさせたGPT-4 Turbo(ターボ)も存在します。こちらはAPIを利用する際に目にする機会が多いです。詳細は後述します。
GPT-4とGPT-3.5の違い
ここでは、GPT-4とGPT-3.5の押さえておきたい違いを解説します。具体的には以下のとおりです。
- データサイズ
- 学習データの期間
- webブラウジング機能
- 画像生成機能
- GPTsの開放
それぞれ詳細をチェックしていきましょう。
データサイズ
GPT-4とGPT-3.5における最大の違いはデータサイズです。訓練に用いられたパラメータの数に圧倒的な差があり、それが出力結果の精度に影響しています。
- GPT-4:推定100兆
- GPT3.5:1,750億
ハルシネーション(※)が発生する頻度もGPT-4では格段に下がっている印象です。後述するwebブラウジング機能を併用することで、誤った情報にさらされるリスクを回避することができます。
※ 誤った情報をAIが生成する現象
学習データの期間
GPT-4とGPT-3.5の学習データ期間はそれぞれ以下のとおりです。
- GPT-4:2023年4月まで
- GPT-3.5:2021年9月まで
原則、上記期間の範囲内における回答しか出力されません。たとえば、「昨日のプロ野球の試合結果を教えて下さい」と入力しても正確な回答が得られないということです。
webブラウジング機能
GPT-4にはwebブラウジング機能が搭載されています。事前に学習させたデータセットだけでなく、リアルタイムでネット上に存在する情報をもとに回答を生成することができます。
GPT-4の知識は2023年4月までのものですが、webブラウジング機能を活用すれば、最新情報をもとにした回答も出力可能です。
画像生成機能
GPT-4には画像生成AIのDALL-E 3が搭載されています。プロンプトを入力するだけで、プロレベルのイラストを手に入れることが可能です。
また、ChatGPTではAIとコミュニケーションを取りながら画像生成することができます。
詳細はこちらの記事を参考にしてください。
>>>ChatGPTで画像生成する方法を解説!著作権や商用利用はどういう扱い?
GPTsの開放
GPTsとは、ChatGPTのカスタマイズ機能のことです。「GPT Builder」を活用し、オリジナルのアプリやツールを作成できます。
将来的には収益化システムの搭載も検討されており、非常に注目されている機能です。詳細はこちらの記事で解説しています。
>>>GPTsとは?始め方は?収益化できる?使い方を解説!
GPT-4の料金
ChatGPTでGPT-4を利用するためには、有料プランのChatGPT Plusと契約する必要があります。ChatGPT Plusは月額20ドルです。
つまり、ChatGPTでGPT-4を利用するための料金は月額20ドルということになります。
GPT-4とGPT-3.5(無料版)の違いを使い方で解説
ここでは、GPT-4とGPT-3.5(無料版)の違いについて、使い方を交えながら解説します。具体的な比較項目は以下のとおりです。
- 俳句
- クイズ
- 文章校正
- 計算問題
それぞれ詳細をチェックしていきましょう。
俳句
GPT-4はGPT-3.5に比べ、より柔軟にクリエイティブな出力ができるとされています。小説や脚本などの創作的な文章のほか、作曲のような単に文章を書くだけではない作業も可能です。
クイズ
GPT-4は、ユーザーが入力した情報をもとに、より論理的で意図に沿った出力が可能です。一般的な質問に対する回答はもちろん、いわゆる「論理クイズ」のような問いにも正しい答えを導きやすくなっています。
文章校正
GPT-4になり、GPT-3.5よりも出力内容の正確性が大きく高まりました。GPT-3.5まではあきらかに不正確な情報でも、確率にしたがって「それっぽいこと」を返すという特性がありました(いわゆる「ハルシネーション」)。
GPT-4はハルシネーションが起きる確率が下がり、学習していないことには「知らない」と返答できるようになっています。
計算問題
GPT3.5までと比べ、GPT-4の計算能力は大幅に向上しました。以前は簡単な四則計算でも、桁が増えると間違ってしまうことがありましたが、GPT-4では多少複雑な計算もできるようになりました。
GPT-4のAPIとは?
APIとは、「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」の略です。Webサービスやアプリ間をつなぐ役割を担っています。代表的なAPIはX(旧Twitter)のログイン認証などです。
GPT-4 APIの場合、外部サービスに高性能なChatGPTを利用できることになります。実際にAI搭載家庭教師、言語学習のコーチングなどに活用されています。
料金体系
ChatGPT APIの料金体系は以下のとおりです。
モデル | 入力 | 出力 |
---|---|---|
GPT-4 turbo | 10ドル/100万トークン | 30ドル/100万トークン |
GPT-4 | 30ドル/100万トークン | 60ドル/100万トークン |
GPT-4 32k | 60ドル/100万トークン | 120ドル/100万トークン |
GPT-3.5-turbo-0125 | 0.5ドル/100万トークン | 1.5ドル/100万トークン |
GPT-3.5-turbo-instruct | 1.5ドル/100万トークン | 2ドル/100万トークン |
また、ChatGPT APIを活用する際は「トークン」という概念を理解する必要があります。詳細はこちらの記事を参考にしてください。
>>>ChatGPTのトークン数とは?計算(カウント)方法、日本語と英語の違いを解説
GPT-4の利用制限には注意
GPT-4に限らず、ChatGPTには利用制限が設けられています。具体的には以下の2種類です。
- 回数制限:ChatGPTを利用できる回数
- 文字数制限:ChatGPTが一度に対応できる文字数
また、GPT-3.5とGPT-4それぞれの文字数上限は以下の通り。
モデル | 回数制限 | 文字数制限 |
---|---|---|
GPT-3.5 | 無制限 | 約3,000文字(4,096トークン) |
GPT-4 | 3時間に40回まで | 約25,000文字(32,768トークン) |
ChatGPTの利用制限に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
>>>ChatGPTの文字数制限とは?有料版と無料版の違い、回避する方法を解説
GPT-4を無料で使う裏技
有料プランのChatGPT Plusで提供されているGPT-4ですが、実は無料で使える裏技があります。Microsoftが手掛けるAIアシスタントサービス「Copilot(コパイロット)」を使う方法です。
Copilotには無料版と有料版の「Copilot Pro」が存在しますが、どちらにもGPT-4 Turboが使用されています。つまり、実質無料でGPT-4を使うことができるということです。
また、Copilotには画像生成AIのDALL-E 3も搭載されています。無料版は商用利用できないというデメリットはありますが、個人利用に限定した場合、ChatGPT Plusよりもおすすめ度が高いです。
GPT-4を導入している製品・サービス
OpenAIが開発したGPT-4は、自社製品であるChatGPT以外にも導入されています。GPT-4が導入されているサービスを利用すれば、そのサービスを通じて先に挙げたような利点を得ることが可能です。
OpenAIの公式サイトでも紹介されているサービスを中心に、GPT-4を利用しているサービスを簡単に紹介します。
- Microsoft 365 Copilot
- Duolingo(デュオリンゴ)
- BeMyEyes(ビー・マイ・アイズ)
- GitHub copilot X(ギットハブ・コパイロットX)
- アイスランド政府
Microsoft 365 Copilot
Microsoftは、WordやExcelといったOfficeソフトを中心にビジネスワークスペースを構成する自社製品「Microsoft 365」に、GPT-4を搭載した「Microsoft 365 Copilot」を発表しました。
(参照:News Center Japan「Microsoft 365 Copilot を発表 – 仕事の副操縦士 –」)
Microsoft 365 Copilotでは、WordやExcel、PowerpointなどのオフィスアプリにAIサポート機能が搭載されるほか、Buisiness Chatと呼ばれるAIチャット機能も実装されるようです。Buisiness Chatはチャット形式で指示を出すことで、Microsoft 365に含まれるデータを横断的に参照して、さまざまなタスクをこなします。
Duolingo(デュオリンゴ)
Duolingoは、総利用者数が5億人以上という大手外国語学習サービスです。Duolingoはこれまでも学習プログラムにAIを活用してきましたが、GPT-4の発表によりサービスを大きく進化させました。
DuolingoはAIとチャットで外国語会話ができる「Roleplay」と、誤答がなぜ間違っているか説明してくれる「Explain my Answer」という機能を、GPT-4を使って新たに搭載しました。
これらのAI機能はDuolingo Maxというプランで提供されます。
(公式サイト:Introducing Duolingo Max, a learning experience powered by GPT-4 by Duolingo Team)
BeMyEyes(ビー・マイ・アイズ)
BeMyEyesは視覚的な障がいを持つ人のための技術開発をおこなうデンマークのスタートアップ企業です。
BeMyEyesはGPT-4を利用し、画像認識やWebページの要約など、視覚的なアクセシビリティを向上させるVirtual Volunteer™を開発しています。
Virtual Volunteer™はスマホのカメラで認識したものについて、自動読み上げ音声とテキストで利用者に情報を共有します。
これにより、視力のサポートを必要とする人たちが、日常的に発生するタスクをより自立的に実行できるようになります。
(公式サイト:Be My Eyes – See the world together)
GitHub copilot X(ギットハブ・コパイロットX)
GitHubはプログラミングのためのプラットフォームです。GitHubにはもともと「copilot」と呼ばれるAIサポート機能がありましたが、GPT-4の登場により「copilot X」に進化しました。
copilot Xは、チャット形式でプログラミングにかかわるさまざまなタスクを指示できます。公式のデモンストレーションでは、次のような機能が発表されていました。
- プログラムをレビューさせる
- バグの発見と修正
- コードのテスト
- 疑問点を質問してヘルプをもらう
その他にも、会話によって解消できる作業はおおむね実行できると考えられます。
(公式サイト:Introducing GitHub Copilot X · GitHub)
アイスランド政府
アイスランドでは、英語や他の第2言語を話す人口が多い一方で、国民の母語であるアイスランド語が危機に直面しています。政府主導でアイスランド語の保存活動を進めています。
アイスランド政府はOpenAIと提携し、GPT-4を使ってアイスランド語の保護に取り組んでいますが、GPT-4でもアイスランド語の出力に文法的な誤りや外来語、誤った文化的知識が混じってしまうことがありました。
より正確なアイスランド語を保存するために、GPT-4を適切なアイスランド語の文法と文化的な知識を持つようトレーニングしました。
この取り組みにより、たとえばアイスランドの企業が消費者とWebでコミュニケーションを行うときも、英語などに頼らずアイスランド語を使って対話が可能です。
アイスランド政府は、アイスランド語を保護するための取り組みを通じて、GPT-4を用いたAIの活用が言語、文化、歴史の保全に役立つだけでなく、経済的繁栄の基盤となることを目指しています。
(公式サイト:Head start for Icelandic)
GPT-4のまとめ
今回は、ChatGPTの上位モデル「GPT-4」について解説しました。押さえておきたいポイントは以下のとおりです。
- GPT-3.5の上位モデル
- 有料プランのChatGPT Plusで提供
- 無料で使うならCopilotがおすすめ
GPT-3.5とGPT-4を両方使っていますが、性能面の差は圧倒的と感じます。GPTs(ジーピーティーズ)といった追加機能も有料プランにしか搭載されていないので、ChaGPTを本格的に活用する場合、GPT-4や画像生成AIを利用できるChatGPT Plusと契約したほうがいいでしょう。
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