取材依頼の極意を聞く!〜対象の決定から依頼メールのつくり方まで〜【取材ライターへの道 Vol.1】
はじめまして。サングローブ株式会社でライターとして活動している滿留 悠平(みつどめ ゆうへい)と申します。
これまで当メディアでも、またそれ以外の場所でも記事を書いてきた僕ですが、ここにきてあることに気づきました。それは、取材(インタビュー)をともなう記事を書いた経験がないということ。
仕事の幅を広げるためにも、取材ができるライターになりたい。しかしインタビュー経験もない僕にとって、いきなり自分の力で取材記事を書くのはハードルが高く感じてしまいます。何からはじめればよいのかすら分かりません。
そこで僕は意を決し、過去にはメディアの編集長として、自身の企画の取材だけではなくすべての特集を取り仕切っていた経験があり、現在も取材ライターとして精力的に活動している先輩ライターの浦田みなみさんに懇願。「取材ライターへの道」と題し、全4回の特集でその心得を教えてもらえることになりました!
この特集では、対象の検討から記事の執筆まで、取材ライターのイロハをお届けします。これを読んで、僕と一緒に取材ライターデビューを目指しましょう!
第1回である今回は、「取材対象の決定」と「取材依頼」について学んでいきます。
目次
取材対象の決定には情報収集が要
情報をキャッチしたら、興味をそそられたテーマから企画を考えます。そして、この企画にマッチしているか、取材記事を掲載するメディアにマッチしているかみたいな部分を基準に、対象を確定させる感じだね。
対象の人や会社がいままでに取材を受けたことがあるかどうかも、確認しておけばひとつの指標になると思う。もし一度も受けた様子がないなら、断っている理由を考えてみてほしい。そもそも取材を受けないスタンスならどうしようもないけど、たとえば、忙しくて手が回ってないことが理由として考えられるなら、とにかく企画内容が伝わりやすいようにするとか、返信の手間がかからないようにするとか、諦める前にそういう対策を講じたうえで依頼してみてもいいと思います。
取材依頼は「メールで取材依頼書を送る」がベター
いまはSNSからの依頼も増えてきたよね。ただ基本的には、SNSから取材依頼する場合も「このような企画で取材させてもらいたいのですが、取材依頼書を送ってもいいですか?」みたいなメッセージを送って、メール等であらためて取材依頼書を送るという依頼方法がベターだと思ってます。
私も以前Twitterで、「〜を取材したいな」ってつぶやいたら、その会社のCOOの方から「どうぞきてください!」って連絡がきて、そのままやりとりして取材が決まったことがありました(笑)。そのときも、「取材依頼書をあらためてお送りするので、連絡先を教えてください」って伝えて、のちほど取材依頼書を送るようにしたよ。
もし「いますぐ取材したい」という場合なら、取材依頼書をつくる前から窓口に「取材依頼書を送ってもいいですか?」みたいなメッセージだけ先に送っちゃってもいいかも。依頼予約みたいな(笑)。熱意を伝えられるのはもちろんだし、相手の温度感もなんとなく分かるから。返信が来なかったら、そもそも興味ないよってことだからね。
ただ、「pr@~」みたいなアドレスの、完全なる取材申し込みの窓口にメッセージを送ると、取材依頼書を送る場合と同じくらい時間がかかってしまう可能性もあるので、そこは注意が必要だけどね。SNS等で個人につながる連絡先を入手できるなら、こういう方法を使ってみてもいいと思います。
取材依頼書の書き方は「6W3H」が基本
「Why(なぜ)」は、取材の目的や対象の方に取材する理由。「What(なにを)」は、取材の企画内容や質問事項。「Who(だれが)」は、取材にうかがう人のプロフィール。「Whom(だれと・だれに)」は、だれに対してだれと一緒に取材するのか。「When(いつ)」は、取材の希望日時や候補日。「Where(どこで)」は、取材を行う場所。「How(どのように)」は、取材の方法や進め方。「How much(いくら)」は、ギャランティや移動費。「How many」は拘束時間。
すべてを取材に置き換えると、こんな感じになるかな。あとは、記事を掲載するメディアについてもくわしく伝えたほうがいいね。内容やターゲット層、PVを丁寧に伝えることで、依頼主や掲載される記事のイメージがつきやすくなるから、少し安心感を与えられると思います。
ただ私の場合、Whenは書かないことが多いかな。先に書いちゃうと、その日がダメだったら相手に少なからず申し訳なさを感じさせちゃうので。逆に、その申し訳なさを利用して相手に別の候補日を挙げてもらうテクニックもあるかもしれないけどね。取材依頼先が新サービスを発表したてで、「必ず近日中にうかがいたい」みたいな場合以外は基本的に書かないかな。
最近は取材詐欺も横行しているらしく、取材を受け入れてくれた会社にあとから高額な費用を請求する詐欺会社もあるらしいから、それを知っている人であれば、知らないメディアからの取材依頼はなおさら警戒するかも……。お金に関するところは、きちんと事前にお伝えするようにしましょう。
会話から生まれた予想外の展開が記事を面白くしてくれることも少なくないので、質問は企画の方向性が伝わる程度に載せておけばいいと思います。ただし、取材相手から「事前に細かい質問内容を送ってください」といわれた場合は、しっかりと細かくまとめてお渡しするようにしてください。
取材依頼書は受け取る人のことを考えてつくる
それと取材依頼書は、ペライチ(1枚だけの資料)がいいと思う。やっぱり忙しい方が多いので、パッと見て内容がすぐに分かるかたちが理想だね。印刷する可能性も考えて、簡潔に、A41枚に収まるくらいの情報量にしましょう。取材依頼があふれているときは、依頼書の分かりやすさも選考基準になるかもしれないから、レイアウトに注意を払って、「読みやすく伝わりやすく」を意識することが大切です。
もうひとつ気をつけなきゃいけないのは、熱意を込めようとするあまり、取材依頼書で語りすぎちゃわないこと。押しつけがましい印象を与えてしまうかもしれないから、「受け取った人がどう感じるか」を第一に考えてつくりましょう。
ラブレターで考えてみて。知らない人から下駄箱に自分語りラブレター。ちょっと怖くない?
相手に届く取材依頼を考える
たとえば、オンラインで成功している農家さんに取材を依頼するとき、ただ「Web・IT界隈のメディアです」って説明するだけだと「Web・IT界隈のメディアがなぜ農家であるうちに取材を?」って思われちゃうかもしれないよね。そういうときは、「次世代のオンラインショップについて特集を組んでいます」みたいなことを伝えるだけでも印象が変わりそう。
SNSで集客に成功している方を取材したいときも、「Web・IT業界のビジネスについて書いているメディアです」ではなくて、「SNSマーケティングについて書いているメディアです」って説明したほうが、取材依頼の理由が腑に落ちやすいと思う。同じ内容でも可能な枠のなかで相手に応じて変えることで、目的がより伝わりやすくなるはず。
たとえば、商店街やそのあたり一帯を取材したいときは、町内会の人に相談して回覧板に入れてもらったほうが全員の目に届くかもしれないし、「あの人も取材受けるの?じゃあ私も」ってことがあるかもしれない。相手の立場で考えるのが一番だから、状況に即した依頼方法を考えた結果、メール以外の方法で取材依頼書を送ったほうがいい、という結論になる可能性も十分にあるね。
実際にメールと取材依頼書をつくってみる
メール文面
突然のご連絡、失礼いたします。
東京・大阪に拠点を置くWeb制作会社サングローブ株式会社の滿留と申します。
このたびは、当社が運営するWebメディアのインタビュー取材にご協力をお願いしたく、ご連絡いたしました。
当社運営のWebメディア「SUNGROVE(https://www.sungrove.co.jp/blog/)」では、経営者、企業のWeb担当者、フリーランスといった層をターゲットに据え、Web業界の最新動向や実践的なWeb戦略を中心に発信しています。昨今ではインタビュー取材も精力的に行っており、悩める読者を導くべく、プロフェッショナルの言葉をお届けしています。
今回のインタビュー取材では、浦田様のライター人生についてくわしくお伺いしたいと考えております。経験豊富なライターである浦田様の生きざまをお伺いすることで、 進むべき道に悩むライターにとって有益な内容がお届けできると確信しています。
つきましては、添付の取材依頼書に記載されている内容をご確認いただき、お手隙の際にご回答いただければ幸いです。
また、インタビュー取材は【無償】にてご協力をお願いしております。
お忙しいところ恐れいりますが、何卒よろしくお願いいたします。
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サングローブ株式会社
SUNGROVE編集部 ライター
滿留 悠平
●●●●●@●●●●.co.jp
■東京本社オフィス
(住所)
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取材依頼書
SUNGROVE編集部 浦田みなみ様
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
このたびは、当社が運営するWebメディアのインタビュー取材にご協力いただきたく、ご連絡いたしました。お忙しいところ恐れいりますが、内容をご確認のうえ、ご検討ください。
■インタビュー掲載メディア
「SUNGROVE」
Web業界の最新動向や実践的なWeb戦略を中心に発信している当社運営のWebメディアです。経営者、企業のWeb担当者、フリーランスといった層をターゲットに定めています。
■企画概要
今回のインタビュー取材では、浦田様のライター人生についてくわしくお伺いしたいと考えております。どのような経緯でライターになり、どのようなライター人生を過ごし、ライティングをどのように捉えているのか。経験豊富なライターである浦田様の生きざまをお伺いすることで、進むべき道に悩むライターへ手を差し伸べられる内容を目指します。
■質問事項(取材の状況によって変更の可能性があります)
・ライターになったきっかけ
・ライター人生における忘れられない経験
・ライティングのときに意識していること
・あなたにとってライティングとは
■取材日時
ご都合のよい日をお打ち合わせさせてください。取材時間は1時間程度を想定しています。
■取材方法・場所
貴社のオフィスにお伺いし、対面にてお話をお聞きしたいと思っております。そのほかにご都合のよい取材方法や場所がありましたら、ぜひお気軽にご提案ください。
■取材メンバー
滿留(ライター)、川島(カメラマン)
毎回「悪かった点を探して次回改善する」というPDCAを回すことが大切です。回を重ねながら、適切なかたちを模索していきましょう。
取材依頼で相手の心をつかむ
取材依頼はいわば、取材における「イントロ」といえます。イントロに魅力を感じない曲がその先を聞いてもらえないように、取材依頼で相手の心をつかむことができなければ、その後の取材にも応じてもらえないでしょう。
依頼の方法を決めるとき、取材依頼書の内容を考えるとき、メールの内容を考えるとき、常に相手の立場で適切なやり方を探す姿勢が、熱意が届く取材依頼につながるのかもしれません。
依頼の段階からいいコミュニケーションがとれれば、取材も実りのあるものになりそうな気がします。
次回は、リサーチや取材の注意点について聞いたのち、いよいよ浦田さんをインタビューします!
■次回記事はこちら↓
■浦田さんが取材した記事(一部)はこちら↓
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