アイスブレイクとは?ビジネスで使えるネタや例まで紹介
ビジネスシーンにおいて、コミュニケーションスキルは欠かせないものといっても過言ではありません。裏を返せば、会話一つで顧客と良好な関係を築くことができれば、受注や担当プロジェクトのスムーズな進行へと寄与する可能性が格段に上がります。そうした利益を得るために有効な話法の一つが、本記事で取り上げるアイスブレイクです。
意味をはじめとした基本概要に加え、具体的な効果、ぜひ使ってほしいネタや例、気を付けたい注意点等々、幅広く解説します。アイスブレイクを知りたい、ひいては実践的に学びたい方は、ぜひ参照してみてください。
目次
アイスブレイクとは
まずは、アイスブレイクの基本概要から理解しましょう。以下、意味と有効活用できるシーンを取り上げます。
アイスブレイクの意味
アイスブレイクとは、主にビジネスシーンで他者と交渉する際に使われる、お互いの緊張感やその場に漂う堅い雰囲気の緩和を目的としたコミュニケーション手法です。おそらく、なぜそう名付けられたのか疑問に思う向きもあるでしょう。その語源は、双方が様子をうかがっている段階や笑顔で話せない状況を氷(アイス)にたとえ、それを壊す行為(ブレイク)という言葉の組み合わせです。
単に会話のラリーだけでなく、場合によっては一緒にゲームやレクリエーションを行うこともあります。
アイスブレイクの活用シーン
アイスブレイクは、前述のとおり、取引先との商談や交渉の際の冒頭に用いられることがほとんどです。また、接待やセミナー、自社内の会議でも使われます。いずれのシーンも、アイスブレイクを取り入れることは至極自然だといえるでしょう。やはり、ある程度人となりを知ってもらったうえで本題に入った方が、聞き手にとってもすんなり内容は理解できるものと思われます。逆に唐突な印象を与えないためにも、(クレーム対応などを除いて)相手がいてそこで何かを伝えなければならない場面では、積極的にアイスブレイクを使っていくといいかもしれません。
アイスブレイクがビジネスにもたらすメリット
実際、アイスブレイクに対してどのような効果、すなわちメリットを期待できるのでしょうか。以下、考え得るシチュエーションを挙げていきます。
和やかな雰囲気の提供
アイスブレイクは、目的でもある緊張感をほぐしてくれることがそのままメリットに該当します。たとえば、初対面同士では商談や交渉時に張りつめた空気が生まれやすく、そのせいで有意義なビジネスの話が停滞してしまうことも少なくありません。こうした場合、アイスブレイクが非常に役に立ちます。双方萎縮せず気軽に意見交換できる場を作るうえで、もはや欠かせないスキルといえるでしょう。
相互理解の深化
アイスブレイクは、自分を知ってもらうだけでなく相手の性格や嗜好を引き出すことにも作用します。何気ない話で思いのほか意気投合することは決して珍しくありません。たとえ派手に盛り上がらなくとも、些細な会話あるいは反応の中にも相手を知るヒントは見え隠れするものです。
そして、相互理解によって両者求めるものが明確になれば、実にスムーズに商談を運べるでしょう。何よりそこで交わされる内容をより高い水準に引き上げてくれる期待が持てます。
コミュニケーションの活性化
重苦しい雰囲気は、コミュニケーションの活性化を阻む悪しき要素です。一方で、アイスブレイクによってお互いが牽制し合う状況から脱することができれば、たちまち積極的な発言や発信が生まれやすくなります。特に自社内の会議では有効です。すなわちアイスブレイクは、メンバー一人ひとりが能力を発揮する機会にもつながるものだといえます。
アイスブレイクでおすすめのネタと例
実際にアイスブレイクではどのような切り口やテーマを持ち出すと良いのでしょう。以下、おすすめできる有用性の高いネタです。
木戸に立ちかけし衣食住
“木戸に立ちかけし衣食住”、この言葉をご存知でしょうか。これは「季節・気候」「道楽(趣味)」「ニュース」「旅」「知人」「家族」「健康」「仕事」の頭文字に衣食住を加えた造語です。世間話として勝手が良いテーマばかりであるため、この中のどれかはおそらく話題にできるものと思われます。
アイスブレイクに困ったら、とりあえずこの言葉に立ち返ってみてください。
一応、会話を切り出すときの具体例も挙げておきます。
- 「木(き)」:今日は暑いですね。
- 「戸(ど)」:普段お休みの日は何をされていますか?
- 「に」:いよいよサッカーワールドカップが始まりますね。
- 「立(た)」:ゴールデンウィークはどこかに行かれますか?
- 「ち」:A社の○○様のことはご存知ですか?
- 「か」:(相手が関連する話題を振ってきてから)お子様はいくつですか?
- 「け」:最近どうも運動不足で何か始めようと思っているのですが、おすすめはありますか?
- 「し」:おかげさまで今月は忙しくさせてもらっています。
- 「衣」:そのネクタイ、素敵ですね。
- 「食」:お酒は飲まれますか?
- 「住」:ずっと東京にお住まいですか?
オフィス周辺の地域性
先方のオフィスに訪れた際、道中のことや周辺地域に関する話題でアイスブレイクを試みるのも一つです。
「この辺りは自然豊かですね」「こちらに来る途中でいくつも美味しそうなお店を見かけました」など切り出せば、相手もおそらくすぐに答えやすく、会話も広がりやすいでしょう。
称賛
褒める、称賛する行為は、アイスブレイクの基本です。「立派なオフィスですね」「その素敵なネクタイはどちらのものですか」など目を引く要素は積極的に褒めていきましょう。
自社内の会議でも同様です。「皆のおかげで先月は売上が10%アップした」「○○さんの作ったコンテンツがとても評判が良い」など成果に関わる内容を共有することも、アイスブレイクになり得ます。それが仲間のモチベーションアップにつながれば、それもまた効果の一つです。
自己開示
私的情報も伝えられる範囲で共有すれば、それはアイスブレイクとして機能します。いわゆる自己開示です。これは、受け手に同じアクションを喚起させやすい意味でも使えます(返報性の法則)。
自己開示が共感を呼べば、親近感が芽生えるとともに両者の距離は一気に縮むことでしょう。「最近、娘に彼氏ができたみたいで心配で……」「先日久しぶりに身体を動かしたら筋肉痛になりまして……」などできれば多少なりとも微笑ましいエピソードがおすすめです。ウィークポイントや悩みも笑えるジョークになれば、アイスブレイクとして十分使えます。
業界のトレンド
事前に顧客の業界情報やトレンドを仕入れ、アイスブレイクに役立てるのも良いでしょう。業界に精通していれば相手からの信頼感が増すはずです。あるいは双方ともに同じ業界に属しているのであれば、情報交換にもなり、シンパシーも生まれやすく、その時点で良好な関係を築ける期待が高まります。
普段から目配りしておけば「○○が新製品を出しましたね」「海外からのニーズが増えているようですね」など(アイスブレイクに使えるネタは)少なからず出てくるものです。
また、会議や研修でも、市場動向はじめ業務と関わりの深い話題を盛り込むことは重要です。もちろん、堅くなりすぎてはアイスブレイクの意味を成しませんが、発破をかける、あるいは協働意識を芽生えさせるには、直接的だからこそ有効に作用するものと考えます。
遊び感覚、ゲーム形式で行うアイスブレイク
アイスブレイクにゲームを用いるケースも少なくありません。主に会議や研修、セミナーなどで見られます。以下、簡単に始められるゲームをいくつか紹介します。
他己紹介
セミナーでよくある試みです。2人組を作り、お互いを第三者に紹介し合います。この「他己紹介」では、あらかじめ相手の情報を聞き出すことが必要です。そのため、半ば強制的とはいえお互いを理解するコミュニケーションが形成されます。気付けば、両者打ち解けることになり、第三者を含めて和やかな空気が流れることがほとんどです。
“実は”を付けた自己紹介
“実は”を付け加えて自己紹介を行います。切り口はさまざま。自分のプライベートな一面を伝え、聞き手との距離感を縮めていきます。そこで共通点が見つかれば、一気にフランクかつ良好な関係を築けるでしょう。
積み木式自己紹介
積み木式もまたユニークな自己紹介の一種です。直前に自己紹介を行った人に対してコメントを述べてから、自分の番を迎えます。参加者一人ひとりに対して興味を持ちやすく、なおかつ相手の持つ印象もわかるため、コミュニケーションの活性化にはもってこいです。
くじ引き自己紹介
あらかじめお題が書かれたくじを引き、その内容に合わせて自己紹介をしていきます。一人ひとりの個性が見えやすく、コメントによっては瞬発力や発想力、ユーモアのセンスなどもうかがえるため、ともに仕事をするうえで信頼関係も構築できるかもしれません。単なるゲームに終始せず、アイスブレイクとしての役割をきちんと果たしてくれるため、個人的にもおすすめです。
ヒーローインタビュー
スポーツの現場でお馴染みのヒーローインタビュー。この要領を踏襲し、一人がインタビュアーとなって、仕事に関する質問を行っていきます。たとえば、会議や研修の場で「先月の売上に関しては、どのようにお考えですか」「今回の研修でトップの成績だったわけですが、社員の方々に一言お願いします」などインタビュー形式で尋ねられたその問いへの答えは、そのまま業務報告として扱われます。
こうした遊び心が実務を兼ねることで、おそらく士気も上がるでしょう。したがって、アイスブレイクの価値が高いのも容易に頷けます。
GOOD&NEW
会議や朝礼の冒頭に直近で起きた“良い出来事”と“新しい発見”を発表する「GOOD&NEW」もアイスブレイクで使えるゲームのような試みです。
「最近投稿したSNSで“いいね”を多くもらいました」「引っ越したばかりの家の近くにとても美味しいラーメン屋さんがありました」など、発信する内容は些細なことで構いません。何気ない話が聞き手の姿勢を正すことはよくあります。それは、まさにアイスブレイクの本懐です。
後出しじゃんけん
じゃんけんさえもアイスブレイクに使えます。が、ただのじゃんけんではなく、後出しをして先に出した人に必ず負ける特殊な「後出しじゃんけん」です。侮ることなかれ、これが実に頭の体操になります。冒頭、時間を取って行えば、良いウォーミングアップになるでしょう。加えて、少なからずその場には楽しい空気が流れるはずです。集中力が途切れそうな時などに、ぜひ採用してみてください。
謎解きゲーム
近年、ビジネス向けに設計された謎解きゲームが増えてきています。実際、個々の思考力、発信力はもちろん、チームビルディングの強化にもつながるなど仕事上必要なスキルアップを図るのに有効との声が多い印象です。そしてこれは、アイスブレイクとしても使えます。ほぐれるように頭がやわらかくなり、自然に周囲とも打ち解けた状態で本題に入れば、きっと有意義な打ち合わせ、会議を行えるはずです。
心理テスト
心理テストもまたアイスブレイクにおすすめです。遊び感覚であれ参加者の予想外の一面やあたかも本性が浮き彫りになれば、ちょっとした笑いに包まれることもよくあります。結果、お互い親近感を持ったまま仕事の話へとスムーズに入れるでしょう。
アイスブレイクの注意点
アイスブレイクはビジネスの現場に役立つ一方で、やり方次第で逆効果を生む危険性も孕んでいます。以下、注意点です。
デリケートな宗教や政治の話題
アイスブレイクで、宗教、政治にまで首を突っ込んでしまうのはご法度です。短絡的に話題を振りまいてしまうと、大きなトラブルにもなりかねません。さらには、スポーツの話も要注意です。応援しているチームが違っただけで印象を下げられてしまうケースも十分考えられます。
したがって、特に初対面の方にアイスブレイクを用いる際は、個人の思想を介さない無難なネタを選択するようにしましょう。
過剰なネガティブ表現
自己開示や自己紹介でウィークポイントをオープンにすることがあります。適度に笑えるネタであればアイスブレイクへとつながりますが、あまりに過剰なネガティブ表現の場合、話は別です。結果、相手を不快にさせてしまうケースも少なくありません。
ハラスメントに当たる言動
アイスブレイクが行き過ぎると、場合によってはハラスメント行為にもつながります。つい気持ちが大きくなり軽口を叩いてしまわないよう、細心の注意を払いましょう。たとえば、自己紹介やGOOD&NEWなども無理に強要するものではありません。重苦しい空気を緩和する以上に、苦しむ方が出てくるのは本末転倒です。
アイスブレイクの特性をうまくビジネスの現場で生かしていこう!
商談や会議を和やかにかつスムーズに運んでいくのに、アイスブレイクは非常に役立ちます。また、これまで使ってこなかったからといって活用が難しいわけでもありません。
今やビジネスに使えるアイスブレイクのネタは拙稿で取り上げた例を含めてテンプレートのごとく多く存在しています。もはやビジネスにおいて不可欠なコミュニケーション手法の一つといっても過言ではないでしょう。もちろん注意点もあるため、ただ何とはなしに使っていくことは避けるべきです。が、要領を得たならば、使わない手はないと考えます。
日進月歩のビジネスシーン。ちょっとしたアイスブレイクが仕事の成否を分けるケースは、今後も多く見聞きすることになるはずです。
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