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インタースティシャル広告とは?意味や特徴、SEOへの懸念点などを網羅的に解説

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Webからの集客を効率化するには、さまざまな広告の特徴を理解し、目的にあわせて運用していく視点が欠かせません。

現在のWeb広告において、主流の1つになっているのが「インタースティシャル広告」という形式です。高い視認性により大きな効果が見込める広告ですが、SEOなどの面で考慮すべきポイントもあります。

この記事では、インタースティシャル広告の特徴や活用例をふまえ、SEO上のリスクを避けながら運用していくためのポイントを解説していきます。

インタースティシャル広告とは

インタースティシャル広告とは、ユーザーがWeb上のコンテンツへアクセスした際、「画面全体を覆うように表示される広告」のことを指しています。

とくにスマートフォン向けのWebサイトやアプリでよく見られ、ユーザーがページを開いたり、特定のアクションを取ったりした際に挿入される広告です。

もともとインタースティシャル(interstitial)は、英語で「割れ目の」「侵入型の」といった意味をもっています。ここから、インタースティシャル広告は「ユーザーの閲覧体験に割り込む形」で表示されることを特徴としています。

見た目のインパクトが大きいことから、クリック数の向上や認知拡大といった効果が期待できる一方、広告の表示タイミングやデザインによっては、ユーザーが煩わしさを感じるケースも少なくありません。

広告が原因でサイトやアプリの利用が中断されるリスクもあるため、適切な設計と運用が重要になるでしょう。

インタースティシャル広告と他の広告形式との違い

インタースティシャル広告は、オーバーレイ広告やアンカー広告、ポップアップ広告などと混同されることがありますが、それぞれ以下のような違いがあります。

まずオーバーレイ広告は、画面を覆って表示される広告の総称であり、インタースティシャル広告もこの一部に分類されることがあります。

またオーバーレイ広告のうち、画面の下部や上部に表示され、スクロールに追従する形で常時表示されるものを「アンカー広告」と呼びます。

上の画像のように、アンカー広告はコンテンツの邪魔にならないよう配置されるため、完全にユーザーの閲覧を妨げることはありません。

さらに、オーバーレイ広告のうちには「ポップアップ広告」も含まれます。これはユーザーが特定のアクションを行った際、「新しいウィンドウ」や「ダイアログボックス」として表示される広告です。

インタースティシャル広告と同様、画面の中心に表示されますが、別のウィンドウに表示される点に差があります。ポップアップ広告はブラウザのポップアップブロッカーの対象となることも多く、広告が適切に表示されないリスクもあるでしょう。

インタースティシャル広告のメリット・デメリット

画面全体を覆うインタースティシャル広告は、ユーザーからの視認性が非常に高い一方で、ユーザー体験を損ねるリスクもある広告形式です。

以下ではより詳しく、インタースティシャル広告の利点と課題について解説していきます。

インタースティシャル広告のメリット

インタースティシャル広告の最大の利点は、「気づかれないリスク」がほとんどない点にあります。画面全体を占有するため、ユーザーの意識に確実に入り込み、興味を引き出しやすいのです。

とくにアプリのインストール広告をはじめ、思わず「自分もやってみたい」といった気持ちをかき立てるような内容の場合、大きな効果につながるケースも少なくありません。

さらに表示されるタイミングも、「ページの読み込み時」や「特定のアクション後」であることが多く、ユーザーの意識の隙間に入り込みやすい特徴があるでしょう。

たとえばゲームアプリでステージクリアの際に広告を挿入するなど、「ユーザー行動の切れ目」に広告を配信することで、次の行動を促しやすくなると考えられます。

その他、クリエイティブの自由度が高い点もメリットです。画面いっぱいの画像だけでなく、短い動画や、ユーザーのリアクションに反応するインタラクティブ要素を組み込むこともでき、よりユーザーに訴求しやすくなります。

インタースティシャル広告のデメリット

インタースティシャル広告の大きな課題として、ユーザー体験(UX)の悪化が挙げられます。ユーザーが見たいコンテンツを閲覧する際、広告で意識が遮られるほか、広告を閉じる手間がストレスになるケースも少なくありません。

とくに誤クリックを誘発する設計は、ユーザーのストレスを加速させてしまうため注意が必要です。誤操作によりクリック数そのものは向上しても、実際の効果にはつながりにくく、かえってブランドに対する不信感を抱かせる可能性もあります。

さらに後述するように、Googleは過剰なインタースティシャル広告に対してペナルティを課すケースがあり、広告を掲載するページのSEO面に悪影響を及ぼす可能性があります。

短い間に広告が何度も表示されたり、しばしば誤クリックを誘発したりと、ユーザーが本来のコンテンツにアクセスすることを阻んでしまう広告は、Googleによる評価を下げる一因となるでしょう。

インタースティシャル広告の活用例

インタースティシャル広告はさまざまな業界やプラットフォームで活用されており、ターゲットや目的にあわせて運用することで高い広告効果を発揮します。

以下では具体的に、インタースティシャル広告がどのような場面で利用されているのかを解説していきます。

モバイルアプリにおけるインタースティシャル広告の活用例

スマートフォン向けのアプリは、インタースティシャル広告の効果を引き出しやすいプラットフォームの1つです。とくに無料アプリにおいては広告収益が主要な収入源となるため、インタースティシャル広告の枠が豊富であり、多様なアプローチができるでしょう。

ゲームアプリでは多くの場合、プレイの進行を妨げないよう、ゲームのステージ間や、ゲームオーバー後に広告を表示する手法が採用されています。

また一部のゲームでは、広告を見ることでゲーム内アイテムや報酬が得られる「リワード広告」と組み合わせるケースも見られます。

一方、ニュースアプリや情報系アプリでは、記事をタップして開く際や、新しいページに移動する際に広告を表示する形式が一般的です。気になる情報へと向かうユーザーの意識を一時的に引きつけることで、クリック数や認知度の向上が期待できるでしょう。

その他、動画の再生前に広告を挿入するなど、インタースティシャル広告は「コンテンツに対する興味」を少しの間自社に向ける形がスタンダードとされています。

Webサイトにおけるインタースティシャル広告の活用例

ニュースメディアなどの情報サイトでは、記事をクリックした後に広告を表示することで、ユーザーの関心を一時的に引きつける方法が採用されています。この際、掲載元メディアの規模や特性によって、広告のメッセージの伝わり方も変わってくるでしょう。

またECサイトでは、特定の商品やキャンペーン情報をインタースティシャル広告として表示し、ユーザーの購買意欲を高める手法が見られます。商品を検討しているユーザーに対し、クーポン情報を表示するなど、広告が購入の決め手になるケースもあるでしょう。

その他、サブスクリプション型のサービスを提供するウェブサイトでは、会員登録や有料プランへのアップグレードを促すためにインタースティシャル広告が活用されています。

たとえば無料コンテンツを閲覧しようとした際に「この先のコンテンツを読むには会員登録が必要です」といったメッセージを表示し、ユーザーの登録率を高める方法が代表的です。

インタースティシャル広告の単価と収益性

インタースティシャル広告は高い集客効果が見込める一方で、広告単価の面ではバナー広告などと比較してやや高めになることがあります。

Google広告をはじめ、多くの広告プラットフォームにおいては「入札形式」で広告枠が取得されており、広告主が予算やクリック単価などを設定する仕組みになっています。そのため競争率の高い業種やターゲット設定においては、単価が高くなることも少なくありません。

以下ではより具体的に、インタースティシャル広告の収益性や単価について解説していきます。

インタースティシャル広告の収益性

インタースティシャル広告は、他の広告形式に比べてクリック率(CTR)が高くなる傾向が指摘されています。

たとえばWeb広告として導入例の多いバナー広告のCTRは、「1%程度」と想定されるケースが多いでしょう。一方で、グローバルのデータでは、Android向けアプリにおけるインタースティシャル広告のCTRが4%~5%となったという調査も見られます。

(参照:PropellerAds Blog|Interstitial Ads: Extensive FAQ for Beginners

アプリ上の広告は、ユーザーが試しに操作できる「プレイアブル広告」などで興味を引き出しているケースも多く、CTRが高くなりやすい面があるでしょう。

一方で、ニュースメディアなどのWebサイト上に表示されるインタースティシャル広告は、アプリに比べてCTRが低くなる傾向が指摘されています。ただしその反面、多くのユーザーを抱えているメディアに広告を出稿することで、認知向上の効果は見込みやすいといえます。

配信プラットフォームやユーザー属性ごとの単価傾向

インタースティシャル広告の単価は、配信先のプラットフォームや広告フォーマット、ターゲット設定などによって大きく変化するため、一様に相場感を捉えるのは困難です。

ただし、他の広告形式と比べると単価は高くなる傾向にあります。一般的なバナー広告でクリック単価が数円ほどで済んでいたケースでも、インタースティシャル広告になると単価が10円~20円ほどに膨らむ例も見られます。

またインタースティシャル広告のうち、Webサイトとアプリ向けの広告で比較すると、より収益性の高いアプリ向け広告の方が高単価になる傾向があります。

アプリのなかでも、とくにゲームアプリやエンターテインメント系のアプリは収益性が高く、単価も高くなりやすいでしょう。

一方、Webサイトの場合でも、金融やECなどのコンバージョン率が高い分野では比較的高い単価で取引される傾向が指摘されています。

その他、ターゲットユーザーの属性も単価や収益性に影響を及ぼす要因です。高所得層をターゲットにした広告や、BtoB関連の広告は、一般消費者向け広告よりも単価が高くなるケースがあります。

インタースティシャル広告とSEOの関係

インタースティシャル広告は高い広告効果が期待できる一方で、表示方法によっては広告掲載元となるサイトのSEOに悪影響を及ぼす可能性があります。

以下では、インタースティシャル広告に関するGoogleのポリシーをふまえ、SEOに配慮した広告運用のポイントを解説していきます。

Googleのインタースティシャル広告に対する考え方

Googleが検索順位を決定する際のアルゴリズムにおいては、「ユーザーがスムーズにコンテンツへアクセスできるか」が1つの評価基準とされています。

とくに2017年に行われたアップデートにより、「煩わしいインタースティシャル広告の制限」が導入されて以降、過度にユーザー体験を妨げるサイトにはSEO上のペナルティが生じるケースも出てきています。

とりわけ検索順位の低下を招く可能性のある広告として、Googleは以下のような例を挙げています。

・ユーザーがページを訪問した直後やコンテンツ閲覧中、画面を覆うように表示されるポップアップ

・画面全体を覆い、それを閉じないかぎり目的のコンテンツにアクセスできないような広告

・ファーストビューのほとんどを覆い、スクロールできないような印象を与えるような広告

(参照:Google 検索セントラル ブログ|モバイル ユーザーが簡単にコンテンツにアクセスできるようにする

このように、Googleはユーザーの利便性を最優先としているため、ユーザーの快適な閲覧環境を妨げる広告はサイトの評価を下げる要因となるのです。

SEOに配慮したインタースティシャル広告の適切な運用方法

インタースティシャル広告はSEOに悪影響を及ぼす一方で、検索順位を決定する複数要因のうちの1つに過ぎない面もあります。つまり、ページそのものがユーザーにとって有益な内容を含んでいれば、依然として上位表示は期待できるのです。

この際、検索順位の低下を避けつつインタースティシャル広告を運用していくには、以下のような点に注意することが重要です。

■コンテンツの閲覧を妨げない広告の配置を考える
広告を表示するタイミングは、「ユーザーがコンテンツにアクセスする前」ではなく、ユーザーの意識の流れに沿って表示するようにしましょう。たとえばページの遷移時や、ユーザーが一定のアクションを完了した際などが考えられるでしょう。

■閉じるボタンを明確に設置する
誤クリックを誘発しないように、適切な位置に「×」ボタンを見やすく配置することが重要です。動画広告においても、広告を簡単に中断できるようにすることで、ユーザーのストレスを軽減でき、サイトの滞在時間を延ばすことにつながります。

■適切な表示頻度を設定する
同じユーザーに短時間で複数回広告を表示すると、ユーザーの離脱率が上がり、SEOにも悪影響を及ぼす可能性があります。1セッション内で1回までの表示に制限するなど、ユーザーの負担を軽減する工夫が大切です。

インタースティシャル広告を出稿する際のポイント

インタースティシャル広告は高いクリック率が期待できる反面、SEO面で不利に働く可能性や、ユーザーからネガティブなイメージを抱かれてしまうリスクもあります。

以下では具体的に、ユーザー体験を損なわずにインタースティシャル広告を活用するためのポイントを解説していきます。

広告フォーマットの最適化

インタースティシャル広告には、静止画や動画のほか、プレイアブル広告などさまざまなフォーマットがあります。まずは広告の目的やターゲット層を明確にしたうえで、最適なフォーマットを選ぶことが重要です。

たとえばブランドの認知度を高めたい場合は、シンプルなメッセージを伝えやすい静止画形式や、ブランドイメージを反映した動画形式などが適しているでしょう。

またゲームアプリなどでは、ユーザーが実際に広告内で簡単な操作を体験できるプレイアブル広告を採用すると、エンゲージメントの向上が期待できます。自然にユーザーの興味を引き出すことで、不快感やストレスを軽減していく視点も重要です。

適切なターゲティングとパーソナライズ

優れた広告クリエイティブを作成しても、関心の薄いユーザーにばかり広告を表示していると、クリックやコンバージョンにはつながりにくいでしょう。広告効果を最大化するうえでは、的確なターゲティングが重要になります。

たとえばECサイトであれば、過去に特定の商品を閲覧したユーザーに関連する広告を表示し、購入意欲を刺激する方法が考えられるでしょう。

このように、「過去の検索履歴や購買履歴」をもとにしながら、関連性の高い広告を配信していく視点は非常に重要です。自社のターゲットとなる層の具体的な行動パターンを分析しながら、ターゲティング設定に反映していきましょう。

A/Bテストの実施

クリエイティブや配信方法を最適化するには、継続的なA/Bテストが欠かせません。

同じ内容の広告でも、背景色やフォントの変更だけでクリック率が変わるケースも見られます。また、広告を表示するタイミングの調整により、ユーザーの離脱率が変化する例も少なくありません。

広告のデザインや表示タイミング、ターゲット設定を少しずつ変えながらテストを行い、最も効果の高いパターンを採用していきましょう。

まとめ

インタースティシャル広告は、ユーザーがWeb上のコンテンツにアクセスした際に「画面全体を覆う形で表示される広告」であり、視認性による広告効果の高さを特徴としています。

一方で、ユーザーが「見ようとしているコンテンツ」の間に広告が挿入されるため、少なからずストレスを生むリスクも考えられます。ユーザー体験を損なうという観点から、Googleによる評価が低下する可能性もあるでしょう。

そのためインタースティシャル広告を出稿する際は、閉じるボタンをわかりやすく配置するなど、ユーザーのストレスを最小限に抑える観点が重要です。また出稿先のプラットフォームやターゲット設定を最適化することで、高いパフォーマンスが期待できるでしょう。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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