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取材の準備と本番における注意点とは?〜準備から取材に臨むまで〜【取材ライターへの道 Vol.2】

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ライターでありながら取材記事を書いたことのない滿留(みつどめ)が、先輩の浦田さんにインタビューの心得を教わる全4回の特集「取材ライターへの道」。

第1回の前回は、取材依頼の方法について学びました。対象の決め方から依頼の仕方まで教わり、最後は実際に取材依頼書とメールを作成してみたのでした。

■第1回の記事はこちら↓

第2回の今回は、取材の準備と本番の注意点を学んだうえで、いよいよ浦田さんへのインタビューに臨みます。

取材直前のリサーチが記事のかたちを決める

SUNGROVE編集部 ライター 浦田みなみ(画像左)、SUNGROVE編集部 ライター 滿留 悠平(画像右)
SUNGROVE編集部 ライター 滿留悠平(以降、滿留):
取材直前にもリサーチをしたほうがいいと聞いたんですけど、取材依頼書をつくる際のリサーチとどう違うんですか?
SUNGROVE編集部 ライター 浦田みなみ(以降、浦田):
取材依頼書をつくるときは、企画を立てるためにリサーチします。どういう層をターゲットにしてどういう記事をつくるのか、方向性を定めるために活用するイメージだね。たとえば、いま産休に入ってる方をターゲットに定めてリサーチした結果、育休が取りやすい会社の代表にインタビューする企画や、育児に関わるプロダクトをつくってる会社に取材する企画につながる、みたいな感じです。

それに対して取材直前のリサーチは、記事の構成をより具体的に練るためのリサーチ。読者にどう読んでもらって、どう驚いてもらって、どう感動してもらうのか、細かいところまで決めるんです。そこが決まれば、質問もそれに沿ったものを用意しておけるよね。

私の場合は、取材依頼書をつくるときにリサーチした内容を活かしつつ、まずは質問をたくさん挙げて、それを吟味して削って、最終的に残った質問から記事の輪郭をはっきりさせる、みたいな流れでやっています。前回リサーチした内容を取材依頼書に凝縮したのと同じく、今回リサーチした内容は取材当日の質問に凝縮するように。
滿留:
「どういう話をしてもらいたいか」の部分を深める感じですね。リサーチの方法にはどんなものがありますか?パッと思い浮かぶのは、対象の会社や相手についてWebで検索する方法なんですけど……。
浦田:
基本はWeb検索だね。もちろん、本を出してる人だったらそれを読むのがベターです。

取材するのであれば、とにかくその人の一番のファンになったつもりでリサーチしてください。どこから質問が湧いてくるかわからないので、出ている情報はすべて飲み込むつもりでね。

取材相手の方がSNSを活発に動かしてるなら、そこから人となりをつかみやすいと思います。どこかの野球チームのファンだとか、いま子供が何歳だとか、一見すると取材に関係なさそうな内容も、インタビューを盛り上げるために役立つことがあるから、無駄なリサーチはないと思うよ。
滿留:
取材直前のリサーチによって、取材依頼書の方向性を変えたくなっちゃうことはないんですか?
浦田:
それはないかな。というか、あったらいけないと思ってます。相手も、事前に送った取材依頼書の内容に沿って準備してくれてるだろうし。最初からしっかりリサーチして、方向性だけはブレないようにしてください。
滿留:
取材相手の方が過去に他社からもインタビューを受けていた場合、その記事も読むんですか?
浦田:
もちろん読むよ。既存の取材記事を読むことで、「こう尋ねたらこう答えてくれそうだな」っていうのが見えてくるんだよね。それをもとにして「こういう答えが欲しいから、こういうふうに尋ねよう」って作戦を立てることもあります。
滿留:
相手を知ることに役立てるんですね。ちなみに、既存の取材記事とは内容が被らないようにするんですか?
浦田:
あえて外そうとは思わないかな。記事に必要な内容が被ることはあるからね。
滿留:
「ここで差別化を図ろう!」みたいなことも特に考えないですか?
浦田:
差別化は図ったほうがいいけど、それを目的にしちゃうと記事が読者の求めてない方向に進んでしまう可能性があるから、あくまで読者の求めている内容、読者に読んでほしい内容を念頭に置いて、差別化は可能な範囲で図りたいね。
滿留:
差別化を重視するあまり、本来の目的から遠ざかってしまったり、軸がブレてしまったりしちゃいけないってことですね。他の取材記事を読んだときに新しい発見をすることもありますか?自分が思い浮かばなかったアプローチとか、予想してなかった質問とか。
浦田:
それは往々にしてあります。だからといって、焦らなくても大丈夫。「なるほど、このメディアはこういう特徴があるからこういう聞き方をするんだな」って感じながら学びにして、「じゃあうちはここを強みにしてるからこういう聞き方だな」みたいに活かすのが一番いいと思う。

取材相手に寄り添った配慮が大切

滿留:
取材にあたっての注意点にはどんなものがありますか?
浦田:
まずはやっぱり身だしなみかな。これはまあ、正解がない部分でもあるんだけどね。メディアによっては「絶対にジャケット!」って決まってることもあるし。ちなみに私は、清潔感さえあれば好きな格好をするのが一番だと思ってます。

相手に不快感を与えないというのはマストだと思うので、髪がボサボサだったり、服にシワやシミがついてたり、強い匂いを発してたり、露出度が高かったり、極端に奇抜なファッションだったり、不快に思われかねない格好は避けたほうがいいと思います。

靴にも注意が必要だね。日本では勤務時にサンダルNGの会社も少なくないから、そのマナーに則って、サンダルは選ばないのがベターです。取材先が法人であれ個人であれ、相手に適した格好が理想です。
滿留:
取材相手に適した身だしなみかどうかって、どうやって判断したらいいんでしょうか?
浦田:
リサーチしていくなかで見えてくることはあるね。過去のインタビュー記事とか。

取材先によっても予想できます。たとえば、古着屋さんに取材しにいくのであれば、スーツより古着を着ていったほうが絶対に溶け込めるよね。話が弾むきっかけになるかもしれないし。

道場とかヨガスタジオに取材するなら、畳や床にそのまま座る可能性もあるから、スカートよりパンツスタイルがベターですね。
滿留:
なるほど!取材相手を知ることで予測できそうですね。他に注意点はありますか?
浦田:
文字起こしするときのためにも、取材中、自分の声が相手の声に絶対被らないようにしてください。最近のレコーダーにはうまく録音してくれるものも多いけど、念には念をってことで。
滿留:
もし取材相手の方の声が小さめだったり、少し早口だったりして聞き取りづらい場合はどうしてますか?
浦田:
相手が早口だったらゆっくり喋って誘導してみるし、小声だったら大きい声で喋って誘導してみますね。結局折れちゃうこともあるけど(笑)。

インタビューにおいては対話することが一番大事なので、もし相手が緊張のせいで早口や小声になってるようだったら、全く関係ない話をしてアイスブレイクしたり、相槌を大きめに打ったりして、緊張をほぐしてみるのもいいと思う。よりよい記事を目指すにあたって、相手に合わせて柔軟に対応することは大切です。
滿留:
たしかに、緊張がほぐれている状態のほうがたくさん喋ってくれそうですもんね!ちなみに、インタビューのときってメモはとってますか?
浦田:
私は基本とってないね。とってたときもあったけど、メモに集中しすぎて相槌が遅れたことがあって。いまはもう、レコーダーという文明の利器に任せてます(笑)。余裕があるようならもちろん、メモは取ったほうがいいと思うけどね。

それとなにがあるかわからないから、レコーダーは2つ以上用意しておいたほうがいいと思う。私は、ボイスレコーダーとスマートフォンのボイスメモ機能を併用しています。
滿留:
はじめて取材する人が陥りそうな失敗はありますか?実体験にもとづいたものでもいいんですけど……。
浦田:
私の場合、はじめて取材するときは緊張しすぎて、事前に用意した質問をするのが精一杯でした。相手の返答に合わせて話を膨らませることができなくて、同行してた上司がすごいフォローしてくれたんだけど、ただただパニックになってた記憶がある(笑)。やっぱり、最初は緊張すると思うよ。
滿留:
はじめての取材にあたって不安なことはいろいろあるんですけど、特にマナー面が不安なんですよね。これまであまり気にする機会がなかったので……。
浦田:
そうですね、録音するときに「録音してもいいですか?」は必ず聞いてください。NGっていわれることはほとんどないと思うんだけど、念のために。

コロナ禍では、マスクを外してもらえるかどうかも聞いたほうがいいですね。記事に入れる写真のことを考えると、表情を隠してしまうマスクは外してもらったほうがありがたいんだけど、相手によってはNGのこともあるから。NGだった場合には、せめて記事のサムネイルを撮影するときだけでもマスクを外してもらえないか交渉してみてください。それも難しそうなら、いさぎよく引きましょう。

少しの工夫が取材をより充実したものに

滿留:
取材の尺はいつも意識してるんですか?盛り上がりすぎて想定の時間を超えちゃうこともありますか?
浦田:
尺は一応意識してるんだけど、それよりも空気感を大事にしてるから、盛り上がって超えちゃうことはありますね。相手がたくさん喋ってくれるのはありがたいし、ある程度はしょうがないかな。

もちろん、相手に迷惑をかけていないことが前提です。予定の時間内で終えられるに越したことはないから、忙しい合間を縫って時間を設けてくれている場合は特に、タイムキープも重要な役目です。
滿留:
聞きたかったことが全部聞けなかった経験もありますか?
浦田:
あるよ。そのときは、絶対に聞きたかったことはすでに聞けてたから問題なかったけどね。インタビューで時間が足りなくなることも想定して、事前に質問の優先順位を決めておいたほうがいいと思います。記事化するときに順番を入れ替えてもいいから、聞きたいことを重視して聞くように。
滿留:
記事の流れよりも、聞きたいことを優先したほうがいいってことですね!絶対に聞きたかったことを聞けないで終わっちゃうのが一番つらいですもんね……。

前もって考えてきた質問とは別に、その場で思いつく質問も結構ありますか?
浦田:
話の流れでってことだよね?よくあります。「それってつまりどういうことですか」とか「具体例ありますか」とか。取材中は常に、これも記事に入れられそうかな〜って考えながら喋ってます。
滿留:
臨機応変な対応ができれば、より動きのある記事にできそうですね。最後に、浦田さんの取材当日のルーティンみたいなものがあれば教えて欲しいです。
浦田:
ルーティンという意味では、取材前の最終リサーチはインタビュー当日にするようにしてます。私の場合、記憶力に不安があるから(笑)。だから取材も、もちろん相手の予定が最優先なんだけど、調整できそうなときは午後に入れるようにしてます。当日までに聞きたいことが浮かんだら、どこかにメモしとくけどね。
滿留:
僕だったら緊張して、依頼書にOKもらったその日に最終のリサーチしちゃいそうです……。でもやっぱり、雑談に使えるネタなんかは直前にリサーチしたほうが忘れにくいような気がします。
浦田:
そうそう。あとは、取材依頼書を送ったあとで新規事業のリリースとか最新情報が出ることもあるんだよね。
滿留:
なるほど!それは確かに。
浦田:
直前に最終リサーチしたら、「昨日こんなリリース出してましたよね」みたいなこともいえるかもしれないよね。まあ心配なら、依頼書にOKもらった日と直前で2回リサーチしてもいいと思います。
滿留:
そうですね、まさに2回やっちゃいそうです……。

いよいよ浦田さんへのインタビューへ

浦田:
今回は、取材の準備と本番の注意点について解説しました。では、今回の内容と前回つくってもらった取材依頼書をふまえて、さっそく私をインタビューしてもらいましょうか!
滿留:
いよいよですね、頑張ります!

※実際の取材記事は当特集の第4回で公開します

相手への「最大級の敬意」がいい取材をつくる

今回最も印象に残ったのが、浦田さんの「取材するのであれば、とにかくその人の一番のファンになったつもりでリサーチしてください」という言葉でした。たしかに、「一番のファン」になることの大切さは、教わった内容のあちこちからうかがえました。

一番のファンであれば、相手のことをすみずみまでリサーチしたいと思うでしょう。相手が不快にならないよう身だしなみに気を遣うでしょうし、緊張していたらほぐしてあげたいと思うはずです。

その気持ちは取材相手に対する最大級の敬意であり、愛です。「この方、この会社のよさを多くの人に知ってほしい」というまっすぐな思いは、入念な取材準備や、相手への配慮におのずとつながっていくでしょう。相手のことを誰にも負けないくらい「推している」人こそが、内に秘めたほんとうの魅力を引き出せるのかもしれません。

次回は、取材内容を記事化するときのポイントについて聞いていきます!

■次回記事はこちら↓

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この記事を書いた人

滿留悠平
一男一匹の父。大学で比較文学を専攻し、論文集への掲載を経験。IT企業のシステム講師を務めたのち、ライターとしてふたたび文章の世界へ。座右の銘は「謙虚に貪欲に」。薬機法管理者。コスメ薬機法管理者。

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