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集客には「紹介キャンペーン」が効果的!成功事例から学ぶ割引施策のポイントは?

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現在ではSNSの普及やWeb広告の発展などを背景に、効果的な集客方法が数多く実践されています。

さまざまな集客方法のなかでも、新規顧客を獲得する際には「不特定多数へのアプローチ」に意識が向きやすいものです。しかしその一方で、既存顧客の友人や家族など「顔見知りの関係」から顧客を発掘する「紹介キャンペーン」にも大きなメリットがあります。

この記事では、紹介を通じた集客方法について、重要性や成功事例をふまえ、キャンペーンを実施する際のポイントを解説していきます。

紹介キャンペーンとは

紹介キャンペーンとは、事業者が既存の顧客から、友人や家族など身近な存在を「新たな顧客」として紹介してもらうマーケティング手法です。

一般的に、事業者は「紹介してくれた既存顧客」と「紹介された新規顧客」の双方に対し、紹介制度の「特典」を付与します。

特典の内容としては、商品・サービスの割引や、クーポン券といった金銭面での優遇のほか、関連商品・サービスの無料試供など「体験の機会」を与える措置など、さまざまなケースが挙げられます。

こうした紹介を通じた集客は「リファラルマーケティング」とも呼ばれ、近年では実店舗はもちろんオンライン上のサービスなど、業界・業態を問わず取り入れられている手法です。

紹介キャンペーンによる集客がなぜ重要か

紹介キャンペーンは業種や事業規模を問わずに実践できるため、非常に汎用性の高い集客方法だといえます。さらに以下に示すように、キャンペーン内容を工夫することで「費用対効果」や「マーケティングの確度」の面でも優れた施策になりうるでしょう。

情報の信頼性が高い

マスメディアやSNSなどで情報が氾濫している現在、消費者は「何を買うか」を決める際にも無数の情報から「信頼できるもの」を選ばなければいけません。

そうしたなか、「誰が発信しているか」が見えにくい情報よりも、「親密な関係にある友人や家族」による情報を信頼する消費者は多いといえます。

マーケティングリサーチ会社の株式会社アスマークが実施した「情報取得に関するアンケート調査」においては、信頼できる情報源についての質問項目でトップに挙げられたのは「友人・知人・家族」であり、約4割を占めました。

(参照:市場調査・マーケティングリサーチ会社のアスマーク|情報取得に関するアンケート調査

このように、「信頼性の高い相手からの紹介」は、実際の購買行動にも影響を及ぼしやすいと考えられます。

「既存顧客に似た顧客」を獲得しやすい

自社の商品・サービスを周りの人に紹介してくれる顧客は、自社に対する愛着(=ロイヤルティ)が高い傾向にあるといえます。そのような顧客が普段交流している人々は、「属性」や「ニーズ」の面でその顧客と共通する点をもっているケースが少なくありません。

たとえば趣味に関する商品・サービスであれば、既存顧客が属している趣味のサークル内で波及効果が期待できるなど、紹介キャンペーンは「既存顧客と関心領域や消費性向の近い人々」に対する効果的なアプローチになりうるのです。

集客コストを抑えられる

広告を通じた集客に比べ、コストを抑えられるのも紹介キャンペーンのメリットでしょう。現在ではWeb広告をはじめ、費用対効果を調整しやすい媒体が増えてはいるものの、やはり「効果的な施策を打ち出せず、広告費の回収に苦労する」というリスクも考えられます。

紹介キャンペーンの場合、顧客獲得において生じるコストとしては、「割引キャンペーンによる顧客単価の低下分」や「キャンペーン利用者へのプレゼントのコスト」などが挙げられます。

こうした費用はいずれも「実際に新規顧客が獲得できた場合」に生じるものですから、「かけたコストが効果につながらない」というリスクを防ぐことができます。集客コストのロスを抑えられる点で、紹介キャンペーンはコストパフォーマンスに優れた施策といえるでしょう。

SNS上での拡散効果

SNSが普及する以前であれば、紹介キャンペーンが効果を及ぼす範囲は「既存顧客の身近な人間関係」に限られ、効果が限定的になる傾向があったといえます。一方で現在では、SNSなどを通じて飛躍的に効果が波及するケースも少なくありません。

こうした環境の変化によって、消費者は居住エリアにかかわらず紹介キャンペーンを利用できるようになりました。つまり実店舗をもつ事業者はもちろん、ECサイトを主な販売チャネルとする事業者にとっても、紹介キャンペーンの効果が期待できるのです。

紹介キャンペーンによる集客が成功する条件

紹介キャンペーンが実際に大きな成果をもたらしているケースには、「ある共通点」が見られます。以下では具体的に、紹介キャンペーンによる集客が成功しやすい条件について解説していきます。

ロイヤルティの高い顧客がいる

紹介キャンペーンが成功する前提として、「自社の商品・サービスを気に入っている既存顧客がいる」ことが挙げられます。

本当に気に入っている商品やサービスについて、「ほかの人にも教えてあげたい」と考えるのは自然な感情であり、そうした親切心は相手にとっても「信用できる情報」になりやすいでしょう。

さらに、ロイヤルティの高い顧客は商品・サービスに対する理解も深い傾向にあり、アピールポイントを的確に伝えてくれる可能性もあります。また、確度の高い潜在顧客を複数紹介してくれる場面もあるかもしれません。

こうした点をふまえると、紹介キャンペーンを実施する際には、まずブランドや商品・サービスの「ファン」がどれだけいるのかを把握しておきたいところです。オンライン・オフラインを問わず、リピート率をはじめとする顧客の消費行動データを分析し、固定客やコアなファン層の存在を確認しましょう。

紹介する人、される人の双方にメリットがある

実際に既存顧客から「紹介」という行動を引き出すうえで、「特典」の存在は欠かせません。紹介者に対する特典はもちろん、紹介される側の特典を工夫することも重要です。

既存顧客が自社の商品・サービスを気に入っていたとしても、それを他人に紹介する際には「気に入らなかったらどうしよう」といった心理的ハードルが生じるものです。「自分の紹介で、相手にお金を払わせること」に責任を感じ、紹介を躊躇してしまう可能性も考えられます。

そうした点で、「紹介される側へのメリット」が大きなキャンペーンは、紹介される側の利用を促進することはもちろん、紹介する側の心理的ハードルを下げる効果も期待できるでしょう。双方にとって明確なメリットのある紹介キャンペーンにより、「勧めたい気持ち」を後押しする工夫が大切です。

商品・サービスのターゲットが明確

紹介される商品・サービスのターゲットが明確であるほど、紹介者は他人にそれを勧めやすくなります。ターゲットが抱える「悩み」や「課題」に的確にアプローチできる商品・サービスであれば、「誰に勧めればいいのか」もわかりやすいため、紹介の輪が広がりやすいのです。

たとえば「高偏差値校の受験ではなく、学校の勉強をフォローすることに特化した進学塾」であれば、「わが子の学校の成績をどうにかしたい」「なんとか公立校に入れたい」と悩む保護者に対し、既存生徒の保護者がその塾を勧めるといったケースが考えられます。

このように、ターゲットやコンセプトが明確であることで、「勧めるべき相手」がわかりやすくなり、紹介キャンペーンの効果も波及しやすくなるといえます。

紹介キャンペーンの成功事例

従来、紹介キャンペーンは「実店舗のある事業者」によって多く実践されてきた施策だといえます。しかしWeb上で双方向的なやりとりが手軽にできる現在では、オンラインを主戦場とする事業者も紹介キャンペーンを取り入れるケースが数多く見られるようになりました。

以下では実際に、オンライン・オフラインを問わず、紹介キャンペーンを効果的に実践している事例を紹介していきます。

ディノス

株式会社DINOS CORPORATIONが運営するECブランド「ディノス」は、紹介を通じたユーザー登録によってクーポンを発行するキャンペーンを実施しています。

具体的には、登録した新規ユーザーに3,000円分、新規ユーザーが実際に買い物をすることで紹介したユーザーにも3,000円分のクーポンを配信(2024年6月現在)。紹介方法は、LINE、メール、電話のいずれかを通じて行う形式です。

このうち、とくにLINEを通じた紹介は、フォーム入力から新規ユーザーへのメッセージ送信までをシームレスに行えるため、ユーザーにとって利用しやすいキャンペーンだといえます。

事業者側にとっても、LINE上の友だち登録により顧客とのタッチポイントを増やし、その後のリテンションなどに活かせるメリットがあるでしょう。

(参照:ディノス|お友達紹介キャンペーン

Uber Easts

新規性の高い商品・サービスを市場に普及させていく段階においては、まず「消費者にそれがどういうものかを知ってもらう」ことが必要です。その際、紹介キャンペーンは「認知拡大」と「実際の利用体験の促進」という両面的な効果が期待できる施策だといえます。

たとえばUber Eatsは、同サービスをまだ使ったことがない人への紹介により、紹介者と紹介された側の双方に割引クーポンを配信しています。

紹介された側には「1,500 円以上の注文で1,300 円引きのクーポン」を配信し、高い割引率を実現することで、新規顧客に「慣れないサービスを試しに使う機会」を与えているのです(2024年6月現在)。

(参照:Uber Blog|【中級者編】Uber Eats のお得な「お友達紹介プログラム」

その他、Uber Eatsは人材募集においても紹介制度を活用しており、新たに配達パートナーを紹介した既存のパートナーに対して追加報酬を与えるシステムを実施しています。

プラットフォームを介してオンデマンドで業務を請け負う「ギグワーカー」という働き方の普及という面でも、この施策は小さからぬ役割を果たしていると考えられます。

(参照:Uber|How Referrals Work for Delivery People

このように、新しいビジネスモデルを世間に定着させていく際、紹介キャンペーンによる認知拡大や利用の促進は非常に効果的な施策だといえるでしょう。

TIPNESS

株式会社ティップネスが運営する「フィットネスクラブ ティップネス」は、紹介制度として「友割」というキャンペーンを用意しています。具体的には、紹介した側・された側の双方に、3ヶ月間にわたって利用料金を1,100円ずつ割り引く施策です(2024年6月現在)。

キャンペーンの利用は店頭のほか、LINE上で紹介状を発行する形式にも対応しています。顧客との接点を増やしつつ、3ヶ月という期間を定めることで、継続的な利用を促進している点が特徴です。

フィットネスクラブのように、実店舗におけるサービス提供が主となる事業においては、紹介制度が直接的な集客効果につながりやすい面があるでしょう。「趣味や習慣を新しく始める」ことの心理的ハードルを下げる意味でも、「友人と一緒に通う」というスタイルを後押しするキャンペーンは有効だといえます。

(参照:フィットネスクラブ ティップネス|友割

Dropbox

アメリカ合衆国のDropbox, Inc.が運営するオンラインストレージサービス「Dropbox」は、既存ユーザーが新規ユーザーをDropboxに招待することにより、双方のユーザーに無料でストレージ容量を追加するサービスを展開しています。

無料アカウントのDropbox Basicでも、1人紹介するごとに500 MB、最大16 GBの容量が追加され、有料アカウントにおいてはさらに追加分が大きくなるという施策です。紹介された新規ユーザー側には、アカウント種別に関わりなく500MBの容量が追加されます(2024年6月現在)。

招待の方法は、招待リンクの共有か、招待メールの送信という簡易的な方法であり、ユーザーにとって利用しやすくメリットの大きいキャンペーンとなっています。事業者側にとっても、コストを抑えつつプラットフォームの利用を効果的に促進できる施策といえるでしょう。

(参照:Dropbox ヘルプ|Dropboxにお友達を紹介して追加容量を獲得

紹介キャンペーンで集客を成功させるポイント

紹介キャンペーンを実施したとしても、特典やシステムを適切に設計しなければ、思うような効果につながらない可能性もあります。以下では具体的に、紹介キャンペーンを実施するためのポイントや注意点について解説していきます。

紹介キャンペーンに気づいてもらう

既存顧客が自社の商品・サービスを気に入っていても、紹介キャンペーンの存在を認知していなければ、実際の効果にはつながりません。実店舗であれば店頭POPやレジカウンターなど、顧客の動線と目線を意識しながら、目に付くところにキャンペーン情報を掲示していく必要があるでしょう。

Web上においても、WebサイトのCTAや、SNSの固定投稿など、目立つ箇所に情報を表示することが求められます。

割引以外の特典も用意する

割引キャンペーンなどの金銭的な特典は、新規顧客に対するメリットが目に見えやすく、短期的な誘引効果につながりやすい面があります。

一方で、「お得感」のみに焦点を当ててしまうと、継続的な利用が見込みにくい顧客を多く誘引し、一時的な効果に留まってしまう可能性もあるでしょう。

とくにSNSなどで不特定多数に向けて情報を発信する場合、拡散効果が期待できる反面、キャンペーンやセールなど割安商品のみを購入する「チェリーピッカー」が増加するケースも考えられます。

こうした状況を防ぐため、紹介キャンペーンを実施する際は、金銭面以外に「その商品・サービスに対する理解を深められる内容」の特典を用意しておきたいところです。

たとえば上記の例に挙げたDropboxは、「ストレージ容量の追加」というサービスの利用を促進する内容になっています。サービスの無料期間を増やしたり、異なる商品の試供品を付属させたりなど、特典が「体験の機会」となるような工夫が重要です。

「紹介の手間」がかからないキャンペーンを

キャンペーン内容が魅力的でも、特典を得られるまでに必要な作業が多くては、実際に制度を利用する人が少なくなる可能性があります。

フォーム入力の手間を簡略化したり、LINEなどアプリ上ですべての手続きを済ませられる仕組みを用意したりと、利用者のストレスを減らす工夫が大切です。

また、キャンペーンの参加条件や特典の付与条件などについても、あまり複雑にならないようにしたいところです。但し書きが多いキャンペーンは、「ちゃんと理解しないと特典が受け取れないのでは」「自分は対象にはなりそうにない」といった心理につながり、機会損失をもたらすリスクがあるでしょう。

データによる効果測定を欠かさない

紹介キャンペーンを通じて継続的に成果をあげるには、施策による効果をデータから検証していくことが求められます。施策前後での売上面の変化はもちろん、顧客単価や利益率の変化にも注目し、「ビジネスとして成立しているか」を確認していくことが大切です。

さらに、キャンペーンを通じて獲得した顧客のリピート率など、顧客ロイヤルティの観点からデータを分析していくことも重要でしょう。

まとめ

紹介キャンペーンは既存顧客の友人や家族など「親しい間柄」の人物を新規顧客として紹介してもらう集客施策です。オンライン・オフライン問わず実践可能であり、コストを抑えながら「確度の高い潜在顧客」を獲得できるメリットがあります。

とくに商品やサービスの情報が氾濫している現在、「身近な人物からの情報」は信頼を得やすく、購買行動を左右するケースも少なくありません。信頼関係をベースとした取引はその後の継続にもつながりやすく、「自社を支えるコアなファン」を増やしていくうえでも重要な施策といえるでしょう。

紹介キャンペーンが成功する条件として、既存顧客が「ほかの人にも紹介したい」と思えるほど自社の商品・サービスに満足していることが挙げられます。そのうえで、魅力的な特典を用意し、利用しやすい仕組みを整えることにより、「いいものを人に勧めたい親切心」を後押しすることが大切です。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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