
Joomla!とは?機能やWordPress・Drupalとの違いを解説
WordPressでは物足りなさを感じて、他のCMSを探したことがある方なら、 「Joomla!(ジュームラ)」という名前を目にしたことがあるかもしれません。Joomla!は、WordPressやDrupalと並ぶ世界的に有名なCMSの1つです。多言語対応や高度な権限管理、自由度の高いカスタマイズ性など、中〜大規模サイトに特化したものとなっています。
本記事では、Joomla!とはどんなCMSなのかを初心者向けにわかりやすく解説しています。主な機能や料金・運用コスト、導入するメリット・デメリットやインストール手順、類似のWordPressやDrupalとの違いを紹介しています。CMS選びの参考にしてください。
目次
Joomla!(ジュームラ)とは?
公式:Joomla!
Joomla!(ジュームラ)とは、2005年にリリースされたPHPベースのオープンソース型CMS(コンテンツ管理システム)です。世界中で高い人気を誇り、WordPressに次ぐシェアを持つCMSの1つとされています。
とくに多言語対応や柔軟なモジュール設計に優れており、中〜大規模サイトの構築に最適です。アクセス元の言語を自動判別する機能も搭載されているため、グローバル展開する企業や教育機関などでの導入実績も豊富となります。有名どころだと、ハーバード大学、日本航空、三菱UFJモルガン・スタンレー証券などが導入しています。
2025年4月時点の最新バージョンは「5.2.5」。同年3月にアップデートされたばかりで、現在もほぼ毎月のペースで更新が行われています。高機能かつ拡張性に富んだCMSを無料で利用できる点が、Joomla!の大きな魅力と言えるでしょう。
Joomla!の主な機能
Joomla!の主な機能をまとめました。下記の機能のほかにも、サイト運営に必要なさまざまな機能が標準搭載されています。
- ブログ・記事作成
- メールフォーム機能
- ユーザー管理
- アクセス権コントロール
- 自動サイトマップ作成
- 多言語対応
- リダイレクト機能
- キャッシュ機能
- 操作ログ
- MVCフレームワーク採用
- マルチデバイス対応
そのほか、エクステンションという拡張機能を導入することで、ECや会員制サイトに必要な機能なども追加ができます。
Joomla!の料金プランと運用コスト
Joomla!は、ソースコードが公開されているオープンソース型なので、CMS料金は無料です。
代わりに、サーバー代やドメイン代、開発・保守にかかる「運用コスト」が別で発生します。以下は、運用コストの大まかな目安をまとめたものです。
レンタルサーバー費 | 約1,000〜5,000円/月 |
---|---|
ドメイン費用 | 約100〜300円/月 |
WAF・SSL導入費用 | 約1,000〜3,000円/月 |
外注した際の保守費用 | 約10,000〜30,000円/月 |
サイト規模や、自社開発か外注か、レンタルサーバーなどの種類によっても金額は変わってきます。あくまで目安として参考にしてください。
Joomla!のメリット

Joomla!の主なメリットをまとめてみました。
- オープンソースで誰でも使える
- 中~大規模サイトに最適
- 日本語に対応している
- ブロックエディターで直感的な操作が可能
- プラグインなしでも多機能
- 「エクステンション」導入で機能追加できる
- 特徴的なデザインテンプレートが多い
それぞれのメリットについて簡単に解説していきます。
オープンソースで誰でも使える
Joomla!は、ソースコードが公開されているオープンソース型なので、サーバーなどの環境を用意できるなら誰でも無料で使えます。導入コストが低めなので、費用を抑えたいという人にもおすすめです。
オープンソース型は、いろんな人が無料の拡張機能を作成して一般公開しているのもメリットと言えるでしょう。拡張機能で自分好みにカスタマイズできるのも魅力の1つです。
中~大規模サイトに最適
Joomla!は、ページ数・コンテンツ数に制限はありません。情報量の多いサイトや機能が複雑なサイトでも安定して運用できる設計になっているので、中~大規模サイトに最適です。
また、管理者や編集者をグループで管理できます。グループごとに閲覧のみ・編集者・公開など、細かい権限設定ができるので、大規模組織内での運用もしやすいでしょう。
日本語に対応している
Joomla!は多言語翻訳を売りにしているため、日本語にも対応しています。「Joomla! JAPAN」という、日本用の公式ブログもあるほどです。
なお、導入する際は、上記の日本サイトから「日本語パック」というものをダウンロードしましょう。管理画面などが日本語対応しているものとなります。
ブロックエディターで直感的な操作が可能
Joomla!は、バージョン4以降で「ブロックエディター」が採用され、従来よりも直感的なページ編集が可能になりました。 見出しや画像、文章などの要素をブロック単位で管理・配置でき、レイアウトの自由度が向上しています。WordPressの「Gutenberg」というブロックUIとは仕様が異なるものの、直感的な操作でページを組み立てられるでしょう。
もちろん、テキストエディター「TinyMCE4」も健在です。自分の使いやすいほうでコンテンツ作成してください。
プラグインなしでも多機能
Joomla!は、初期状態でも多くの機能が標準搭載されています。記事作成やタグによる管理はもちろん、アクセス制限、検索機能、多言語対応など、プラグインを追加しなくても基本的なWebサイトを構築・運用することが可能です。
WordPressのように「標準がシンプル機能→必要に応じて機能追加」というスタイルとは異なり、Joomla!はある程度完成されたCMSパッケージとして提供されています。そのため、プラグインの互換性トラブルやアップデートによる不具合を抑えたい場合にも、安心して利用できる選択肢と言えるでしょう。
「エクステンション」導入で機能追加できる
「エクステンション」という拡張機能を導入することで、自分好みにカスタマイズできます。2025年4月時点では、約70種類もの無料のエクステンションが公開されています。
AIチャットボットの導入、フォトギャラリー機能、飲食店メニュー機能、eコマース機能などを簡単に追加できます。そのほか、外部ツールとの連携もできるので、幅広い種類のサイトの構築が可能です。
特徴的なデザインテンプレートが多い
Joomla!は、無料・有料のデザインテンプレートが数多く提供されています。海外の洗練されたレイアウトやユニークなデザインが多いので、特徴的な見た目のサイトがとなるでしょう。CSSやJavaScriptの知見があるなら、さらにデザインをカスタマイズすることも可能です。
ただし、Joomla!向けのテンプレートは海外製が中心であり、日本語デザインや日本企業向けのテンプレートは少ないです。国内向けに使う場合は、英語ベースのテンプレートを調整するか、カスタマイズ前提で導入するケースが多くなります。
Joomla!のデメリット

ここでは、Joomla!のデメリットを4つ紹介します。
- 脆弱性の報告がやや多い
- 多機能で使いこなすのが難しい
- 日本語での情報が少ない
- 公式サポートがない
オープンソース型ならではの共通デメリットも含んでいます。それぞれについて見ていきましょう。
脆弱性の報告がやや多い
そもそも脆弱性とは、設計ミスやプログラムの不具合が原因で発生する「セキュリティ欠陥」です。Joomla!はソースコードがネット上に公開されているので、脆弱性の報告がされやすいです。「JVN iPedia」を使って調べてみたところ、2024年1月~12月の間で11件の報告が上がっています。
脆弱性を放置してしまうと、不正アクセスやサイト改ざん・乗っ取りなどのリスクが生じます。そのため、公式のバージョンアップを待つだけではなく、自分でセキュリティ対策をきちんと行っておいた方が良いでしょう。
多機能で使いこなすのが難しい
標準搭載されている機能が多いため、使いこなすには慣れが必要です。Webサイト構築・運用に慣れている人でないと、機能が多すぎて難しいと感じるかもしれません。そういう場合は、業務に必要な機能のみ覚えると良いでしょう。
日本語での情報が少ない
Joomla!は世界的には高い人気を誇るCMSですが、日本国内でのシェア率はまだまだ少ないです。そのため、日本語での解説記事や操作マニュアルが限られています。公式フォーラムや開発者向けドキュメントも基本は英語で提供されており、英語の読解力が求められるでしょう。
とくに初心者にとっては、エラー対応やカスタマイズ方法を調べる際に情報の少なさがハードルになる可能性があります。ただし、海外のユーザーコミュニティは活発なので、翻訳ツールを活用しながら情報収集できる人であれば十分に扱えるはずです。
公式サポートがない
オープンソースのCMSは、運営元のサポート窓口が原則ありません。トラブル対応や使い方の相談をしたい場合は、自力で調べる必要があります。どうしても自力で対処できない場合は、Joomla!に精通した開発会社やフリーランスに外注したほうが良いかもしれません。
Joomla!のインストール手順

Joomla!のインストール手順は、主に5ステップとなります。
- 手順①:新規用ファイルをダウンロード
- 手順②:サーバーにファイルをアップロード
- 手順③:ブラウザでインストール設定
- 手順④:Installationファイルの削除
- 手順⑤:管理画面の日本語化
簡単にJoomla!のインストール手順を解説していきます。
手順①:新規用ファイルをダウンロード

「Joomla! JAPAN」で、コアパッケージのダウンロード部分にある「新規インストール用」をクリックすれば、自動的にファイルがダウンロードされます。
手順②:サーバーにファイルをアップロード
次にFTPソフトを利用して、ダウンロードしたファイルをサーバーにアップロードしましょう。FTPソフトは、レンタルサーバー会社によってマニュアルが違います。公式の手順に従ってアップロードしてください。
手順③:ブラウザでインストール設定
アップロード完了後は、インストール画面にアクセスしてください。入力項目が順番に出るので、必要なものを設定すれば良いです。アクセスURLは、下記のようなものとなっています。
- http://www.ドメイン名/ディレクトリ名/joomla/
なお、データベース設定を行っていない場合は、レンタルサーバーの管理画面からMtSQLなどの設定が必要となります。
手順④:Installationファイルの削除
インストール設定が完了したら、サーバー上のinstallationディレクトリを削除してください。最新バージョンの場合は、インストール画面の一番最後のページで「Installationフォルダの削除」というボタンが表示されます。削除し忘れると、セキュリティ問題が発生してしまいます。
手順⑤:管理画面の日本語化

インストールが完了したら、次は日本語化を行いましょう。「Joomla! JAPAN」で、「日本語パック」をダウンロードしてください。ダウンロードが完了したら、Joomla!の管理画面を開き「Extensions→ Extension Manager」をクリック。Extension Manager画面の左メニューから「Install」を選択し、「Upload Package File」のタブを開きましょう。
その後、ダウンロードした日本語パックファイルをアップロード。アップロード完了後は、「Extensions→Language Manager」に進んでください。遷移先の左メニューにある「Installed – Administrator」をクリックし、日本語と表示がある部分の「Defalt」に星マークを付ければ、日本語に変換されます。
Joomla!・WordPress・Drupalの主な違い

Joomla!と同じ、オープンソース型CMSである「WordPress」と「Drupal」。いったい何が違うのか、困惑する人もいるでしょう。そこで、Joomla!・WordPress・Drupalの主な違いを簡単にまとめました。
Joomla! | WordPress | Drupal | |
---|---|---|---|
難易度 | 中級者向け | 初心者向け | 上級者向け |
運用コスト | 中(初期構築にやや技術が必要) | 低〜中(テーマ・プラグイン次第) | 高(保守・管理に手間がかかる) |
操作性 | 慣れが必要だが柔軟性あり | 直感的なUIで操作性が良い | エンジニア向けで難しい |
デザイン性 | テンプレート豊富・自由度が高い | テーマ数が豊富・カスタマイズ簡単 | 高度なデザインには技術力が必要 |
セキュリティ性 | 脆弱性の報告がやや多い | 脆弱性の報告が多い | 大規模機関向けで非常に強固 |
拡張性 | モジュール構成で拡張性がやや高い | ブラグインでの拡張がメインで普通 | 構築自由度が非常に高い |
多言語対応 | 標準対応 | プラグインで対応 | 標準対応 |
公式サポート | フォーラム・ドキュメントあり | 公式コミュニティあり | 公式コミュニティあり |
主な用途 | 多言語・会員制・中〜大規模の企業・団体サイト | 初心者のブログ、中小企業のWebサイト、EC | 政府機関、教育機関、大規模ポータルサイト |
WordPressは初心者向けで、Drupalはプログラミング知識がある上級者向けです。その丁度真ん中に位置するのがJoomla!となります。WordPressより機能が多く、Drupalよりセキュリティ性が低いCMSと覚えておくと良いでしょう。
Joomla!に向いているサイト・企業
Joomla!に向いているサイト・企業の特徴をまとめました。
- 中〜大規模サイトを構築したい
- 多言語対応や会員制サイトを作りたい
- 専任のWeb担当者や開発者がいる
- WordPressが物足りないと感じている
WordPressで物足りない、大規模サイトを構築したいと言った場合は、Joomla!への切り替えを検討してみるのもありです。
まとめ

Joomla!は、オープンソースでありながらも高機能・高拡張性を備えたCMSです。 多言語対応やアクセス制御、柔軟なモジュール設計などが標準機能として備わっており、中〜大規模のWebサイトを構築・運用したい方にとって非常に魅力的な選択肢となります。
ただし、情報の少なさや学習コスト、公式サポートの不在といった注意点は、導入前に理解しておいたほうが良いです。翻訳ツールを駆使できるのであれば、コミュニティを活用しながらJoomla!でサイト構築ができるでしょう。
WordPressやDrupalとの違いを踏まえたうえで、自社の目的や運用体制に合ったCMS選びを進めてみてください。
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