再注目されるライブコマース!その成功事例と最新動向を紹介
新しいショッピングの形として再注目を集める「ライブコマース」。コロナ禍でEC強化を図る企業にとって、非対面で臨場感のある接客販売のできるライブコマースは、選択肢の1つになるのではないでしょうか。
この記事では、ライブコマースの基礎知識や導入事例、メリットやデメリットなど、導入にあたって把握しておくべきことを、最新の動向と併せてご紹介したいと思います。
目次
ライブコマースとは
ライブコマースとは、ECサイトと動画配信の機能を融合させ、動画配信を見ながらオンラインで買い物ができる仕組みです。芸能人やインスタグラマーなど知名度の高い人がインフルエンサーとして起用されることが多く、広告と販売を同時に行うことができるのが特徴です。
システムとしては通販番組と似ていますが、店頭での実演販売をオンライン上で行うというイメージの方が近いと思います。
視聴者がリアルタイムで商品についての質問やコメントができるなど、買い手と売り手がコミュニケーションを取りながらショッピングをすることが可能です。
オンラインショッピングに臨場感が加わることで、消費者の購買意欲をより刺激できる手法となります。
「非接触の販売」「非対面の接客」として再注目
海外ではすでに人気に火がついていたライブコマースですが、国内では新型コロナウィルスの感染拡大を受け、再度注目が集まるようになりました。
実際に店舗に足を運ぶ以外の選択肢として、ライブコマースが買い手にも売り手にも受け入れられるようになったのです。オンラインですから、当然お客様と直接対面したり接触したりすることはありません。「新しい生活様式」に即した接客方法として、導入を検討する企業も増えてきています。
2020年GAFAのうち3社がライブコマースに関するサービスをリリース
ライブコマースが広まってきた理由として、その仕組みを支えるサービスが拡充してきたことも挙げられます。
2020年にはGAFAのうちGoogle、Amazon、Facebookの3社がライブコマース機能をリリースしました。世界経済をけん引するトップ企業がこぞって参加したことからも、その需要の高さがうかがい知れるでしょう。
ライブコマース配信サービス
国内でのライブコマースは一時下火になったこともあり、配信サービス、アプリから撤退した企業も少なくありません。メルカリやBASEなどはサービスを終了していますが、楽天が運営する「Rakuten LIVE」、SHOWROOM株式会社の「SHOWROOM」などがライブコマース配信サービスを展開しています。
そうした中で、今後特に注目すべきFacebook、Amazon、そしてGoogleの3社のサービスについて見ていきたいと思います。
Facebook/Instagram「ライブショップ機能」
Facebookは、2020年5月にFacebookとInstagramの両方でライブショップ機能を追加しました。Facebookにはもともと「ショップ機能」があり、Facebook上でオンラインショッピングができるようになっていました。
ライブショップ機能が追加されたことでそれがさらに進化し、注目を集めています。利用には一定の条件を満たすこと、Facebookから承認がおりることが必要ですが、無料で利用できるため「とりあえずやってみたい」という人でも始めやすいでしょう。
Amazon Live
Amazonは、2017年にはすでにインフルエンサーとタッグを組んで商品の宣伝、販売を行うサービスをリリースしていました。2020年7月のアップデートでここにライブ機能が加わり、より商品を宣伝しやすいサービスが実現したのです。
Amazonで取り扱っている商品であればすべて取り上げることができるため、さまざまなジャンルの商品の情報をまとめて消費者に紹介できるのが特長です。例えば、美容家電を紹介している動画の関連商品として話題になっているコスメを紹介するといったことが可能です。
ちなみに、インフルエンサーは紹介した商品が売れた場合紹介料を受け取ることができます。まだ日本ではリリースされていませんが、今後ライブコマースの需要が高まっていけば日本でも利用できるようになるかもしれません。
Google shoploop
2020年7月にGoogleがリリースしたのがShoploopです。これは「商品を見つける」「クチコミを確認する」「購入する」という消費者の一連の行動をひとつのプラットフォームで完結させることを目標に作られたサービスです。
最大の特徴は、商品紹介動画が最大でも90秒に制限されている点で、他のライブコマース配信サービスとは一線を画します。チャットなどでインフルエンサーとコミュニケーションが取れる点は同じですが、時間が制限されていることで情報が凝縮、洗練されており、消費者がよりスムーズに買い物ができるようになっています。
日本のライブコマース市場
日本においては、2017年ごろからライブコマース配信サービスが徐々に展開されてきています。しかし、広く浸透しているとはいえず、2018年に実施されたマクロミルの調査によれば、15~49歳の男女の中での認知率は約30%でした。
実際に視聴したことのある人は約41%、購入したことのある人は約14%と、決して大きい数字とはいえません。サービスが展開されているとはいえ、市場規模についてはまだまだ小さいといえるでしょう。
しかし、実際に利用した人の中で「今後もライブコマース配信サービスを使って買い物をしたい」と考える人が約85%いることもわかっています。また、新型コロナウィルスの感染拡大による自粛生活の中でその画期性に注目も集まっており、テレビなどで取り上げられる機会も増えました。
「新しい生活様式」が求められる社会にあっては、市場がどんどん大きくなるであろうことが期待されます。
ライブコマースのメリット・デメリット
ライブコマースのメリットは、何といってもその即時性です。商品を消費者に見せながら、質問に答えたりコメントを返したり、実際の店舗で行われるような接客を展開できます。
自分で質問をしなくても、他の人の質問を見て購入をするかしないか考えることができるのも、消費者にとってはメリットといえるでしょう。文字情報だけでは伝えきれない商品の詳細情報を伝えることができ、消費者の購買意欲を刺激できます。
一方、生配信だからこそのデメリットもあります。まずは消費者に見てもらわないことには売上に繋げられないですから、十分な告知が必要です。「〇月〇日、ライブ配信します!」という情報をSNSなどで事前に知らせる必要があり、その手間がデメリットといえるでしょう。
また、商品をよりきれいに見せたいなら撮影設備などの準備も必要になり、コストもかかります。
ライブコマースに取り組む国内企業の成功事例
海外では大幅な売り上げアップに繋がった事例も多いですが、ここでは国内でライブコマースに取り組む企業を紹介します。
大手企業の参入もあり、成功事例も出てきているので、今後ますます利用を始める企業が増える可能性がうかがえます。
三越伊勢丹
“人と時代をつなぐ”ことを目指す大手百貨店の三越伊勢丹は、2018年にすでにライブコマース配信サービスを使って商品の販売を開始しています。お歳暮の商品をライブコマースで紹介し、パッケージの華やかさやメーカーの食材へのこだわりなどをリアルタイムで消費者に伝えたのです。
消費者は実際に店頭に行かなくても商品の詳細を知ることができたり、「今すぐ買いたい!」というときに利用できたりと、より利便性の高い購買体験を実現しました。
これには大きな反響があり、過去最高のECサイト売上を達成しました。2019年、2020年にも同じようにライブコマース配信でお歳暮、お中元の商品紹介をしており、効果的にライブコマース配信サービスを使っている成功事例といえるでしょう。
資生堂
資生堂は2020年7月から、国内でライブコマース配信サービスを使った化粧品やコスメの紹介を始めました。ビューティーコンサルタントが商品の特長や使い方を説明、同時に消費者からの質問にも答えるなど双方向のコミュニケーションを行っています。
資生堂はそれまでに中国においてライブコマース配信を使ったサービスを展開しており、中国の自社ECサイトの売上アップを実現しています。その好調を受け国内でも本格的にサービスの実施を決定し、各ブランドECサイトの売上アップを図る狙いです。
あわせてオンラインでのカウンセリングの実施やブランドの拡大も予定されており、「非接触型」のサービスがどんどん広まっていることがわかります。
ベイクルーズ
ベイクルーズはファッション通販サイトで、2020年5月よりライブコマース配信サービスを導入しました。「LIVE STYLING」と題し、ファッションアイテムの紹介やスタイリングの提案などを行っています。
視聴者からはサイズ感や質感についての質問が多く寄せられ、オンラインショッピングでの不安を解消できる場となっていることがうかがえます。パソコンやスマートフォンでURLにアクセスするだけで視聴できるので、アプリのダウンロードなどの手間がなく、誰でもアクセスしやすい仕様になっているのも特徴です。
ライブが終わったあとも1週間は動画を見ることができるため、都合がつかず見逃してしまった人も視聴できます。
シップス(SHIPS SHOPPING TV)
セレクトショップを展開するシップスもまた、ライブコマース配信サービスを始めました。タレントなどを起用するのではなくショップのスタッフが商品や着こなしについて説明していくスタイルで、より店舗に近い形で配信しています。
まるでショップで買い物をしているような臨場感を演出するだけでなく、スタッフを通じてブランドイメージを伝えたいという狙いもあってこの形にしているようです。
2020年5月に初回を実施し、社内外ともに好意的な反応が多く2回目、3回目と継続的に実施しています。コロナ禍の自粛生活の中で顧客との結びつきを生む場として、うまく活用している例といえるでしょう。
withコロナ時代!EC強化の選択肢としてライブコマースは要注目
2017年ごろから少しずつサービスが拡大し始めたライブコマース。使えるチャネルが増えたことにより、参加へのハードルが低くなって今後さらに人気が広がっていくことが予想されます。
また、コロナウィルスの影響により「新しい生活様式」が求められる中、非対面、非接触でお客様とのつながりを得ることができるというのも企業にとっては大きなメリットでしょう。
消費者にとっては、従来のオンラインショッピングでは得られなかった情報を知ることができ、買うか買わないかの判断がしやすくなっています。売り手と買い手の双方にとって多くのメリットのあるライブコマース、自社ECサイトに導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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