製造業のマーケティングはニッチさを活かす!基本からWeb戦略まで徹底解説
製造業のマーケティングを成功させるためには、業界特性を活かした戦略が重要です。本記事では、マーケティングの基本プロセスや製造業ならではのWeb戦略、成功事例を紹介。「新規顧客を増やし、製造業ビジネスを次のステージへ高めたい」そんな熱い想いを持った企画担当や開発担当、マーケティング担当の方は必見です。
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目次
マーケティングとは
製造業のマーケティング担当者ならば、まずマーケティングとは何かについて、その意味と重要性をしっかりと押さえておく必要があります。
マーケティングの定義
昭和32年、産業界の先達によりいち早く創設された「公益社団法人日本マーケティング協会」はマーケティングについて、以下のように定義しています。
マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。
日本マーケティング協会 1990年
上記の定義も踏まえ、簡潔にまとめるとするなら、マーケティングとは「売れる仕組みを作ること」だといえます。消費者の購買意欲を刺激し、需要を喚起して商品の購入を促す販売促進・セールスとは異なり、顧客の気持ちやニーズに寄り添い、顧客に合わせて商品を提供することに重きを置いているのが特徴です。
マーケティングの重要性
なぜ各企業がマーケティング活動に力を入れているのか。その理由として、社会全体が豊かになったことがあげられます。インターネットの普及も相まってモノや情報にあふれた現代。消費者にとっての選択肢が一気に増えたことで、「製品を作っただけでは売れない時代」になったといえます。
製造業も含め、多くの市場が成熟し、参入企業も増えています。そのようななかで、企業が売り上げを伸ばし、生き残っていくために、顧客のニーズをしっかりとつかむこと、そして適切な方法でターゲットにアプローチし、自社製品の魅力を存分に伝えるマーケティングが重要視されているのです。
製造業におけるマーケティングの課題
製造業には業界ならではのマーケティングの難しさや、Web戦略の浸透のしにくさがあります。主な4つの特徴について説明します。
ニーズをつかみにくい
製造業は、飲食業や小売業などの一般的なBtoCビジネスとは異なり、顧客のニーズを一概には捉えにくいという特徴があります。それは、「商品の購入者」「購入の最終決定者」「購入した商品の使用者」がすべて異なるからです。つまり、窓口担当の方、成約を承認する方、商品を使用する方それぞれのお客様の立場やニーズを把握することが、製造業のマーケティンには必要なのです。
ニッチな製品が多い
BtoBが主流の製造業では、一般的な消費者の知っているようなメジャーな製品を取り扱っていないことがほとんどです。見る人が見ればわかる、そんな専門的でニッチな製品が多いことから、結果としてオンライン上の検索回数の少なさが目立ってしまいます。検索母数が少ない=ターゲットとなる顧客がインターネット上に少ないということですから、Webマーケティングに大きな期待をかけられないという現状があるのです。
情報発信への抵抗感
製造業において、「技術は命」といえます。企業努力により生み出された独自の技術は、数百年単位での価値を持つものです。そのため、製造業は技術情報も含め、情報発信に対してかなり神経を尖らせておく必要があります。もちろん、その姿勢が企業の技術力を守っていくことにつながるので、大事なことなのは間違いないでしょう。
しかしながら、現在のマーケティングは価値ある情報、有益なコンテンツを発信することで、顧客獲得につなげるケースが多いのも事実。情報発信に抵抗がある業界柄、マーケティング活動が浸透しにくいという課題が製造業にはあるのです。
IT人材の不足
製造業では、マーケティングを専門的に行う部門が独立していない場合が多くあります。基本的には、商品開発課や生販管理部、販売企画課といった形で他の業務と兼業していることが多いのではないでしょうか。そうなると必然的に、Webやマーケティングに関する専門的な知識・技能を有しているIT人材が少ないことがほとんどです。
また、BtoBビジネスの製造業では、いわゆる“お得意先”の法人が存在したりします。その企業との結びつきや信頼関係が強ければ強いほど、新規顧客の開拓にリソースを割くことが難しいのも現実としてあるでしょう。マーケティングはその手法が多数存在し、奥が深く、継続的な施策が功を奏すもの。しかし、製造業の特性として、そこへリソースを割く必要性を感じず、人材確保を行わないケースが多いのです。
製造業のマーケティングを成功させるポイント
製造業の特徴を踏まえ、製造業のマーケティングを成功させるための心得を4つ紹介していきます。
連携体制を整える
製造業において、「マーケティングは担当部署だけに任せておけば良い」と考えてしまうのは危険です。マーケティングというのは、企業の収益に直結する活動です。滞りなく推進していくためには、各部署の連携が不可欠といえます。製造業では、企画・開発・製造した部門が、商品やサービスの魅力を一番理解しているもの。営業やマーケティング担当者は、それを十分に理解して、顧客に分かりやすく伝える必要があるのです。部署の垣根を超え、同じ目的意識を持ち、必要とあればスムーズに情報交換できる体制を整えておきましょう。
3つの顧客ニーズを意識する
- 商品の購入者
- 購入の最終決定者
- 購入した商品の使用者
製造業のマーケティングでは、上記の3つの顧客ニーズを正確に把握しておく必要があります。顧客のニーズ把握には、イベントや展示会で情報収集したり、製造業向けのポータルサイトやQ&Aサイトでリサーチしたりするのがおすすめです。
以下が参考にしたいポータルサイトやQ&Aサイトになります。
- 「日経 xTECH(クロステック)」日経BP社が運営する技術系デジタルメディア
- 「MONOist」モノづくりのための情報ポータルサイト
- 「技術の森」日本最大の製造業・技術系Q&Aサイト
- 「OKWAVE」[技術者向] 製造業・ものづくり
製造業のマーケターとして大事なのは、日々最新の情報に触れることです。ものづくり市場の動きには敏感でいることをおすすめします。
目標を明確にする
マーケティング施策を進めるためには、明確な目標を立てておく必要があります。簡単なところでいうと、「月に10件の問い合わせ」というように、期間と数値で表せる目標を設定するのがポイントです。また、施策の進捗を正確に確認するためには、KPIを設定しておくと安心です。KPIは「重要業績評価指数」と呼ばれ、最終目標(KGI)に達するまでの途中経過目標のことです。KPIを設定しておけば、「施策のどこでつまずいているのか?」を確認でき、PDCAサイクルを回すのもスムーズになるでしょう。
Webマーケティングに取り組む
製造業のマーケティングを成功させるためには、一つの手法に固執しないことが重要です。漁師が沢山の魚を効率よく捕まえるために、複数の場所に別々の網を投げるのと一緒です。製造業も複数のターゲットに異なる手法で、アプローチすると効率的に顧客層の拡大を行えます。その際に重要なのが、Webマーケティングとオフラインマーケティングをかけ合わせること。オフラインイベントや展示会へ参加する顧客が必ずしも、SNSを利用しているとは限りませんし、その逆もまたしかりです。
Webマーケティングとオフラインマーケティングの両方をバランスよく取り入れていくことで、より多くの異なる層の顧客へ網を張ることができます。もし、複数のメディアであなたの企業の名前や製品を見たという人がいても、刷り込み効果を期待できるでしょう。
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製造業マーケティングの基本プロセス
製造業のマーケティングの基本的なプロセスは、以下の通りです。項目ごとに見ていきましょう。
- 環境分析
- 市場の細分化
- ターゲットの明確化
- ポジションの確立
- マーケティングミックス
- 施策の実施と評価
環境分析
環境分析は、自社の外部環境と内部環境の2つの面を分析する必要があります。外部環境においては、以下のポイントを中心に分析することで、競合との差別化へつなげることができます。
- 業界の市場規模
- 業界の成長率
- 業界の消費者について(平均購入金額、ニーズ、購買決定プロセス、購買決定者など)
- 競合他社の商品やサービスの強み、弱み
- 競合のパフォーマンス(売上高、市場シェア、利益、顧客数など)
内部環境においては、経営資源や企業活動について“自社ならではの強み”を見つけ出すため、以下のポイントを中心に分析しましょう。
- 売上高
- 市場シェア
- 収益性
- ブランドイメージ
- 技術力
- 組織スキル
- 人的資源
このように、外部環境である市場=顧客(customer)分析や競合(competitor)分析、内部環境である自社(company)分析の3つをまとめて3C分析と呼びます。以下の記事で詳しく紹介しているので、ご確認ください。
市場の細分化
市場の細分化は、セグメンテーションと呼ばれ、BtoBマーケティングにおいては主に以下の属性で市場を切り分けることが多いです。
- 購買決定の重視点(価格志向、ソリューション志向、サービス志向など)
- 購買決定者(社長、担当者や担当部門)
- 顧客の状態(見込み客、新規顧客、得意客)
- 利用頻度(ヘビーユーザー、ミドルユーザー、ライトユーザー)
- 注文規模(大口注文、小口注文)
- 購買方針(買い切り、リース、必要時のみのレンタル)
- リスクへの態度(リスクを受け入れる、リスクを避けようとする)
- 創業からの年数(起業したて、5~10年、25年まで、それ以上)
- 経営者層の状態(経営者の年齢、代替わりなどのタイミングなど)
ここでしっかりと分類しておくことで、自社のターゲットの明確化をスムーズにできます。
ターゲットの明確化
市場の細分化で細分化したグループ(セグメント)の中から、最もアプローチがしやすい市場を明らかにしていくターゲティングと呼ばれる段階です。市場の細分化から得た情報をもとに、セグメントごとのニーズを理解すれば、自社製品と相性の良いターゲットを絞り込むことができます。
ポジションの確立
明確化したターゲットに対し、いかに企業の商品やサービスを選んでもらうかを考える、ポジショニングと呼ばれる段階です。たとえば、競合他社が「低価格」を売りにしている場合、自社製品は「高級だけど高品質」を売りにすれば、明確な差別化、ポジショニングができます。
マーケティングミックス
マーケティングミックスとは、マーケティング業務に必要な要素をうまく組み合わせる、ミックスする施策のことです。マーケティング業務に必要な要素は、企業目線の「4P」と消費者側の視点である「4C」という観点から考えるのが重要です。
「4P」と「4C」はそれぞれ以下の4つを指します。
4Pとは
- Product:商品やサービス
- Price:価格
- Place:販売経路
- Promotion:広告や宣伝
4Cとは
- Customer Value:顧客が感じる価値
- Cost:顧客が支払う費用
- Convenience:入手の容易さ
- Communication:企業とのコミュニケーション
「4P」と「4C」のそれぞれを意識しつつ、マーケティング戦略を練ることで、「企業目線に偏ったマーケティング」あるいは「消費者視点に偏ったマーケティング」を避けることができます。
施策の実施と評価
Web広告やイベントの開催、メールマガジンやDMの送付など、設定したターゲットと綿密な計画に基づいて施策を進めていく段階です。施策内容の振り返りや改善を図るために、きちんと施策結果の効果測定を忘れずに行いましょう。
製造業マーケティングにおける具体的な戦略の流れ
製造業のマーケティングの基本的なプロセスを理解したのなら、より具体的な戦略へ落とし込んでいく必要があります。製造業のマーケティングはBtoBマーケティング。以下の流れを意識して戦略を組んでいきましょう。
- 顧客ニーズの把握
- リードジェネレーション
- リードナーチャリング
- リードクオリフィケーション
- 商談
顧客ニーズの把握
ターゲットとして設定した層の悩みや解決したいこと、ニーズを把握します。「商品の購入者」「購入の最終決定者」「購入した商品の使用者」の3つの視点からそれぞれのニーズを把握するのが理想です。
また、この時点でターゲットの課題解決に役立つ製品に目星を付けておくことも重要。要は“売り込みたい商品”です。自社のラインナップから選りすぐりのものをピックアップしておきましょう。
リードジェネレーション
リードジェネレーションとは分かりやすくいうと「新しいお客様を見つけて、関係を築いてビジネスを広げること」です。自社の製品やサービスに関心を持つ人々の“個人情報の獲得を目指す”のが一般的でしょう。
たとえば、Webサイトの資料請求フォームや、イベントなどを通じて、顧客となりうる層のメールアドレスや電話番号、所属企業や部署名、役職といった個人情報を収集します。
リードジェネレーションは、製造業ビジネスの成長に不可欠であり、商品やサービスを必要とする人々との関係を構築する手段。ここでどれだけ多くの見込み客(リード)を獲得できるのかが重要です。
リードナーチャリング
リードナーチャリングとは分かりやすくいうと「興味を持っている人たちと仲良くなり、商品やサービスを購入する際に、選ばれる可能性を高める活動」です。
獲得した個人情報をもとに、メールマガジンやセミナー、コンテンツマーケティングを展開し、見込み客をより成約につながりやすい顧客へと育成していきます。
ポイントはしっかりと継続的なコミュニケーションをとること。関係値を良くしていくことこそが、見込み客を自社のファンにし、購買意欲を高めることに直結するのです。
リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションは分かりやすくいうと「本当に商品やサービスを買いたい人々を見極めるプロセス」です。
たとえば、見込み客(リード)が商品やサービスに対する質問や詳細な情報を求めている場合、それは購買意向が高いサインとされます。また、予算やニーズが企業の提供するものとマッチするかどうかも重要なポイントです。
リードクオリフィケーションでは、こうした情報を評価して順位付け(スコアリング)することが大切です。いわゆるホットリード(自社の商品・サービスを購入してくれる可能性が高い見込み客)を見つけ出すことで、スムーズに商談へつなげることができます。
商談
リードジェネレーション〜リードクオリフィケーションにて、育成・抽出された見込み客と商談する段階です。ここで肝心なのは、社内で漏れの無い顧客情報の共有・連携を行うことです。
接点をもったきっかけは何なのか、購入意欲はどのくらいなのか。そうした細かい顧客情報を営業部門がしっかりと把握していれば、実際の商談でも適切な提案を行うことができるでしょう。
製造業のマーケティング戦略7選
製造業のマーケティングにはさまざまな手法が存在します。ポイントを押さえて始めることで、 製造業ならではの強みを活かしつつ、大きな集客効果を期待できるマーケティング戦略を7つ紹介します。
SNSマーケティング
近年流行しているFacebookやTwitter、InstagramといったSNSを活用したマーケティングは、BtoB製造業においても有効です。SNSはアプローチ可能なユーザー数が非常に多く、潜在的な悩みをもった顧客に対して働きかけることができます。投稿内容も自由なため、独自の強みを打ち出したり、企業ブランディングを強化したりできるのもポイントでしょう。
SNSはどれも無料で行えるのが非常に魅力的。しかしながら、効果を感じるまでに3か月以上かかることが多いため、「長期的な運用がカギを握るマーケティング手法」だということも忘れてはなりません。自社のターゲット像に合ったSNS媒体を選び、継続的に発信していくことがカギを握ります。
以下にそれぞれのSNSの特徴を簡単にまとめましたので、どのサービスから始めるか迷う際の参考にしてみてください。
イベントやセミナーの告知などに有効 | |
製品のビジュアルなどをPRする際に有効 | |
情報の信頼性が高くBtoBビジネスでの利用企業が多い | |
LINE | リピーターの育成に有効 |
なかでもBtoBビジネスという業界柄、Facebookを利用すれば、企業としての信頼性を保ちながら、多くの他社(顧客)とつながることができるでしょう。
コンテンツマーケティング
「あなたの企業の製品を購入したい」という意欲の高いユーザーのみに焦点を当てた、製品特化型Webメディアの運用は、製造業において非常に有効です。近年では、BtoB、BtoC関わらず、オウンドメディア(自社メディア)によるコンテンツマーケティングが盛ん。自社ならではの価値ある情報を発信し、ユーザーと信頼関係を育み、ファン化させ、購買行動へつなげていくマーケティング手法に注目が集まっています。
商品・サービスに溢れ、消費者の選択方法や選択肢が増えた現代、売り込まないマーケティングの重要性は高まるばかり。製造業においても是非取り入れたいマーケティング手法といえます。たとえば、「ロボットアーム」「レーザセンサ」「3Dプリンター」といったように、企業が求めている製品にテーマを絞り込んだWebメディアを開設すれば、その製品に興味・関心のあるユーザーだけを効率よく集めることができます。
製品ごとの説明を工夫したり、サイト内で簡単に製品を検索できるようにしたりしておけば、たとえ製品に関する知識のないユーザーでも、どの製品を導入すべきか比較検討することが可能です。ホワイトペーパーやデジタルカタログ、メールマガジンなどとも相性が良く、自社製品の強みを理解してもらいながら、認知の向上・成約率の高いリード獲得が期待できるのが、製品特化型Webメディアの強みでもあります。
事実、BtoBの産業用エレクトロニクス製造業大手のキーエンスは、「測定器ナビ」「熱処理入門」「業界別センサIoT活用事例サイト」など、複数のWebメディアを運用し、オンラインの集客チャネルのほとんどがそれらオウンドメディア経由だといいます。
オウンドメディアによるコンテンツマーケティングについて、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
Web広告
製造業におすすめのWeb広告には、「リスティング広告」「リターゲティング広告」「ポータルサイト上の広告」の3つがあります。
リスティング広告
リスティング広告とは、Google検索などの検索エンジンで検索するユーザーをターゲットとするWeb広告です。事前に決定した検索キーワードに応じて、画面上に広告が表示されるため、「見てほしいユーザー」へ効率的に広告を配信できるのが特徴的です。製造業特有の一般消費者の知らないようなニッチなキーワードであっても、的確にアプローチできます。掲載自体は無料のため、マーケティングに予算を取りづらい製造業にとってはピッタリの手法です。しかし、クリックごとに課金される仕組みですので、長期的な運用による広告費増加というデメリットも視野に入れておく必要があります。
リターゲティング広告
リターゲティング広告は、自社のWebサイトがあることが前提ですが、一度サイトを訪れてくれたユーザーに対して、バナー広告で再びアプローチできる広告手法です。リスティング広告の設定時に併せて設定することができ、問い合わせや購入に対する意欲の高いユーザーへ働きかけられるのがポイントです。
ポータルサイトへの広告出稿
製造業に関する情報を扱うポータルサイトに、Web広告を出稿することで、製造業に携わる顧客にピンポイントでアプローチできます。製造業関連の情報を扱うポータルサイトは主に、「総合ポータルサイト」「製品・技術検索サイト」「領域別WEBメディア」に分けられます。製造業のマーケティング担当者であれば、どれも目を通しておいて損はない情報が掲載されていることが多いです。サイトにもよりますが、「広告出稿に関する問い合わせ」「広告ガイド」といったページなどから広告掲載のお願いをすることが可能な場合があります。費用は掛かることがほとんどですが、検討する価値のある広告手法です。
以下が製造業に関する情報を扱う代表的なポータルサイトです。
- 「日経 xTECH(クロステック)」日経BP社が運営する技術系デジタルメディア
- 「@engineer(アットエンジニア)」製造業の総合情報ポータルサイト
- 「icop」製造業向けコミュニティサイト
- 「MONOist」モノづくりのための情報ポータルサイト
- 「イプロス製造業」日本最大の技術データベース
- 「製品ナビ」エンジニア向け製品情報検索サイト
- 「Aperza(アペルザ)」製品カタログを無料でダウンロード
- 「indexPro(インデックスプロ)」日本最大の電子・産業部品ポータルサイト
- 「ファクトリー・マート・ジャパン」生産財の情報ポータルサイト
- 「NCネットワーク」工場向けネットワークサービス
展示会・イベント
製造業のマーケティング手法として、展示会や大型イベントへの参加があげられます。近年はオンラインイベントも盛んです。参加費用や自社ブースの出展準備など、参加するのに一定のコストを要しますが、顧客とダイレクトにコミュニケーションが取れるのが大きな強みです。また、同業他社のPR方法、製品の打ち出し方などを学べる機会も多く、参加するメリットは大きいといえます。また、製造業向けの展示会は「主催者」に注目して、選択することをおすすめします。
以下に主な主催者と展示会の特徴についてまとめましたので、参考にしてください。
民間企業や出版社主催の展示会 | 大規模な会場(幕張メッセや東京ビッグサイトなど)に複数の類似テーマで同時開催されることが多く、費用はかさむが集客力が強い。 |
業界団体や公的な機関主催の展示会 | 商業色が薄く、各社の既存の取引先などが多いため、費用も比較的抑えめ。他社との関係構築、他の出展企業の顧客へのアプローチが重要。 |
セミナー・ウェビナー
セミナーを開催し、有益な情報を発信したり、自社製品・サービスを紹介したりすることも製造業のマーケティング手法としておすすめです。その場で「良い」と感じてもらえれば、一気に購買行動にまでつなげられるかもしれません。オンラインで開催するウェビナーであれば、現地で行うセミナーよりも参加ハードルが低いため、より多くの集客が期待できます。気軽に参加できる一方で、商品に対する購買意欲が低い可能性もあるので、そこをどのようにフォローしていくのかが決め手になります。
ホワイトペーパー・カタログ
製造業のマーケティングでは、顧客の課題を解決する自社商品の紹介を資料形式で提供するホワイトペーパーの無料配布、それに合わせてデジタルカタログを無料配布することも有効です。資料をダウンロードしたユーザーは、購入意欲の高い顧客です。動く金額が大きく、購入までの検討期間が比較的長い製造業だからこそ、良質な資料でユーザーを魅了することの効果は大きいといえます。
資料のダウンロードフォームに顧客情報を入力してもらうことで、メールマガジンやテレマーケティングといったマーケティング活動につなげられるのも大きな魅力です。資料内で自社製品をPRする際は、実績や導入するメリットを数値やグラフで分かりやすく提示するのがポイントです。購入への検討が進み、「商品の購入者」が「購入の最終決定者」へ話を上げる際に、スムーズに承認されるように「誰が見ても分かりやすい資料」を作成しましょう。
メールマーケティング
展示会やセミナー、ホワイトペーパーで獲得したリード(顧客情報)をもとに、各ユーザーへ適した内容のメールを配信するメールマーケティングも、製造業にはおすすめです。MA(マーケティングオートメーション)を利用すれば、分散化している顧客ニーズに応じて、適切なタイミングで適切なメールを配信することが可能です。メール一通当たりのコストは数円程度と低く、ツールを導入することで、営業担当との連携もスムーズになり、マーケティング活動全体の促進につながるでしょう。
テレマーケティング
営業活動の一つとして業界問わず、多くの企業で実施されてきたテレマーケティングも製造業が検討して良いマーケティング手法です。一社ずつ電話をするのにはかなりの労力を費やします。事前にセミナーや展示会で獲得した顧客リストを参考にし、購入確度の高い顧客へアプローチすること。また、事前にどのようなことを伝えるのか、トークスクリプトをしっかり用意しておくことが成功の秘訣です。ただし、むやみに電話をかけてしまうと「迷惑電話と判断されて、着信拒否設定される」、「企業としての評判が下がる」などのデメリットもありますので、きちんと計画的に実施するようにしましょう。
製造業のマーケティング成功事例3選
製造業のマーケティングにおいて、参考にしたい企業を3社紹介します。
株式会社キーエンス
センサなどの精密機器を製造・販売する大手メーカー「株式会社キーエンス」は、製品特化型Webメディア活用したコンテンツマーケティングを推進しています。
センサのネットワーク化事例を紹介する「業界別センサIoT活用事例サイト」や安全機器に関するメディア「安全知識.com」、熱処理の基本を学べる「熱処理入門」など、ニッチな製品や用語にフォーカスしたWebメディアを複数展開しています。展開しているどのオウンドメディアも「業界人なら分かる」「業界人ならこんな悩みがあるだろう」という部分に焦点を当て、課題を解決に導く価値ある情報を発信しているのが特徴です。
ホワイトペーパーや製造業の現場で使われるIT用語集などの、ためになる学習コンテンツも充実しており、回遊率や再訪問率を高める工夫が随所に見られます。製造業というニッチな商品・サービスを扱う業界特性をフルに活かした、Webマーケティングの事例といえるでしょう。
株式会社野口製作所
精密なプレス加工品、金型を提供するメーカー「株式会社野口製作所」は、展示会で接触した見込み客へのメルマガ配信、MA(マーケティングオートメーション)を活用したメールマーケティングを推進しています。
MAならではのスコアリング機能を活用し、顧客の購入意欲に応じた商談設定を行うなど、営業活動の効率化を実現しています。かつては郵送にてDMを発信していた部分を、MAや電子メールといったデジタルの力を活用することで、マーケティング活動を効率化し、営業の生産性を高めた事例といえます。
コニカミノルタ株式会社
印刷業・ヘルスケア事業なども展開する大手電機メーカー「コニカミノルタ株式会社」は、SNSを活用することで、自社ブランドのイメージ向上を成功させました。
「想いをカタチにする(Giving Shape to Ideas)」というコンセプトのもと、「Dream Printer」プロジェクトを実施。あえて製品リリース情報を一切映さない動画を活用することで、Facebookをはじめ様々な媒体で拡散され、再生回数は200万回再生を超えたとされます。
製品のリリース情報などではなく、ブランディングに特化した投稿をSNSという拡散されやすい媒体で発信し、成功したマーケティング事例といえます。
参考:「◎コニカミノルタ、魔法の「Dream Printer」で子どもたちの想いをカタチに」プレスリリース/ニュースリリース配信の共同通信PRWire
製造業は「ニッチさ」を活かしたWebマーケティングが重要
製造業のマーケティングでは、まず基本的なマーケティングプロセスに従って、戦略を練ることが重要です。そのなかで、イベントや展示会、セミナーなどのオフライン交流の場と、Web広告やオウンドメディアといったWebマーケティングをかけ合わせたマーケティングを展開できると理想的です。
特に製造業ならではの「ニッチさ」を武器に、自社製品に興味のある顧客にのみアプローチできる「製品特化型Webメディア」の運用は、情報やサービスに溢れる現代において、強力なマーケティング手段となるでしょう。
ものづくりが日本を支えています。あなたの企業の製品や技術がこの先何年も何十年も、日本という国を豊かに、そして便利に変えていくのです。自社のターゲットとする顧客の特性をしっかりとつかみ、それに応じたマーケティング手法で、日本の誇りである“ものづくりの魂”を広めていってほしいと思います。
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