ニューノーマルとは?新時代のスタンダードとなる働き方
「ニューノーマル」という言葉を、頻繁に見聞きするようになりました。
ウィズコロナ・アフターコロナ時代を呼び水に、必然的に直面する機会が増えたという表現の方がしっくりくるかもしれません。
いずれにせよ、件のワードに、国が、企業が、個人が、それぞれ対峙するなか、働き方はじめ新たなスタンダードが確立される時代に差し掛かっているといえるでしょう。
さて、あらためて振り返ると、2020年は、新型コロナウイルスの影響で、マスクの着用があたりまえになったり、3密を避ける行動が基本になったりと、私たちの日常生活には大きな変化がありました。
企業活動にもあらゆる制約が課され、今まで通りに活動できなくなった組織は変革を余儀なくされています。このような状況下では、今後のアクションに迷っている企業も多いはずです。
そうしたなか、ニューノーマルについて、意外と詳しく存じ上げている方は少ないようにも思います。
そこで今回は、ニューノーマルについて、詳しく解説します。
定義にはじまり、これまでの歴史、具体的な動きや現状、すでにニューノーマルの考え方を導入している企業にまで触れながら、網羅的にお伝えできれば幸いです。
どうぞ、ご一読ください。
目次
ニューノーマルとは?意味と歴史
「ニューノーマル(新常態)」という言葉は、「新しい常識・常態」という意味を表します。
社会全体に大きな影響を及ぼす出来事が起こった際、場合によってはこれまでの常識が通用しなくなります。このような変化に対応するために生まれた新常識が、「ニューノーマル」と呼ばれます。
繰り返されるニューノーマル
ニューノーマルは、コロナ禍の今になって生まれたものではありません。過去に2度ほどそれは訪れていました。
まずは、インターネットが本格的に普及されはじめ、ITバブルが勃興した2000年代初頭。
次に、リーマンショックで世界が揺れ、軌道修正されないまま景気後退に拍車がかかった2009年。
いずれも旧態依然の体制では、状況に飲み込まれ沈んでいくことが避けられないと判断せざるを得ないタイミングでした。とりわけ後者は、企業の社会的責任が問われ、追及される事態となっていました。
そして、2020年。
働き方改革が叫ばれる昨今においては、既にニューノーマルの萌芽がみられていたともいえます。ダメを押す形でコロナが世界を跋扈し、結果的に第3次ニューノーマルは加速するわけです。
諸行は無常。新時代の突入はいわば価値観の新陳代謝。不可逆的なものとして生まれ変わるとはいえ、周期的に訪れるのがニューノーマルなのです。
ニューノーマルで変わる消費者の行動
自粛生活によって、消費行動のほとんどがオンラインという形にならざるを得なかったなか、同時に店舗のありがたみも切に感じる機会が増えたのではないでしょうか。
外出禁止要請が解けるようになってから実際に街へ出向き、生身の商品(フード、ドリンクも含む)に触れていくなかで、大なり小なり感動を覚えた方も少なくないはずです。
それゆえ、ニューノーマル時代のビジネスに求められるのはインターネットの利便性とリアルな体験のあたたかみ、それらのバランスだと考えます。
はからずも選択肢が広がり、消費者の行動がより複雑化する今後においては、オンラインとオフラインが相互に有効作用する仕組みづくりが肝要です。
第3次ニューノーマル時代の新しい働き方
新型コロナウイルスの世界的流行によってもたらされたニューノーマル時代は、企業活動においてもこれまでの常識を覆し、企業が働き方を変える大きなきっかけとなりました。
ニューノーマル時代の到来で、
- テレワークを恒常的に導入する
- オフィスの見直しが進む
- 評価制度が成果主義になる
- ビジネスのオンライン化が進む
以上のような働き方の変化が訪れるとされています。新しい働き方について、具体的にどのような変化が訪れるのか、順を追って解説します。
テレワークを恒常的に導入する
新型コロナウイルスが流行し始めた際、総務省からの要請を受け、感染拡大対策として多くの企業が導入したのがテレワーク(リモートワーク)です。ニューノーマル時代には、このテレワークを恒常化する企業も出てくるとされています。
公益財団法人日本生産性本部が公表した「新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響に関するアンケート調査(第1回 働く人の意識調査)」の結果レポートによると、20歳以上の雇用者1,100人を対象におこなった調査でおよそ6割が「コロナ収束後もテレワークを継続したい」と答えています。
新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響に関するアンケート調査(第1回 働く人の意識調査)
また企業側でも、一度テレワークを導入したことでメリットに気付き、導入のハードルが下がっていることに加え、感染拡大の第2波、第3波、そして今後起こるかもしれない未曾有の出来事に備える意味でも、テレワークに移行してしまおうという考えが出てきているようです。
オフィスの見直しが進む
これはテレワークが恒常的に導入されることに伴って起きる変化です。
テレワークが企業側にもたらす大きなメリットの一つに、「広大なオフィスが必要なくなる」というのがあります。
これまでの常識であれば、当たり前ですが企業は従業員数に伴ったオフィスを用意しなければなりませんでした。
しかし、テレワークが恒常化した場合、出社する人数は格段に減ります。そのため、オフィスのサイズを小さくしたり、より賃料のかからない場所に移転したりといったことが可能になり、賃料を大幅に削減することができます。
また、出社の機会が減っていくと、従業員が居住地に縛られることも少なくなります。そうなれば、オフィスは東京にあっても、企業は採用する人材を海外や全国各地から選ぶことができ、従業員は海外や地方に居住しながら働くこともできるようになるので、働く場所の選択肢が増えます。
評価制度が成果主義になる
テレワークが新しい働き方として一般的になると、評価制度が変わります。
これまでは同じオフィスにいたために、上司が部下の働きを間近で見て評価できていましたが、テレワークになると勤務している姿を見ることはできません。そのため、企業はこれまでのように仕事への姿勢や勤務態度で評価することができなくなり、評価制度は自然と成果主義になります。
その結果として従業員側も、いかに効率的に成果をあげるかということに注力することとなり、業務効率のアップが期待できます。しかし、過度な成果主義は、従業員の自己中心的な姿勢を促してしまい、チームワークの妨げになる危険性もあるので、評価制度には工夫が必要でしょう。
ビジネスのオンライン化が加速する
ニューノーマル時代は、ビジネスの進め方にも変化が訪れます。
新型コロナウイルスの影響で、Web会議ツールを使ったオンラインのコミュニケーションが急速に普及しました。以前に比べてITリテラシーが高くなったと感じる方も多いのではないでしょうか?
オンラインであれば、全国の方と商談を行うことができますし、遠方の顧客との商談でも交通費や宿泊費は必要ありません。近年ではツールも充実しており、メリットが大きくデメリットは少ないため、アフターコロナでも、遠方の顧客との商談はオンラインが基本となるでしょう。
ニューノーマルな働き方を迎合する企業事例
急激な時代の変化に多くの企業が未だ明確な方針を示せていない中、ニューノーマル時代の到来を見据えて、いち早く新しい働き方にシフトした企業も存在します。今回はその中からを3つの企業を紹介します。
日清食品
緊急事態宣言解除を受けて、新型コロナウイルス感染拡大予防のための「原則出社禁止」の体制から「新たな働き方」の体制に移行するとして、原則出社率25%を上限とする「予約出社制」の導入や、会議を原則「Microsoft Teams」で行うこと等を発表しています。
緊急事態宣言解除後の「新たな働き方」について|日清食品グループ
富士通
ニューノーマルにおける新たな働き方として、「Smart Working(最適な働き方の実現)
」、「Borderless Office(オフィスのあり方の見直し)」、「Culture Change(社内カルチャーの変革)」の3つの要素から構成される「Work Life Shift」を掲げています。DX(デジタルトランスフォーメーション)企業への変革をさらに加速することで、従業員がこれまで以上に高い生産性を発揮し、イノベーションを創出し続けられる新しい働き方を目指すとして、場所を選ばず情報にアクセスできるセキュアなネットワークの構築や、離れた場所からでも従業員の声を吸い上げられる仕組みの構築など、人事制度とオフィス環境整備の両面からリモートワークを進めていくための様々な施策を推進しています。
ニューノーマルにおける新たな働き方「Work Life Shift」を推進|富士通
日立製作所
ニューノーマルでの新たな働き方に向けた施策として、当面の感染リスクを踏まえた従業員への支援策や中長期的に在宅勤務を継続するためのサポートを挙げ、広い職務(ジョブ)で在宅勤務活用の標準化、これまで以上の生産性向上を実行していくと宣言。在宅勤務に必要な備品購入費用の補助や従業員の健康支援など、在宅勤務で従業員に生じる負担へのサポートが充実しています。
ニューノーマル時代の社内コミュニケーション
ニューノーマルな働き方がすんなり浸透・定着するかは、社内のコミュニケーションにおいても問われるところです。テレワーク、リモートワークが作業効率を高め快適に作用する期待が持てる一方で、チームの連携には不安が残る向きもあるかもしれません。
だからこそ、社内での打合せや会議についても従来の動きから一新させるべきだと考えます。オンラインならではの特長をうまく生かし、効率的に物事を進められると、以前よりもまとまりが生まれることだってあるでしょう。
たとえば、Web会議の録画機能。アーカイブを残すことで、必要に応じて適宜確認しながら、プロジェクトを進行できるメリットがあります。曖昧な記憶やメモに頼った結果、失敗するケースは誰彼あるものです。そうした事態を回避するためにも、使えるシステムは駆使していくことが、総じて効率的かつ成果につながりやすいと考えます。
また、雰囲気が重くなりにくい点もプラスに捉えられるでしょう。加えて、これまで実は打ち解けにくかった相手に対しても、オンラインなら、気軽にやり取りできることも多々あります。もちろん、他部署との交流も同様です。
一見、希薄に化すと思われがちな社内コミュニケーションさえ、この第3次ニューノーマル時代には功を奏す気もします。意外なほど、合理的かつ結束力が高まるものになるのではないでしょうか。
ニューノーマル時代突入で起き得るリスク・注意点
働き方がガラッと変わることは、時代の進化だと捉えられる一方で、コロナという災厄によって半ば強制的に今の状況に置かれている側面も無視できません。つまり、多くの企業が満を持してニューノーマルに移行したとはいえないわけです。そうなると、果たして支障をきたすことはないのかという問題が浮上してきます。そして、当然あり得ることでしょう。
そうしたなかでやはり一番の懸念材料はセキュリティ面です。
社内で整っていた環境の一部を、自宅に持ち込むということは、機密情報の漏洩などリスクが伴います。ここに対して最大限用心したうえ、安全性の確証を以てテレワーク導入に踏み切っていたとしても、やはり慣れない事態に晒されているのであれば、完全なリスク回避まで及ぶのは難しいかもしれません。想定外のトラブルも起こるはずです。
したがって、ニューノーマルが定着し、気付けば通常運転といった状況に落ち着くまでは、情報収集など小まめに目配りしていくことが必要だと考えます。
時代の変化に沿ってニューノーマルな働き方が求められる!
新型コロナウイルスの流行は、世の中をニューノーマル時代へと突入させました。それはビジネスシーンにおいても例外ではなく、企業も時代に呼応するように変革が必要です。
ニューノーマル時代に適応していくためには、世の中の変化にアンテナを張り続け、新たな展開に合わせて、迅速かつ丁寧に対応していくことが求められます。
過去の例にとらわれず勇気を持って前進することも大事です。ピンチをチャンスに変えることは企業にとっての最大のミッションかもしれません。
そうやって、時代の変化に負けない柔軟性のある企業は、さらなる発展が期待できるでしょう。
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