バーの開業に必要な資金や準備とは?未経験でも失敗しない進め方と成功のカギ
バーを開業して自分の店を持つのは、一つの憧れですよね。でも、開業が未経験の人にとっては大きなチャレンジのようにみえます。
確かに簡単にできることではありませんが、一つ一つ着実にステップを踏んでいけば、バーの開業は決して難しいことではありません。
そこでこの記事では、バー開業に向けて必要な準備や取り組み、そして成功の秘訣を紹介します。開業を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
バーの開業に必要な資金はいくら?
バーを開業する際、はじめに気になるのはどれくらいの資金が必要なのかでしょう。一般的に、バーの開業には500万円から1000万円程度の資金が必要といわれています。
この金額には、店舗の賃借料から内装、初期の仕入れ、設備投資、そして開業後しばらくの運転資金まで含まれます。
ただし、立地や店舗の規模、内装によって、この金額は大きく変動します。たとえば、都心部の一等地に広い店舗を構え、高級感あふれる内装にする場合は、それ以上の資金が必要でしょう。
逆に、小規模なバーを郊外で開業する場合は、もう少し少ない資金で済むかもしれません。計画的に資金を用意し、無理のない範囲で開業計画を立てることが重要です。
また、開業資金は大きく「初期費用」と「運転資金」の二つに分類できます。それぞれ、詳しく解説していきます。
初期費用
「初期費用」とは開業までに一度だけ、または初期に集中して支払う費用です。主に、以下のような費用が該当します。
- 店舗の賃貸契約にかかる費用
- 内装・外装工事の費用
- 設備投資費用
- 開業に関する各種許認可の手数料
- 広告宣伝費用
ここでの重要なポイントは、計画的に費用を抑えながら店舗のコンセプトに合った内装や設備を整えることです。
たとえば、店舗の賃貸契約にかかる費用は、立地や広さによって大きく変動します。良い立地は集客につながりますが、それだけ家賃が高くなる傾向にあります。
また、内装・外装工事の費用は自分の理想とするバーのイメージを実現させるために重要です。ただし、過度にコストをかけてしまうと後々の経営に影響が出る場合があるので注意しましょう。
設備投資に関しては、長期的な視点で見た場合のコストパフォーマンスも考慮する必要があります。
運転資金
「運転資金」は開業後の日常的な経営活動に必要な資金です。以下のような内容が挙げられます。
- 材料費や仕入れ費用
- 人件費
- 水道光熱費
- その他固定費用
特に重要なのが材料費や仕入れ費用です。これらはバーのメニューやコンセプトに直結するため、質とコストのバランスを取ることが大切です。
また、人件費はスタッフの数や賃金によって変動し、バーのサービス品質を左右します。水道光熱費やその他の固定費用は、なるべく予測可能な範囲で計画に含めておくと安心でしょう。
バーを開業するための流れとは?必ず確認したい7つのSTEP
ここからは、バー開業に向けた準備の流れについて解説します。開業に向けて行うべきことは多岐に渡りますが、一つずつクリアしていくことで着実に進んでいきます。
何より、計画的な準備は成功への鍵。どのような資格が必要なのか、どんな届出が求められるのか、初期費用はどれくらいかかるのかをしっかりと把握する必要があります。
7つのステップに分けて紹介するので、まずは必要な準備について学んでいきましょう。
①開業に向けたスケジュール作成
バーを開業する際、最初に取り組むべきはスケジュール作成です。この段階では、開業に向けて何を、いつまでに終えなければならないのかを明確にします。
基本的に、開業に向けては資金調達や物件探し、内装工事、許認可の申請といった項目があります。これらに対して、タイムラインを設定しましょう。
たとえば、物件を決める期限、改装工事の開始から終了の期間、必要な許認可を得るための申請期間などを定めます。これらのスケジュールを一覧にすることで開業準備の進捗状況が一目でわかり、効率よく作業を進めることができます。
また、予期せぬ遅れが生じた際にも、柔軟に対応しやすくなります。スケジュール作成は、開業準備を着実に進める上で欠かせない工程なのです。
②バーのコンセプト・事業計画の作成
スケジュールを組むのと同時に、バーのコンセプトと事業計画を作成します。
バーのコンセプトを明確にすることで、ターゲットとする客層や提供するサービス、飲食メニューなど、バーの基本的な方向性を定めます。
そして、そのコンセプトを実現するための事業計画を作成します。この段階では、初期投資額、収益見込み、市場分析、競合分析など、詳細なデータに基づく計画を作成することが大切です。
成功するバーは、ただ飲み物を提供する場所ではなく、来店するたびに特別な体験を得られる場所といえます。そのためには、独自性が光るコンセプトと現実的な事業計画が必要なのです。
③テナント探しと資金調達
コンセプトと事業計画を明確にしたら、具体的なアクションに移ります。まず行うべきは、テナント探しと資金調達です。
バーを開業し、繁盛させるためには、適切なテナントの選定と資金調達が欠かせません。テナント探しでは、ターゲットとする顧客層やバーのコンセプトに適した立地を選びます。店舗ネットワークやテナントショップといった、全国の物件を掲載しているサイトも活用すると、テナント探しが捗ります。
人通りが多いエリアや、目的の客層が頻繁に訪れる場所を選定することが大切です。物件の賃料だけでなく、改装の必要性や条件も検討しましょう。
資金調達には、自己資金だけでなく、銀行融資や投資家からの資金調達など、複数の方法が考えられます。事業計画書をしっかりと作成し、将来の収益予測や返済計画を明確にしておくことが、資金調達の成功につながります。
バー開業の準備段階では、理想のテナントを見つけ、必要な資金を確保することが、その後の成功への第一歩です。
④契約・内装工事
理想のテナントが見つかったら、契約の手続きを進めます。契約には、基本的に賃料や契約期間、保証金、更新料などの項目が含まれます。
契約内容を丁寧に確認し、不明点があれば事前に質問します。特に、契約期間の認識違いや更新条件、物件の修繕が必要な場合の対応などは後々のトラブルになりやすい項目なので注意が必要です。
次に内装工事に移ります。バーのコンセプトに合わせて、デザインやレイアウトを決定します。内装工事はバーの雰囲気を左右するため、プロのデザイナーや施工業者と密にコミュニケーションを取りながら進めることが望ましいです。
また、コストとスケジュールの管理も重要です。予算を超過しないように計画的に工事を進め、開業日に間に合うようにします。
契約と内装工事は、バー開業の基盤を築くステップです。計画に基づき、丁寧に進めていきましょう。
⑤資格取得と届出・許可申請
テナントの契約と同時に進める必要があるのが、必要な資格の取得や各種の届出、許可申請です。これらは、法令を遵守し、安全かつ円滑にビジネスを運営するための基本といえます。
まずは「食品衛生責任者」の資格を取得する必要があります。この資格は、飲食店を運営する上で欠かせないものです。自治体が実施する講習会に参加し、試験に合格することで取得できます。講習と試験は、食品の取り扱いや衛生管理に関する知識を身につける絶好の機会でもあります。
次に、バーの営業形態に応じて必要な許可や届出を行います。たとえば、深夜にアルコールを提供する場合は、「深夜酒類提供飲食店営業」の届出が必要です。また、特定の施設で営業する場合は、「飲食店営業許可」の申請を保健所に行う必要があります。
これらの手続きは、開業前に完了しておくべき重要なプロセスです。事前に必要な資格や許可について調べ、計画的に進めましょう。適切な手続きを行うことで、安心してバー運営をスタートできます。
⑥設備購入とメニュー・仕入れ先の決定
続いて、設備の購入とメニュー決めを行なっていきます。バーのコンセプトに合わせて、必要な設備をリストアップしましょう。主に、バーカウンターや冷蔵庫、氷製造機、グラス、調理器具などが挙げられます。設備投資は開業初期の大きな出費となるため、予算内で最適な選択を心がけましょう。
提供するメニューは、バーの特色を出すためにもオリジナリティのあるメニュー作りが大切です。顧客のニーズを反映させつつ、独自性のあるドリンクやフードを提供できるように計画を立てていきましょう。
また、メニューが決定したら必要な材料の仕入れ先を確保する必要があります。品質の高い食材を安定して供給できる信頼できる仕入れ先を見つけることが、バーの品質維持につながります。
⑦集客の開始と従業員の雇用
テナントの契約や内装工事、設備購入、仕入れ先が決まったら、いよいよ集客や従業員の雇用を行っていきます。バー開業の成功には、効果的な集客戦略と優秀な従業員の雇用が不可欠です。
まずは、集客戦略についてです。開業前から、SNSやWebサイトを活用して、店の魅力や開業日を積極的に発信しましょう。地元のコミュニティに参加したり、地域のイベントに出店するなどして、地域に根差した活動も効果的です。オープニングイベントを企画することも、注目を集める良い方法です。
従業員の雇用については、優れたスタッフはバーの顔となり、顧客満足度を大きく左右します。バーのコンセプトを理解し、共感できる人材を選ぶことが重要です。また、研修を通じてサービスの質を保証することも忘れてはなりません。
これらの準備が完了したら、いよいよ開業です。ここから、忙しくも充実した毎日が始まります。
バー開業のお金がない?使える助成金・補助金
バーの開業に向けて、資金はとにかく不足しがち。また、どれだけあっても不安を消し去ることは難しいでしょう。そんな時、助成金や補助金が開業をサポートしてくれます。
特に注目したいのが以下です。
- 新規開業資金
- 自治体の融資制度
以前は、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や「新規開業資金」が代表的な制度でしたが、2024年4月から「新規開業資金」に吸収・拡充される形で変更されました。
利用できるのは「新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方」で、新たな事業の設備資金や運転資金として、最大7,200万円(うち、運転資金4,800万円)の融資を受けられます。
担保や保証人は不要ですが、用意できれば利率を抑えられます。また、女性や、35歳未満または55歳以上の方、地方で新たに事業を始める方に向けた特別利率も用意されているため、うまく活用することで負担を減らせます。
また、自治体の融資制度は地域に根ざした事業を支援するためのものです。利用しやすい条件が設定されていることが多いですが、利用できる額が限られている場合があります。
たとえば、東京都の中小企業制度融資「創業融資」であれば、条件は以下の3つのみで最大3,500万円の融資を受けられます。
- 現在事業を営んでいない個人で、創業しようとする具体的な計画を有している
- 創業した日から5年未満である中小企業者等
- 分社化しようとする会社又は分社化により設立された日から5年未満の会社
引用:東京都創業NET
また、「女性」や39歳以下の「若者」、55歳以上の「シニア」を対象とした支援制度も用意されています。
これらの制度を利用する際には、審査基準や返済条件を事前にしっかり理解することが重要です。
資金調達にはリスクも伴いますが、計画的に進めれば夢のバー開業が現実になるかもしれません。安心して事業をスタートできるように、様々な支援制度を上手に活用しましょう。
バー開業に必要なものとは?必須の資格や届出
開業するためのステップでも紹介しましたが、バーを開業するためには、いくつかの資格の取得や必要な届出が必要です。ここでは、バー開業に欠かせない資格や届出について解説します。
是非この情報を活用して、スムーズな開業への道を進んでください。
資格|取得は一〜二日で可能
バーを開業するにあたって必要となる資格は、以下の二つです。
- 食品衛生責任者
- 防火管理者
「食品衛生責任者」は、施設の衛生管理の責任者に与えられる資格で、飲食店の店舗ごとに一人以上の配置が義務付けられています。都道府県が主催する講習を受けることで、その日のうちに資格を取得することが可能です。また、e-ラーニングも用意されています。
講習では、食品衛生に関する基礎知識から、実際の業務での注意点まで幅広い内容が扱われます。バーで提供する飲食物の安全を守るために必ず必要となるため、開業前には早めに取得を済ませておきましょう。
「防火管理者」は、料理店や飲食店のような防火対象物に対する、火災予防や消火活動の責任者に与えられる資格です。店舗の収容人数や延床面積によって甲乙の二種がありますが、基本的には甲種を選べば問題ないでしょう。
講習は一般財団法人日本防火・防災協会が行っており、「中学校卒業程度以上で日本語が理解できる方」であれば受講が可能。ただし、食品衛生責任者と異なり二日間の受講が必要です。
また、都心は予約が埋まりやすく、1ヶ月先でも受講できない場合があります。そのため、早めに日程を抑えるようにしましょう。
届出|提出先や期限が異なることに注意
バーを開業するために必要な届出は提出先や期限が異なります。そのため、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
申請内容 | 届出・申請先 | 届出・申請期限 |
---|---|---|
開業届 | 税務署 | 開業から1ヶ月以内 |
食品衛生許可申請 | 各都道府県の食品衛生協会 | 開業まで |
深夜酒類提供飲食店営業開始届出 | 警察署 | 開業まで |
防火管理者選任届出 | 消防署 | 開業まで |
特定遊興飲食店営業許可 | 警察署 | 開業まで |
特に重要なのは、飲食店営業許可の申請です。これは地域の保健所に提出し、衛生面での基準を満たしていることを証明するものです。
また、防火管理者の指定や、場合によっては特定の地域で必要となる環境関連の届出もあります。これらは、それぞれ消防署や環境局に提出する必要があるでしょう。
また、深夜にアルコールを提供する場合には、深夜営業の届出を警察署に行う必要があります。各届出には締切があり、開業日に間に合うように計画的に進めることが重要です。
届出を怠ると、開業後に罰則を受けることもあります。安全かつ円滑にビジネスをスタートさせるためにも、必要な手続きを適切に行うことが大切です。
バー開業の未経験者によくある失敗と後悔
バーを開業することは大きな夢の一つ。ですが、希望があるだけではなく失敗や後悔する可能性も抱えています。ここでは、そうしたよくある落とし穴について、解説します。
事前にありがちな失敗を把握することでしっかりと対策を練り、そして避けられるようにしましょう。
物件探しと周辺のリサーチ
まず挙げられるのが、物件探しと周辺環境のリサーチ不足による失敗。ですが、物件探しは非常に難しいものでもあります。
物件の立地は、バーの集客力に直結します。家賃の安さや建物の魅力だけで選んでしまうと、後になって「お客さんが来ない」という状況になりがちです。特に、バーのターゲットとする顧客層が頻繁に訪れるエリアかどうか、競合他店の状況はどうかはしっかりと調査しておきましょう。
また、周辺環境の変化を考慮しないこともリスクを高めます。たとえば、将来的に地域開発が予定されている場合、開業当初は静かなエリアでも将来的に人通りが増える可能性があります。
このような将来の変化を見込まずに物件を決めてしまうと、後に「もっと将来のことを考えて物件を選べばよかった」と後悔することになりかねません。
これらの失敗を避けるためには、家賃や物件の外観だけでなく、地域の人流、競合状況、将来の開発計画など、多角的な視点から物件選びを行うことが不可欠です。そうすることで、後悔の少ないバー開業へとつながるのです。
内装工事のこだわりと節約のバランス
内装のこだわりとコストのバランスも、バーの開業でありがちな失敗です。デザインにこだわり過ぎて予算をオーバーしてしまったり、逆に過度に節約を図りすぎて、客足が遠のいてしまったりします。
開業初期は、資金繰りが非常に重要です。内装に想定外の費用をかけすぎると、運転資金や他の重要な投資に影響が出ることも、あまりにも安価な内装材料や家具を選んでしまうと、来店したお客様に安っぽい印象を与えかねません。
一部のポイントにこだわって他はシンプルにまとめるなど、バランスを考えることが大切です。また、将来的に容易に変更できる部分とそうでない部分を見極めて、優先順位をつけることも重要です。
また、居抜き物件を活用する選択肢もあります。居抜き物件とは、前のテナントが用意した厨房や内装、設備が残っている状態の物件のことです。
イメージ通りのレイアウトにするのは難しくなりますが、内装をゼロから用意するよりコストを抑えられるため、初期投資を抑えたい方におすすめです。
デザインとコスト、どちらも重視しながら賢く選択を進めましょう。
お金の管理ができずに行き詰まる
バー開業において、最もある失敗が資金管理の甘さです。特に、開業時よりも開業後の資金管理について、何にどれくらいの出費があるのかを管理することは欠かせません。ですが、意外と管理しきれていないケースが少なくないのです。
お金の管理には、日々の収支を記録し、定期的にバランスシートを作成する習慣をつけることが効果的です。これにより、実際の資金状況を把握し、必要な時に適切な対策を講じることができます。
また、売上が伸び悩んだ場合や、急な設備故障などのトラブルへの対応費用も考慮に入れる必要があります。
バーを開業する際は、単に事業を始めるだけでなく、持続可能な運営を目指すためにも、資金管理の重要性を認識し、適切な計画と管理体制を構築しましょう。
バーの開業方法のまとめ
バーを開業する際は、計画的な準備と綿密な実行が重要です。資金調達から物件選定、資格や届出の手続き、そして運営開始に至るまで、一つ一つのステップを丁寧に進めることが成功につながります。
また、開業にあたって市場調査や競合分析、そして不測の事態を想定して準備しておくことも欠かせません。ポジティブな希望だけでなくネガティブな事態も想定し、そして日々、取り組むべきことを欠かさず行うことで、より大きな成功を掴むことができます。
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