パーソナライズとは?パーソナライズド広告・パーソナライズ化の効果を解説
消費者の抱えるニーズはさまざまであり、そのなかでマーケティング効率を高めるには、個々の悩みや欲求に応じたアプローチが求められます。
顧客にあわせたアプローチを実現するうえで、欠かせないのが「パーソナライズ」の考え方です。この記事では、マーケティングにおけるパーソナライズの意味をふまえ、その効果的な手法としての「パーソナライズド広告」についても解説していきます。
目次
パーソナライズとは
パーソナライズ(personalize)とは、「モノやサービスなどを個人に適したかたちにすること」を意味する言葉です。
「カスタマイズ」と似た内容を表しますが、パーソナライズはより「個人」に焦点を当てています。つまり、その人の趣味嗜好やライフスタイル、さらには性格や価値観などに応じて、商品やサービスのかたちを変化させることを表しているのです。
さらに近年では、商品やサービスだけではなく、「情報の届け方」にもパーソナライズ化の傾向が見られるようになりました。とくにマーケティングにおいては、「対象となるユーザーの属性や行動履歴をもとにアプローチ方法を変えること」を指し、ニーズにあわせた情報提供による効率化が図られています。
ビジネスにおけるパーソナライズの意味
ビジネスにおけるパーソナライズの形態はさまざまであり、たとえば間取りを自由に決められる注文住宅や、各人の体型や好みにあわせたオーダーメイドスーツなども広義のパーソナライズに含まれるといえるでしょう。
一方で現在では、Webマーケティングにおけるターゲティング精度の向上や、顧客管理ツールの発展などを背景に、「消費者に個別的な情報を届けることで、個々のニーズに対してきめ細やかにアプローチする方法」を指す場面が増えています。
先の注文住宅やオーダーメイドスーツの場合、パーソナライズ化は業態そのものに関わるため、生産体制やサービス形態の根本を規定するでしょう。商品やサービスの特性によっては、顧客1人あたりのコストやリソースが膨らむ可能性もあり、ビジネスモデルやブランディング面での差別化が求められます。
一方、マーケティングにおけるパーソナライズ化は、デジタル環境を通じて達成できる部分が大きく、業種や業態、事業規模にかかわらず取り入れやすい手法だといえます。
マスマーケティングとの比較
マスマーケティングは大衆をターゲットとしたマーケティングであり、テレビCMや街頭広告などに見られるように、「不特定多数に向けた訴求」が基本です。媒体の性質上、パーソナライズされたアプローチとは対極に位置づけられることもあります。
一方で現在では、先述のようにデジタル環境を活用することで、多数のユーザーに対しても、相手の属性や関心などに応じて自動的に情報を届けられる場面も増えています。そのため現状のツールを活用することで、「マスに対するパーソナライズされたアプローチ」も可能になっているといえるでしょう。
パーソナライズ化の効果
上述のように、現在では技術環境の変化により「不特定多数に向けて、個々のユーザーにパーソナライズされた情報を届ける」という戦略が可能になっています。
以下ではさらに具体的に、マーケティングにおけるパーソナライズ化の効果を解説していきます。
個々の消費者に対する効果的なアプローチ
自社の商品・サービスを購入する可能性がある消費者にも、さまざまな関心があり、また検討段階はそれぞれ異なります。
たとえば結果的に同じバッグを購入する消費者であっても、利便性やデザイン、コストパフォーマンスなど、それぞれ別のポイントに魅力を感じているケースは少なくないでしょう。
このように異なる角度から商品を検討している潜在顧客に対して、各々の着眼点にあわせたアプローチを取ることは、購買ステージを進めるうえで非常に有効だと考えられます。消費者は自身の「考えたい方向性」に沿った情報を提供されることにより、購入を決めるうえで有意義な検討材料を手に入れられるのです。
効率的に潜在顧客を見つけられる
マーケティングを効率化するうえでは、無数の消費者のなかから「自社の商品に対して関心を抱く可能性のある潜在顧客」を発掘していくことが求められます。しかし人の関心は表面化しにくい面もあり、自社への潜在的ニーズを抱える消費者をゼロから見つけることは容易ではありません。
一方で、現在ではGoogleやAmazon、MetaやXをはじめとする巨大プラットフォームの普及により、ユーザーの行動をつぶさに観測できるフィールドが広がっています。それにともない、属性や行動履歴にもとづいて「自社と親和性の高い消費者」を自動的に抽出できる環境が構築されているのです。
こうした環境を活用することで、アプローチすべき相手を発見するまでのプロセスが簡略化され、セグメント化されたターゲットに対して効率的に訴求していけると考えられます。
顧客ロイヤルティの向上
顧客のブランドに対する愛着や信頼感を表す「顧客ロイヤルティ」の観点からも、パーソナライズされたアプローチは有効だと考えられます。
顧客のリピーター化を促すのは、商品・サービスに対する満足度だけではありません。「欲しいときに欲しい情報を提示してくれる」など、時宜にかなったフォローやサポートが継続的な関係につながる面も大きいといえます。
とくに対人のコミュニケーションが生じるケースでは、「自分のニーズを理解してくれている」「不安に思っていることをきちんと説明してくれる」という安心感がロイヤルティ向上に寄与するでしょう。
さらに、デジタル環境においても、たとえば既存顧客に対して限定キャンペーンやクーポンなどの情報を提供するといった手段が考えられます。顧客の関心や属性などをふまえて案内をパーソナライズすることで、サービスの継続的な利用につながっていくでしょう。
パーソナライズの代表的な施策例
現在では数多くの情報プラットフォームにおいてパーソナライズ化の技術が導入されており、「とくに意識せずに利用している」というケースも少なくないでしょう。以下では、ターゲットへのアプローチをパーソナライズしていくうえで有効な手段や、現在取り入れられている技術について解説していきます。
ダイレクトマーケティング
ダイレクトマーケティングは顧客や消費者と直接の接点を設ける手法であり、電話やダイレクトメールのほか、近年ではSNSを通じて潜在顧客とコミュニケーションを図る例も見られます。
ダイレクトマーケティングは相手のニーズを把握しやすいことから、パーソナライズされたアプローチを取るうえで有効な手段の1つとして位置づけられるでしょう。
もちろん、個々の消費者に対して異なる対応が求められるため、手段によってはリソースが膨らんでしまう可能性もあります。これを解決するには、顧客管理ツールや営業支援ツールなどを用いることで、顧客をセグメント化し、案内やサポートを可能なかぎり自動化することも有効な手段です。
なお、ダイレクトマーケティングの概要や例については、以下の記事にて詳しく解説しております。あわせてご参照ください。
パーソナライズされたコンテンツ
マーケティングにおいては、「顧客に届けるコンテンツ」をパーソナライズする方法も有効です。たとえば従来的な手法としては、「不動産会社が物件情報を案内する際に、顧客の嗜好にあわせた複数の物件をファイリングする」などが代表的でしょう。
さらに現在では、AIを活用したコンテンツの自動生成も取り入れられており、デジタルコンテンツをパーソナライズして提供する企業も見られるようになりました。一例として、各種保険業界では、契約更新時期にこれまでの利用歴をもとにしたおすすめプランを動画で解説するなど、パーソナライズド動画が活用されています。
自動生成されるコンテンツであっても、自分の名前に対する呼びかけがあったり、自身の使用状況に即した情報が提供されたりすれば、ユーザーは「自分向けに内容を変えてくれている」という印象を抱きやすいと考えられます。
とくに生命保険や自動車保険のように、システムが複雑なため消費者が意思決定に不安を覚えがちなサービスにおいては、このようなコンテンツが有効に機能するでしょう。
レコメンド機能
AmazonをはじめとするECモールや、音楽・映像のサブスクリプションサービスには、ユーザーの購入・閲覧履歴をもとに「おすすめ」を表示するレコメンド機能が多く見られます。また同種の機能として、SNSにおけるフォロー対象の提案や、キュレーションメディアにおけるニュースの選定なども挙げられるでしょう。
こうしたレコメンド機能により、ユーザー側には「自身の関心に近い情報にすぐさまアクセスできる」というメリットが生じるため、プラットフォーム内での回遊性も高まりやすいといえます。
その結果、ECモールに出品する事業者や、SNSなどでマーケティングを展開する事業者にとっては「自動的に確度の高い顧客との接点ができる」という利点につながるのです。
パーソナライズド広告
パーソナライズド広告は、ユーザーの属性や過去の行動履歴をもとに、個々のユーザーに対して関連性の高い情報を表示する広告形式です。
たとえばYouTube上で子ども向けの動画を見ている際に、教育系企業のCMが流れたり、ネットサーフィン中に訪れたページの広告枠に過去にチェックした賃貸物件に近い物件情報が差し込まれたりといったケースが代表的です。
「今ユーザーが求めている情報」をWeb行動の合間に挿むことは、ターゲットの購買意欲を高めたり、検討を促したりするうえで非常に有効だといえます。そのため現在の広告施策においては、このようなパーソナライズ化の観点が欠かせないものとされているのです。
パーソナライズド広告に対応した代表的なプラットフォーム
現在では広告プラットフォームの多くがパーソナライズド広告を導入しており、出稿者はターゲットを適切に設定することで、自動的に自社に親和性の高いユーザーに対して情報を届けることができます。
そのため多くの企業にとって、パーソナライズド広告はWebマーケティングにおける中心的な広告戦略となりうるでしょう。一方で、出稿先のプラットフォームによって「どのような場面でどのように表示されるか」は異なるため、ターゲットや自社の特性に応じて選択することが大切です。
Googleディスプレイ広告
Google広告においては、ユーザーの属性や行動履歴などのデータをもとに、より関連性の高い広告を表示する機能が搭載されています。アカウントを作成することでさまざまな広告形式の運用が可能ですが、パーソナライズされた広告の典型としては、Googleと提携しているWebサイトの広告枠に配信される「ディスプレイ広告」が挙げられるでしょう。
属性や地域にもとづくターゲティングはもちろん、特定のテーマのWebサイトのみを配信先として指定したり、自社サイトを訪れたことのあるユーザーやそれに類似するユーザーに対して広告を表示したりと、さまざまな観点からアプローチ方法を選択可能です。
なお、ディスプレイ広告の概要や、出稿時のポイントについては以下の記事にて詳述しております。あわせてご参照ください。
YouTube広告
YouTube広告はGoogle広告の一種として位置づけられ、Google広告のアカウントから「動画キャンペーン」を作成することで出稿可能です。
YouTubeをはじめとする動画プラットフォームにおいては、ユーザーの趣味や関心が視聴行動に表れやすい傾向にあります。自社に関連するジャンルの動画を見ているユーザーに対して広告を打ち出すことにより、確度の高いターゲットへと効率的にリーチをかけられると考えられるでしょう。
さらに、複数の動画コンテンツを用意し、ターゲットごとに異なるコンテンツを表示することも有効な手段です。
Instagram広告/Facebook広告
InstagramやFacebookにおいては、ユーザーの閲覧コンテンツや「いいね」などの行動履歴をもとに、表示される広告がパーソナライズされています。
Instagram広告はとくに、ファッションやインテリアをはじめ、「ビジュアル要素の強い商品」との親和性が高いプラットフォームとして位置づけられるでしょう。通常のフィード形式やストーリーズ形式、短尺動画のリール形式など、ユーザーにとって馴染み深い形式で配信可能なため、クリエイティブをターゲットに応じてカスタマイズしやすい点も特徴です。
InstagramやFacebookのほかにも、SNSのなかにはパーソナライズされたアプローチに適したプラットフォームが少なくありません。主要なSNSにおける広告形式や特徴については、以下の記事でも詳しく解説しておりますので、こちらもあわせてご参照ください。
Amazonスポンサー広告
Amazonにおいては、広告出稿の有無にかかわらず関連商品をレコメンドするパーソナライズ機能があります。これに加えて、Amazonの「スポンサー広告」に出稿することにより、検索結果の枠や関連商品の枠などに自社商品の情報を優先的に表示することが可能です。
Amazonをはじめ、ユーザーがECサイトを訪れるのは、「特定カテゴリの商品を購入することを決めている状態」であるケースが多いといえます。検討段階の進んでいる消費者に対して、関連情報として自社の商品を表示することにより、コンバージョン率の向上が期待できるでしょう。
このように、パーソナライズド広告を出稿できるプラットフォームのなかにもさまざまな種類があり、「どんなユーザーに、どのような使われ方をしているか」という点で大きく異なっています。
広告出稿を検討する際には、まずは自社の目的を明確化したうえで、ターゲットの趣向や行動傾向に応じたプラットフォームを選ぶことが大切です。
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