資格取得者が教える「薬機法管理者」!メリットや難易度、勉強方法を体験レポート
※この記事は薬機法管理者が執筆しています。
薬機法にくわしくなりたいという方のなかには、「薬機法管理者」が気になっているという方も少なくないのではないでしょうか。かくいう筆者も、以前はそのひとりでした。
この記事では、薬機法管理者の勉強方法や難易度、メリットなどについて、実際に受講・受験して合格した筆者の体験をベースに紹介していきます。
「薬機法管理者についてもっと知りたい」「薬機法管理者の資格を取得しようか迷っている」といった方々には役立つ内容だと思いますので、ぜひ有効活用していただけたらと思います。
目次
薬機法管理者とは
薬機法管理者とは、薬機法の関連知識が体系的に学べる資格取得講座です。薬事法ドットコムが提供しており、公式ページでは「業界唯一 薬機法の専門資格」とうたわれています。独自のeラーニング講座が用意されているため、PCやスマートフォンで気軽に学ぶことができます。修了試験に合格したのち、最終試験に合格することで資格取得となります。
コスメ薬機法管理者との違いは?
薬機法管理者と似た資格に「コスメ薬機法管理者」というものがあります。
薬機法管理者が、健康食品を中心に、医薬品や化粧品、景品表示法といった幅広い知識を学ぶことができる資格であるのに対し、コスメ薬機法管理者は、化粧品や薬用化粧品といったコスメティックに特化した深い知識を学ぶことができる資格です。
薬機法管理者にも含まれている化粧品の分野を、より掘り下げて学ぶことができるのがコスメ薬機法管理者という認識でいいでしょう。
学ぶ内容は?
薬機法管理者のeラーニング講座は、以下の14章で構成されています。
第2章【法構造理解】薬機法のペナルティ(1)行政指導
第3章【法構造理解】薬機法のペナルティ(2)刑事摘発
第4章【法構造理解】景表法の実践的理解
第5章【サプリメント編】薬機法とサプリメント
第6章【サプリメント編】健康増進法とサプリメント
第7章【サプリメント編】行政関与型(1)特保(特定保健用食品)
第8章【サプリメント編】行政関与型(2)栄養機能食品(付.食品表示法)
第9章【サプリメント編】明らか食品
第10章【サプリメント編】使える表現・使えない表現
第11章【サプリメント編】ダイエット食品
第12章【健康・美容製品】機器タイプ
第13章【健康・美容製品】塗りタイプ
第14章【サプリメント編】行政関与型(3)機能性表示食品
どの章から学ぶこともできますが、第1章から進めていくことで、知識がない状態からでも薬機法の知識を体系的に学ぶことができます。
合格率はどのくらい?
薬機法管理者の合格率は公開されていません。そのため正確な合格率はわかりませんが、SNSをリサーチしてみると「落ちた」「不合格」といった投稿はほとんど確認できませんでした。一方で「受かった」「合格した」といった投稿は数多く確認でき、合格した場合のほうがSNSに投稿しやすいということを差し引いても、合格率は比較的高い資格だといえそうです。
合格点は?
薬機法管理者試験の合格点は「85点」です。薬機法管理者は最終試験の前に修了試験に合格する必要がありますが、この修了試験も85点が合格点です。合格に85%以上の点数が必要だと考えると、たとえ合格率が高いとしても油断は禁物でしょう。
費用はいくらかかる?
薬機法管理者の受講料は全額で「税込89,800円」です。このなかに資格試験受験料や認定証の発行料も含まれています。講座のみは「税込59,800円」です。
また、以下のような各種割引も用意されています。
- 団体割引(3人目から1万円引き)
- 会員企業社員割引(薬事法ドットコムのダイヤモンド会員企業の社員は1万円引き)
- セット受講割引(薬機法管理者とコスメ薬機法管理者に同時申し込みで3万円引き)
- 追加受講割引(1講座受講後に別講座に申し込んだ場合1万円〜2万円引き)
謝礼がもらえる紹介制度もあるので、適用できそうなものがある場合は積極的に活用しましょう。
試験日程はいつ?
薬機法管理者の試験はeラーニング上で受けられるので、24時間365日いつでも受験することができます。試験日程にしばられず自分のペースで学習を進められる一方、受講にかかっている費用や追試にかかる費用のことを考えると、不合格が怖くてなかなか試験に進めないということも起こり得ます。後にも説明しますが、筆者も、講座のカリキュラムをすべて完了してから試験を受験するまでにかなりの時間を要しました。
試験の受験期限はある?
教材を読んだり試験を受けたりできるeラーニング講座を利用できるのは、契約して利用可能になった日から1年間です。そのため、試験の受験期限も同様の期間になります。採点にかかる日数のことを考えると、最低でも修了試験を期限の1週間前には受験し終えるようにしましょう。延長する場合は、受講延長料金と事務手数料で税込54,800円を支払う必要があります。
資格に更新はある?
薬機法管理者の資格は1年ごとに更新が必要です。たとえば、2023年9月中に取得した資格は2024年10月いっぱいまで有効です。期限日の1か月前から更新手続きが可能になります。更新には1回目と2回目まで税込20,000円、3回目以降は税込10,000円(自動更新の場合は2回目から10,000円)の更新費を支払う必要があります。
薬機法管理者の勉強方法
ここでは、薬機法管理者の勉強方法を、実際に筆者が行った手順に沿って紹介します。
筆者の勉強フローは以下のとおりです。
②eラーニング教材の内容をノートに手書きでまとめる
③eラーニング教材のチェックテストを完璧にする
④eラーニングのQ&Aをひととおり確認する
⑤修了試験を受ける
⑥資格試験を受ける
必ずしもこれが正解というわけではありませんので、参考にしたうえでご自分に最適な方法を模索してみてください。
①eラーニング教材を1周する
まずは、提供されているeラーニングの教材を1周しました。このフローは、右も左もわからなかった筆者にとって、薬機法や薬機法管理者という資格の全体像を把握するうえで効果的だったと思います。
ひとつひとつをしっかりと頭に入れるというよりは、新しい知識に触れるように、表面をなぞるように進めました。ただし、章の終わりにあるチェックテストには、最低でも1回は全問正解してから次の章に進むようにしました。通勤時間や日常の空き時間を使って地道に進め、1か月ほどで完了しました。
②eラーニング教材の内容をノートに手書きでまとめる
教材を1周することによって薄い知識がついたところで、教材の内容をノートに手書きでまとめることにしました。この段階では知識が点で存在していて、それぞれの関連性がほとんどわかっていませんでした。ときには教材の順番に逆らったり、余計だと思う部分を省略したりしながら、散らかった知識を自分用にわかりやすく整理するようなイメージで進めていきました。
このフローにかなり時間がかかりました。手書きなので電車のなかのような空き時間に作業することができず、会社から帰宅した後や出勤前、昼休み、休日を使ってコツコツ進めました。しっかり理解していないと自分なりにまとめることは難しいので、まとめていくなかで知識が少しずつ体系的になって定着していくのを感じました。
これは後になって気付いたことですが、テキストやチェックテストには随時アップデートが入ります。そのため、ノートにまとめたからといってそれだけを過信して勉強するのは危険です。大きな変更がある場合はeラーニング講座内のニュースでも通知されるので、定期的に確認しましょう。
私生活の事情もありますが、この作業を終えるのに2か月弱かかりました。このノートは、ページごとに写真を撮ってスマートフォンに保存し、空き時間の勉強に活用しました。試験に合格するそのときまで活躍しました。
③eラーニング教材のチェックテストを完璧にする
ノートにeラーニング教材をまとめ終えると、自分の現在地を確認したくなってきました。そこで再びeラーニングのチェックテストに戻り、いきなり挑戦しても全問正解できるかどうか、全14回のチェックテストにバラバラの順番で取り組んでみました。
なかには間違えてしまう問題もあったので、なぜ間違えたのかをはっきりさせてからしばらく放置。ほかの回のチェックテストに取り組んで、忘れた頃にまた間違えたテストに取り組みます。これを空き時間で1週間ほどくり返し、チェックテストでは間違えなくなりました。
④eラーニングのQ&Aをひととおり確認する
eラーニングでは、チケットを消費することで教材の内容について運営に質問することができます。3回まで無料で質問でき、それ以上は3枚9,000円のチケットを購入しなければなりません。回答が返ってくると通知が届き、eラーニング内のQ&Aに質問とともに掲載されます。あくまでテキストの内容に関する質問だけ受け付けているので、質問の内容がその範囲を超えてしまうと回答を得ることができません。
また、eラーニング内のQ&Aでは、ほかの受講者からの質問とそれに対する運営の回答も見ることができます。チェックテストが完璧になった後、筆者はここをひととおり確認しました。もしかして気付けていない重要なポイントがあるかもしれないと思ったからです。
見ていくと予想どおり、同じ薬機法管理者を目指している方々でも、視点に違いがあることがよくわかりました。質問されている箇所はたしかにわかりにくいことが多く、見落としていた重要なポイントに気付かされることもあったので、試験前にQ&Aを確認しておいてよかったと思いました。
⑤修了試験を受ける
薬機法管理者のeラーニング講座では、最終試験を受ける前に修了試験を受ける必要があります。修了試験と聞くと本試験の練習のような気がしてしまいますが、最終試験を受けるためにはこの修了試験に必ず合格しなければならず、さらには最終試験同様1度しか受けることができません。つまり、万が一試験に落ちてしまった場合は、追加料金を払って追試を受けなくては先に進めないということです。そのため、eラーニング上の試験開始ボタンはかなり重く、緊張感は本試験と何ら変わりありませんでした。
受験してみると、中身は「文章形式で答える3問」でした。60分以内に元の文章の問題点を指摘して薬機法に違反しないかたちに修正するというもので、単語を問われるような問題を想定していた筆者は一瞬ひるみました。
しかし結局、必要なのがeラーニング講座の知識であることは変わりありません。これでいいのかどうか方向性が不安でしたが、習得した知識を信じ、それぞれのケースに当てはめつつ回答しました。
試験が終了すると数時間〜数日以内にメールにて結果が届きます。公式サイトには「採点には試験終了後最大5営業日かかります。」とありますが、筆者の場合は次の日に結果を伝えるメールが届きました。
結果は100点中98点。合格点は85点なので、なんとか乗り越えられました。
⑥資格試験を受ける
修了試験を受け、「最終試験はもっとレベルが上がるはず……」と思った筆者は、修了試験合格後からひたすらこれまでの勉強を振り返りました。いま考えればすぐに最終試験に進んでもよかった気がしますが、当時はとにかく不安で仕方がありませんでした。空いた時間でノートやeラーニング教材、チェックテスト、Q&Aを見直しました。
2週間後、試験が残っている事実に心が耐えられなくなってしまったので、意を決して最終試験に挑戦しました。本試験も修了試験同様eラーニングからいつでも受けることができます。
問題は再び「文章形式で答える問題が3問」で、制限時間も修了試験と同じ60分でした。ただし修了試験よりも踏みこんだ内容で、問題文は解答の自由度が高い尋ね方になっていました。確実に難易度は上がっていましたが、出題のされ方はある程度想定できていたので、修了試験のときのように面食らうことはありませんでした。
59分を使って解答し、結果は100点中95点。85点を超え、ついに合格の称号を手にしました。合格すると修了試験合格後同様にメールが届き、登録講習として短いビデオの視聴とチェックテストの受験を求められます。これはビデオをしっかり観ていれば簡単に答えられるテストなので安心してください。チェックテスト完了後、証明写真を提出することで認定証が発行されます。
薬機法管理者の勉強時間・難易度
eラーニング講座で薬機法の勉強をはじめてから薬機法管理者の資格を取るまで、筆者の場合はトータル5か月かかりました。目安は3か月と聞いていましたが、筆者の勉強方法が時間のかかるものであったことや、なかなか勉強の時間を捻出できなかったこと、試験を渋っていたことが原因になって時間がかかってしまいました。せめて勉強にもっと時間を割けていれば、もう少し短くできたかなという印象でした。こればかりは結果論なのでなんとでもいえますが……。
また難易度についてですが、個人的にはやはり、それほど高いものではないのかもしれないと感じました。一方で、出題範囲の広さには気を付けなければならないと思います。ひとつひとつの問題がそれほど難易度の高いものではないにしても、出題された問題の答え方がまったくわからないのでは土俵に立つこともできません。ある程度時間をかけてまんべんなく勉強した人であれば、それほど恐れる資格試験ではないと思いました。
薬機法管理者を取得して感じたメリット
薬機法管理者を取得したことによって、また取得の過程で勉強したことによって、いくつかのメリットを得ることができたと感じています。筆者がすでに実感しているメリットは以下の3つです。
・薬機法領域を必要以上に恐れなくなった
・健康食品や医薬品等に対する目線が変わった
くわしく紹介しますので、取得を検討している人は参考にしてみてください。
仕事の幅が広がった
最も大きいのは、仕事の幅が広がったことです。薬機法管理者を取得することで、周囲の人に対して薬機法の知識を有していることが証明できるようになりました。資格取得中にくらべて知識が格段に増えたわけではないのですが、薬機法について質問されたり、関連する仕事を依頼されたりすることが増えました。
ただし、薬機法管理者の資格を取得したからといって、薬機法にまつわるいかなる質問にも答えられるようになるというわけではありません。せいぜい下地になる知識が身に付いた程度。手に入れた知識を土台にしてさまざまなケースに触れることではじめて、実践的なスキルに成長していきます。
薬機法領域を必要以上に恐れなくなった
これまでは、薬機法に抵触する可能性がある分野というだけで恐れ、徹底的に避けて通っていました。しかし、資格取得の過程で薬機法に関する知識をある程度獲得したことで、「何がよくて何がダメなのか」という部分が少しわかってきました。
薬機法領域に対しても「正しい恐れ方」ができるようになったので、盲目的に恐れるのではなく、どうしたら違反を避けることができるのか、正面から向きあって試行錯誤できています。
健康食品や医薬品等に対する目線が変わった
変化があったのは仕事に関係することだけではありません。普段の生活でも、健康食品や医薬品等に対する見方が深くなりました。
たとえば、似たような効果をもたらしてくれそうな商品でも、医薬部外品として認められているかいないかでは、信頼性に大きな違いがあります。ただのサプリメントか機能性表示食品かといった違いも同様です。
日常生活にも薬機法の知識が介入してくるようになり、商品を見極める際に役立っています。この変化は資格取得前には想定していなかったので、新鮮に受け止めています。
仕事に生かせればコスパは悪くない
薬機法管理者は決して難易度の高い資格ではありませんが、取得するためには一定の時間を割いて勉強する必要があります。費用も安いものではないことから、挑戦に慎重になる方もいるでしょう。また、取得したことによってすぐに最前線で活躍できるようになるかといえば、そういうわけでもありません。
ただし、将来的なことを考えれば決してコスパの悪い資格ではないと思います。これは、取得から半年程度で筆者が複数のメリットを感じていることからもうかがえます。全体像の把握が難しい薬機法を体系的に学べて、知識の土台がつくれます。資格取得の過程を経ているかいないかでは、その後に知識を習得するスピードに顕著な差が出てくるでしょう。
また、周囲に対して資格取得者であることを証明できれば、仕事の獲得にもつながります。サプリメント領域のライターや薬機法チェックのようなビジネスをはじめるきっかけになるかもしれません。
薬機法管理者は、仕事に生かしつつ丁寧に育てていくことで、取得者を支え続けるスキルに成長しうる資格だといえます。
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