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ポスティングとは?具体的なやり方や相場・ルールについて徹底解説

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企業の集客やマーケティングにおいて、現在ではWeb上での施策が重視される傾向にあります。一方で、依然として軽視できないのが「オフラインでの集客施策」です。

とくに直接個人宅などに広告物を投函する「ポスティング」は、Webやマスメディア上の広告ではアプローチできない「独自のターゲット層」にリーチできるメリットもあるでしょう。

この記事では、ポスティングの具体的なやり方やコツ、費用の相場感に加え、実施の際に守るべきルールについても解説していきます。

ポスティングとは

ポスティングとは、住宅の郵便受けなどにチラシをはじめとする広告物を投函する販促方法です。チラシの作成から配布までを自社で実施するケースや、配布のみを外部に委託するケース、作成から配布をすべて委託するケースなど、実施方法は企業によってさまざまです。

ポスティングは「郵便ポストへの投函」という点で、ダイレクトメールや新聞折り込みと共通しています。一方で、ダイレクトメールが「郵送」により広告物を送るのに対し、ポスティングは広告主やポスティング業者が特定のエリアを回り、住宅やマンションのポストに投函する方法です。

また新聞折り込みは、広告主が新聞販売店や折り込み会社にチラシの配布を委託する形態であり、基本的に「新聞を購読している層」が配布の対象となります。対してポスティングは、配布する事業者が自身で配布対象を選べる点を特徴としています。

ポスティングに適している業界

直接個人の住宅に広告物を投函するポスティングは、「エリアに密着したサービス」を展開しているローカルビジネスに適した販促方法だといえます。具体的には、以下のような業種で採用例が多く見られます。

  • ピザや弁当などフードデリバリー関連
  • 進学塾や英会話教室など子ども向けの習いごと関連
  • 中小規模の飲食店
  • スポーツジムやエステサロンなどライフヘルス関連
  • 戸建て住宅やマンションなど不動産関連
  • 外壁塗装やリフォームなど住宅設備関連

このように、「ターゲットの関心がエリア情報に結びついたサービス」においてポスティングはとくに効果を発揮する傾向にあるでしょう。

一方で、大型のショッピングモールやチェーンの飲食店など、「もともとそのエリアの住民に広く認知されている店舗」の場合、ポスティングによる認知拡大は見込みにくいと考えられます。

その他、観光業など「近隣住民がターゲットとなりにくい業種」においても、ポスティングによる効率的な集客は難しいといえます。

ポスティングのメリット

Webマーケティングが重視される現在、ポスティングには「オフラインならではの利点」も多いといえます。自社の業種やターゲット層にあわせて、以下のようなメリットを効果的に引き出していきたいところです。

ターゲットの目に触れる可能性が高い

一般的な家庭においては、「家に出入りする際に郵便受けやポストを確認する」という習慣があることも珍しくないでしょう。

株式会社NEXERと株式会社アドワールドによる「家のポストを見る頻度」に関するアンケート調査では、「帰宅するたびに」ポストを確認する割合が50.4%、「1日1回」が33.6%と、実に8割以上の人が頻繁にポストをチェックしていることがわかります。

さらに同調査においては、「ポストに入ったチラシやDMをどの程度確認するか」という質問について、「まったく見ない」と答えた割合は7.2%に過ぎませんでした。対して、「内容をざっくりと確認する」が40.5%、「全体的に目に入れる程度」が30.5%、「内容をしっかり確認する」が6.0%と、投函された広告物に一定の関心を向けていることが窺えます。

こうした調査からは、「自宅に届いた広告物」は「お得な地域情報に結びつく可能性がある」と考えられており、ターゲットの興味を引きやすい傾向にあることが読み取れるでしょう。

(参照:株式会社アドワールド|「家のポストを見る頻度」に関するアンケートを実施しました!

新聞購読層やSNS利用者層以外へのアプローチ

新聞折り込みチラシと比較した場合、ポスティングは「新聞を購読していない層」に対してもリーチをかけられるメリットがあります。

現在では1世帯あたりの新聞購読部数は「0.49」部と、半分以上の世帯が新聞をとっていない状況にあり、非購読層へのアプローチは必須と考えられます。

さらに、インターネット上の広告と比較した場合にも、ポスティングによりWeb媒体とは異なるターゲットにリーチできる可能性は高いでしょう。

WebサイトやSNSを情報源としていない層など、「ポスティングでしか情報を届けられないターゲット」は少なくないと考えられます。

(参照:日本新聞協会|新聞の発行部数と世帯数の推移

エリア特性や業種にあわせたターゲティング

自社の扱う商品・サービスの特性に応じて、「どのようなエリアに配布するか」を細かく決めていける点もポスティングのメリットです。

たとえば分譲住宅の販売チラシであれば、近々自身の家をもとうとしている層を狙い、「近隣エリアのファミリー向け賃貸物件」を中心にポスティングを実施するなど、目的にあわせて配布対象や配布数を調整できます。

さらに、配布作業をポスティング業者に委託する場合にも、「戸建てのみ」「マンションのみ」など条件を指定できる業者は少なくありません。条件設定の追加費用はかかるものの、事業者によっては「ファミリー層」など世帯構成によるセグメンテーションも可能であり、狙った層へと的確にアプローチできるでしょう。

ポスティングのやり方

ポスティングを実行する際には、ただ「近所にチラシを配る」だけではなく、実施の目的やターゲットなどについて計画を練っておくことが望ましいといえます。以下では基本的なポスティングの進め方について解説していきます。

ターゲットとエリアの選定

まずは「認知拡大」や「キャンペーンへの集客」など、ポスティングを実施する目的を明確にすることが求められます。そのうえで、商材やキャンペーンの性質から「誰に対してアプローチするべきか」を見定めていきましょう。

たとえば該当エリアで「日用品を扱う小売店」を新規オープンし、その旨を周知したい場合には、配布対象を絞らず近隣にポスティングしていくことが考えられます。「日用品」という商品の性質から、基本的に「すべての周辺住民」がターゲットとなりうるためです。

あるいは「スイミングスクールの新規入会キャンペーン」など対象や期間が絞られているケースにおいては、ファミリー向けのマンションや築年数の浅い戸建て住宅など、配布対象を限定していくことが求められるでしょう。

その他、「進学塾の夏期講習キャンペーン」など、相当にターゲットを限定する必要がある場合、世帯構成についての情報を有するポスティング会社への委託も選択肢になります。

チラシの作成

ターゲットや商材、キャンペーンの特性などを鑑みながら、「どのようなチラシであれば効果的にアピールできるか」を検討してきましょう。

とくにポストに投函されるチラシの場合、多くのターゲットは「さっと目を通して有益な情報かどうかを確かめる」だけで済ませてしまいます。そのため、「一目で訴求点が把握できるデザイン」を意識する必要があるのです。

チラシ上では商品・サービスの特性やキャンペーンの特典など、「ターゲットにとってのメリット」を明示したり、「○○な方へ」など悩みに訴求する文面を掲載したりすることも有効です。また「場所」についての情報も、必ずわかりやすい箇所に示しておきましょう。

デザインを外注する場合にも、事前に「チラシ上でアピールしたいポイント」を明確にしておくことが大切です。あらかじめ必須要件を定義しておくことにより、制作の方向性も見定めやすくなり、委託先との意思疎通もスムーズになると考えられます。

ルート決定・チラシ配布

ターゲットを絞って配布する場合には、対象となる物件をマッピングし、事前に周回ルートを決めておくことが望ましいといえます。

紙の地図で配布対象エリアを色分けしたり、地図アプリのルート保存機能などを活用したりしながら、効率的に対象物件を回れるルートを見繕っておくとよいでしょう。

大量のチラシを配布する場合には、一度に運べる量を考慮しながらルートを決める必要があります。体力面などを考慮しつつ、余裕をもってスケジュールを立て、実際のポスティング作業に入っていきましょう。

ポスティング費用の相場

ポスティングを実施する際には「チラシの印刷」など、準備のうえでコストが発生するものです。デザインや印刷、配布作業など「どこまでを外注するか」によって相場感は異なりますので、以下ではそれぞれの過程における費用相場を解説していきます。

印刷料金の相場

チラシの印刷料金の相場は、A4サイズの場合で1枚あたり2円~3円程度です。印刷枚数によっても料金は左右され、量が多いほど1枚あたりの単価は安くなる傾向にあります。

その他、用紙サイズや紙質、裏表印刷の有無や納期などによって料金は変動します。あらかじめターゲットを選定したうえで、「どのくらいの部数がいつまでに必要か」を明確にしておくことが大切です。

配布費用の相場

配布費用の相場としては、A4サイズのチラシの場合、おおむね1枚あたり3円~5円程度の単価が一般的です。配布エリアによっても左右され、人件費の高いエリアや、交通環境が整っていないエリアなどにおいては単価が高く設定されるケースもあります。

さらに単価を左右するポイントとして、ポスティングの条件指定が挙げられます。条件を絞らず該当エリア内に配布する「ローラー配布」であれば、比較的低単価で依頼が可能です。

一方で、「戸建てのみ」など配布対象を指定する「セグメント配布」の場合、条件を加えるごとに単価は増加していく傾向にあります。

その他、配布条件の指定以外にも、業者によってはさまざまなオプションサービスが選択できます。ポスティングに対するクレーム対応までカバーしている業者もあり、選ぶ際には「単価の安さ」だけではなく、自社の求める条件に合致するプランを見つけることが大切です。

デザイン費用の相場

ポスティングに用いるチラシなどのデザイン費用は、サイズやフォーマットのほか求める要件によって大きく異なります。一定のフォーマットに即したチラシであれば2万円前後から依頼できる制作会社もありますが、オリジナリティの高いデザインでは10万円を超えることも珍しくありません。

デザインの依頼先は制作会社のほか、個人のデザイナーや広告代理店などさまざまに考えられます。ポスティング会社がワンストップでデザインから印刷、配布までを請け負っているケースもあり、一括で依頼したい場合にはそのようなサービスも選択肢になるでしょう。

その他、デザインにかかる費用に加え、チラシの内容によっては撮影費などが必要になったり、デザインの修正に追加費用が必要になったりするケースもあるため、事前に「どんなチラシを作りたいか」を考慮しておくことが望ましいといえます。

ポスティングを効率的に進めるためのコツ

実際に自社でポスティングを実施する場合には、なるべくリソースをかけずに効率的に配布していきたいものです。以下ではポスティングのコツを紹介していきます。

ポストに入れる際の「面」を意識する

チラシを投函する際には、住人が郵便受けなどを開けた際に「チラシの表」が見えるような向きで入れておくことがポイントです。

多くの場合、チラシの要不要は数秒のうちに判断されてしまうため、少しでも早く相手の目に情報を触れさせる工夫をしておきましょう。

ルートは「片側通行」が基本

道路の両側にポスティングする必要がある場合、一度の通行で両側のポストに投函するのが時間としては早く済みますが、その反面「どこに投函したか」がわかりにくくなってしまいます。

二重投函のリスクも高まりますので、一旦道路の片側のみポスティングを終えてから、反対側のポスティングに取りかかるのが安全策といえるでしょう。

一度に手にもつ量を考える

ポスティングは基本的に、バッグやリュックに大量のチラシを入れておき、そこからある程度の量を束として手にもって配布していきます。マンションなど一気に大量の枚数が必要になる場面では、あらかじめ多めのチラシを手にもっておくと、素早く次々に配布していけるでしょう。

反対に、住宅間の間隔が離れたエリアで多くの量を手にもってしまうと、疲労につながりやすいと考えられます。その他、水分補給や服装面など、ポスティングにおいては「体力面」での備えを十分にしておくことが望ましいでしょう。

ポスティングで守るべきルール

ポスティングのターゲットによっては、自宅の郵便受けに直接広告物を投函されることを好ましく思わない人もいるでしょう。また自治会やマンションの管理者の定めるルールに反してポスティングを行ったことにより、トラブルに発展するケースも見られます。

トラブルを避けるため、実際にポスティングを実施する際には、以下のようなルールやマナーに配慮することが求められます。

「チラシ配布禁止」などの表示がある住宅は避ける

ポスティングが違法行為として見なされうるケースとして、刑法上の「住居侵入罪」に該当する場合が考えられます。

刑法第130条では、正当な理由なく人の住居などに侵入したり、退去を要求されていながら立ち退かなかったりなどの行為を住居侵入罪の対象としています。

この点で、ポスティングの行為そのものは、販促活動の一環であるため、それ自体で住居侵入罪に該当するとは考えにくいでしょう。一方で、「チラシお断り」など実質的に退去の要求にあたる意思表示があるにもかかわらず、住宅の敷地内に侵入しチラシの投函を行った場合には、住居侵入罪に該当する可能性は否定できません。

実際の判例においては、政治的ビラの配布を目的に公務員宿舎に立ち入ったケースが住居侵入罪とされた事例があります(最高裁判所第二小法廷判決、平成20年4月11日、刑集第62巻5号1217頁)。このように「明示された相手の意思に反するチラシ投函」は、マナーの面でも法律の面でも厳禁です。

「関係者以外立ち入り禁止」などの表示がある集合住宅は避ける

上述の「住居侵入罪」の観点から、マンションをはじめとする集合住宅の共用部などに「チラシ配布を目的とした立ち入りを禁じる掲示」がある場合には、ポスティング行為は認められないと考えられます。

実際の判例においても、ビラ・チラシの投函を目的とした立ち入りを禁ずる表示があるにもかかわらず、ビラ配布のためマンションの共用部に立ち入った行為が住居侵入罪とされた事例が見られます(最高裁判所第二小法廷判決、平成21年11月30日、 刑集第63巻9号1765頁)。

このように、個人宅であっても集合住宅であっても、住人や管理人が禁止している事項に反するようなポスティングは絶対に避けましょう。

特定の個人宛ての文書を投函しない

チラシの場合には考えにくい事例ではありますが、「特定の個人に宛てた文書」は郵便法上「信書」として扱われ、これを個人宅などに投函できるのは日本郵便株式会社のみと定められています。

信書は法律的には「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と定義されており、たとえば事業者が特定の個人宅のポストに、自社のサービスの利用を勧める紙面を「宛名つき」で直接投函する行為は郵便法違反にあたります。

つまりポスティングで投函するチラシは個人宛てではなく、不特定多数に向けたものでなければならないのです。そのため配布するチラシには、宛先を記載せず、多数に向けた広告物として扱うようにしましょう。

住居の敷地に立ち入る際のマナーを遵守

ポスティングは個人の生活圏に立ち入る行為であるため、実施する際にはさまざまなマナーに注意しなければいけません。夜間や早朝の時間帯を避けることはもちろん、濡れた印刷物が郵便受けの中身を汚さないよう、雨や雪の日を避けるといった配慮も重要でしょう。

また、同じ住居に何度も重複してチラシを配布したり、郵便受けからはみ出すようなかたちで投函したりといったことも避けたいところです。

まとめ

ポスティングは個人宅などに広告物を直接投函する集客方法であり、Webマーケティングが主流化しつつある現在でも、ローカルビジネスにおいて効果的な手法のひとつです。

ポスティングを通じて、マスメディアやSNSなどとは異なるターゲットにもアプローチでき、地域に根ざした業態に適した手法といえるでしょう。

ポスティングで配布するチラシなどの広告物は、自社で作成することも可能ですが、制作を外部に依頼することも選択肢になります。またチラシのデザインのほか、印刷や配布作業についても自社のリソース次第では外注を検討するとよいでしょう。

ポスティングにより効率的に集客を行うには、あらかじめターゲティングを入念に行い、配布対象やエリアを絞っていくことが重要です。チラシ制作にあたっても、ターゲットのニーズを念頭に置いたデザインや文面を意識しましょう。

実際にポスティングを実施する際には、トラブルやクレームを避けるよう、チラシ投函を禁じている建物には立ち入らないようにしてください。マナーを遵守しながら、効率的なルートで配布していきたいところです。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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