
PowerCMSとは?Movable TypeやPowerCMS Xとの違いを解説
サイト構築・運用を手助けするCMS(コンテンツ管理システム)を導入する際、どれが良いか迷うことはないでしょうか。企業で導入する場合、世界中で最も有名なWordPressは、オープンソースなのでセキュリティ面やコストパフォーマンス面でやや不安が残るはずです。
Webサイト専任の社員が少ない、英語に抵抗がある場合は国産CMSに絞って探す人もいるはずです。その際に「PowerCMS」という名前を見かけることもあるでしょう。
本記事では、PowerCMSとはどんなCMSなのか、特徴やメリット・デメリットを交えて解説していきます。料金プランや、Movable Type・PowerCMS Xとの違いも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
PowerCMSとは?
出典:PowerCMS
PowerCMS(パワー・シーエムエス)とは、アルファサード株式会社が提供する国産のCMS(コンテンツ管理システム)です。元は「Movable Type」という別のCMSのプラグインとして開発されましたが、利便性の向上を目指すために別のCMSとして独立しました。日本国内の導入サイト実績数は3,000を超え、公的機関でも導入されています。
2025年3月時点での最新バージョンは「PowerCMS 6」となります。現在もアップグレートを続けており、「公式サイト」のお知らせでこまめに更新されています。
PowerCMSの料金価格
PowerCMSの料金価格をまとめました。アドバンスト版以外は、1サーバーあたりの金額となります。
種類 | 料金(税込み) |
---|---|
スタンダード版 | 440,000円 |
プロフェッショナル版 | 880,000円 |
エンタープライズ版 | 1,320,000円 |
エンタープライズ版 (追加ライセンス) |
132,000円 |
アドバンスト版 (マルチサーバー) |
2,640,000円 |
2年目以降のサポートライセンス | 各ライセンスの20% |
プラグイン | |
PowerCMS 8341 | 220,000円 |
PowerSync | 220,000円 |
SAML Login | 220,000円 |
スタンダード版はCMSの基本的な機能しか備わっていません。会員制サイト、ECサイト、ポータルサイトなどの場合は、プロフェッショナル版以上のライセンスを購入したほうが良いでしょう。
なお、各ライセンスは事前に申し込みを行えば、1か月のトライアルが可能です。
PowerCMSを導入している企業・団体例
PowerCMSの公式サイトに掲載されている、導入企業・団体を一部紹介します。
- NTTアドバンステクノロジ株式会社
- ソフトバンク・テクノロジー株式会社
- 株式会社パソナ
- 公立大学法人神戸市外国語大学
- 一般財団法人大阪市教育振興公社
- 太陽石油株式会社
500ページもある大規模でも最適化できるPowerCMSは、大企業や教育団体のサイトにも活用されています。名だたる企業も導入しているので、安心感があるはずです。
PowerCMSの特徴・メリット

PowerCMSの特徴や導入するメリットは以下の通りです。
- 商用CMSの中では比較的安価
- 大規模サイトの構築・管理が得意
- セキュリティが強固
- 静的ページの作成が可能
それぞれについて解説していきます。
商用CMSの中では比較的安価
商用向けのCMSは、ライセンスの初期費用で100万円を超えるが多いです。ですが、PowerCMSはスタンダード版で44万円、プロフェッショナル版で88万円と比較的安価です。2年目以降のライセンスを更新するとしても、コストパフォーマンスは良いと言えるでしょう。
複数のライセンスが用意されているので、作成したいサイトに合わせて適切なプランを選べるのもメリットの1つとなります。
大規模サイトの構築・管理が得意
PowerCMSは、500ページと言わず1,000ページを超える大規模サイトでも、構築・管理を効率化させる機能が充実しています。CMS上で自社ルールに合わせたワークフロー管理ができるうえ、コンテンツを自由にグループ化して一括管理ができます。ユーザー管理画面でショートカットキーを好みにカスタマイズすることも可能です。
また、サーバーの不可を減らす静的HTMLの生成もできるので、コンテンツが多いサイトであってもパフォーマンスを発揮できます。
セキュリティが強固
PowerCMSは、Webサイトを構築するソースコードとコンテンツを完全に分けてたURLを発行できます。ソースコードから構造をわかりにくくしているので、サーバー攻撃を受けづらいです。
また、定期的なパスワード変更を即す機能や、連続してID・パスワードを間違えた際のアカウントロック、特定のIPアドレスの拒否などのセキュリティ機能も備わっています。大規模サイト向けのCMSなので、アクセス集中によるサーバーダウンを回避するための機能もあります。
静的ページの作成が可能
静的ページとは、いつ誰がみても同じ情報が表示されるページのことです。ユーザーや時間帯に応じてページ内の情報が変更されないので、サーバーへの負荷を軽減できます。静的ページが作成できるCMSは少ないので、かなり重宝されることでしょう。
PowerCMSのデメリットは情報が少ないこと

PowerCMSのデメリットは情報が少ないことです。ネット上で検索しても、類似の情報しか出てきません。ドキュメントなども公開されていないので、公式のサポートを受けるしかないでしょう。そのため、自分で導入しようと思ってもハードルが高いのが現状です。
PowerCMSの導入・サイト構築をする場合は、公式か取り扱っている制作会社に外注したほうが良いです。外注前提のCMSなので、価格が安めなのかもしれません。
PowerCMSとMovable Typeの違い
出典:Movable Type
PowerCMSの元となった「Movable Type」は、PerlとPHPというプログラミング言語で作られたCMSです。1アカウントで最大10ドメインまでサイト管理可能、静的HTML生成でページ表示速度の最適化、独自のMTタグを採用などという特徴があります。
正直なところ、サイト規模と価格でどちらが良いか選んでも良いでしょう。ですが、比較するのであれば、「拡張性」「カスタマイズ性」「安全性」「運用のしやすさ」の4つの視点で確かめるのもありです。それぞれの違いについて簡単に解説していきます。
機能の拡張性
PowerCMSは、Movable Typeをベースに開発されており、企業向けの高度な機能を標準で備えています。具体的には、ワークフロー機能やステージング機能などがデフォルトで搭載されており、大規模なサイト運営や複数人でのコンテンツ管理に適しています。500ページを超える大規模サイトでも、効率良く運営できるでしょう。
一方、Movable Typeは基本的な機能を提供し、必要に応じてプラグインを追加して機能を拡張する形態を取っています。そのため、初期状態での機能は限定的ですが、必要に応じて柔軟に拡張が可能です。
カスタマイズ性
PowerCMSはデフォルトで多くの機能を備えているため、追加のプラグインなしで高度なカスタマイズができることが魅力です。Movable TypeのMTタグを使用し、簡単な構築から詳細なカスタマイズまで実現できます。また、カスタムオブジェクトやフィールド、フォーム機能を活用することで、柔軟なコンテンツ管理が可能です。
Movable Typeもカスタムフィールドやテンプレートの設置が可能で、プラグインを追加することでカスタマイズ性を高めることができますが、デフォルト機能はPowerCMSより少ないです。
安全性
PowerCMSは企業向けの高度なセキュリティ機能を標準で備えている点で優れています。静的パブリッシング機能を持ち、サイトパフォーマンスを高めるとともに、出力先サーバーとCMSサーバー、データベースサーバーを分離することで高いセキュリティを実現しています。
Movable Typeは静的なコンテンツ生成が可能、CMSと公開サイトのパスを分離しているのが特徴です。セキュリティ機能を強化さらに強化する場合は、プラグインで拡張しましょう。
運用のしやすさ
PowerCMSは、操作性が他のCMSと比べて扱いやすく、コンテンツの更新をユーザーが行う際にも適しています。また、ワークフロー機能を活用することで、情報公開のフローを整備し、迅速な情報公開が可能です。
Movable Typeは基本的な機能を提供し、プラグインを追加することで運用性を高めるCMSなので、プログラミングの知識は多少あったほうが良いです。
「PowerCMS」と「PowerCMS X」は別物
出典:PowerCMS X
「PowerCMS」と「PowerCMS X」は、どちらもアルファサード社が開発したCMSですが別物です。PowerCMSは、Movable TypeをベースにしたCMSであり、PerlとPHPで開発されています。PowerCMS XはPHPのみで開発されている、ゼロベースで設計された新しいCMSです。
従来のPowerCMSでは再構築や管理画面の操作に時間がかかることがありましたが、PowerCMS Xでは処理速度が大幅に向上し、従来の20倍の速さで動作するとされています。
さらに、コンテンツ管理の仕組みも異なります。PowerCMSは「記事」や「ページ」といった固定されたコンテンツタイプを扱うのに対し、PowerCMS Xでは「モデル」という概念を導入し、データベース構造や入力フォームを柔軟にカスタマイズできるようになっています。これにより、より自由度の高いサイト設計が可能になります。
Movable Type環境をすでに導入している場合は「PowerCMS」、高速で柔軟なCMSを新規導入したいなら「PowerCMS X」がおすすめと言えるでしょう。
まとめ

PowerCMSは、特に大規模サイトの構築やセキュリティを重視する企業にとって魅力的なCMSです。商用CMSの中では比較的安価でありながら、ワークフロー管理やセキュリティ機能などを標準搭載している点が大きな強みと言えます。また、静的HTMLの生成により、サーバー負荷を抑えながら安定した運用が可能となるのもメリットでしょう。
ですが、情報の少なさが導入のハードルを上げている点には注意が必要です。ネット上のドキュメントやユーザーコミュニティが限られているため、自力での学習や問題解決が難しいこともあります。そのため、公式サポートを活用するか、導入支援を行う制作会社に依頼するのが現実的な選択肢となるでしょう。
PowerCMSを導入すべきかどうかは、自社のWebサイトの規模や管理体制、求める機能によって判断すべきです。ほかのCMSと比べたい人は、以下に掲載している記事もあわせて参考にしてください。
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