最先端のWebマーケティングを発信するメディア

最先端のWebマーケティングを発信するメディア

商品力を高める方法とは?基本概念と長く愛される商品の作り方

最終更新日:
SHARE
FacebookTwitterLineHatenaShare

今や良い商品だけでは売れない時代です。あらゆるビジネスにおけるコモディティ化と価格競争が進むなか、それを痛感している事業者様も多いのではないでしょうか。そんな時代だからこそ「商品力を着実に高めるための方法」に焦点を当て、本記事では分かりやすく丁寧に解説していきます。

「いいものなのに、売れない」そんな苦い思いはおしまいにしましょう。あなたの素晴らしい商品にさらに磨きをかけ、手に取るべき多くの人々の元へ、確実に届けるために、本記事を読み進めていただきたいと思います。

※コモディティ化
商品やサービスについて、性能や品質、創造性、ブランド力などに大差がなくなり、顧客からみて「どの会社の商品やサービスも似たようなもの」に見えるようになった状態

商品力とは何か

「商品力」と聞いてあなたは何を思い浮かべるでしょうか?多くの方は、品質=消費者の期待を満たすクオリティかどうかだと考えるかもしれません。確かにその考え方は間違いではありません。

しかし、実は商品力とは”質だけ”ではないのです。商品力とは、その商品に関する要素が持つ「総合力」です。

たとえば、ワインの商品力は、味や香り、風味といった品質だけではありません。商標やラベル、ボトル、容量、価格、提供方法、アフターサービスなど、そのワインという商品を取り巻く様々な要素を合わせた総合力こそが、商品力だと言えます。

商品とは

そもそもビジネスにおける「商品」とは何なのでしょうか?

一般的な回答をするとすれば「売買の対象となる品物」ということになりますが、これは突き詰めていくと、商品=消費者の問題・悩みを解決するものと言い換えることができます。

多くの消費者は、その物質そのものが欲しくて買うのではありません。その商品を所有・利用することで得られる問題・悩みの解消という体験を欲しているのです。だからこそ、この世から霊感商法などの商売の仕方が無くならないという負の一面もあります。

マーケティングの大家であるセオドア・レビット博士が説いた以下の言葉は、商品はもとい商品力について考える上で非常にヒントとなる考え方です。

「ドリルを買いにきた人が欲しいのはドリルではなく『穴』である」

参考:セオドア・レビット著『マーケティング発想法』(1971年/原著は1968年出版)

覚えていて損はありません。商品開発や販売戦略、集客戦略を考えるうえで迷った際の指針にもなるでしょう。

商品力の基本概念

商品力とは、その商品に関する要素が持つ「総合力」であり、消費者の問題・悩みを解決する力です。そして、総合力が高ければ、商品が市場で競争優位性を持ち、消費者に選ばれることになります。では、その総合力を構成する要素には、具体的にどんなものがあるのでしょうか。

商品力を構成する要素を大きく分けるとするのであれば、「買う前に欲しいと思わせる力」と「買った後に買って良かったと思わせる力」の二つだと言えます。そして、「買う前に欲しいと思わせる力」と「買った後に買って良かったと思わせる力」は、さらに以下のような細かい要素で構成されています。

買う前に欲しいと思わせる力買った後に買って良かったと思わせる力
■独自性
他の商品と差別化されている点があるか。(例:独自のデザインや機能、新しい技術の導入)
■価格
価格設定が適切であり、消費者にとって購入する価値があると感じられるか。
■ブランド力
ブランドの認知度や信頼性が高く、消費者に好まれるブランドであるか。
■マーケティング
商品の魅力が効果的に伝えられ、消費者にアピールできているか。
■品質
商品の基本的な品質が高く、消費者の期待を満たすかどうか。
■顧客満足度
購入後の顧客満足度が高く、リピーターや口コミを通じて新たな顧客を獲得できるか。

つまるところ、買う前に欲しいと思わせる力がいくら高くても、買った後に良かったと思わせる力が低かったら、それはヒットする商品にはなりませんし、商品力が高いと言うこともできないということです。むしろ今の時代ならSNSやインターネット上で直ぐに悪い口コミが広がり、顧客離れが加速してもおかしくありません。

一般的に言うような「良い商品・いいもの」という感覚だけで、商品力がある・商品力が高いと考えるのはもう終わりにしましょう。独自性や価格、ブランド力、マーケティングから品質や顧客満足度まで、そのすべてを通して消費者を満足させてこそ、商品力があると言えるのです。

昨今、様々なビジネスにおいて顧客体験価値やCX(カスタマー・エクスペリエンス)に重きを置く動きがありますが、これも商品力の本当の意味を理解していれば、自然な流れだということが分かります。

商品力がないとどうなるのか

商品力がないと、最悪の場合ビジネスは成り立たなくなってしまいます。これは単純な話で「商品が売れなくなる」からです。具体的には以下のような事象が発生してしまうことが予想されます。

  • 売上の低迷:消費者に選ばれず、販売数が減少
  • 顧客離れ:顧客満足度が低下し、口コミや紹介が期待できなくなる
  • 競争力の低下:市場シェアを失い、価格競争に巻き込まれる
  • ブランドイメージの低下:商品の品質や価値が低いとブランド全体の信頼性を失う
  • 在庫の増加とコストの増加:売れ残りの商品が増え、マーケティングコストも増加する

商品力は様々な要素が折り重なった総合力。だからこそ、時代によって変動する顧客ニーズの影響を敏感に受けてしまいます。つまり、今は大丈夫でも近い将来に商品力が低下し、上記に挙げたような事象が発生してしまう可能性もぬぐい切れません。

あらゆるリスクに備え、一日でも早く商品力の向上に励む必要があることを押さえておきましょう。

商品と製品の違い

商品と製品の違いを押さえておくのも、商品力を高め、ビジネスを成功させるうえでは大切です。多くの方は、商品=製品と捉えていたり、ぼんやりと同じようなものだと考えていたりするのではないでしょうか。

実はビジネス・マーケティングにおける商品とは、「売れることを前提とした品物」です。つまり、すでに世の中ににおいて需要があるものということになります。一方で製品は、「製造した品物」であり、その多くが「売りたいから製造した品物」と言い換えることもできます。

つまり、ただ単純に売りたいから作ったものは、自分よがりの「製品」でしかありません。顧客が求めているものを作ってこそ、初めてそれは「商品」となります。

大切なのは顧客中心で考えるということです。企業よがり、自分よがりの新製品の開発はもうやめにしましょう。

商品力を高めるための基本ステップ

商品力を高めることのメリットは、正直はかり知れません。あなたのビジネスをこれでもかというほどに、成長させる力を秘めています。

とはいえ、今の時代ただ「良いもの」「良い商品」を作るだけではダメだということは、すでに分かっているはずです。そこで、開業したての方やビジネス初心者、店舗経営者でも始められる商品力を高めるための基本事項について、一つずつ紹介します。

顧客が求めるものを理解する

商品力を高めるためには、まず顧客中心の視点を大切にすることです。「売りたい」「届けたい」が先行してはいけません。「本当に顧客はそれを求めているのか」という考え方を徹底するのです。

顧客が求めているものすなわち、顧客ニーズは大別すると「身体的なもの」と「心理的なもの」に分類できます。

身体的なものは、空腹や暑い・寒いなどの身体的な機能から発生するニーズです。たとえば、のどが渇けば飲料水を飲みたくなりますし、寒いときには手袋やマフラーが欲しくなる、といったようなもので、生きていれば誰でも感じることのあるニーズだと言えます。

一方、心理的なものは、一般的に身体的ニーズが満たされたあとに生じるとされています。たとえば、コーヒーを飲みたいのなら、自宅でインスタントコーヒーを淹れた方がお財布には優しいはずです。身体的なニーズも簡単に満たすことができます。

しかしながら、人々は何故かスターバックスに足を運びます。その理由を言語化するのは難しいかもしれませんが、その多くはなんとなく気分が上がったり、スターバックスというブランドに価値を見出していたりするからでしょう。スターバックスに行くことで、心理的ニーズを満たしているのです。

また、CXpertの創業者兼CXエキスパートであるBen Motteram氏は、顧客の基本的なニーズについてさらに細分化し、以下のような7つの欲求に分けています。

  • 親しみやすさ:礼儀正しく、丁寧に、親しみやすい方が良い
  • 共感:自分の要求や状況に理解を示してほしい
  • 公正さ:十分な配慮を受け、公正かつ妥当な回答を得たい
  • 主導権:自分の意見が取り入れてほしい
  • 代案:選択肢は豊富な方が良い、柔軟性が高い方が好ましい
  • 情報:的確かつ手短な説明であってほしい
  • 時間:時間は極力割きたくない、迅速な問題解決をしてほしい

細かい部分ではありますが、このくらい顧客視点に入り込んでモノを考えてこそ、顧客が求める商品を作ることができます。今のあなたの商品はどうでしょうか?

多くの企業が「競合他社が新機能を搭載したから、うちも同じものを追加しよう」といった動きをとる傾向にありますが、それは本当の意味で顧客の声に耳を傾けているとは言えません。それでは、単なる後追いです。かえって無駄な機能が追加され、顧客が混乱し離れてしまう可能性すらあります。

顧客の求めるものを常に追い求めていれば、競合の後追いになることはありません。先回りして、顧客の心に響く商品を作り上げ、それは結果的にヒット商品への一途を辿ることになるのです。

ターゲット顧客の絞り込み

商品力を高める上では、顧客視点が何よりも大切です。しかし、そうなってくると一つの問いが生まれます。そう、「顧客とは?」という問です。

顧客とは一般的に「商品を購入してくれている、または購入したいと考えている人」と定義することができます。しかし、このままだといささかぼんやりしているでしょう。このぼんやり度、実は商品力を高める上で非常に危険なのです。

何かしらの商品を売りたいといった場合、ほとんどの方が「一人でも多くの顧客にそれを届けたい」と思うことでしょう。その気持ちは確かに大事です。しかしながら、それゆえに「誰でもいいからこの商品を届けたい」と言う思考に陥ってしまってはいけません。

逆接的ではありますが、この世の中「誰にでもウケる商品」は残念ながら売れません。なぜかというと、売れる商品・伸びる商品というのは、「人の心に響く商品」だからです。

十人十色、千差万別と言うように、人の心模様は人それぞれです。たとえば、「全員にオススメ!」という広告は、具体性がなく、誰の心にも響かないでしょう。一方、「忙しいお母さんのための時短レシピ!」というメッセージは、特定の人の心に強く響きます。

ただこの事実は、商品力を高めたいあなたにとってのメリットでもあります。なぜなら、その商品で「全員を満足させる必要はない」からです。むしろ、「誰にでもウケる商品」は特徴が薄くなり、他の競合商品と差別化すらできません。

ターゲット顧客を絞り込み、その人の心に深く響く商品を作る。これこそが、商品力を高める上で肝心な考え方と覚えておきましょう。

ターゲットを絞る際は、

という2つの流れだけでも最低限押さえておいた方が吉です。

市場の細分化(セグメンテーション)とは、簡単に言うと多くの人がいる大きな市場(マーケット)を、共通の特徴やニーズを持つ小さなグループ(セグメント)に分けることです。

たとえば、ジュースを売るとすると、大きな市場(マーケット)には、「ジュースを飲むすべての人」がいます。そこから「子ども」「大人」「運動する人」「運動しない人」などの指標で切り分けることで、共通の特徴やニーズを持つ小さなグループ(セグメント)に分けることが可能です。(今回の場合は、「運動する大人」「運動する子ども」「運動しない大人」「運動しない子ども」の4つ)

市場の細分化とターゲットの設定のイメージ図

ターゲットの設定(ターゲティング)とは、それらの4つ小さなグループ(セグメント)から一つの「運動する大人」を選ぶことです。

さらにより具体的な人物像(ペルソナ)まで徹底して考えることで、本当の意味で顧客に寄り添った商品を作ることが可能です。今回の例で言えば、ターゲットとして絞り込んだ「運動する大人」とは具体的にどんな人なのか?という部分です。

  • 年齢
  • 性別
  • 居住地域
  • 住居情報
  • 最終学歴
  • 職業
  • 年収
  • 家族構成
  • 趣味
  • よく使うSNS
  • 現在の悩み
  • 悩みを解決してどうなりたいか

細かすぎて嫌になるかもしれませんが、これくらい具体的に絞り込んだ方が、その人の「心」を紐解くことができます。心を紐解けば、心に響く商品を作れるというものです。

今は確かに遠回りと感じるかもしれません。しかし、その商品が売れはじめ、ヒット商品となったとき、遠回りだったと思っていた道のりが実は近道だったと気づくことになるでしょう。

商品コンセプトの作り方

「モノを売るな、コンセプトを売れ」

出典:株式会社ミルボン

上記の言葉は、美容室専用のヘアケア製品やヘアカラー剤などを製造・販売する化粧品メーカーである、株式会社ミルボンが掲げるスローガンであり、あらゆるビジネスにおける本質をとらえた言葉です。

分かりやすい例で言えば、森永製菓株式会社のinゼリーなんてどうでしょうか。「10秒チャージ」という商品コンセプトは誰もが一度は耳にしたことがあるはずです。そして、そのコンセプトを買うために多くの消費者がinゼリーを手に取るのです。

商品コンセプトは、キャッチコピーとして利用されることがほとんどです。つまるところ、商品コンセプトとは、「消費者が商品を使用する際に頭に浮かぶもの」を表現したものだと言えます。

商品コンセプトを考える際は、以下のように「誰に」「何を」「どのように」とういう3つの要素で考えると分かりやすいです。(商品の例.冷凍弁当)

要素説明具体例
誰に(ターゲット)どのような人に販売していくか忙しい共働き世帯に
何をどのようなニーズや欲求を満たすのか、どのような便益を与えるのか手軽に栄養バランスの取れた食事を
どのようにニーズや便益をどのような方法・技術で満たすのか最新の急速冷凍技術を使用し、食材の鮮度や栄養を保持しつつ、調理の手間を省いて

また、より視覚的かつ具体的に商品コンセプトを設計する場合は、コンセプトシートを作成してみるのもおすすめです。コンセプトシートには、「誰に」「何を」「どのように」という3つのポイント以外にも、

  • アイデア名やキャッチコピー
  • ベネフィットや主たる商品特徴
  • 使用場面・利用シーン
  • その他の商品特徴

といった項目も記載できると良いでしょう。

コンセプトシートの例

ただし、商品コンセプトは「一人で構築して終わり」では危険です。社内でのフィードバックや、想定するターゲット層での魅力度調査を実施し、可能であれば複数のコンセプトについて評価を点数化し、比較検討できると理想的です。

競合分析の基本

彼を知り己を知れば百戦殆からず(かれをしりおのれをしればひゃくせんあやうからず)

古代中国からのことわざ

戦う場面では、自分と相手の両方の優劣長短を良く知っておくことが肝心です。敵を知り、己を知ることで、どんな戦いでも敗れることはありません。もちろんこれは、ビジネスにおいても同じことが言えます。

ビジネスにおける競合分析と言うと、3C分析や4P分析、SWOT分析といったフレームワークが有名ですが、ここではあえて、それらの説明は省きます。難しく考えすぎず、シンプルに商品力を高めるための道筋をつかんでほしいからです。

競合分析とは、簡単に言うと自分たちの商品と他の会社の商品を比べて、強みや弱みを見つけることです。これにより、どのようにすればもっと良い商品を作れるかが分かります。つまり商品力を高めることができるのです。

競合分析の基本的な流れは以下の通りです。

  1. 競合を見つける
  2. 商品を比べる
  3. 競合の強みと弱みを分析する
  4. 自分たちの商品を改善する

では、具体例も交えながら見ていきましょう。

競合を見つける

まずは、自分たちの商品と同じような商品を売っている会社を探します。

たとえば、自分たちが新しい文房具を作るなら、他の文房具メーカーを調べます。なかでも、新しいシャーペンを作るとしたら、他のシャーペンメーカーを探します。

商品を比べる

次に、競合の商品と自分たちの商品を比べます。比べるポイントは主に以下の3つに絞っておけば、比較しやすいでしょう。

  • 価格:どちらが安いか、高いか
  • 品質:どちらが使いやすいか、長持ちするか
  • デザイン:どちらのデザインが魅力的か

たとえば、競合のシャーペンが1本300円、自分たちのが200円なら、価格で勝っているということが分かります。また、競合のシャーペンが握りやすく書きやすいと評判なら、自分たちも持ちやすさや書き心地を改良する必要があると明らかになるのです。

競合の強みと弱みを分析する

くわえて、競合の商品がなぜ売れているのか、その理由(強み)を探ります。競合のシャーペンが耐久性が高いなら、それが強みかもしれません。

商品の強みは、商品のウリでもあります。競合の口コミやホームページに記載されている商品キャッチコピーなどは、強みを探る際の良い指標になるでしょう。

同時に、競合の商品がうまくいっていない部分(弱み)も見つけます。たとえば、競合のシャーペンの耐久性が高かったとしても、デザインがシンプルで地味なら、それが弱みと捉えることが可能です。

自分たちの商品を改善する

最後に、競合の強みを参考にし、自分たちの商品をもっと良くする方法を考えます。先ほどの例で言うなら、自分たちのシャーペンにも耐久性を高める素材を使うことなどが考えられます。

また、忘れてはならないのが、競合の弱みを補うように、自分たちの商品に新しい特徴を加えることです。先ほどの例で言うなら、デザインをもっとおしゃれでカラフルにして、目立つようにすることが考えられます。これが競合との差別化につながるのです。

つまるところ、競合商品の良いところを真似して、悪いところはより良くして取り入れよう、ということです。

顧客に響く商品の作り方

前項では競合分析の重要性と、そのシンプルな方法に触れました。お伝えしたように、商品力を高めるうえで、自分と相手の両方の優劣長短を良く知っておくことは大切です。

しかしながら、競合にばかり捉われてしまうと、「顧客の心に響く商品を作る」という真の目的を見失いかねないので注意が必要です。商品力を高めるための本質は、顧客の声・顧客の本音にあります。

競合にばかり目を奪われていると、商品の機能も強みも後手後手に追加していくしかありません。ただし、顧客の声・顧客の本音に目を向け、それを満たすために奮闘すれば、顧客の心に先回りした商品づくりを実現できるのです。

そこで顧客の声・本音を探るための方法とそのポイントについて、紹介していきます。

アンケートの活用

まずは、顧客に対してアンケート調査を実施し、彼らが求めるものや意見を集めましょう。たとえば、新しい文房具を作る場合、「どんな文房具が欲しいですか?」というアンケート用紙を配るのがシンプルな例です。

こうしたアンケート調査を行えば、市場のトレンドや意向、顧客の意見を数値で把握することができます。とはいえ、とりあえず知りたいことをアンケート化すればよいというわけでは決してありません。

商品力を高めるためにアンケートを活用する際は、以下のような流れとポイントを押さえておきましょう。

アンケート活用の流れポイント具体例
①目的を明確にするアンケートを実施する目的を明確にし、集めたい情報を具体的に設定する。新しい文房具のデザインを改良するために、どんな機能やデザインが必要かを知る。
②簡潔でわかりやすい質問を作成する回答者が理解しやすく、答えやすい質問を作成する。回答者が多い場合は、「はい・いいえ」などで答えられる選択式の質問を取り入れる。質問は「好きな文房具の色は?」や「どんな機能が便利だと思いますか?」などシンプルに。
③ターゲット層にアンケートを配布するアンケートをターゲット顧客に配布し、意見を集める。学生や受験生などにアンケートを配布して回答をもらう。
④アンケートの収集方法を工夫するオンラインフォームや紙のアンケートなど、回答しやすい方法を選択する。Googleフォームを使ってオンラインでアンケートを収集したり、紙のアンケートを配布して回収する。
⑤回答を整理して分析する集めた回答を整理し、どの意見が多かったか、どの要望が重要かを分析する。回答をExcelにまとめて、色や機能に関する意見を集計する。
⑥結果を基に商品を改良する分析結果を元に、商品に反映させるべき点を見つけ出し、改良する。多くの生徒が「軽くて持ちやすいペンが欲しい」と答えたなら、軽量な素材を使って新しいペンを作る。
⑦フィードバックを顧客に伝えるアンケートに答えてくれた顧客に結果やその後の対応を伝えることで、信頼関係を築く。アンケート結果を元に改良したペンができたら、「皆さんの意見を元に新しいペンが完成しました!」と報告する。

▼合わせて読みたい記事
無料で使えるWebアンケート作成ツール10選+有料サービス3つ紹介

試作品のテストマーケティング

市場に商品を出す前に、あらかじめ「どのくらいその商品がウケるのか?」を確認する。それが試作品のテストマーケティングの目的です。

その反応が良ければ、実際に商品として所に送り出すのも良し、反応が良くなければ、その原因を解明して、改善すれば良いのです。いずれにせよリリース前に顧客からの反応を伺うことで、商品の需要を予測できます。

試作品のテストマーケティングには、アンケートの実施はもちろん、クラウドファンディングも有効です。クラウドファンディングは、何らかのサービスや商品を作るにあたり、そのプロジェクトを立ち上げた人や法人に対し、不特定多数の人が、インターネット等を通じて、購入・寄付・金融といった形態で資金を供与する仕組みのことです。

そもそもクラウドファンディングという仕組み上、その商品が人々の心に響き、共感を促すことができなければ、資金を獲得することはできません。ゆえに目標の資金を設定し、クラウドファンディングが成功すれば、ある程度市場で求められている商品だと結論付けることが可能です。

その他にもSNS調査やリアル店舗での調査、モニター調査(個別調査)などを通してテストマーケティングを実施する方法があります。いずれにせよ、テストマーケティングを行う際は、以下の情報は最低限収集できるようにしておきましょう。

  • ユーザーの属性:「年齢」「性別」「職業」「お住まいの地域」といった、ユーザーが持つ社会的な立ち位置に関する情報
  • ユーザーの満足度:満足度を点数で評価してもらう定量的情報・自由回答形式のアンケートで聞き出した定性的情報
  • 価格を許容できるか:ユーザーがどれほどの価格を受け入れられるのかといった情報
  • 流通チャネル:ユーザーがどうやって商品の購入に至ったかの情報

こうした情報をテストマーケティングの段階で押さえておけば、顧客を知ることはもちろん、改良を加えるポイントや適切なマーケティング手法などを明らかにする際に役立ちます。

▼合わせて読みたい記事
テストマーケティングとは?代表的な手法や押さえておくべき注意点について解説

フォーカスグループの実施

フォーカスグループ、あまり聞き馴染みのない方も多いのではないでしょうか?

フォーカスグループとは、小さなグループの人々を集めて、特定の商品(またはサービス)について意見を交換してもらうことです。分かりやすく言うと、「グループインタビュー」と言い換えることもできます。

アンケートの実施ではどちらかというと、定量的な側面(数値や数量)で顧客の声を捉えるのに適していますが、フォーカスグループでは、より定性的な側面(数値化できない要素)から、商品の良い点や改善点を深く理解することが可能です。つまり、顧客の自然な発話から商品力アップのヒントを得ることができるのです。

ただし、調査会社へ依頼するとなるとそれなりに費用が掛かるのがこのフォーカスグループの実施です。

そこで、小規模事業者や中小企業、店舗経営者の方でも現実的に実施できる方法、その流れやポイントについて以下に解説します。

フォーカスグループ実施の流れポイント具体例
①小規模なグループを選ぶ少人数のグループで実施し、手間やコストを抑える。家族や友人、常連客など、身近な人々を対象にすることで実現可能。店舗の常連客5〜6人に声をかけて、商品についての意見を集める。
②カジュアルな雰囲気で行う形式ばらず、リラックスした雰囲気で行うことで、参加者が意見を言いやすくなる。カフェのような場所や店舗内で行うのもおすすめ。店舗の一角に集まってもらい、お茶やコーヒーを飲みながら話をする。
③簡単な質問を用意するあらかじめ簡単な質問を準備。具体的で答えやすい質問を心がける。「この商品を使ってみてどう感じましたか?」「どんなデザインが好きですか?」など。
④自然な会話を促す一問一答ではなく、自然な会話の中で意見を引き出す。参加者同士が意見を交換する場を作る。商品の使い心地について話を始めると、参加者が自然に自分の意見を述べ始めるようにする。
⑤メモを取る後で見返して分析するため、ディスカッション中に、重要な意見や反応を簡単にメモしておく。「使いやすさに満足」「デザインがもう少しシンプルなら良い」などの具体的な意見をメモする。
⑥結果をまとめて分析する集めた意見を整理し、どの部分が評価され、どの部分に改善の余地があるかを見極める。メモを基に、共通する意見や特に重要なフィードバックをまとめる。
⑦改善点を実行するフォーカスグループで得たフィードバックを基に、商品を改善する。小さな改良でも顧客満足度が高まる。意見を参考にしてデザインを調整したり、使いやすさを向上させたりなどの改善を行う。

このように、まずはカジュアルに取り組んでみることが大切です。フォーカスグループの場が妙に形式ばっていると、肝心である自然な発話=顧客の本音を引き出すことができないので、その点は強く心掛けましょう。

競合商品のレビュー分析

Amazonや楽天、価格.comなどのレビューサイト、Googleビジネスプロフィールなど、現在は誰もが簡単に口コミを投稿できる場があります。

そうした場を活用し、「顧客が他社商品をどう思っているのか?」に着目、そのレビューを徹底的に分析するのも、商品力を高めるうえで大切な手法です。もちろん、自社商品にすでに複数のレビューがある場合はそれを深く分析することから始めます。

そこで気を付けたいのが、「評価点数(星の数)にばかりにとらわれない」ということです。よくある事例ですが、評価点数は5段階中4点なのに、レビュー内容は酷評ともいえる口コミである場合などがあります。

つまり評価点数だけを分析時の指標にしてしまうと、本当に大切な顧客の声を見落としてしまう可能性があるのです。大事なのは、評価点数以外のところにあるかもしれません。

その事実も踏まえて、レビュー分析する際は以下のような点をピックアップし、表などにまとめると良いでしょう。

レビュー分析の項目理由具体例
レビュー内容の要約長文のレビューから重要なポイントを短くまとめることで、どんな意見が多いかを把握しやすくなる。「ページが破れやすい」、「デザインが素敵」、「書き心地が良い」
評価点数(星の数)全体的な満足度の指標として、レビュー内容と併せて分析する。ただし、点数に惑わされず内容を重視することが大切。「5つ星中4つ星」
具体的な良い点商品の強みや顧客が評価している部分を明確にすることで、自社商品にも取り入れられるアイデアを得ることができる。「紙質が良い」、「デザインが素敵」
具体的な悪い点商品の弱点や改善点を見つけ出すために重要。競合の弱点を補完することで、差別化を図れる。「ページが破れやすい」、「インクがにじむ」
使用シチュエーションや背景レビューから顧客がどのような場面で商品を使っているかを知ることで、より具体的な改善策や新しいアイデアを得ることができる。「学生が学校で使う」、「ビジネスマンが会議で使う」
フィードバックの頻度同じ意見が何度も出ているかを確認し、特に多い意見を優先的に改善するべきポイントとして認識可能。「20件中15件でデザインが評価されている」
ノートの商品に関するレビュー分析表の例

SNSでのフィードバック収集

SNS(ソーシャルメディア)の活用も、顧客の声=本音を探るのにもってこいの方法です。現代の消費者は商品の情報を得るために、InstagramやFacebook、X(旧Twitter)などのSNSを日常的に利用してます。

そこで顧客と繋がりを持てば、手軽に低コストで顧客からの意見や感想を集め、商品力の向上に活かすことが可能です。またSNSの特性上、その市場におけるトレンドやニーズを把握しやすいのも大きなメリットでしょう。

とはいえ、SNSで認知度を高め、顧客と繋がるのは簡単ではありません。事実、多くの事業者がSNSを活用したマーケティングに苦戦しています。何せ、SNS上には競合も多いですし、”ながら見”(別のことをしながら視聴・閲覧)する購買意欲の低いユーザーも多いからです。

そこで押さえるべき流れやポイントを以下にまとめましたので、参考にしてみてください。

SNSでのフィードバック収集の流れポイント具体例
①適切なSNSプラットフォームを選ぶターゲット顧客がよく利用するSNSを選ぶ。若者向けの商品ならInstagramやTikTok、ビジネスマン向けならLinkedInが効果的。
②フィードバックを求める投稿を作成する商品に関するフィードバックを求める投稿を作成し、フォロワーに意見を求める。写真や動画を使って視覚的に訴えると効果的。「新しいノートのデザインについてどう思いますか?コメントで教えてください!」
③ハッシュタグを活用する関連するハッシュタグを使うことで、より広い範囲に投稿を見てもらい、フィードバックを集めやすくする。「#新商品 #文房具 #ノートデザイン」などのハッシュタグを使う。
④コメントやメッセージをチェックする投稿に対するコメントやダイレクトメッセージを定期的にチェックし、顧客の意見を収集する。投稿に対するコメントをすべて読み、「デザインが可愛い」「もう少し軽いといい」などの意見をメモする。
⑤インフルエンサーやフォロワーにリクエストする影響力のあるインフルエンサーやフォロワーに商品を紹介してもらうことで、さらに多くのフィードバックを得ることができる。インフルエンサーに新商品を送って使ってもらい、レビューを投稿してもらう。
⑥集めたフィードバックを分析する得られた意見や感想を整理し、共通点や重要な改善点を見つける。「多くの人がデザインを褒めているが、耐久性に不満を持っている」などの共通点を見つける。

「⑤インフルエンサーやフォロワーにリクエストする」における影響力のあるインフルエンサーの活用は、いわゆるインフルエンサーマーケティングというものです。すでにある程度の認知度があるなら不要ですが、より多くのユーザーからのフィードバックを得たい場合は検討しましょう。

ただし、インフルエンサーの選定にも注意が必要です。商品のターゲットとする顧客層に人気の人物や、その市場において影響力のある人物でないと、フィードバックの質が下がってしまうことは念頭に置いておきましょう。

▼合わせて読みたい記事
インフルエンサーマーケティングって何?失敗しないコツも解説!

長く愛される商品を作るためのポイント

商品力を高める、それは顧客のためでもあり、あなたのためでもあります。ただ、商品力に磨きをかけ、素晴らしい商品を作り上げたとしても……その商品の売れ行きが一時的なものだったらどうでしょう?いくら商品力を高めても、それが一発屋で終わってしまったら悲しいはずです。

あなたも経験があるかもしれません。「あの商品気に入ってたのに、生産終了しちゃって残念」「この商品、在庫がなくなり次第、販売終了らしいよ……」あなたが作る商品にそんな悲しい結末を迎えてほしくありません。

大切なのは長く愛される商品、ロングセラー商品を目指すことです。そして、人々に長く愛される商品にはある特徴があります。それは……「顧客に価値を与え続けている」ということです。

たとえば、赤城乳業株式会社の「ガリガリ君」なんてどうでしょう。ガリガリ君は、発売当初から変わらない基本的なコンセプトを守りつつも、時代に合わせた商品開発を行っています。近年の高級志向に合わせたフレーバー展開(例.「ガリガリ君リッチチョコミント」)などは良い例です。

今や世界中で大人気のポケットモンスターもそうです。同時期に発売される同じゲームでも色によって内容が変わったり、年を追うごとにポケモンの数が増えたり、近年では「個体値」という新システムの導入したり……と、その斬新な設定とアップデートで、子どもから大人まで、日本から海外まで幅広い顧客に愛され続けています。

では、「顧客に価値を与え続ける商品」を作るために、具体的にどんな視点を大切にし、どのような取り組みを行うべきなのか、そのポイントに迫っていきます。

顧客満足度の重要性

長く愛される商品、それは「顧客に価値を与え続ける商品」です。そのことからも分かるように、顧客は商品そのものよりも、その商品から得られる価値にお金を払っていると言うことができます。

では、その価値とは何なのか?定義するとしたら「自分がより良くなる未来」と言えるのではないでしょうか。

たとえば、切れ味の良い包丁は、料理の時間を短縮し、料理をより楽しくします。顧客は、料理の質が向上し、日々の食事が楽しくなる未来を期待してそれにお金を払っているのです。

とはいえ、この「自分がより良くなる未来」というのはえてして主観を伴うものであり、商品を作り出す側が100%それを理解することは難しいのも事実。

そこで大切なのが顧客満足度です。顧客満足度が分かれば、自社の取り組みが顧客基盤に好意的に受け入れられているかどうか=「顧客がより良くなる未来を提供できているかどうか」を把握できる物差しとなるからです。

つまるところ、顧客に価値を与え続ける商品を作り出すためには、顧客満足度には常に目を光らせておく必要があるということになります。

顧客満足度を高める方法

顧客満足度を高める方法はいつだってシンプルです。主に以下の三つのポイントにこだわり、日々改善していくことで顧客の期待に応えるための基盤を築くことができます。

  • 高品質な商品を提供する
  • 顧客の声を反映する
  • 優れた顧客サービスを提供する

高品質な商品を提供する、これはもう最低限押さえておくべき前提条件といえます。現代では100円ショップでも、高品質・多機能な商品を購入できます。

耐久性や使いやすさ、デザインなど、商品の細部にまでこだわる。これができていないと、顧客満足度を高めるためのスタートラインにも立ててないと考えて良いかもしれません。

また、前項でも紹介したように、顧客の声を反映することはダイレクトに顧客満足度を高めます。顧客からのフィードバックを積極的に収集し、商品改良や新商品開発に活かすことが大切です。

そして、優れた顧客サービスを提供すること。これをないがしろにしてしまっている企業が多い印象です。顧客満足度を高めるには、「商品購入後にどれだけサポートできているか」が決め手になります。

購入後のサポートや質問への迅速な対応は、顧客満足度を高める重要な要素です。問題があった場合の対応が早いと、顧客は信頼を感じます。

商品は作って終わりではありません。その後の対応も含めてが商品なのです。「買う前に欲しいと思わせる力+買った後に買って良かったと思わせる力=商品力」という公式を忘れないようにしましょう。

しかし、今ここまで説明した顧客満足度を高めるための基本的なポイントです。より高みを目指し、「顧客がより良くなる未来を提供し続ける」ためには以下の具体的な取り組みも押さえておきたいところです。

顧客満足度を高める取り組み内容
顧客の期待値調整顧客の期待値を把握し、適切な期待値を設定する。過剰な性能アピールやマイナス情報の提供は慎重に行う。
顧客満足度を上げる接客従業員の質の高い接客・対応を通じて顧客満足度を向上させる。統一した対応が重要。
UGCの活用ユーザーが作成したコンテンツ(口コミやレビュー)を活用し、信頼性と顧客満足度を向上させる。
顧客の不安を事前に取り除く購入前後の不安を取り除くためのサポートや情報提供を行う。
双方向のコミュニケーションSNSなどを利用して顧客と双方向のコミュニケーションを図り、信頼性を高める。
定期的な顧客満足度の計測定期的に顧客満足度を計測し、推移を把握して改善アクションを実施する。
効果的なツールの活用CRMやSFAなどのツールを導入して業務効率化と顧客対応の品質向上を図る。
ダイナミックプライシングの導入需要に応じて価格を変動させることで顧客満足度を向上させる。
従業員満足度の向上従業員満足度を向上させることで、顧客満足度も向上する。インセンティブや評価制度の見直しが有効。

特に着目してほしいのが比較的取り組みやすい「顧客の期待値調整」「UGCの活用」「ダイナミックプライシングの導入」です。

まず顧客満足度というのは、購入する前に生じる「事前期待値」と実際に「商品を購入してから感じる価値」との差分から生まれやすいと言えます。そのため、当たり前のことではありますが、実際の性能以上のものを広告文などでアピールしてはいけません。「実際に購入したらそうでもなかった」となってしまうと顧客満足度は下がる一方です。

逆にあまり大々的にPRされていなくても、購入してから感じる価値が高ければ、顧客満足度は上がります。つまるところ、商品力のうち「買った後に買って良かったと思わせる力」が極端に高ければ、マーケティングなど必要ないのです。

この差分から顧客満足度が生じるという事実を念頭に置くだけでも、商品の打ち出し方が大きく変わってくるのではないでしょうか。

また、SNSが普及している昨今では「買って良かった」という評判も、「そうでもなかった」という評判も簡単に世に広まります。そこで重視すべきなのがUGCの活用です。

UGC(User Generated Content)とは、ユーザーが発信したインターネット上の投稿写真や動画、レビュー、口コミなどのコンテンツのことです。単純な話ではありますが、ポジティブなUGCが多ければ多いほど、顧客にそれだけの価値を提供できているという証明になり、新規顧客の集客にもつながり得ます。

そして、ダイナミックプライシングの導入です。ダイナミックプライシングとは、あえて価格を固定せずに、経済環境に応じて変動させる手法です。分かりやすい例で言うと、ホテルなどの宿泊施設は、観光シーズンや近くでイベントがある時期などは価格を吊り上がりますが、閑散期には低価格で泊まれるようになっているかと思います。

これも価格に対する個別のニーズを満たし、顧客満足度を向上させるための一つの方法なわけです。

商品の価値を維持する方法

顧客が満足するような商品の価値を維持するためには、商品の「価格」とその「ブランド力」に着目することが大切です。商品価値の構成要素を式化するなら、「商品価値=ブランド力÷価格」と考えることができます。

「商品価値=ブランド力÷価格」の例

たとえば、同じ価格で同じ機能を持つ鞄が2つあり、一方が有名ブランドで、もう一方がノーブランドなら、多くの人は有名ブランドの鞄を選ぶでしょう。これは、「ブランド力が高い方が価値が高い」と感じるからです。

一方で、同じブランドで同じデザインの鞄が2つあり、一方が1万円、もう一方が5千円なら、多くの人は5千円の鞄を選ぶでしょう。この場合、「価格が低い方が相対的に価値が高い」と感じるからに他ありません。

要は商品の価値を維持しつつ、価格を下げようと思えば、ブランド力を上げる必要があるということです。材料費や運送コストの高騰から商品の値下げをせざるを得ないといった状況でも、商品の価値は維持することは可能なのです。

顧客サポートの強化

長く愛される商品というのは、「購入後の価値」にも力を入れています。「買った後に買って良かったと思わせる力」も含めて商品力だからです。

たとえば、Appleの製品がその代表例です。Appleは、商品の品質だけでなく、購入後のサポートにも非常に力を入れています。商品の故障やトラブルに対するサポートを充実させることで、顧客は購入後も安心して製品を使用できる体制を整えているのです。それによりリピーターも増え、長期的なブランドの信頼性向上に大きく役立っているというわけです。

顧客は商品を使用し続ける中で何かしらの問題や疑問に直面します。それは「なんとなく使いづらい」といった細かいものでもそうです。大小含め、そうした「負の要素」を無くしていくことで、顧客満足度が高まり、再購入や他の顧客への紹介につながります。

そんな中、中小企業や小規模事業者でも実行可能な具体的な取り組みとして、まず挙げられるとするならば「迅速かつ丁寧な対応」です。

たとえば、顧客からの問い合わせに一分一秒でも早く回答するだけでも顧客満足度は高まります。人は何かが欲しいと思ったときに、すぐ手に入れたいものです。欲しいと思った次の瞬間に手に入っていたとするなら、これ以上の喜びはないでしょう。

自動販売機にお金を入れ、欲しい飲み物のボタンを押したのに、直ぐにそれが出てこなかったらどうですか?自動販売機はここまで普及しなかったはずです。

少し話はそれましたが、顧客サポートを強化し、購入後の価値を提供し続けることは、顧客満足度を高め、長期的な関係を築くために不可欠です。顧客に一つの負の要素も感じさせないくらいの最高のカスタマーサポートを目指しましょう。

「商品は作って売って終わりじゃない、そこからが勝負なんだ」そんな心構えを持つことが、長く愛される商品を作るための大きな一歩になります。

商品力を高めればビジネスは成功する

ここまでお読みいただければ、分かるかと思いますが、商品力を高めることができれば、そのビジネスは成功します。ただし1つ勘違いしないでいただきたいのが、良い商品=商品力が高いというわけではないということです。

商品力とは総合力です。そして、その要素を大きく分けると「買う前に欲しいと思わせる力」と「買った後に買って良かったと思わせる力」となります。

つまり、商品企画やマーケティング、購入後のアフターサービスに至るまで、その全てをひっくるめて高める努力をしなくては、商品力を高めることはできません。

とはいえ、ここまで読んだあなたならそこまで心配する必要もないでしょう。顧客を第一に考え、顧客がより良くなる未来のために進めば良いだけなのですから。

大丈夫、妥協せずに商品力を磨き続けていれば、その商品は自ずと手に取るべき多くの人々の元へ、確実に届いているはずです。

SHARE
FacebookTwitterLineHatenaShare

この記事を書いた人

いけだ
占いライターやエンタメコンテンツ大手のディレクター経験を経て、サングローブへ入社。前職ではメールマーケティングにて、月1億円以上の売上達成に貢献。現在は、SEOとダイレクトマーケティングの間で揺れている。

UPDATE 更新情報

  • ALL
  • ARTICLE
  • MOVIE
  • FEATURE
  • DOCUMENT