プロダクトデザイン(デザイナー)とは?資格、考え方、仕事内容など
言わずもがな、デザイナーの仕事にはさまざまな種類が存在します。
何をデザインするかによって、当然アプローチや必要とされるスキルは変わるものです。
そうしたなか、本記事ではプロダクトデザインにスポットをあてます。
「そもそもプロダクトデザインとは何を指すのか」「必要な資格」「具体的な仕事内容」……等々幅広く解説します。
経験問わずデザイナーの仕事に少なからず興味・関心のある方は、ぜひ「プロダクトデザイン」という分野もおさえてみてはいかがでしょう。
知っておいて損はないはずです。
目次
プロダクトデザイン(デザイナー)とは
プロダクトデザインとは、ずばりそのままですが、製品のデザインを指します。
家電、キッチン用品、家具、日用品、おもちゃ……等々、私たちの周りにある製品のデザインは全て開発の段階で考え抜かれたものです。
そして、この仕事を行うのが、いわゆるプロダクトデザイナーです。
コンセプトや目的、役割に基づいたうえで、形状・ビジュアルのデザインを構築し、つまるところ社会に大きな価値をもたらしてくれます。
プロダクトデザインの考え方
プロダクトデザインと一口に言っても、ただ見た目を整えれば良いわけではありません。プロダクトデザインにはビジュアルだけでなく、機能性も求められます。当然、前者も大事です。極端な話、消費者がパッとそれを見たとき、「使ってみたい」「購入したい」と思わせるデザインでなければなりません。
そこに加えて、実際に使いやすい便利なデザインであることも重要です。
ビジュアルに惹かれ製品を購入した人が、いざ使用した際にストレスを抱えるようになってしまっては意味がありません。
また、プロダクトデザインは、製品の売上に大きく関わる部分です。したがって、販売戦略もセットで考えていく必要があります。
どのような媒体を使い、どういった広告・宣伝が効果的か。広い視野を持ちマーケティングしていくなかでデザインがどう機能するのか。全体像として捉えることが非常に重要です。
一方で、プロダクトデザインの力がときに全ての仮説や施策をひっくり返すことがあります。
そう、マーケティングがうまくいっていない商品でも、デザインの魅力が想定外に生まれ、購買欲を掻き立てる人たちが続出するといったケースが出てくるのもまた事実なのです。
プロダクトデザインが状況を打開するには申し分ないポテンシャルを秘めているのがわかります。
ただし、はじめからそこに頼ってはうまくいかないことの方が多いでしょう。
あくまで、ビジネス戦略を立てたうえで成り立つものと考えるのが、全体最適の観点からも妥当です。
デザインをするうえで重視するものは状況に応じて変わってくるとはいえ、プロダクトデザイナーとして働くのであれば、基本軸としてこのような考え方もおさえておきましょう。
プロダクトデザイナーに必要な資格
プロダクトデザイナーを目指すうえで必ず保有していなければならない資格はありません。しかし、全く何の知識もスキルもない状態で業務を行うのは困難でしょう。ということを踏まえ、実際に働くためには専門的な知識やスキルが最低限必要です。
では、どのように学べばよいのでしょうか。
まずは、大学や専門学校に進学する方法があります。
デザインの基本・応用スキルに加えて、仲間と競い合いながらデザインセンスを伸ばせる期待も持てるでしょう。プロダクトデザイン専攻の学科であればなおさら特化した能力を育むことができるはずです。
また、必須ではないとはいえ、やはりデザインに関する資格を取得しておくのに越したことはないと思います。
求職活動の際には、自身の知識・スキルを客観的に示すこともできるでしょう。
たとえば、民間資格の「プロダクトデザイン検定」(1級or2級)に合格することで、プロダクトデザインに関する基本的な知識を有する証明が可能です。
もちろん、プロダクトデザインで重視されるのは知識の豊富さだけではありませんが、チャレンジする意味でも資格取得に向けて動くことは大切だと感じます。
プロダクトデザイナーの仕事内容
プロダクトデザイナーの仕事内容は、具体的にどのようなものなのでしょうか。
本項では、一つの製品に対する取り組みを流れとともに紹介します。
担当者と商品のイメージを共有する
まずは担当者(担当部署)から、開発したい商品の説明を受けます。イメージはもちろん、ターゲット層や想定している機能まで詳しく確認することが必要です。
プロダクトデザイン制作のスタートにあたる仕事であり、非常に重要度の高いプロセスだと考えます。
市場調査
デザインを行う前には市場調査も必要です。開発対象商品と同じカテゴリにある既存のマーケットをリサーチし、人気やトレンドの傾向、競合の動向、重複しやすいデザインなどを把握し制作に生かすようにします。
ラフスケッチの作成
事前にヒアリングした商品の説明内容や調査した情報をもとにデザインのラフスケッチを作成します。1枚作って終わりではなく、異なる角度やアップなど細部に至るまで複数描くのが一般的です。関係者が商品の具体的なフォルムをしっかり共有できるようにする必要があります(詳しくは後述します)。もちろん、ビジュアルだけでなく機能性も意識しなければなりません。
ラフスケッチをもとに協議する
先に触れた通り、ラフスケッチをもとに商品開発に関わる各部署と協議を行います。大抵の場合、参加するのは設計、技術、営業、企画といった部門の担当者の方々でしょう。
基本的には、プロダクトデザイナーがラフスケッチの詳細をプレゼンし、そこで出てきた意見を踏まえて細かく修正・調整していきます。
模型の作成
スケッチからいよいよ模型を作る段階です。より実際の商品に近いイメージを確かめます。模型をもとに、さらに詳細な協議を重ねたうえで大体のデザインが固まったなら、最終段階としてデザイン画の清書に取り掛かります。
デザインの決定
機能性もビジュアルも問題が無いと判断できれば、プロダクトデザインの決定です。
以後、設計・技術担当に引き継ぎます。デザインがいよいよ本格的に形となっていくわけです。
プロダクトデザイナーに求められる能力
プロダクトデザイナーは誰でも目指せる仕事だという一方で、向き・不向きも当然あります。適応しやすい人たちの共通項や求められる能力については、あらかじめ知っておいた方がいいかもしれません。
そのなかでも、特に大事だと思われるのが以下のスキルです。
デザインセンス
「センスなんてなくても大丈夫!」といった話を見聞きすることがたまにありますが、正直、難しいです。やはり、センスは重要だと思います。
ただここで述べるセンスは決して先天的なものだけではありません。
つまり、「センスは磨くことができる」という話であれば納得です。
各プロダクトについて理解したうえで、状況や目的にふさわしいデザインを構築するのがいわばミッションのなか、業界について勉強することも大事でしょう。そのうえであらゆるデザインに触れ、インプットの機会を増やしセンスの育成・強化に努めてください。
直感やひらめきも積み重ねた経験や努力によって生まれることが多々あります。
したがって、デザインの素養が現時点でなければ、センスを身につけるためにも日々、積極的に試行錯誤し、もがいていきましょう。
コミュニケーション能力
プロダクトデザイナーに対して、おそらく1人で仕事をする時間が多い職種だとイメージされる方もいるかもしれません。
しかし、実際は、関係者とのやり取りが頻繁に行われます。
仕事内容を紹介するなかでもお伝えしましたが、企画担当との商品イメージに関するすり合わせから、作成したラフスケッチについての綿密な打ち合わせまで、周囲との連携なしではプロジェクトは進行できません。
だからこそ、物事を円滑に進めるためのコミュニケーション能力が必要です。
クライアントや担当者、その他関係者全員の納得できるデザインを作るためには、要望や意見をしっかり汲み取り、伝える技術が求められます。
良いプロダクトデザインには、コミュニケーションが不可欠です。
皆に頼りにされる、求められるプロダクトデザイナーになるためには、普段からその点も意識すべきでしょう。
プロダクトデザイナーの働き方
プロダクトデザイナーになる場合、次のような働き方が考えられます。
それぞれの特徴を把握し、自身のキャリア形成を構築するうえで参考にしてみてください。
メーカーで働く
まずは、メーカーに勤務し、配属されたデザイン部で自社商品に携わるスタイルです。
コンスタントにプロダクトデザインを行えます。その一方で、多くのジャンルにチャレンジする機会はあまり恵まれないかもしれません。
デザイン事務所で働く
デザイン事務所に所属した場合、クライアントから依頼された製品のデザインを行うことがメインになると思います。
クライアントに直接依存するため、タスク管理が難しいかもしれませんが、さまざまな種類のプロダクトデザインに関われるという楽しみも生まれるはずです。
フリーランスで働く
フリーランスのデザイナーとしてプロダクトデザインの依頼を受ける働き方もあります。ただし、安定して収入を得るには、ある程度の実績や経験を積む必要があるでしょう。コネクションや知名度を育んでおかなければ、なかなか仕事をもらえないかもしれません。
また、デザインだけでなく、営業や事務の仕事も自身で対応しなければならないため、大変です。しかし、それをやりがいに思える方ならうってつけのスタイルでしょう。加えて、とにかく自由。自身で裁量を決められる点などは、人によっては大きな魅力的要素だといえます。
プロダクトデザイン(デザイナー)を理解し、仕事にもつなげよう!
プロダクトデザインを行う仕事は、ほかのデザイナー職のそれとはまた少し毛色が異なります。ただし、ユーザーにとっていかに役立つかを考える点は共通しているといえるでしょう。
仕上がった製品が多くの人々に愛され親しまれることは、デザイナーにとっても当然喜ばしいことに違いありません。
そして、仮に拙稿をきっかけにプロダクトデザイナーへの興味・関心を抱いた方がいるとすれば、それはデザイナー同様、クリエイター(ライター)冥利に尽きるものだといえます。
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