顧客流出とは?主な原因や防止する方法を解説
顧客流出を防ぐことは、リピーターやロイヤルカスタマー(ブランドや商品、プロダクトに対して高い忠誠心を持つ顧客)を増やすことに直結します。
そこで本記事では、顧客流出のよくある原因とその対策についてご紹介。何度も通いたくなる、何度も利用したくなるお店になるためのポイントを分かりやすくお伝えします。
目次
顧客流出とは
顧客流出とは、自社の商品やサービスを購入または利用したことのある顧客が、その商品やサービスから離れていく現象です。流出した顧客は他社製品や競合のサービスに流れて行くのが一般的です。
たとえば、スーパーや小売店、治療院やサロンなどからお客様が離れていくことはもちろん、近年の例で言うなら、サブスクリプションサービスの解約やアプリのアンインストールなども顧客流出の一種と表現できます。
▼合わせて読みたい記事
顧客とは?意味、種類、心理、顧客満足度まで解説
顧客流出を防ぐ重要性
事業を立ち上げたばかりだと新規顧客の獲得にばかり目が行くかもしれません。確かに新規顧客の獲得は、売上に直結するため、非常に重要です。しかし、既存顧客が他社へ流れてしまうことの恐ろしさも忘れてはいけません。
売上は「売上=客数×客単価×購入頻度」という計算式で求めることができます。つまり、客数を増やすだけでは売上は大きく増加しないのです。新規顧客=客数を増やすことと、購入頻度を高める=顧客流出を防ぎ、リピーターを増やすことを同時に行っていくことで、売上は分かりやすく増加の一途をたどります。
また、リピーターを増やすメリットとして、まず集客コストが抑えられることが挙げられます。新規客を獲得するためには、既存客に来店してもらうのに比べて、何倍ものコストが必要です。そのため、リピーターが増えれば集客するための費用が抑えられるので、お店の利益を増やすことができます。
そしてリピーターが増えることで、口コミ効果での集客も期待できるようになります。自分が気に入っている行きつけの店として、友人と一緒に来店したり、知人に紹介したりするようになるのです。
さらにリピーターは新規客に比べて客単価が高いという傾向があります。まとめ買いやついで買いに加えて、お店が薦めた商品を購入する割合も高いので、利益も大きくなります。
近年は商品・サービスの多様化、インターネットの普及により、簡単に他社商品・サービスに乗り換えられる時代です。人口減少も予想されるため、顧客流出を防ぐことの重要性は年々増していくといえるでしょう。
顧客流出の主な原因
顧客流出には様々なストーリーがありますが、主な原因は以下の4つです。
- 商品やサービスに魅力がない
- スムーズに利用・購入できない
- 接客や対応が悪い
- ライバル店の出現
適切な対応策に取り組むためにも、まずはその原因の内容を詳しく見ていきましょう。
商品やサービスに魅力がない
お客様が商品やサービスを「購入・利用する価値がない」と一度判断してしまったら、もうリピーターになってくれない可能性が大きいです。他社の商品で代用が利くならば、待ち受けているのは価格競争だけでしょう。
サービスやモノであふれ、消費者側からしてもどの商品・サービスでも同じようなものと捉えられやすい現代では、他社との差別化や新しいニーズを取り入れた商品力の強化は非常に大切です。
顧客のニーズを理解し、商品・サービスの力を日々アップデートしていくことを目標に、改善を続けていきましょう。
顧客流出の最大の原因として「忘れられてしまう」ことが挙げられます。それも商品やサービスに、顧客を引き付けるだけの魅力がないことが要因かもしれません。
「このお店雰囲気がいいな」「また来よう」、お客様がそう思ったとしても、次の日には忘れてしまっているのです。仕事のことや毎日の生活のことで頭がいっぱいになれば、昨日行ったお店のことなど考える余裕がありません。そして、次の機会には別のお店に行ってしまうのです。
リピーターになってもらうためには、忘れられないお店になり、時々思い出してもらえる商品やサービスをつくり出すことが大切です。あなたにも忘れられないお店があるはず。まずはそこを参考にしてみてはいかがでしょうか。
スムーズに利用・購入できない
お客様は基本的に「欲しい!」と思ったらすぐにそれを手に取りたいものです。たとえば、自動販売機はお金を投入して好みの飲み物のボタンを押せばすぐにそれが手に入るからこそ、ここまで普及していると言えます。
お店へのアクセス方法が分かりづらかったり、支払方法が面倒くさかったりすると、それが小さなものであったとしてもお客様のなかには「欲しいものがすぐに手に入らない」というストレスが蓄積されていきます。
細かい部分ではありますが、顧客満足度を上げ、顧客流出を防ぐためには、お客様がスムーズに利用・購入できる体制を整えることも大切です。
接客や対応が悪い
初めて行ったお店はもちろん、気に入って2~3回行った店であっても、そこで不快な思いをしたら、「もう2度と行くものか」と思ってしまうでしょう。
お客様が不快に感じる大きな原因に、接客や対応のまずさがあります。クレームとして上がってくればお店も改善すべき点として認識できますが、ほとんどの場合、お客様は口に出して言ってくれません。そして、もう2度と来店してもらえないのです。
お客様が不快に感じるものに、スタッフの身だしなみや不潔さがあります。特に飲食店の場合には、致命的なことになりかねません。汚れのついた制服やボサボサの髪、強い香水の匂いなど、お客様に不快な思いを与えていないかチェックしてみましょう。スタッフ同士がおしゃべりしている、バックヤードからスタッフを叱りつける声がするようなケースもお客様を不快にします。
お客様が一人でも店内にいる場合は、常に見られている、聞かれていると考えて緊張感を持った接客を行うことが大切です。また、どんなに丁寧な対応をしても、笑顔がなければお客様に気持ちが伝わりません。
逆に、素敵な笑顔があれば、少しぐらいのミスがあっても問題にならないでしょう。マニュアルどおりではなく、気持ちのこもった接客がお客様に快く思ってもらうためのポイントです。
ライバル店の出現
ライバル店の出現も顧客が流出してしまう大きな原因となります。何せ今やインターネットやスマートフォンの普及により、誰もが簡単に様々なお店や商品、サービスの情報に触れることができます。ライバルはそこかしこに存在するのです。
そんな中、人は誰でも新しいものが好きです。ですから、開店セールなどがあれば一度は新規顧客が増えるかもしれません。しかし、セール後などは、来店客が一時的に減ってしまいがち。その後も客足が戻らないようなことがあれば、顧客流出が起きていることが考えられます。
このような場合には、早急に手を打つことが求められます。ライバル店にはない自店ならではの個性や強みをアピールして、顧客流出を止めることが大切です。離れてしまったお客様を呼び戻すための施策も必要になります。
また、事前に競合店が出店する情報を得たら、それに合わせて対策を講じることも重要です。ライバル店の出現をピンチと捉えず、リピーター育成を強化するチャンスと考えて、新しい施策に取り組んでいきましょう。
顧客流出を防止する方法
何事も先手必勝です。顧客流出が発生してしまってから対策を練るのではなく、顧客が離れてしまう前にそれを防止する方法を取っておく必要があります。「売上=客数×客単価×購入頻度」という計算式で表せるように、顧客流出を防ぎ、購入頻度を上げることは売上に直結するからです。
そこで顧客流出を防ぐ具体的な方法について、6つ紹介します。
商品力・サービス力を高める
まずあなたの商品やサービスに魅力があり、「またお金を払う価値がある」と感じてもらうことが、顧客流出を防ぐ第一歩。飲食店であれば「また食べたい」を、小売店であれば「また買いたい」を引き出すための努力を怠らないことが重要です。
とはいえ、商品力・サービス力を高める方法は様々。その中でも近年特に重要視されているのは、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)だと言えます。
人々はその商品やサービスそのもののためにお金を払うわけではありません。その商品・サービスを手にして、何か問題を解決したり、より良い自分になるためにお金を払います。
スターバックスでコーヒーを買う人は、ただ美味しいコーヒーを飲みたいだけではありません。そこで感じられる接客や空間の心地よさ、「スタバでコーヒーを買った」という高揚感・優越感を求めてお金を払うのです。
つまりは、体験やその体験から生まれる感情に価値を見出し、「また利用したい」「また購入したい」と思うわけです。
だからこそ、商品力を高めるためにはその質やクオリティだけにこだわるのではなく、「お客様にどれだけ価値ある体験を提供できるか」という点にも注目してみましょう。その視点があれば、様々なアイデアも生まれてくるはずです。
買う前に欲しいと思わせる商品力・サービス力
まずは、買う前に欲しいと思わせる商品力・サービス力を高めましょう。主に以下のポイントを一つずつ見直してみるのがおすすめです。
- 独自性
- 価格
- ブランド力
- マーケティング
独自性は、他の商品と差別化されている点があるかという点です。たとえば、独自のデザインや機能、新しい技術の導入がなされているかというポイントが競合との差別化につながります。
また、価格設定が適切であり、消費者にとって購入する価値があると感じられるかという点も重要です。安易に値引きするのは得策ではありません。
業界大手の価格を参考にするのではなく、自社ブランドの認知度や信頼性を高め、消費者に好まれるブランドになれたら、市場相場よりも高い値段設定でも顧客は離れないでしょう。
そして、商品・サービスの魅力が効果的に伝えられ、消費者にアピールできているかという点も大切です。効果的な集客チャネルを選択し、マーケティング力を高めましょう。
買った後に買って良かったと思わせる商品力・サービス力
買った後に「買って良かった」「このお店を利用して正解だった」思ってもらえれば、顧客はあなたのお店を気に入り、リピーターになってくれる可能性が高まります。以下の2つのポイントを意識することが大切です。
- 品質
- 顧客満足度
商品・サービスの基本的な品質が高く、消費者の期待を満たすかどうかという点は常に意識しておく必要があります。確かめるためにも、定期的にお客様の口コミを確認したり、アンケート調査を実施してみたりすると良いでしょう。
また、購入後の顧客満足度が高ければ、リピーターや口コミを通じて新たな顧客を獲得できます。お店を訪れた後のフォローや商品購入後のアフターサービスなどを徹底することで、「また買いたい」「また来店したい」というお客様の思いを引き出し、顧客流出防止につながります。
ストレスフリーに利用・購入できる環境づくり
たとえば、一度来店した飲食店で味は好みだったけれど、アクセス情報が分かりづらく、行くのが凄く大変だったとしたらどうでしょう?近場の味がまぁまぁな他店へお客様は流れてしまうかもしれません。
そのようなことがないように、まずはホームページやGoogleマップなどであなたのお店への行き方が分かるようにアピールしておく必要があります。
また、「購入方法が店舗だけ」「支払方法が現金だけ」といった場合も顧客流出の原因になります。お客様は「本当はネット上で注文できたら便利なのに」と思っているかもしれませんし、現金だけでなくクレジットカードや電子マネーを使いスムーズにお会計を済ませることを望んでいる可能性もあります。
そうした場合に備え、POSレジやキャッシュレス決済の導入など、デジタルを活用した店舗経営も視野に入れることが大切です。
ストレスフリーに利用・購入できるお店づくり、そして「気持ちよく買い物ができた」という体験こそが、顧客流出を防ぐ鍵になるでしょう。
次回来店の仕掛けづくり
特に初めて来店したお客様には、次回も来店してもらえるような仕掛けづくりをすることが大切です。2回来店してもらえれば、3回、4回と続いて、優良なリピーターになってもらえる可能性も高まります。
簡単にできるものとして、レジで精算する際に次回来店時に使えるクーポンを渡す方法があります。財布の中にクーポンを入れてもらえれば、それをみるたびにお店のことを思い出してもらうことができるでしょう。適切な範囲で有効期限を設定すれば、「もったいないから行ってみようか」と、再来店の動機づけにもなります。
クーポン以外にも、次回来店すれば景品をプレゼントする方法や、抽選会を行って再来店時に結果がわかる方法なども考えられます。お客様が再来店する動機づけになって、次回来店するのが楽しみになるような仕掛けづくりをすると、新規客の再来店率は大きく高まるでしょう。
また、「来店してもらってうれしい」「また来店してほしい」という気持ちを伝えることも大切です。そのため、見送り時の挨拶や姿勢も再来店を促すためには欠かせません。感謝の気持ちを込めたメッセージが書かれたカードなどを一緒に手渡すようにすると、形として手元に残るので高い効果が期待できます。
思い出してもらうためのアプローチ
一度来店したお客様にリピーターになってもらえない一番の原因は、お店の存在を忘れて思い出してもらえないことです。そのため、定期的にお客様にアプローチすることで、リピートしてもらえる可能性は大きく高まります。
メールマガジン
お客様と効果的に接触する方法としてメールマガジンがあります。メールマガジンでお得な情報を提供したり、クーポンを配信したりすれば、お客様に再来店を促すことができるでしょう。
メールマガジンには即効性がありますので、天気が悪くて来店客数が少ないときや急にキャンセルがでた場合の集客にも効果的です。
メールマガジンを配信するためには、お客様のメールアドレスを取得しなければなりません。店内にQRコードを掲示して登録を促す、メールマガジンに登録すると特典がつくなどの工夫をしてメールマガジンの読者を増やしましょう。
SNS
X(旧Twitter)やInstagram、Facebook、LINEなどのSNSを利用してお客様と直接つながることもできます。
特にLINE公式アカウントでは、友達登録した人に一斉配信ができるので、効果的にアプローチすることが可能です。LINEはお客様も日常的に利用していることから、一般的な電子メールよりも開封する可能性が高いのもメリットでしょう。
ダイレクトメール
お客様の住所を把握できれば、郵送でダイレクトメールを送ることができます。
ダイレクトメールは電子メールと異なり、アナログならではの重みがあるのが魅力です。紙媒体を主な情報源としているご高齢の方などに向けては有効な施策となります。
お客様の個人情報でもある住所は、なかなか聞き出しにくいため、プレゼントキャンペーンなどと連動して住所を記入してもらうようにすると良いでしょう。
▼合わせて読みたい記事
DM(ダイレクトメール)とは?広告として有効な例文を紹介!
囲い込んで流失を防ぐ
ポイントカードや会員制度を用いて、お客様をうまく囲い込むことができれば、顧客流失を防ぐことができます。詳しく見ていきましょう。
ポイントカード
顧客を囲い込むための代表的な方法にポイントカードがあります。
「どうせ行くならポイントがもらえる店に」と思ってもらえるので、お客様が他店に流失するのを防ぐ効果が期待できます。
ポイントカードを申し込んでもらう際に、住所や誕生日などを記入してもらえば、顧客管理ができるようになり、お客様に最適なタイミングでアプローチできるのも魅力です。
ただし、ポイントカードは多くのお店が導入しているので、魅力あるポイントカードにするためには、自店ならではの工夫が必要です。
会員制度
お客様を強力に囲い込むための方法に会員制度があります。
会員になってもらうことでお店へのロイヤルティが高まり、高い流失防止効果が期待できます。
なかでも、購入額や利用回数に応じて会員のランクがアップし、受け取れる特典の幅も広がる「会員ランク制度」を設けるのがおすすめです。「ランクを上げる」ということが動機で、再来店・再購入してくれるお客様が増える可能性があります。
また、専用の会員アプリを作成したり、あえて高級感のあるメンバーズカードを発行したりするなど、顧客層に合わせてやり方を工夫してみるのも良いでしょう。アプリ内や紙媒体で定期的に会報を届けることで、自分が会員であることを強く意識してもらうことができます。
優良顧客をえこひいきする
何度もお店に来てくれる、たくさん買ってくれる、新たなお客様を紹介してくれる、そんな優良顧客が流失したら大きなダメージを受けることになります。
優良顧客が1人流失すれば、10人〜20人の一般顧客を失ったことにも相当します。そうならないためにも、優良顧客の流失には細心の注意を払うことが大切です。
優良顧客はえこひいきして、お客様に「特別扱いされている」と感じてもらうことがポイントになります。人は誰でも大切に扱われるとうれしいものです。
来店するたびに心地よい思いをすれば、お店との絆も深まり、よりファンになってもらうことができます。
そうなれば、他店に流失するような心配はなくなるでしょう。
まず、接客する際は「○○様」と個人名で呼ぶようにすると、「名前を覚えていてくれてるんだ」と、より親近感を持ってもらえるようになります。
また、優良顧客だけが購入できる商品を用意したり、優良顧客限定のセールを開催したりするのも効果的です。
会員制度を導入している場合は、プラチナメンバーのように他の会員よりもグレードの高いランクを設定しましょう。それを見た一般のお客様に、自分もグレードアップしたいと思ってもらえる効果も期待できます。
顧客流出を防ぎ、お客様をリピーターへ育てよう
売り上げを増やそう、来店客を増やそうと考えると、どうしても新規客の獲得を重視しがちです。
しかし、顧客流失のための対策がきちんとできていなければ、穴のあいたバケツで水を汲んでいるような状態になってしまいます。
新規客を獲得するための施策に力を入れるのはもちろん大切ですが、それと同時に顧客流失を防いでリピーターを増やすことも重要です。
リピーターが増えれば、売り上げや来店客も安定して、新規客獲得に躍起にならなくてもよくなります。顧客流失を防ぐための施策をしっかりと行い、リピーターを増やしていきましょう。
RANKING ランキング
- WEEKLY
- MONTHLY
UPDATE 更新情報
- ALL
- ARTICLE
- MOVIE
- FEATURE
- DOCUMENT