リターゲティング広告(リマーケティング広告)とは?仕組みやメリットについて解説
「あれ、このサービス前に調べたことがあるかも」
「最近同じような広告をよく目にするなあ」
WebサイトやSNS、動画などを閲覧・視聴している際、流れてくる広告にそんな疑問を抱いたことはないでしょうか?
これは「リターゲティング広告(リマーケティング広告)」と呼ばれるWeb広告によるもので、Webサイトへ訪問したことがあるユーザーに対して、ピンポイントで広告を配信できるという特徴があります。
どのような仕組みで配信されているのか、本記事ではリターゲティング広告の基本を踏まえたうえで、そのメリット・デメリットについて解説していきます。
目次
リターゲティング広告(リマーケティング広告)とは
リターゲティング広告(リマーケティング広告)とは、自社サイトの訪問者に対して広告を配信できるWeb広告手法の1つです。具体的には、自社サイトを離脱したユーザーを追跡し、そのユーザーが別のWebサイトやSNSなどを見ているタイミングで、閲覧先の広告枠に自社の広告を表示させるという手法になります。
インターネットで何かを調べたり、SNSをチェックしたりしている際、過去に検索または購入したことのある商品・サービスの広告が立て続けに表示される、なんて経験をしたことのある人も多いと思いますが、それが、リターゲティング広告です。
最大の魅力は、すでに自社の商品・サービスに興味・関心を抱いているユーザー、いわゆる見込み顧客を対象に広告を配信できること。確度の高いユーザーにアプローチできるため、比較的コンバージョンにつながりやすいといわれています。
それでは、どのようにしてユーザーを追跡しているのでしょうか。
その仕組みについて簡単に確認しておきましょう。
リターゲティング広告の仕組み
リターゲティング広告を配信するためには、まず離脱ユーザーを追跡する必要があります。その際に利用されているのが「Cookie(クッキー)」という仕組みです。
ちなみに「Cookie」とは、訪問したWebサイトの情報を一時的に端末やWebブラウザ上に保存する仕組みのことを指します。日常的にさまざまな場面で活用されており、たとえば、1度利用したことのある通販サイトを再度利用する際、ログインに関する情報や前回カートに入れた商品、入力フォームに記入した情報などが保持されていることがあると思いますが、これはCookieによってユーザー情報が保存されているためです。
リターゲティング広告を配信するまでの流れ
それでは、リターゲティング広告を配信するまでの具体的な流れを確認してみましょう。
Step1.Webサイト内にタグを設置する Step2.タグが設置されたページにユーザーが訪れる Step3.タグによってユーザーにCookieが付与される Step4.Cookieが付与されたユーザーの情報がリストに蓄積される Step5.作成されたリストをもとに広告を配信する |
リターゲティング広告を配信する場合、まずはWebサイト内にリターゲティング用の「タグ」を設置する必要があります。タグが挿入されたページにユーザーが訪れると、そのタグによって訪問ユーザーにCookieが付与され、広告はそのCookieを目印として、離脱したユーザーを追跡できるようになります。
また、リターゲティング広告において、タグと並んで重要なのが「リスト」です。簡単に説明すると、タグによってCookieが付与されたユーザーの一覧のことで、あらかじめWebサイト内にタグを設置しておくと、そこに訪れたユーザーの情報がリストに蓄積されていきます。Cookieにはユーザーの行動履歴が細かく記録されており、期間ごとに分けたり、訪問ページごとに分けたり……と、さまざまな条件で作成することができるため、複数のリストを作成するのが一般的です。
ユーザー情報が溜まったら、リストをもとに広告配信を行います。なお、後ほど詳しく説明しますが、リスト内に一定数以上のユーザーが溜まらなければ広告配信を行うことができないため、リストを細分化したい場合は、注意が必要です。
リターゲティング広告の課金体系
リターゲティング広告で用いられる課金体系は「クリック課金」と「インプレッション課金」のどちらかで設定されているケースが多いです。
それぞれの特徴を確認しておきましょう。
クリック課金
クリック課金とは、広告がクリックされたタイミングで費用が発生する課金体系を指します。広告枠に広告が表示されていたとしても、ユーザーがクリックしなければ費用は発生しないため、ほとんど無駄がありません。また、自社サイトへユーザーを誘導できた数と広告費が比例するため、費用対効果を明確にしやすいというメリットもあります。
ただし、クリック課金は、費用が変動しやすいため要注意。誤クリックなどにより広告費が大きく膨らんでしまう可能性もあるため、慎重に運用する必要があります。
インプレッション課金
インプレッション課金とは、表示回数に応じて広告費が加算されるシステムで、一般的には広告が1,000回表示されるごとに費用が発生する仕組みになっています。
クリック数に応じて料金が変動するクリック課金よりも広告費が安定しやすく、クリック率が高くなるほど単価が割安になるというメリットがある一方で、費用対効果が見えにくい、自社サイトへ誘導できなければ広告費が無駄になってしまうというデメリットもあります。
リターゲティング広告を利用する3つのメリット
続いて、リターゲティング広告を利用する主なメリットを3つ紹介します。
①コンバージョンにつながりやすい ②機会損失を防げる ③さまざまな広告媒体で配信できる |
1つずつ見ていきましょう。
①コンバージョンにつながりやすい
リターゲティング広告は、Cookieによって得られた情報をもとに、ターゲットを絞り込んで広告を配信することができます。たとえば、商品がカートに入れた状態で離脱したユーザーに向けて、その商品を訴求したり、イベント期間中に訪れたユーザーに向けて、次回のイベントを告知したり。確度の高いユーザーに広告を配信できるため、比較的コンバージョンにつながりやすい傾向にあります。
②機会損失を防げる
自社サイトへの訪問履歴がある見込み顧客に再度アプローチできるのも、リターゲティング広告を利用するメリットの1つです。
商品やサービスを購入または利用するにあたって、多くの消費者は一旦他社との比較検討を行うため、そのタイミングで1度サイトを離脱します。特に1回あたりの取引額が高いBtoB商材は検討期間が長期化しやすいため、コンバージョンに至る前に、自社商材の存在自体を忘れられてしまう可能性も高いです。
リターゲティング広告では、こうした比較検討のために離脱したユーザーに向けて、広告を配信することができます。自社商材を思い出すきっかけを企業側から与えられるので、機会損失を低減することができるでしょう。
③さまざまな広告媒体で配信できる
リターゲティング広告は、Webサイトまたはアプリ内の広告枠に表示される「ディスプレイ広告」や検索結果画面に表示される「リスティング広告」、TwitterやFacebookなどのタイムラインに表示される「SNS広告」、YouTubeなど動画コンテンツの冒頭や合間に流れる「動画広告」など、さまざまな媒体と組み合わせて広告を配信することができます。
自社商材との相性などに合わせて配信先を選べるため、適切な配信先を選ぶことができれば、より高い成果を期待できるでしょう。
リターゲティング広告を利用する際に懸念すべき3つのデメリット
上記のようなメリットがある一方で、リターゲティング広告には懸念すべきデメリットも3つ存在します。
①ユーザーに不快感を与える危険性がある ②新規開拓に向いていない ③広告の配信を開始するまでに時間がかかる |
上から順に確認していきましょう。
①ユーザーに不快感を与える危険性がある
リターゲティング広告は、特定のユーザーに向けて複数回にわたって広告を配信するため、その頻度や回数が適切でないと、相手に嫌悪感を抱かれてしまう可能性があります。
また、すでに商品やサービスを購入または利用しているユーザーに向けて、同じ商品・サービスに関する広告を繰り返し配信してしまうと、既存顧客にまでネガティブな印象を抱かれてしまう可能性も。広告の無駄打ちにもなりかねないので、リターゲティング広告を配信する際は、相手に不快感を与えないよう、配信する相手や頻度などを慎重に見極めるようにしましょう。
②新規開拓に向いていない
リターゲティング広告は自社サイトへの訪問履歴があるユーザーに対して配信する広告なので、新規開拓には向いていません。新規顧客の獲得を目的にリターゲティング広告を使用してしまうと、広告費が無駄になってしまう可能性が高いため、新規開拓を想定している場合は、不特定多数に向けて広告を配信できるような手法を検討してみてください。
③広告の配信を開始するまでに時間がかかる
前半でも軽くお伝えしましたが、リターゲティング広告はリスト(Cookieが付与されたユーザーの一覧)が一定数以上溜まるまでは、広告が配信できません。媒体によってその数は異なりますが、たとえばGoogle 広告の場合は100人以上、Yahoo!広告の場合は1,000件以上溜まっていないと広告が掲載されないため、配信を開始するまでにある程度の時間を要することをあらかじめ把握しておきましょう。
(参照:Google 広告 ヘルプ「データ セグメントの設定について」)
(参照:Yahoo!広告 ヘルプ「サイトリターゲティングとは」)
リターゲティング広告を成功させるためのポイント
最後に、リターゲティング広告を成功させるためのポイントを3つ紹介します。
・ターゲットに応じて配信内容を変える ・適切なフリークエンシーを設定する ・リーセンシーを調整する |
詳しく見ていきましょう。
ターゲットに応じて配信内容を変える
一口に離脱ユーザーといっても、その温度感は人によってさまざまです。
商品詳細ページまで到達したり、商品をカートに追加したりしている場合は、それなりに購買意欲が高いかもしれませんが、トップページで離脱している場合は、そこまで自社商材に興味がないのかもしれません。双方に同じ広告を配信した場合、一方には高い訴求力を発揮するかもしれませんが、もう一方にはほとんど訴求効果を持たないでしょう。
このように、離脱ユーザーはそれぞれ温度感が異なり、人によって訴求ポイントが異なるため、配信ターゲットに応じて広告の内容を変えるようにしましょう。
適切なフリークエンシーを設定する
リターゲティング広告においては、フリークエンシーの設定が非常に重要になります。
ちなみに、フリークエンシーとは、ユーザーがWeb広告に接触した回数・頻度のこと。前述のとおり、特定のユーザーに対して繰り返し何度も同じ広告を表示してしまうと、商品・サービスだけではなく、企業そのものに対しても嫌悪感を抱かれてしまう恐れがあるため、少なすぎず、多すぎず、適切な回数を設定するようにしましょう。
リーセンシーを調整する
フリークエンシーと並んで重視しておきたいのが、リーセンシーです。
リーセンシーとは、ユーザーと広告の接触間隔のことで、一般的にこの間隔が短いほどコンバージョン率が高いといわれています。たとえば、Webサイトを訪れた翌日に広告を配信したユーザーと、Webサイトを訪れてから1カ月後に広告を配信したユーザーでは、前者のほうが購買につながりやすい傾向にあります。
ただ、こちらもフリークエンシーと同様に、間隔が短すぎると相手に不快感を与えてしまう恐れがあるため、PDCAを回しながら、適切な間隔を導き出してみてください。
これからリターゲティング広告を始める場合は今後の動向に注意!
ここまで、リターゲティング広告の概要とそのメリット・デメリットについて解説してきました。
見込み顧客および既存顧客への有効なアプローチ手段として多くの企業で利用されていますが、導入するにあたって把握しておかなければならないことが、もう1つあります。
前半でリターゲティング広告におけるユーザーの追跡に「Cookie」を利用しているとお伝えしましたが、近年、世界的に個人情報の保護に対する意識が高まっており、リターゲティング広告を配信する際に活用する「サードパーティーCookie」への規制が強まっています。
Webブラウザの1つとして知られる「Safari」では、すでにサードパーティーCookieがデフォルトでブロックされるようになっており、Googleは、2024年後半(予定)を目安に「Chrome」でのサードパーティーCookieのサポートを段階的に廃止すると発表(2022年11月時点)。
(参照:Google「Expanding testing for the Privacy Sandbox for the Web」)
リターゲティング広告は、運用次第で大きな成果が期待できますが、近い将来、今のように機能しなくなる可能性があるため、これからリターゲティング広告を導入する場合は、そのほかの広告と併用しながら運用したほうがよいかもしれません。
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