ECサイトのささげ業務とは?おすすめ代行サービスと自社で行う際のポイント
ECサイトを訪れるユーザーにとって、購入するかどうかの決め手となるのは商品ページに掲載されている情報です。たとえば写真や紹介文から得られるイメージやサイズ、素材、活用方法など。
通販の場合、基本的に購入前に商品を直接見る機会がないため、情報が正確でないと、そして魅力が感じられないと、購買意欲を高めることはできないでしょう。
商品ページのクオリティを上げるためには「ささげ」と呼ばれる業務が欠かせません。その内容次第で売上が大きく変わるといっても過言ではないほど重要です。
そこで今回は、ささげとはなにか、構成する3つの要素について解説すると同時に、それぞれを行ううえでのポイントについて、また、代行する際のメリット・デメリット、そしておすすめの代行サービスについて説明していきます。
目次
ささげとはなにか
ECサイトにおける「ささげ」は、「撮影」「採寸」「原稿」それぞれの頭文字をとった造語です。
- 撮影:商品の撮影
- 採寸:商品の採寸
- 原稿:商品の説明文
ささげはこのように商品情報を集めて公開する作業を指す言葉として使われており、ユーザーが直接手に取って見ることができない商品の情報を正確に、魅力を的確に伝えることが求められます。
この業務を行う際には、顧客の商品に対する疑問や不安をなくすことが必須です。そうすることにより、購入率を高めるだけでなく、返品やクレームの機会を減らし、リピーターを増やすことが期待できます。このようにささげはECサイトとユーザーを結ぶ大切な役割を担っています。
ささげ業務がなぜ重要なのか
たとえば実店舗でショッピングする際、販売スタッフの接客によってその商品の魅力に気づき、購入にいたったというケースは多いのではないでしょうか。
当たり前ですが、顧客はそのお店にどういった商品があるのか網羅していません。欲しい商品を見落とすこともあるでしょうし、明確な目的がない場合はインパクトのない商品に目が向かないこともあるでしょう。
販売スタッフによる接客は、顧客をそれぞれのニーズに合わせて、興味のありそうな商品とマッチングさせる業務。基本的に購入前には実物に触れることができないECサイトにおいては、それがささげにあたるのです。
顧客の不安をなくす
だれしも「失敗したくない」という気持ちがあると思います。特にECサイトで買い物をする場合には、ショップによっては返品不可のこともあるため、より慎重になるという方も多いでしょう。
家具やアパレル商品などの場合は、色、サイズ、素材が重要だったり、ガジェットや精密機械などの場合は、壊れにくさや万が一壊れた場合の保証内容が求められたり、飲食物などの場合は、安全性、アレルギー性、味を心配したりする人が多いと考えられます。
そういった不安点を、詳細まできちんと写した商品画像やサイズ表、原材料や産地といった情報を記載することで取っ払うというのがささげ業務の第一の役割です。
利用イメージを伝える
商品名やブツ撮りだけでは、それがいつどのように使うものなのか伝わらないこともあるでしょう。モデル撮影を行ったり、利用シーンを想像させるようなロケーションで撮影したり、あるいは商品説明文で具体的な活用方法を記載したりすることで、その商品の魅力を明確に伝えることが大事です。
顧客のなかには、明確に「こういうときに使える、こういった機能をもったものが欲しい」と目的を持っている人もいますが、当然ながら特に目的はなく、空いた時間にECサイトを訪れているだけという人もいます。
あるいは、なにかしらの悩みはもっているものの、それを解消させるにはどういったものが必要なのか、自身でもよくわかっていないという人もいるでしょう。
そういった人々に、自社の商品がどれだけ便利なのか、他社と比べて優れているのかをきちんと伝えることで、そのまま魅力に変えることができる可能性があるのです。
返品・クレームをなくす
また、ささげ業務を適切に行うことで、返品やクレームを減らすことにもつなげられます。
商品情報を詳細にページ上で伝えているため、顧客もその商品に関するイメージが沸きやすくなり、購入後、「想像していたものと違った」というミスマッチを防ぐことができるということです。
返品やクレームは売上に影響するだけでなく、企業への信頼度を低下させたり、その対応・処理にコストや労力がかかったりします。
購入前にきちんと商品についてお伝えすることで、そういったトラブルを回避することができるなら、手間がかかってもささげ業務は徹底したほうが、最終的にはメリットが大きいのではないでしょうか。
ささげを行ううえでのポイント
ここからは「撮影」「採寸」「原稿」それぞれのポイントと注意点を紹介します。
撮影時のポイントと注意点
サムネイル画像は商品を探しているときに真っ先に目に入る情報でしょう。よって写真が印象的でないと商品の魅力も伝わりにくくなってしまいます。セールスポイントが伝わるようなサムネイル画像を採用し、ユーザーの目に止まる工夫をしましょう。
また、同じジャンルの商品を撮影する際は角度を同じにするなど一貫性を持たせることが大切です。見栄えが良くなるだけでなく、ユーザーが類似商品との比較をしやすくなります。
見せ方の工夫
商品を魅力的に写すために、背景との配色を考えること、衣類はしわなどを整えてから撮ることも大事です。また、ターゲット層やコンセプト、商品を利用するシチュエーションに合った小物などと一緒に撮影することで、より利用時のイメージが湧きやすくなります。服であれば実際にモデルが着用し、どのようなシルエットになるかなどを見せるといいでしょう。できれば専用のスタジオで撮影することをおすすめします。
モール出品の場合には「白抜き」といって、背景から切り抜くことが求められる場合もあるので、ある程度設備は整えておきましょう。実際の商品と撮影した商品写真の色が違っているということもよくあることなので、レタッチできるスタッフに任せることが大事です。
画像や動画はバリエーション豊富に
画像は1枚だけでなく、複数撮影してバリエーションを増やした方がいいでしょう。衣服であれば、ポケットの位置や背後のデザインなど、ユーザーが気になる部分を中心的に押さえたショットも含めてください。
また、画像だけでなく、動画を活用するのもよいでしょう。360度見られるアニメーションやGIFなどを取り入れて、ユーザーが実際に手に取っているかのような感覚を持たせることがおすすめです。
家電などの機能面が重視される商品を紹介する場合も動画が活用できるでしょう。動きとともに操作方法などを説明することができるので、より視覚に訴えることができます。
採寸時のポイントと注意点
採寸で意識しなければならないのが、正しい情報を提示するということです。アパレルやアクセサリー、インテリアなどは特にサイズが購入に至る最重要項目になる場合があるので、採寸を間違えてしまうとクレーム発生のきっかけになることも考えられます。
メーカーから買い付けた場合も、事前に提示されたサイズ表は製造の過程で変更になる可能性もあるので、きちんと自社で採寸してから公開するのがベターです。また、国外ブランドではサイズの表記が異なるので、ECサイト内で基準を統一する方がいいかもしれません。
採寸は信頼に直結する
サイズが明確でなかったり、誤った情報だったりするとECサイトの悪評につながるでしょう。サイズ違いによる問い合わせが多く発生すると、担当者の負担も増えてしまいます。作業効率を悪化させてしまうことにもなるので、採寸は慎重に行いましょう。
原稿作成時のポイントと注意点
サムネイル画像が一番先に見られる情報であるなら、商品説明文は最後に見られる情報かもしれません。写真や動画、そのほかの情報によって魅力を感じていて、購入を迷っている場合などに見られることが多いため、購入意思を後押しするような文章を心掛けましょう。
写真では伝わりきれない手触りや使い方、素材などの細部は文字でしか伝えることができません。商品タイトル(商品名)はSEOを意識して名付けることが求められる場面もありますが、SEOを意識しすぎて文字を詰め込み、情報が見えづらくなくなってしまうことは避けなければなりません。うまくバランスを取るようにしましょう。
似た商品や競合他社との差別化を図るために、さまざまな文章の表現方法を身につける必要があります。魅力的なキャッチコピーが作れたら、それだけでユーザーの目を引くということもあるでしょう。
相手を考えた表現を
商品紹介文はその商品の魅力を伝えるだけでなく、ユーザーがどういった目的で購入するのか想定して書く必要があります。作り手の想いやこだわりのポイントなどを丁寧に説明すれば、より商品の良さが際立つでしょう。
「こうした使い方もある」というような一見しただけでは伝わりにくい情報も載せれば、より多くのユーザーに興味を持ってもらうことも期待できるでしょう。多くの人に伝わるように専門用語は避けた方がいいです。また、情報量が多いとユーザーが混乱してしまうので、なるべく簡潔に伝えたいことをまとめるようにしてください。
ささげ業務は代行も可能
ささげ業務は自社で行う以外に、代行業者を利用することもできます。専門の業者だけでなく、フリーランスのカメラマンやライターに依頼したり、最近はスピード感を重視するために、物流会社でもささげ業務を受け付けていたりすることがあります。
ここからはささげ業務を代行するメリット・デメリットを見ていきます。
代行を利用する場合のメリット・デメリット
メリット
手間が省ける
専門の代行業者や物流会社に依頼した場合、「撮影」「採寸」「原稿」の全てを一括して委託でき、撮影スタジオやカメラマン、ライターなどの調整を全て行ってくれます。すぐにECサイトを開設したい場合や、マンパワーが足りていない場合は代行を頼むのがおすすめです。
高いクオリティを維持できる
商品を魅力的に見せるための撮影の技法や、文章の書き方には当然ながらテクニックが伴います。プロのカメラマン、ライターに依頼すれば、これから1から学ぶ必要はありません。その商品のこだわりを強調したうえで画像と文章の統一感も生じさせられるので、ブランディングを高めることにもつながるでしょう。
ミスを減らす
商品情報のヒューマンエラーをなくすことができます。例えば、多くの商品を扱っている場合、特に採寸担当者がほかの業務も兼任していると、自社内で全てをミスなく採寸して公開作業も行うとなると大変ですが、代行業者に依頼すれば専任の担当者に安心して任せることができます。
販売までの時間を短縮できる
物流センターにささげ業務を委託する場合は、販売開始までの時間を短縮させることができます。
自社でささげを行う場合、商品を入荷してからしか作業が始められないため、どうしても販売開始まで時間がかかります。物流センターであれば、自社に配送せず、その場で撮影したり採寸したりライティングしたりできるので、リードタイムの短縮が可能です。
購入されたあとも、そのまま配送できるので、顧客を待たせることも減るでしょう。また、自社と物流センターで何度も商品を往復させる必要もなくなるので、場合によってはコスト削減につながることも考えられます。
デメリット
コストが発生する
当然ですが代行業者を利用する場合、コストが発生します。扱う商品やECサイトの規模が小さい場合は、自社で行った方が収益とのバランス的に現実的だということもあるでしょう。
フリーランスの場合は進捗管理が必要
フリーランスのカメラマン、ライターに依頼する場合、アポ取りから進捗状況の確認など、管理業務が多く発生します。すでに信頼関係のある委託先がある場合は別ですが、ゼロから探す場合は、時間がかかることを念頭に入れておきましょう。
表記の統一が難しい
委託先がひとつの場合はこれに限らないですが、複数存在する場合は、サイズ表記や撮影方法などにばらつきが出ることが考えられます。
前述の進捗管理に加え、ルールを策定する必要性があると同時に、それがきちんと守られているかどうかの管理体制も整えなくてはいけません。
これによってどのくらい手間や人件費といったコストがかかることも事前に見極めたうえで、発注するかどうかを決めましょう。
おすすめのささげ代行サービス
ここから先は、おすすめのささげ業務の代行サービスを紹介します。
株式会社ささげ屋
その名も「ささげ屋」は、2006年の創業以降「ささげ一筋」という、ささげ代行企業のパイオニア的存在。
とにかく商品数や商品ジャンルの多い大型のECサイトも、一つひとつの商品の見せ方にとことんこだわりぬきたい専門店も対応可能で、幅広い実績を持っています。
また、指定の物流センターに常駐してささげ業務を行ってくれるケースもあるため、さまざまな企業のニーズに合わせたサービスが期待できるでしょう。
撮影に関しては、スタジオはもちろん、ロケ撮影や動画撮影も可能。既存サイトがある場合はもちろん、これからECサイトを制作しようと考えている人にとっては、さまざまな角度からフォローしてくれる頼もしいパートナーになるかもしれません。
株式会社BAXS
株式会社BAXSは、ささげ業務を自動化・効率化するアプリ「PANAMA」を運営している企業。前述した「白抜き」作業も基本メニューに含まれており、商品の魅力を前面に打ち出した撮影をしてくれるだけでなく、状況に応じた細かな対応も叶います。
たとえば、商品画像すべてにブランドロゴやカラーチップを入れたり、商品の特徴を表すチャート画像の作成なども依頼可能。もちろん、採寸情報も指定のフォーマットで納品してもらえます。
自社ECサイトだけなら融通が利くかもしれませんが、同時にモール出品なども行うとなると、納品方法が異なる場合があるので、変換の手間が省けるというのは特長のひとつといえるでしょう。
作業開始後に追加費用が発生することもないので、ECサイトに関する知識があまりない場合も安心して導入できるかもしれません。
株式会社fleston
株式会社flestonは「クリエイティブとビジネスの融合」を軸にECサポートを行っており、商品を送るだけで「撮影+採寸+原稿作成」すべてのささげ業務を行ってくれるプランを提供するなど、初心者もとっかかりやすいのが魅力です。
写真撮影だけでなくPR動画の制作なども行っているので、自社の商品の魅力を的確に伝えるには、どういった方法が適しているのか相談してみてもよいかもしれません。
アパレルECサイトを運営している場合などは、モデルの手配も代行可能です。また、オンライン上で海外ロケができるといったユニークなサービスも提供しており、非接触サービスが注視される現代において、求められる存在だといえるかもしれません。
ささげはECサイトに欠かせない業務
ユーザーが商品を探す際はネットで検索することが多いと考えられますが、検索結果から商品名と商品画像をもとに好みのアイテムを絞り込むとすると、ささげ業務がいかに重要かというのがわかるのではないでしょうか。ユーザーにとって「撮影」「採寸」「原稿」から与えられる情報は商品の価値を判断する物差しで、ひいてはそのサイトをまた使いたいと思うかどうかという点にもつながります。
個人の方でもECサイトを気軽に運営できるようになった時代なので、差別化を図るといった意味でもささげ業務はかなり重要だといえます。
特にSKUの多い商材を抱えている企業などは、自社で内製するにも限界があるため、どうしてもスピード感を重視して深くまで内容にこだわれないということもあるかもしれません。
顧客が購入を検討する材料はささげにかかっているといっても過言ではないので、これからECサイトを立ち上げる方も、現在自社サイトの売り上げに悩んでいる方も、ぜひささげ業務を見直してみてください。
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