SEM（サーチエンジンマーケティング）とは？SEOやWeb広告との違い、使い分けを徹底解説

現代のWebマーケティングにおいて、SEO対策は欠かせないものとなっています。しかし、それに関連する「SEM（サーチエンジンマーケティング）」については、あまり注意を向けていない人も多いかもしれません。

検索エンジンからの集客を最大化するうえで、SEMは非常に重要な考え方です。SEOだけでなく、リスティング広告を含めた包括的なマーケティング戦略が求められます。

この記事では、SEMの基本的な概念や、SEOとの違いをふまえ、効果的な運用方法について詳しく解説していきます。

SEM（サーチエンジンマーケティング）とは？

SEMは「Search Engine Marketingの略であり、「検索エンジンを活用したマーケティング」を意味する言葉です。

具体的には、GoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用しているユーザーに対し、自社のWebサイトやサービスを効果的に届けるためのマーケティング手法を指します。

SEMの手法としては、主に「SEO（検索エンジン最適化）」と「リスティング広告（検索連動型広告）」の2つの要素が挙げられます。いずれの手法も、「検索結果の目立つ位置に自社サイトを表示し、関心の高いユーザーを効率的に集客すること」を目的とした施策だといえるでしょう。

通常、検索エンジンで特定のワードを調べるユーザーは、すでにそのジャンルの商品・サービスに「主体的な関心」を抱いている可能性が高いと考えられます。そのため適切なアプローチをとることで、高いコンバージョン率が期待できるのです。

SEMのマーケティングにおける役割

Webマーケティングの手法にはさまざまな種類がありますが、そのなかでもSEMは「検索エンジンの利用者」に焦点を当てている点を特徴としています。

たとえば「英語　勉強方法」といったワードで検索するユーザーは、「英語を上達したい」という明確なニーズを抱えていると考えられます。その際、はっきりとした購買意欲がなくても、潜在的に「英語教材」や「英会話塾」などを検討する可能性はあるでしょう。

こうした検索意図をもつユーザーに対して、自社のサイトを検索結果の上位に表示したり、リスティング広告を活用したりすることで、より確度の高いターゲットの獲得が期待できます。

このように、SEMは「ユーザーの検索行動」をもとに、興味関心に即した広告や情報を提供し、効率的な集客を行う手法なのです。

SEMとSEOの違い

SEMとSEOは混同されやすい言葉ですが、それぞれの言葉に含まれる範囲には違いがあります。端的にいえば、SEOは「SEMの一部」です。

SEMは「検索エンジンを活用したマーケティング全般」を指し、そのうち「広告を使わない手法」がSEOであるとも表現できるでしょう。

以下ではより詳しく、SEMとSEOの関係性について解説していきます。

SEOとSEMの関係性

SEOは、検索エンジンのアルゴリズムにWebサイトを最適化することで、検索順位を向上させるための施策です。具体的には、「サイトの構造やコンテンツの改善」や「外部サイトからのリンク獲得」といった施策により、検索結果における上位表示を狙います。

自社に関連するキーワードで上位に表示されれば、ターゲットを効率的に自社サイトに呼び込み、集客や売上の面でも大きな効果が期待できるでしょう。ここから、SEOは検索エンジンを活用したマーケティングの一部として、SEMに欠かせない観点とされています。

一方、SEMはSEOのほか、リスティング広告などの有料施策も含む概念です。SEOは無料でも対策可能ですが、リスティング広告はクリックごとに課金が発生するなど、形式や効果の面でさまざまな違いがあります。

そのためSEMを効率的に進めるには、SEOに加えて広告施策も実施していくことが有効です。

SEMの観点から見たSEOのメリット

SEMの一環としてSEO対策を行うメリットは、広告費をかけずに検索エンジンからの流入を増やせる点にあります。検索結果の上位に表示されているページは、ユーザーにとっても「ちゃんとしたサイトなんだな」という安心感や信頼感につながりやすいでしょう。

こうした信頼感は、流入数や売上面のほか、ブランディング面でも好影響を与えると考えられます。「信頼できるコンテンツを発信しつづけている」というメディアとしての認知度や、「ユーザーに役立つ情報を提供している」というブランドへの親近感など、適切なSEO対策は長期的な集客基盤の形成につながるでしょう。

一方で、検索エンジンのアルゴリズムは頻繁にアップデートされているため、上位表示を維持することは容易ではありません。また、SEO対策に取り組んでから結果が出るまでには時間がかかるため、短期間での集客には向かない面があります。

ここから、SEMにおいて短期間で成果を求める場合には、後述のようにリスティング広告を組み合わせることが有効でしょう。

SEOとリスティング広告の違い

SEMの効果を最大限に引き出すためには、SEOの観点だけではなく、状況に応じて「リスティング広告」を組み合わせていく視点が重要になります。

リスティング広告とは、検索結果画面の広告枠に表示される有料広告です。通常の検索結果と同様、「ページのタイトルと説明文」が画面に並びますが、リスティング広告の場合は「スポンサー」や「広告」といった表示が付記されます。

ユーザーの検索意図にもとづいて表示される点はSEOと共通しているものの、出稿してから短期間での集客が見込める点など、さまざまな面でSEOとは異なる特徴があります。以下では両者の違いについて、より詳しく解説していきます。

費用

リスティング広告は主にクリック課金型（PPC：Pay Per Click）で運用され、流入が増えるだけ広告費用も大きくなっていきます。

一方、SEOは無料でも実施できますが、対策を外部に委託するケースなどでは相応のコストが必要です。その場合、広告に比べると「事前に費用対効果が見通しにくい」というケースも考えられます。

つまり、リスティング広告は「成果が出た分だけ費用がかかるシステム」ですが、SEOの場合には費用と成果は必ずしも比例しない特徴があります。

コントロール性

マーケティングにおいては、「施策の効果がどれだけ計算できるか」というコントロール性の観点が重要です。この点で、SEOよりもリスティング広告の方が効果をコントロールしやすいと考えられます。

まずSEOによって上位表示を実現するには、Googleから高品質なページであることを認められる必要があります。「ユーザーが求める情報」を意識しながら、ページ内のコンテンツの質を高め、導線を整理していく作業が欠かせません。

さらに、Googleが検索順位を決める際の基準も年々変化していることから、「SEOを通じてずっと同じページを上位に表示させる」ことが難しい面もあります。

一方、リスティング広告の場合には、広告枠を安定して確保できるので、状況を問わず成果を見込みやすい特徴があります。

即効性

リスティング広告は出稿してからすぐ効果が見込める一方、SEOは施策から成果が出るまで時間がかかります。上述のように結果のコントロールが難しい面もあり、「対策してもなかなか効果が出ない」と悩むケースがあるかもしれません。

そのため新しい商品をリリースした際など、タイミングを見きわめた施策が必要な場合にはリスティング広告が有効だといえます。

クリック率

SEOを通じて自然に上位表示されるページに比べると、リスティング広告の表示枠には「スポンサー」「広告」などの表記があるため、クリック率は低くなる傾向にあります。

そのためリスティング広告を運用する際は、タイトルをキャッチーなものにしたり、キーワード選定を見直したりと、アプローチ方法を工夫する必要があるでしょう。

SEMと各種Web広告の違い

SEMは主に「検索結果画面で自社サイトを目立たせるための手法」であり、リスティング広告はその一部に位置づけられます。

さらに、SEMにおいてはリスティング広告とは異なるWeb広告が取り入れられることもあり、さまざまな広告形式を通じてより多くのターゲットにアプローチすることも可能です。

以下ではSEMで取り入れられるWeb広告や、SEMと混同されやすい広告について解説していきます。

ディスプレイ広告（バナー広告）

Web広告のなかでも主流とされる形式であり、Webサイトやアプリの広告枠に視覚的な広告を掲載する手法です。リスティング広告とは異なり、画像やアニメーションを含むため、瞬間的にインパクトを与えやすい特徴があります。

一方で、ユーザーの検索行動とは関係なく表示されるため、「見ているコンテンツとまったく関連のない広告」が表示されるケースも見られます。ここから、確度の高いターゲットに訴求するよりも、「潜在的な需要喚起」や「認知向上」といった目的で利用されることが多い手法です。

また、広告のプラットフォームによってはユーザーの「検索履歴」や「行動履歴」をもとにしたターゲティングも可能であることから、検索行動へとアプローチするSEMの一環として実施されるケースもあります。

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リターゲティング広告

一度サイトを訪れたユーザーを追跡し、別のサイトでも広告を表示することで、再訪問やコンバージョンを促す手法です。

直接SEMに数え入れられることは少ないものの、たとえば「SEO対策によって以前自社サイトに呼び込んだユーザーに広告を表示し、再度自社への関心を呼び起こす」といった目的でも利用できます。

このようにリターゲティング広告は、SEMとの組み合わせた使い方も有効な手法として位置づけられるでしょう。

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SNS広告

FacebookやInstagram、X（旧Twitter）などのプラットフォーム上でターゲットに広告を配信する形式であり、ユーザーの興味関心や行動履歴をもとに精度の高いターゲティングが可能です。

SNS広告は「ユーザーの検索行動」とは異なる角度からのアプローチであり、分類としてはSEMではなくSMM（Social Media Marketing：ソーシャルメディアマーケティング）の一部に位置づけられます。

総じて、リスティング広告とその他のWeb広告の最大の違いは、「ユーザーの検索行動へのアプローチ」という点にあります。

リスティング広告は「ユーザーがすでに特定の情報を探している状態」で広告を目にするため、即効性が高く、直接的な成果につながりやすいのが特徴です。

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SEMを効果的に実施するためのポイント

SEMを成功させるには、ターゲットに応じてキーワード選定やデータ分析を行い、広告やSEO対策の精度を高めることが欠かせません。以下ではSEOと広告の併用戦略や、効果的な運用のポイントについて詳しく解説していきます。

SEOとリスティング広告の併用戦略

SEMを実施するうえで、SEOの観点は欠かせません。SEO対策は「上位表示」という結果の面だけでなく、コンテンツの質を高めてページ導線を整理するなど、「ユーザーがストレスなく利用できる環境」を構築する際にも有効なアプローチです。

とくに「コンテンツの質を高める」という視点は、ユーザーからの長期的な信頼感につながり、「このサイトは役に立つ」と思われる要因になります。ユーザーにとって有益な情報を提供していく姿勢は、SEMを成功させるうえで前提となるでしょう。

一方でSEO対策だけでは、検索エンジンのアルゴリズム変更などにより、表示順位が変動してしまうケースもあります。こうした不測の状況をカバーする意味で、リスティング広告による安定した表示枠の確保が有効になるでしょう。

もちろんリスティング広告においても、ランディングページのコンテンツの質がコンバージョン率を大きく左右します。ユーザーが求める情報を的確に提供し、わかりやすい構成にすることで、広告の効果を高められるでしょう。

このように、SEOとリスティング広告を適切に組み合わせながら、ページの内容を充実させることで、長期的に検索順位を維持し、流入数を確保できると考えられます。

キーワード選定

SEMを実施する際、「適切なキーワードの選定」はもっとも重要なポイントの1つです。SEOにおいてもリスティング広告においても、「ターゲットがどのような言葉で検索するか」を把握し、それに適したコンテンツや広告を提供していく視点が欠かせません。

とくにSEOにおいては、検索ボリュームの大きいキーワードだけを狙うのではなく、ロングテールキーワード（複数の単語を組み合わせた検索語句）を狙う視点も有効でしょう。

競争の激しいビッグキーワードでは上位表示が難しくなるため、「〇〇 使い方」や「〇〇 比較」など、より具体的なキーワードで検索するユーザーをターゲットにすると、SEOの効果を高められると考えられます。

ターゲティングの最適化

リスティング広告ではキーワードだけでなく、広告を表示する相手（ターゲット）についての細かい設定が可能です。地域や年齢、性別や興味・関心といった属性を設定し、ターゲットを絞っていくことで、費用対効果を高められるでしょう。

たとえば若い男性をターゲットにしたヘアサロンであれば、「美容院 新宿」などのキーワードを狙うだけでなく、性別や年齢、地域を絞り込むことで、確度の高いターゲットに限定したアプローチが可能になります。

ターゲティングを最適化するには、自社の商品・サービスの特性を客観的に分析し、「どんな人が自社の商品を欲するか」を具体的に検討する必要があります。そのうえで「ターゲットがどんな行動をとるか」を想定しながら、ターゲット設定を絞っていきましょう。

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継続的な効果測定とフィードバック

SEMを効果的に運用するためには、データ分析と改善を継続的に行い、施策の最適化を図ることが不可欠です。

リスティング広告では、クリック率（CTR）やコンバージョン率（CVR）などの指標を定期的にチェックし、広告の成果を分析していく必要があるでしょう。

特定の広告が期待通りの成果を出していない場合、広告文やターゲット設定を見直しながら、A/Bテストなどを通じて改善を図っていくことが求められます。

SEOに関しても、検索順位や流入数の推移を定期的にチェックし、コンテンツのリライトや内部リンクの最適化を行うことが重要です。検索エンジンのアルゴリズムは頻繁に変化するため、最新のSEOトレンドを把握しつつ、定期的にページを更新していきましょう。

SEOとリスティング広告の「相互補完」を意識

キーワード戦略においては、SEOとリスティング広告のバランスをとっていく観点も重要になります。

たとえばSEOの効果が十分に発揮されていないキーワードについては、リスティング広告を併用し、検索結果の上位に表示される場面を増やすといった対応が考えられるでしょう。

反対に、SEOによる流入が増えた場合は、広告予算を削減し、他のマーケティング施策にリソースを回すことも可能です。

このようにSEMは「一度施策を実施すれば終わり」というものではなく、継続的な分析と改善が必要なマーケティング手法だといえます。アルゴリズムの変化や競合他社の状況に対応しながら、継続的な分析を通じて最適な運用法を見つけていくことが欠かせません。

まとめ

SEMは検索エンジンを活用したマーケティング手法の総称であり、主に「SEO」と「リスティング広告」からなる概念です。

SEOは、特定の検索キーワードに対して上位表示を狙うための対策であり、広告費をかけずに集客を実現する手法として優れています。

一方、成果が出るかどうかは検索エンジンのアルゴリズムに依存するため、即効性を求める場合には、他の広告施策と組み合わせることが有効です。

対して、リスティング広告は特定の検索意図をもったターゲットにピンポイントで広告を配信できるため、短期間で成果につながりやすく、新商品のプロモーションや期間限定のキャンペーンに適しています。

SEMを最大限に活用するためには、SEOとリスティング広告の適切なバランスを見きわめ、戦略的に使い分けていくことが重要です。

短期間での集客や売上向上を狙う場合はリスティング広告を活用し、中長期的な集客基盤を構築する場合はSEOに注力するなど、状況に応じた運用が求められるでしょう。