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ショールーミングとは?ウェブルーミングとの違いと店舗が取り組むべき対策

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ネットショッピングが一般化したことにより、「ショールーミング」と呼ばれる購買行動がよく見られるようになりました。店舗を経営している企業にとってはあまり好ましくない風潮といえるかもしれませんが、近年では、その流れを逆手に取った戦略で注目を集める企業も出てきています。

実際にどのような対策を講じているのか、本記事ではショールーミングの概要とその対応策について詳しく解説していきます。ショールーミングと向き合う企業の事例とともに確認していきましょう。

ショールーミングとは

ショールーミングとは、実店舗でチェックした商品をその場で買わずに、オンラインショップで購入することを指します。

これまでは、実店舗へ足を運んで商品を購入するのが一般的でしたが、インターネットが普及し、オンラインショップが登場した今、消費者は実店舗へ出向かずとも、自宅にいながら欲しい商品を入手できるようになりました。

総務省が公表した「令和3年版情報通信白書」によれば、幅広い世代(20~60代以上)でネットショッピングの利用率が70~80%前後に上っており、このデータからも多くの消費者が買い物の手段の1つとしてネットショッピングを活用していることがわかります。

(参照:総務省「令和3年版情報通信白書|デジタル利用環境・サービス等の活用状況」

ただ、オンラインショップは、利便性が高い一方で、実店舗のように商品を手に取ることができないため、イメージと違ったものが届くことも珍しくありません。サイズが合わなかったり、素材や質感が思っていたものと違ったり、商品画像と実物の色味が少し異なったり……と、過去に失敗した経験のある人も多いのではないでしょうか。

こうしたリスクを回避したいという消費者の思いから生まれたのがショールーミングです。できるだけ安く済ませたい、店舗から自宅まで商品を持ち帰るのが大変……といったような、さまざまな理由により、買い物はオンラインで済ませたいものの、購入する前に実物は確かめておきたいという心理から、商品を下見する目的で実店舗へ足を運ぶ人が出てきました。

ウェブルーミングとは

ショールーミングと対になる言葉に、ウェブルーミングという言葉があります。これはショールーミングと真逆の購買プロセスを表すもので、具体的には、インターネットで商品の情報を調べてから、実店舗で購入することを指します。

日常的にオンラインショップを利用している人の中には、「なぜ、検索した流れでネットショッピングを利用しないの?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、その理由は人によってさまざまです。たとえば、配送にかかる時間を待っている余裕がなかったり、送料を支払うことに抵抗があったり、決済手段のセキュリティに不安を抱いていたり。状況に応じて、ショールーミングとウェブルーミングを使い分けている人も少なくないでしょう。

店舗を存続させる!ショールーミングへの対策

このように、消費者にとってはメリットの大きいショールーミングですが、企業の立場からすれば、実店舗への売上にはつながらないため、たまったものではありません。来店後の比較・検討の過程で他社に流れてしまう可能性も否定できないため、何かしらの対策を講じる必要があるでしょう。

そこで、本項では、ショールーミングへの対策を2つ紹介します。

・店舗内で情報検索できる環境を整える
・オンラインとオフラインを連携・融合させる

1つずつ見ていきましょう。

店舗内で情報検索できる環境を整える

PCやスマホなどを用いて手軽に情報を得られる今、多くの消費者が商品を購入する前に、インターネット上で情報収集を行っています。

店舗内で気に入った商品を見つけても、類似商品と比較・検討をするために購入を保留するケースも多いため、その場で決断できるよう、店舗側から消費者の情報検索をサポートしてみてはいかがでしょうか。

たとえば、商品の詳細情報や口コミなどにアクセスできるQRコードを掲載したPOPを設置したり、Wi-Fiを提供したり。接客による情報提供に加え、来店客自身が店舗内で情報検索できるような環境を整えることで、店舗内での購入を後押しできるかもしれません。

オンラインとオフラインを連携・融合させる

ショールーミングに真っ向から立ち向かうのではなく、ショールーミングを受け入れた戦略、具体的には、オンラインとオフラインを連携または融合させた戦略を展開するのも1つの手です。

代表的な例としては、オンライン(Webサイトやアプリなど)からオフライン(実店舗など)へと消費者を誘導する「O2O」や、あらゆるチャネルを統合・連携させて総合的に消費者へアプローチする「オムニチャネル」、オンラインとオフラインの垣根を越えて顧客体験の向上を目指す「OMO」などの導入が挙げられます。

繰り返しになりますが、ショールーミングは消費者の自然な心理から生まれたものであり、企業側でコントロールすることは難しいため、今後はショールーミングに対応した施策も検討する必要があるでしょう。

店舗でモノを売らないという選択肢も!ショールーミングストアとは

このような流れを受け、近年ではショールーミングを逆手に取った店舗も出てきました。

その代表例として挙げられるのが、実店舗をショールームに見立てた店舗「ショールーミングストア」です。商品の販売を主目的とせず、実際に商品を手に取り、商品に対する理解を深めてもらうことを目的としているため、基本的に店舗では商品を販売しません。気に入った商品はオンラインショップで購入できるようになっており、後日自宅に購入したものが届く仕組みになっています。

それでは、ショールーミングストアの形態を取ることにより、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。

次項で詳しく確認していきましょう。

ショールーミングストアを設置する3つのメリット

ショールーミングストアを設置することで得られるメリットは、主に3つあります。

①人件費を削減できる
②過剰在庫を抑制できる
③顧客満足度の向上が期待できる

上から順に見ていきましょう。

①人件費を削減できる

前述のとおり、ショールーミングストアでは商品を販売しないため、レジでの清算をはじめとした会計処理を行う必要がありません。通常の店舗で発生する業務の一部が省略され、少ない人数でも運営できるようになるため、人件費の削減が見込めるでしょう。

②過剰在庫を抑制できる

店頭で商品を販売しないということは、店舗で在庫を抱える必要もなくなるということになります。店舗へ保管しておくのは基本的に陳列する商品のみで、余分に在庫を抱える必要がないため、過剰在庫の削減にもつながるでしょう。

③顧客満足度の向上が期待できる

在庫管理や商品の陳列、会計処理といった業務から解放されることにより、全スタッフが顧客の接客にあたれるようになります。顧客1人ひとりに対して余裕を持って接客できるようになるため、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。

ショールーミングストア事業に乗り出した企業の事例

最後に、ショールーミングストア事業に乗り出した企業の事例を3つ紹介します。

・高島屋新宿店「Meetz STORE」
・THIRD MAGAZINE
・SHEIN

各事例の特徴を簡単に確認していきましょう。

髙島屋新宿店「Meetz STORE」

髙島屋新宿店にオープンしたショールーミングストア「Meetz STORE」では、「食・グルメ」「ジェンダーレスなライフスタイル」「ビューティー」「アート&クラフト」「エシカル」と、5つのテーマに沿って、ギフトに最適な商品を提案しています。

百貨店ではあまりなじみのない目新しい商品が取りそろえられており、実店舗では店頭のギフトコンシェルジュから商品の特徴やその裏側に隠されたストーリーなどを聞くことができるため、ギフト選びに悩んでいる消費者の来店意欲を後押しできそうです。

(参照:TAKASHIMAYA TRANSCOSMOS INTERNATIONAL COMMERCE PTE. LTD.(PR TIMES)「“新たな出会い”がテーマのショールーム型店舗「Meetz STORE」が髙島屋新宿店に4月29日(金・祝)オープン」

THIRD MAGAZINE

30代後半~40代の大人の女性をコアターゲットとするセレクトショップ「THIRD MAGAZINE」は、代官山にショールーミングストアを構えています。

まるで倉庫のような洗練された空間にはさまざまなテイストの商品が陳列されており、現地ではオンラインショップに掲載されているすべてのアイテムを実際に試着することが可能。店舗に常駐しているスタイリストと相談しながらアイテムを選べるのも魅力的です。

なお、気に入った商品があった際には、商品タグのQRコードを読み取ってその場でオンライン決済することができます。とはいえ、店内で読み取ったQRコードの商品はすべて送料無料になっているため、その場で決断できなくても心配ありません。帰宅してから検討したい人にもしっかり配慮されているため、高確率で購買へとつなげられそうです。

(参照:株式会社メルローズ(PR TIMES)「上質でテーラーメイドなサービス提供を大人の女性に!ECセレクトショップのショールーミングストア『THIRD MAGAZINE』が代官山に2018年9月1日(土)オープン」

SHEIN

150以上の国と地域(2022年3月時点)にサービスを展開するグローバルファッションブランド「SHEIN」が原宿にオープンした店舗もショールーミングストアの形態を取っている施設の1つ。現地では商品の販売を行っておらず、欲しい商品がある場合は、商品タグのQRコードから「SHEIN」のWebサイトおよび公式アプリにアクセスして、目当ての商品を購入します。

展示されているアイテムはレディースアパレル商品に限らず、メンズ、キッズ、ペット用品など、実にさまざま。世界観の異なる3部屋のフィッティングルームで商品を試着できたり、SNSで話題を呼んだ商品やギフトカードが無料で当たるガチャが設置されていたり、フォトブースが設置されていたり……と、ただ商品を展示するだけではなく、施設を楽しめるようなポイントも満載です。

(参照:ROADGET BUSINESS PTE. LTD.(PR TIMES)「グローバルファッションブランド「SHEIN」東京・原宿にショールーム『SHEIN TOKYO』オープン!「SHEIN」のサービス体験で自由に自分自身を表現できるファッションの楽しさを」

これからの時代を生き残るためにはショールーミング対策が欠かせない

インターネットが身近になり、ネットショッピングが一般化した現代において、ショールーミングを防ぐことは不可能といっても過言ではありません。多くの消費者が購買プロセスの中で比較・検討という工程を踏んでおり、その手段の1つとして実店舗へ来ることも十分に考えられます。

これまでのように、集客に成功したからといって、必ずしも売上拡大につながるとは限らず、来店客の中にはショールーミングを目的とした人がいることも想定されるため、店舗を長期にわたって存続させるためには、ショールーミングへの対策が欠かせません。お伝えしてきたように、店舗内で情報検索できる環境を整えたり、オンラインとオフラインをうまく連携・融合させたりすることで、機会損失を防げる可能性があるため、ぜひ対策を練ってみてください。

また、後半でお伝えしたように、ここ数年で「モノを売らない店舗」というショールーミングを受け入れた新たな形態も誕生しています。本記事で紹介した事例以外にも、さまざまな企業がショールーミング事業に乗り出しているため、ここへの参入も検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

ながた
編集プロダクションで旅行ガイドブックの取材・制作に携わった後、Webライターの道へ。お酒と激辛料理をこよなく愛するインドア派。シーズン中はもっぱら野球観戦。

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