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テレビ離れ

若者のテレビ離れの原因をデータから推測!テレビ広告の今後はどうなる?

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スマートフォンの普及、SNSのニーズ増加により、若者のテレビ離れが深刻化しているというニュースを耳にしたことはないでしょうか。実際に、一人暮らしをしている若者の家にテレビがないという声も聴くきことが増えてきました。これにより、企業マーケティングにおいて「テレビ広告の価値はもう無い」とも言われています。

本記事では、総務省が公表する「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」のデータをもとに、テレビ離れの現状・原因を考察していきます。

総務省のデータから見るテレビ離れの現状

テレビ離れの現状を探るイメージ画像

高度経済成長期からテレビは国民的メディアとして広く親しまれており、絶大な影響力を誇っていました。ですが、令和に入った現代では「テレビ離れ」が起こっています。1970年当時の平均視聴率が約3時間に対し、2023年には約1時間半にまで半減しているほどです。

このあと、年代別のテレビ・ネット利用時間と過去5年のデータについて解説していきます。

年代別:テレビ視聴時間とネット利用時間

年代別に2023年度のテレビ視聴時間(リアルタイム)とネット利用時間をまとめてみた結果、10代と20代が明らかにテレビ離れしていることがわかります。30代も平日はテレビ視聴が少ない傾向にあります。

【平日】 テレビ視聴時間 ネット利用時間
10代 39.2分 257.8分
20代 53.9分 275.8分
30代 89.9分 201.9分
40代 134.6分 176.2分
50代 163.2分 173.8分
60代 257.0分 133.7分
【休日】 テレビ視聴時間 ネット利用時間
10代 56.8分 342.2分
20代 66.0分 309.4分
30代 121.2分 218.3分
40代 188.2分 176.2分
50代 225.3分 152.7分
60代 307.6分 119.3分

逆に40~60代はまだテレビの需要があることを考えると、丁度、高度経済成長期あたりでテレビ世代かネット世代かに分かれていると読み取れます。

過去5年のテレビ視聴時間比較

なお、過去5年のテレビ視聴時間の平均を比較してみても、年々視聴時間が短くなっていることがわかるはずです。

平日 休日
2023年 135.0分 176.8分
2022年 135.5分 182.9分
2021年 146.0分 193.6分
2020年 163.2分 223.3分
2019年 161.2分 215.9分

データを見ていると、今後もテレビの視聴時間は低迷してくように思えます。若年層における著しいテレビ離れは、どのような原因から起きているのでしょう。このあと、具体的な理由を解説していきます。

若者のテレビ離れの主な原因

若者のテレビ離れのイメージ

若者のテレビ離れの主な原因を5つまとめました。

  • スマートフォンの普及
  • 見逃し配信の需要が向上
  • 動画配信サービスの人気が拡大
  • テレビ以外の娯楽が増えた
  • 受信料を払いたくない

それぞれ簡単に解説していきます。

スマートフォンの普及

スマートフォンさえあれば、各テレビ局のアプリをインストールして番組を視聴したり、見逃し配信を見ることができます。スマートフォンがテレビと同じような役割を果たすからこそ、テレビ離れが加速したと言えるでしょう。

見逃し配信の需要が向上

タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する若者は、テレビをリアルタイムで視聴する機会が減りました。見たいときに好きなものを見るニーズにピッタリなのが、見逃し配信。公式で番組アーカイブがあるからこそ、録画する手間もないのは若者にとってはかなりの魅力なはずです。

動画配信サービスの人気が拡大

見逃し配信以外に、AmazonプライムやNetflix、U-NEXTにABEMATVなどの動画配信サービスの人気が拡大したのも、テレビ離れの原因と言えます。自分の好みやトレンドに上がったものを、いつでもどこでも見れることが魅力で年々利用者が増えています。

テレビ以外の娯楽が増えた

SNS・動画配信サービス・ソーシャルゲーム・電子マンガなど、テレビ以外の娯楽が増えたことも要因です。高度経済成長期は、家にある娯楽と言えばテレビか家庭用ゲーム機くらいです。選択肢が増えたからこそ、テレビを見る時間が減ったのも想像がつきます。

受信料を払いたくない

特に一人暮らしの若者からよく聞く言葉は、NHKの受信料を払いたくないからテレビを持たないというもの。生活の中にテレビがなくても困らないという人は一定数います。

SNS・Web広告普及によりテレビ広告の需要も低迷

テレビ広告の需要低迷の原因を分析するイメージ

テレビ離れが進むと、テレビ広告(CM)の需要も低迷します。そもそも見られないので、テレビ広告に費用をかけるのは悪手と考える企業も多いです。現に、株式会社電通が毎年発表している資料「日本の広告費」によれば、2020年に初めてテレビ広告費が1.7兆円を下回ったとのことです。

逆に、Web広告・SNS広告の需要が急速に拡大しています。2019年以降はネット広告費(WEB・SNS含)がテレビ広告費を上回っているほどです。

ここでテレビ広告の今後について考察すべく、それぞれの広告の強みを解説していきます。

テレビ広告の強みは「マスへの訴求効果」

テレビ広告におけるターゲティングは、主として「番組内容から想定される視聴者層(マス)に訴求する」という形です。「テレビに広告を出している」という事実そのものが、企業としての信用度を高めることにもつながり、ブランディング効果も期待できるでしょう。

40~60代のテレビ世代をターゲットにするなら、まだまだテレビ広告の価値はあるはずです。ただし、Web広告やSNS広告のように細かいターゲット設定・アクセス分析はできません。

Web広告の強みは「ビッグデータ分析」

Web広告の強みは、アクセス解析によりユーザーの属性や興味関心を事細かに分析できる点にあります。ユーザーの行動をフォローしながら、「どんなユーザーがどこから流入し、どのような商品に興味を示したか」など、属性ごとの施策効果まで精緻に検証できるため、フィードバックが得やすく、効率的にPDCAを回していけることが特長です。

ユーザー側に表示される広告内容にも、閲覧履歴などをもとに最適化された情報が提供されるため、個々のユーザーが抱えるニーズに合致しやすくなります。課金方式はさまざまですが、視聴回数や広告にリアクションがなされた回数などをベースに料金が決定される方式が多く、費用対効果を高めやすいのも長所と言えるでしょう。

SNS広告の強みは「不特定多数への認知拡大」

SNS広告の強みは、不特定多数への認知拡大です。これだけで言うとテレビ広告と同じに見えますが、やはりSNS自体の強みである「拡散力」を用いた拡大は捨て置けません。Web広告のように、アクセス解析・ターゲティングができるのも強みと言えるはずです。

そしてなにより、SNSを利用している若者へのアプローチに最も効果的と言っても過言ではないでしょう。

テレビ広告は衰退していく一方なのか

今後のテレビ広告の課題のイメージ"

テレビメディアにおいては、これまで「ビデオリサーチ」の視聴率調査をベースに広告施策が打ち出されてきました。従来、視聴率調査はネットに比べて得られる情報の幅が小さいことが弱点とされていましたが、今後はさらに、多くの切り口を組み合わせたプロファイリングが可能となっていく見込みです。

たとえば、ビデオリサーチ社は新たに「es XMP(クロスメディアパネル)」というサービスを開始しています。「es XMP」は、個別のユーザーから得られる多角的な情報(シングルソースデータ)を大量に取得し、企業などに提供するサービスであり、広告施策への活用が期待されています。

「es XMP」で提供されるデータは、ソフトバンク株式会社が募集する調査モニターのテレビの視聴履歴や、スマートフォンやパソコンでのWeb閲覧履歴、アプリの利用状況など、複合的なプロファイリングを可能とする情報です。これにより、「この番組を見ている人は、このようなサービスに関心がある」といった分析が可能です。

こうした動向を鑑みると、今後はWeb広告とテレビ広告の垣根を越えたマーケティングが可能になっていくと考えられるでしょう。「ネットだけ」「テレビだけ」という形ではなく、どちらの可能性も考慮しながら、状況に合わせて施策効果の高い手法を取り入れることがスタンダードになっていくかもしれません。

まとめ

テレビを見る若者の後ろ姿

総務省のデータから見る若者のテレビ離れと、テレビ広告の今後について紹介してきましたが如何でしたでしょうか。データで見ても、10~20代の若者のテレビ離れは深刻化していることがわかったはずです。

ですが、広告業界においては適材適所です。テレビ広告の絶対的信頼性は捨てきれませんし、SNS・Web広告のターゲティングとアクセス解析の精度も企業においては重要なものです。狙う年齢層とアプローチ方法を明確にし、ハイブリットな考え方が大切と言えるでしょう。もちろん、テレビ業界も現状を把握しているので、広告施策含めて今後の戦略を考えているはずです。

番組制作や広告施策におけるターゲティングが適性化されることで、テレビは新たな可能性を切り開くことができるかもしれません。斜陽産業として取り上げられることの多いテレビ業界ですが、広告媒体として発展する余地を大いに残しており、今後の展開にも期待が持てる状況だと言えそうです。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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