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ユーザー調査の手法まとめ~UXデザインにつなげるヒント~

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ウェブでのUXデザインを向上させるには、ユーザーのニーズをできるだけ正確に把握しておく必要があります。そのためにユーザー調査を実施する企業も少なくありません。
サイト訪問者の体験をより良くする手段として確かに効果的です。他方、やり方次第では思うように機能しないこともあります。
ずばり、成否を分けるポイントは、「どの手法を選ぶか」です。
そういうわけで本記事では、ユーザー調査の必要性に触れながら、代表的な手法を紹介していきます。

ユーザー調査が役立つ理由

多くの企業がユーザー調査を行うのは、冒頭でお伝えした通りUXデザインの精度を高めるためのヒントが得られるという理由が一つあります。サイトを使う人たちに直接アプローチし、情報収集を行うことができれば、さまざまな戦略、施策案が浮上することになるでしょう。

ユーザーの反応を見ながら機能の調整や仮説の見直しができる

ユーザー調査を行うと、現状のサービスがユーザーにどのように受け止められているかを知ることができます。結果を踏まえてニーズにマッチする新しい機能を加えたり、使い方を変えたりするわけですが、同時に、当初サービスを設計したときに立てた仮説検証も必要です。狙いや意図は妥当なものであったのか。はたまた根本的に見直さなければならなくなったのか。思い込みであったことに気づけば、それは残念である一方、新たな発見、ひいては教養にもつながります。
このようなメリットに注目するがゆえ、UXデザインの一環として、ユーザー調査をプロセスに加えている企業が多いのです。

隠れたニーズを活用すればイメージアップも可能になる

手法によっては、想像以上の成果を生むケースがあります。それは思いもよらなかったユーザー行動を確認した時に起きるものです。知る由もない隠れたニーズが突如あらわれます。焦ってはいけません。冷静に考察を加え、サイトへ反映してください。
ユーザー調査では、対象者にあらゆる質問を投げかけたうえでのアクションを分析します。そこで浮き彫りになる問題は案外多いものです。当然、課題の解消はUXデザインの向上につながります。地道に愚直に修正を重ねていった先に広がる新たなサイト像。概念さえ更新したそのUXの進化には、多くの共感や愛着が集まることでしょう。普段から閲覧してくれるエンゲージメントの高い方々の期待に応えることはもちろん、新規ユーザーにも他のサイトとは一線を画す快適さを味わってもらえるよう意識したいところです。

UXデザインは、企業の印象にも少なからず影響を与えます。
したがってユーザー調査は、イメージアップに向けての第一歩としても大切なものなのです。

ユーザー調査の手法を選ぶときに重要なこと

ユーザー調査で心がけたいことは、シチュエーションに応じた最適な手法の選定です。ここを間違えてしまうと、コストを費やし調査しても役立つ情報が得られなくなってしまいます。そうならないためにも準備が必要です。以下、チェックしてみてください。

調査の目的を明確にする

まずは、調査の目的を明確に絞り込むことが大事です。何のためにユーザー調査を行うのか、最初の時点ではっきりとさせておかないと、最適なやり方を選ぶのは難しくなります。たとえば、現状のUXデザインがニーズに合っているかを知りたい場合は、検証的調査の手法から探してみるのが良いアプローチになるでしょう。検証的調査とは、あらかじめ立てている仮説が正しいかどうかを確認するためのものです。したがって、ユーザーの反応が当初の見込み通りかを確かめたい場合は、ここに分類される手法との親和性が高いと考えます。

それに対して、新たな要素をニーズとして発見したい場合は、探索的調査の手法が適しています。探索的調査は、現状で把握できていないユーザーの傾向をチェックしたり、一定の行動パターンを見つけたりする調査のことです。前の章で触れた隠れたニーズの活用は、ここを起点に実行できると考えます。

定量データと定性データ

調査の目的が定まったら、具体的にどのようなデータが必要になるかを考えてみましょう。上述した検証的調査と探索的調査には、数で表せる定量データを使うやり方と、数値化できない分、事象として吟味していく定性データを用いる2種類のパターンがあります。どちらを選ぶかは、たとえば、人数や回数などをもとに仮説を検証したい場合だと前者ですね。そう、定量データ。一方、ユーザーの行動を軸にチェックしたいなら後者である定性データを使った方法がふさわしいものとなります。

検証的調査の代表的な手法

さて、ここからは検証的調査の代表的な手法を定量データと定性データにわけて紹介します。

検証的調査×定量データ

一般的なアンケート調査やA/Bテスト、アクセスログ解析などは、定量データを使って行う検証的調査の手法です。アンケートでは、一定の仮説をもとに質問事項を用意して、得られた結果を集計します。例を挙げると「利用時間帯は夜に集中する」と仮説を立てた場合には、具体的な時刻を並べ、選ばせるやり方です。
A/Bテストとは、AとBの2つのケースに対するユーザーの実際の反応を調査し、比較する手法のこと。ウェブサイト上のデザインやキャッチコピー、レイアウトなどで2つのパターンを作り、クリック率などでどちらが優位かを図るものです。そこをヒントに訴求力の高い、いわば勝利の方程式を形成していきます。

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アクセスログ解析では、その名の通りアクセスデータやログ情報による数値からの考察が広がることを可能にしてくれます。アクセスが増える曜日や時間帯、回遊率などがわかる有益な手法です。ブログの公開日時や内部リンク設計などの調整が図りやすくなります。

検証的調査×定性データ

定性データを使う手法には、ユーザビリティテストやフォーカスグループ・インタビューなどがあります。前者は、ユーザーの行動をもとに商品やサービスの使いやすさをチェックする手法です。実際に商品やサービスを使ってもらって、反応をうかがいます。行動という定性データから、満足度や克服すべき問題などを把握していくのがこのテストの特徴です。
そして、後者。フォーカスグループ・インタビューは、回答者を数名のグループにわけ、座談会のようなスタイルで行われます。会話の節々に転がるヒントの数々。そのなかで傾向や課題を見つけていきます。

探索的調査の代表的な手法

続いて、探索的調査。こちらも、定量データ、定性データ、それぞれに特化した手法が存在します。

探索的調査×定量データ

アイトラッキングテストとテキストマイニングは、定量データを用いる探索的調査のまさに代表的な手法といっていいでしょう。
前者は、ユーザーの目の動きをもとにサービスの使いやすさなどをチェックするアプローチ方法です。サイトを見ているときのユーザーの目の動きからは、さまざまな情報が得られます。たとえば、何度も視線が向けられている部分は、説明がわかりにくかったり、難しい表現が使われていたりするケースが少なくありません。また、サイトを訪れたユーザーが真っ先に目を向ける部分は、興味を引くような何らかの特徴がある可能性があります。
結果の数値化やカテゴライズによって、相手の心理状況まで把握できるのが、アイトラッキングテストのメリットです。
さて、後者。
テキストマイニングとは、ユーザーから得られたテキストデータをもとに行う調査の手法です。自然言語処理でテキストを分析し、特定の単語の使用回数やほかのワードとの組み合わせでユーザーの反応を判断していきます。
とてもシンプルな例を挙げると、ポジティブな言葉が多く登場するときには、商品やサービスに好感をもっている人が多いことがイメージできますよね。逆にネガティブ一辺倒の場合は、何らかの問題を抱えている可能性が高いです。

探索的調査×定性データ

定性データを用いる探索的調査には、エスノグラフィとコンテクスチュアル・インクワイアリーというものがあります。フィールド調査とも呼ばれるエスノグラフィは、特定のフィールドを調査対象に設定して、一定のパターンやモデルなどを導きだしていく手法です。たとえば、アウトドア用品を扱うサイトの場合には、キャンプや釣りといったレジャーを趣味にしている人が調査対象になります。
ユーザー行動を観察することで、商品開発やサービスのヒントが得られていくというのがこの手法のロジックです。
コンテクスチュアル・インクワイアリーは、「師匠と弟子モデル」とも呼ばれています。企業側が弟子、師匠がユーザーという設定です。弟子は師匠の行動を観察したり、質問をしたりしながら、相手が心のなかで求めていることを把握していきます。コンテクスチュアル・インクワイアリーは、隠れた問題点などを探りたいときにも役立つアプローチです。

複数の手法を組み合わせることがおすすめ

UXデザインを向上させるにあたって、1種類のユーザー調査では十分な情報が得られないケースもあります。実際、複数の手法を組み合わせてユーザー調査を行っている企業がほとんどかもしれません。
そのなかで、複数の手法でユーザー調査を行うときには、目的に合った組み合わせを考えていくことが大事です。
ニーズを的確に捉えることはもちろん、状況に応じて改良を加えていきたいときには、検証的調査と探索的調査の混淆が最適解になりえることだってあります。
ただいたずらにミックスしてはいけません。各手法におけるメリットやデメリット、生かし方を心得たうえで組み合わせていくこともまた、ユーザー調査のポイントです。

最適なユーザー調査を行い、質の高いUXデザインを実現しよう

ユーザー調査は、UXデザインを行ううえでとくに重要になるプロセスです。UXデザインの精度をアップしたいときには、調査の手法に少しこだわってみましょう。ここで紹介したように、ユーザー調査にはいろいろな手法があります。自社に合った手法を選んで調査結果を活用することが、質の高いUXデザイン実現への近道でありコツです。
とはいえ、もちろん試行錯誤は付き物。
まずは基本を覚え、応用を試し、経験を積むことが、安定したUXを構築できるための肝要な手法だと考えます。

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この記事を書いた人

いまい
サイト運営歴15年以上。立ち上げたサイトは数知れず。SEO、メルマガ、広告、YouTube、手あたり次第が過ぎて、何も身になってないことに最近気づく。もう少しだけ、Web業界にしがみついていたい。

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