口コミマーケティングとは?代表的な手法やメリットを成功事例とともに解説
消費者の購買行動に大きな影響を与える「口コミ」。商品を購入したり、新しいサービスと契約したりする際に、インターネット上でその商品・サービスのことを検索し、口コミやレビューを確認するという人も多いのではないでしょうか
本記事では、そんな「口コミ」を活用したマーケティング手法「口コミマーケティング」について徹底解説!代表的な手法や成果を出すためのポイント、押さえておくべき注意点などを、企業の成功事例も交えながら詳しく紹介していきます。
目次
口コミマーケティングとは
口コミマーケティングとは、一般消費者による「口コミ」や「レビュー」を活用して、認知度の向上や売上の拡大を目指すマーケティング手法です。
例えば、SNSで思わずシェアしたくなるようなユニークなキャンペーンを展開したり、インフルエンサーに自社商品・サービスを提供してレビューを投稿してもらったり。本来、感想やレビューといった口コミは自然発生的に生まれるものですが、このマーケティング手法では、消費者間で話題に上るような仕掛けを企業側で用意し、意図的に口コミを発生させます。
口コミマーケティングが重要視されるようになった背景
それでは、なぜ、口コミを「意図的」に発生させる必要があるのでしょうか。
最大の理由は、インターネットの普及に伴う消費行動の変化により、口コミの影響力が増したためです。インターネットが登場する前の時代は、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌といったマスメディアの広告が絶大な影響力を保持していましたが、インターネットが一般化し、SNSなどが普及したことにより、誰もが発信力を持てるようになりました。企業だけでなく、消費者自身もSNSや口コミサイトのレビュー欄などを通じて情報を提供できるようになり、彼らの声が消費者の購買行動に大きな影響を与えるようになったのです。
実際、これを裏付けるデータも発表されています。2015年に総務省が公表した「平成28年版 情報通信白書」によると、通販サイトで買い物をする際にレビューを参考にしている人の割合(厳密には「かなり参考にする」または「まあ参考にする」と答えた人の割合を合わせた数値)が、20~60代のどの世代でも6割を超えており、過半数が購買の意思決定を行う際に、他者のレビューを参考にしていることがわかります。
また、「まったく参考にしない」と回答した人以外に、レビューを読んだことによって購入する商品を決定した経験があるかどうかを尋ねる問いでは、「何度もある」または「何回かある(5回未満)」と答えた人の割合、つまり過去に一度でもレビューを参考にした経験のある人の割合が、どの世代でも8割を超えるという結果になっています。このことからも、口コミが消費者の購買行動に大きな影響を与えていることがわかりますね。
(参照:総務省「平成28年版 情報通信白書|情報資産(レビュー(口コミ)等)」)
口コミマーケティングのメリット・デメリット
では、実際に口コミマーケティングを実施することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。デメリットとともに確認していきましょう。
メリット
まず、口コミマーケティングを行うメリットとしては、次の3つが挙げられます。
・費用対効果が高い ・消費者から信頼を得られやすい ・ターゲット層以外にもアプローチできる |
上から順に見ていきましょう。
費用対効果が高い
口コミマーケティングでは、最初のきっかけ作りこそ企業自身で行う必要がありますが、その後は消費者の手によって情報が拡散されていくため、少ない費用で大きな反響を得られる可能性があります。初動の口コミに火を付けることができれば、ほかのマーケティング手法のように高額の費用をかけずとも、それらと同等、もしくはそれ以上の成果を上げることができるでしょう。
消費者から信頼を得られやすい
マス広告をはじめ、企業側から一方的に発信される情報は、その企業にとって都合のよい内容になりやすいため、どうしても消費者に敬遠されがちです。その点、企業のフィルターを通さずに発信される一般ユーザーのリアルな声や客観的な意見は、説得力が高く不信感を抱きにくいため、消費者に受け入れられやすい傾向にあります。
また前述したように、商品・サービスの購買を決定する際にレビューを参考にする人も一定数存在するため、前向きな口コミが増えることは企業にとって大きなメリットといえるでしょう。
ターゲット層以外にもアプローチできる
広告を出稿する場合、基本的にはターゲット層や各広告媒体の特徴などを踏まえたうえで、予算内に収まるよう出稿先を絞り込む必要があります。広告効果を高めるために複数の媒体に出稿することもあるかもしれませんが、その分、コストがかさんでしまうため、広告費用を抑えたい企業にとってはあまり現実的ではないでしょう。
一方、口コミは、周囲の人に対面で伝えたり、SNSでシェアしたり、口コミサイトに投稿したり…と、多様な経路で発信・拡散されていくため、ターゲット層だけでなく、これまで企業がアプローチできていなかった層にまで情報を届けられる可能性が高いです。口コミによって、自社もしくは自社の商品・サービスの存在を知ってもらえるケースもあるので、認知度の向上も期待できます。
デメリット
次に、口コミマーケティングを実施する前に、把握しておきたいデメリットを紹介します。
・企業側でコントロールするのが難しい ・ネガティブな口コミも広まってしまう恐れがある |
それぞれ詳しく確認していきましょう。
企業側でコントロールするのが難しい
繰り返しになりますが、本来、口コミは消費者の間で自然に広まるものであり、その内容までをコントロールすることはできません。
ある程度の方向性を指し示すことはできますが、それが必ずしも思い通りにいくとは限らず、予想に反して、まったく思いもよらないような方向へ発展してしまう恐れもため、あらかじめ考えうるだけのリスクを想定し、その対処法を用意しておく必要があります。
ネガティブな口コミも広まってしまう恐れがある
前項と重なる部分もありますが、口コミにはポジティブなものだけでなく、低評価や悪評といったネガティブなものも存在します。
もちろん、前者が広まってくれるのが理想ですが、企業の意に反して後者が広がってしまう場合も。そのため、口コミマーケティングを実施する際は、過去の事例なども確認しながら、悪評が生まれないよう最大限の配慮をし、万が一、ネガティブな口コミが拡散されてしまったときに備え、あらかじめ対応策を練っておきましょう。
口コミマーケティングの代表的な手法&成功事例
ここからは、口コミマーケティングの代表的な手法を3つ紹介します。
・SNSキャンペーンを実施する ・インフルエンサーに自社のPRを依頼する ・モニターを募集する |
それぞれ企業の成功事例とともに確認していきましょう。
SNSキャンペーンを実施する
口コミマーケティングを実施するにあたって、まず検討しておきたいのが、SNSキャンペーンの実施です。
具体的には、TwitterやInstagramなどのSNS上で、情報の拡散を促すようなキャンペーンを実施し、人為的に口コミを発生させる手法になります。例えば、特定のハッシュタグとともに投稿してもらったり、特定のアカウントをフォローしたうえで対象の投稿をリツイートしてもらったり。参加してくれたユーザーに対してクーポンやプレゼントなどを用意している企画も多く、キャンペーンごとに情報を拡散してもらうためのさまざまな工夫が見られます。
成功事例
世界中で愛されるフランス発のキッチンウェアブランド「ル・クルーゼ」は、花をモチーフにした「Flower Collection」を限定発売するタイミングで、消費者参加型のInstagramキャンペーンを開催しました。
お花見シーズンに合わせて、「みんなでサクラを咲かせよう」と題したキャンペーンを展開し、桜に関する写真を「#ルクルーゼサクラ」のハッシュタグとともに投稿してもらうよう周知。抽選でプレゼントが当たったり、投稿件数に応じて段階的にプレゼントが豪華になったり…と、ユーザーの投稿意欲を掻き立てるようなユニークな企画が用意され、大きな話題を呼びました。
(参照:ル・クルーゼ ジャポン株式会社「【ル・クルーゼ】春の訪れがテーブルに咲く 「フラワーコレクション」限定発売とインスタグラムキャンペーンのお知らせ」)
インフルエンサーに自社のPRを依頼する
モデルやタレント、プロスポーツ選手、ブロガー、ユーチューバーなど、世間に大きな影響を及ぼす人物、いわゆる「インフルエンサー」に自社の商品やサービスを無料で提供し、自身のSNSやブログなどで、その感想やレビューを発信してもらうのも1つの手です。
彼らはファンに対して絶大な影響力を持っているため、特定ジャンルのコミュニティに対して効果的なアプローチができますし、ユーザー目線でレビューしてもらえるため、企業で発信する情報とはまた違った目線で、その商品・サービスの魅力を発信することができます。ファンによって、その情報が拡散されるケースも多いため、広範囲に自社の存在をアピールできるでしょう。
成功事例
泥洗顔料「どろあわわ」で知られる「健康コーポレーション株式会社」は、同商品をリニューアルする際にインフルエンサーを起用し、彼らに口コミの投稿を依頼しました。
さらに同社では、彼らの口コミ投稿を二次活用し、新規獲得広告用LPに掲載。インフルエンサーによる投稿だけでなく、実際に同商品を購入・利用した一般ユーザーの投稿も随時追加し、LP上の口コミコンテンツを充実させたところ、最終的にLPのCVRが145%も改善したそうです。
(参照:Letro「UGC活用ブログ|【CVR 145%改善】「どろあわわ」LPのCVRを劇的に改善させた新・クチコミ施策とは?-健康コーポレーション株式会社」)
モニターを募集する
自社HPやSNSなどでモニターを募集し、彼らに口コミ投稿を依頼するという方法も有効な施策の1つとして挙げられます。前述したように、一般消費者の声は企業発信の情報よりも受け入れられやすい傾向にあるため、彼らに商品レビューを書いてもらうことにより、高い訴求効果を期待できます。あらかじめ口コミ投稿を条件にモニターを募集することにより、着実にレビュー数を増やすことができるのも魅力的です。
成功事例
冷やして食べる「くりーむパン」をはじめとしたスイーツパンが人気の「株式会社八天堂」は、EC事業を強化するタイミングで、モニターを活用したマーケティング施策を導入しました。
一般消費者にサンプリングを提供し、その感想を「#hattendo_fan」というハッシュタグとともにInstagramなどで投稿してもらったところ、見事認知を拡大することに成功。もともとはモニター投稿用に作成したハッシュタグだそうですが、現在では一般消費者も「#hattendo_fan」というハッシュタグをつけて投稿しており、今ではこのハッシュタグとともに八天堂の口コミを投稿することが定番になっています。
(参照:モニプラ ファンブログ「導入事例|日本全国&海外にも展開中!【くりーむパンの八天堂】が語る、これからのファンマーケティングとは?」)
口コミマーケティングを成功へ導くためのポイント
続いて、口コミマーケティングで成果を出すためのポイントを紹介します。
・思わず共有・拡散したくなるような仕組みをつくる ・投稿へのハードルを低めに設定する ・集客導線をしっかり設計する |
1つずつ見ていきましょう。
思わず共有・拡散したくなるような仕組みをつくる
口コミマーケティングを軌道に乗せるためには、何よりもまず口コミを増やすことが重要です。肝心の口コミが広まらなければ意味がないため、ユーザー目線に立って、だれもが思わず共有・拡散したくなるような企画を考案してみましょう。例えば、ゲーム性を持たせたり、プレゼントを用意したり。「口コミ投稿でお会計から〇円引き」「フォロー&リツイートしてくれたお客様にドリンク1杯プレゼント」といった特典を設けてもよいかもしれません。
成功事例でも紹介したように、企業ごとにさまざまな工夫がみられるので、過去の事例も参考にしながら、消費者の共有・拡散意欲を掻き立てられるような仕組みを構築してみてはいかがでしょうか。
投稿へのハードルを低めに設定する
口コミを着実に増やしていくためには、消費者が企画に参加しやすいよう配慮することも忘れてはいけません。共有・拡散を促すためには何かしらの工夫を講じる必要がありますが、その参加条件が厳しかったり、手順が多かったりすると、口コミを投稿する前に消費者が離れてしまう恐れがあるため、できるだけ気軽に参加できるよう、投稿へのハードルは低めに設定しておきましょう。
集客導線をしっかり設計する
口コミマーケティングで売上の拡大を目指す場合は、口コミを見た人に購入や申し込みといったアクションを起こしてもらえるよう、集客導線までしっかり設計しておくことが重要です。
口コミによって認知の拡大に成功したとしても、彼らの購買意欲を高められなければ、売上アップにはつながらないため、「拡散」ばかりに気を取られるのではなく、しっかり商品・サービスの魅力を感じてもらえるような施策を考案し、販売ページへスムーズに遷移できるような導線を用意しておきましょう。
口コミマーケティングを実施する際の3つの注意点
最後に、口コミマーケティングを実施するうえで押さえておくべき注意点を3つ紹介します。
・ステルスマーケティング(ステマ)にならないよう注意する ・自社HPなどに口コミを掲載する場合は投稿者の許諾を得る ・悪評が拡散された際の対処法を考えておく |
それぞれ解説していきます。
ステルスマーケティング(ステマ)にならないよう注意する
人為的に口コミを発生させるうえで、手を出してはならないのが「ステルスマーケティング(ステマ)」です。ちなみにステルスマーケティングとは、企業の関係者もしくは企業から依頼を受けた人物が、その企業とは無関係な第三者を装って、商品・サービスの宣伝を行うことを指します。
消費者を欺く行為として問題視されており、これを行った事実が世間に露呈してしまえば、企業イメージの低下は避けられません。失った信頼を取り戻すことは決して簡単ではなく、一度でもステルスマーケティングを疑われてしまうと、悪いイメージが定着してしまうため、消費者に誤解されないよう、細心の注意を払う必要があります。
そのため、企業の関係者もしくは他者に口コミ投稿を依頼する場合は、「PR」や「AD」といった文言を入れて、消費者に疑われることがないよう、必ずその関係性を明示しておきましょう。
自社HPなどに口コミを掲載する場合は投稿者の許諾を得る
インフルエンサーやモニター、一般消費者に発信してもらった口コミを自社HPなどに掲載する場合は、二次活用しても問題ないか、必ず投稿者の許諾を得る必要があります。無許可で勝手に掲載してしまうと、後々大きなトラブルに発展してしまう恐れがあるため、事前に投稿者に連絡を入れ、許諾を得られた口コミ投稿のみを掲載するようにしましょう。
悪評が拡散された際の対処法を考えておく
デメリットでもお伝えしたように、口コミは必ずしも好意的なものばかりではありません。なかには、ネガティブな口コミもあり、場合によっては、悪評のみが広まってしまうこともあります。仮にそれが誤解により生まれたものだとしても、その状態を放置してしまうと企業イメージの低下につながってしまう危険性があるため、速やかに対処できるよう、あらかじめネガティブな口コミへの対応も考えておきましょう。
口コミを活用して集客力を上げよう
個人の発信力が強まっている今、口コミの影響力は決して軽視できるものではありません。企業側でコントロールするのが難しく、些細な発言や誤解で炎上してしまうリスクも秘めているため、実施する際には慎重な対応が求められますが、口コミが口コミを呼ぶ状態を作り出し、ポジティブな口コミが増えていけば、認知度の向上や売上の拡大など、企業にとってプラスの効果が期待できます。SNSなどを活用すれば、低コストで手軽に始められるので、ぜひ口コミの強化にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
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