最先端のWebマーケティングを発信するメディア

最先端のWebマーケティングを発信するメディア

X(旧Twitter)で企業アカウントを運用するコツとは?成功事例も紹介

最終更新日:
SHARE
FacebookTwitterLineHatenaShare

現在のマーケティングにおいては、「SNS運用」の重要性が広く知られるようになりました。SNS上では多くの企業アカウントがマーケティングを展開しており、成果をあげている例もしばしば見られます。

数あるSNSのプラットフォームのなかでも、X(旧Twitter)は多数のユーザーに情報を届けるうえで非常に有効であり、企業による活用例も豊富です。この記事では、X上でのマーケティング成功事例をふまえ、企業アカウントを運用する際のコツを解説していきます。

まずSNSマーケティングについて知りたいという方は、先に以下の記事を読んでいただくのがおすすめです。

X(旧Twitter)を企業が運用するメリット

マーケティングの観点から見たXの特徴として、「コストを抑えながら情報を発信できる」という点が挙げられます。Xは広告出稿も可能なプラットフォームではありますが、一般ユーザーと同様の使い方をしているだけでも、工夫次第で情報を拡散できるのです。

以下ではより具体的に、X上で企業がマーケティングを展開する際のメリットを解説していきます。

拡散性の高さ

Xは他者の投稿を自身のフォロワーにも表示する「リポスト(リツイート)」の機能に代表されるように、きわめて拡散性の高いプラットフォームとして知られています。トレンドをふまえた投稿や、ユーザーにとって役立つ情報を発信することで、広告費をかけずに認知拡大を狙えるのが大きなメリットです。

さらにXにおいては、特定のジャンルについて関心を共有するユーザーがフォロー関係を結んでいるケースが多く見られます。そのため絶対的なインプレッション数が少ない場合でも、自社に関連する分野に興味のあるユーザーの目に留まれば、属性や関心の近いユーザーたちへと情報が伝播していく可能性も高まります。

つまりXは、シンプルに認知を向上させるうえでも、確度の高いターゲットに対して情報を届けるうえでも有効なプラットフォームだといえるでしょう。

ターゲットとの多様なコミュニケーション

SNSマーケティングにおいては、ターゲットとなりうる一般ユーザーと直接コミュニケーションを取ることも有効な手段の1つです。一方向的な情報発信だけではなく、ユーザー側の発信にもリアクションを示すことで、親近感や信頼感につながると考えられます。

もちろんユーザーによっては、企業から直接メッセージを送られることに抵抗を覚える可能性もあるでしょう。この点で「リポスト」や「いいね」による反応は、接触の程度が軽く、また相手ユーザーにとってもポストのインプレッション向上といったメリットがあるため、抵抗なく受け入れられやすいといえます。

ターゲットとの継続的な関係の構築

上述のようなメリットは、Xのフォロー機能によってさらに効果を高めます。自社に関心をもつユーザーからのフォローを集められれば、「自社に関心のある人たちに定期的に情報を届けられる環境」を構築できるのです。

とりわけ、フォロワーのタイムライン上に自身の投稿を表示できるメリットは大きいと考えられます。鮮度の高い情報をコンスタントに届けられるほか、単純な接触回数を増やすことによるブランドイメージの定着といった効果も狙えるでしょう。

X(旧Twitter)で運用できる企業アカウントの種類

Xのアカウントにはいくつかの種類がありますが、課金を必要としない通常アカウントでも、十分に企業アカウントとしての運用が可能です。

一方で、有料版のサブスクリプションに加入することで、マーケティングにおいて 有利になるポイントもあるでしょう。以下では具体的に、企業アカウントを運用する際に有効な有料サービスについて紹介します。

X Premium

X Premiumは個人・企業を問わず利用できる有料サービスであり、登録することでアカウント名の横にブルーのバッジが表示される認証制度です。

プレミアムメンバーとして承認を受けることで、通常のアカウントに比べて投稿時に使える機能が大きく拡張されます。1回の投稿における最大文字数が140文字から5,000文字まで増えるほか、長尺動画の投稿が可能になったり、投稿後に文面を編集できたり、テキストのフォントを変更できたりと、投稿の情報量や見え方の面で有利な機能が利用可能です。

またリーチの面でも、ユーザーによるワード検索に対して上位表示されるほか、投稿へのリプライも優先表示されるなど、インプレッションを向上させるために効果的な措置が受けられます。

なお、2023年11月現在のプランは3種類であり、収益化機能の伴わない「ベーシック」が月額368円、有料版機能を全般的に利用できる「プレミアム」が月額980円、リプライにおける優先表示機能をさらに強力にし、自身のタイムラインへの広告表示をなくす「プレミアムプラス」が月額1980円という構成です。

(参照:Xヘルプセンター「Xプレミアムについて」)

認証済み組織

Xの「認証済み組織」は、組織向けの有料サブスクリプションサービスであり、X Premiumの機能に加えて、さらにマーケティングに効果的な機能にアクセスできます。アカウント名の横に表示されるバッジはゴールドに変化するため、他のアカウントと明確な差別化が可能です。

X Premiumとの最大の違いは、通常のポストが他のユーザーのタイムライン上に優先表示される点です。一般アカウントの投稿に比べてインプレッションが増大するよう調整が加えられているため、マーケティングにおいて有利になるでしょう。

その他、問い合わせなどに対するサポートも優先的に行われます。アカウントのなりすましをはじめ、SNS運用に伴うリスクに対して迅速なサポートが提供されます。

また、X上で求人活動を行える機能も搭載されていますが、こちらは現状のところベータ版としての運用です。認証済み組織のサブスクリプションそのものも新しいサービスであることから、今後さまざまな面で改善や機能追加が実施されていくと考えられるでしょう。

認証済み組織のサブスクリプション価格は月額135,000円です。なお、認証済み組織のアカウントを「親アカウント」とし、子会社や従業員など関連ユーザーのアカウントを「子アカウント」として登録することで、相互のプロフィールを関連づけることができます。その際は1アカウントを追加するごとに月額8,000円が必要です。

(参照:Xヘルプセンター「X認証済み組織とは」)

Xにおける企業アカウントの成功事例

X上で公式アカウントを運用している企業のなかから、さまざまなかたちでマーケティングを成功させている事例を紹介します。

シャープ株式会社

家電メーカーの大手「シャープ株式会社」は、X上で80万人以上(2023年11月現在)のフォロワーを獲得する企業アカウントの代表格です。公式アカウントでありながら、シニカルでユーモラスなトーンが一般ユーザーからの好評を博しています。

一般ユーザーとのコミュニケーションも活発であり、自社製品に関連するツイートにリプライしたり、リポストしながらコメントを加えたりといったアクションも多く取り入れています。その際のトーンも一貫しており、カジュアルかつユーモアを交えたコメントが特徴です。

他の企業アカウントのかけあいも魅力の1つとされ、同じくフランクなツイートが好評の「株式会社タニタ」をはじめ、公式アカウント同士のやり取りが話題になる場面も見られます。

現在では運用を担当する「シャープさん」にフィーチャーした記事なども頻繁に話題になるなど、シャープのアカウントそのものが1つのコンテンツとして楽しまれている面があるでしょう。

その他、Web漫画のプラットフォーム「コミチ」上で連載される作品について寸評を掲載するコラム「シャープさんの寸評恐れ入ります」も人気コンテンツであり、しばしばX上でも話題になるなど、SNSとその他のメディアを往還する運用法も特徴的です。

企業アカウントの文体はフォーマルになる傾向にありますが、SNS上での硬い文体は「公式アカウント特有のとっつきにくさ」につながってしまう面もあります。シャープの例のように、独自の視点や特徴的なキャラクターにより親近感を演出することも、発信力を高めるうえで有効と考えられるでしょう。

エムケイ株式会社(MKタクシー)

京都を拠点に運行する「MKタクシー」は、X上で京都の観光情報などを中心に写真付きの投稿を行っており、8万人以上のフォロワーを獲得しています。

職員が撮影する観光スポットの画像のほか、京都にいる野良猫の画像を多く投稿しており、それも人気の一因と考えられます。動物の画像は直接タクシー業務には関係しないものの、観光地の写真もあいまって、「その地を訪れてみたい」という気持ちを喚起しているのでしょう。

京都で行われるイベント情報を発信するにあたっても、実際に訪れた際に役立つ付加情報を書き連ねるなど、観光への具体的な関心を高める工夫を多く取り入れています。

X上で発信するうえで掲載する情報も効果的に選定しており、たとえば「京都のかたな」という展覧会を紹介する際には、人気オンラインゲーム『刀剣乱舞』のコラボ企画について触れるなど、ターゲット層を意識した発信の工夫が見られます。

一般ユーザーに対するコミュニケーションの面では、丁寧ながらユーモアを交えたリプライが特徴的です。送迎の際の「おもてなし感」をめぐるイメージを抱いてもらううえで、こうした対応が好感度につながっていると考えられるでしょう。

カルビー株式会社

スナック菓子メーカーの大手「カルビー株式会社」は、X上で商品情報やキャンペーン情報を発信し、マーケティングに活用しています。商品をおいしく食べるための工夫など、ユーザーが自社商品をより楽しむための「お役立ち情報」を多く発信している点が特徴です。

SNS上のキャンペーンについても巧みに実施しており、新商品情報を掲載する自社の投稿をリポストしたユーザーに対し、抽選で該当商品をプレゼントするなどの施策を定期的に行っています。

一般ユーザーとのコミュニケーションにも積極的ですが、フランクなやり取りというよりは、公式アカウントとしての節度を重視している面が強いといえます。自社からの情報発信をメインに、状況に応じてユーザーと接点をもっていくスタイルであり、X上を活用する企業アカウントとしてスタンダードな姿勢といえるでしょう。

Xの企業アカウントを運用する際のコツ

上に紹介した例をふまえながら、X上で企業アカウントを上手に運用するためのポイントを解説していきます。

運用方針を明確にする

X上でマーケティングを成功させている企業の戦略はさまざまであり、上述のカルビーのように「情報発信ツール」として効果的に活用している企業もあれば、シャープのように「中の人」のキャラクターを活かしている企業もあります。

自社にあった運用方針を見つけるうえでは、「何のためにXアカウントを運用するのか」を明確にするとともに、「誰にどのような情報を届けたいか」を見定めておくことが求められるでしょう。

たとえばX上のポストからECサイトへの流入を増やしたいのであれば、自社商品の魅力を具体的に伝えることが第一の指針になると考えられます。対して、ブランドイメージの向上や認知拡大を求めるのであれば、特定商品の紹介よりも、自社のキャラクターや雰囲気が伝わるような投稿内容を心がけていく必要があるでしょう。

運用上の目的を明確化し、それに適した方法を見つけていくことが、マーケティングの効果を高めるための第一歩だといえます。

自社に関連する分野でつながりを作る

X上でターゲットに情報を届けられる環境を構築するには、「自社に関連するジャンルに興味を抱くユーザー」とつながりを作ることが有効です。

検索機能を利用したり、関連ジャンルにおいて影響力のあるアカウントをフォローしたりして、「自社に興味をもってくれる可能性のあるユーザー」とコミュニケーションを取っていくことが求められます。

自社製品を使っているユーザーがいれば、その投稿をリポストしたり、リプライを送ったりすることも大切です。継続的にコンタクトを取りつづけることで、直接コミュニケーションを取った相手はもちろん、やり取りを見た他のユーザーからの親近感や信頼感にもつながっていくでしょう。

定期的な投稿を心がける

X上のマーケティングを通じて長期的な成果を引き出すには、ターゲットとなるユーザーの「日常的な意識」に入り込むことが重要です。

1つの投稿では大きな効果が見込めなくとも、繰り返し自社の投稿がユーザーの目に入れば、次第にその文体やキャラクターに対する親近感が生まれてくるかもしれません。

より多くのユーザーの目に留まるには、投稿する時間帯を意識することも有効です。通勤時間帯や昼休みなど、投稿のタイミングや内容をターゲットの生活リズムにあわせていくことで、ポストが目に留まる可能性も高まるでしょう。

広告運用は慎重に

Xのタイムライン上には広告枠があり、通常のポストと同様の形式で、同じ並びに埋め込まれます。ポストの広告化も容易であり、既存の投稿から「プロモーションする」というボタンをクリックし、ターゲットや予算に関する設定を済ませるだけで、該当の投稿を広告として表示可能です。

このように、プロモーションの機能は自社の情報をターゲットのタイムラインに表示させたい場合に有効ですが、当の投稿には「プロモーション」の文字が入る点に留意しておく必要があるでしょう。

とくにアカウントの運用上、「親しみやすさ」や「身近さ」を意識している場合には、広告出稿がアカウントのイメージを損なう可能性も考えられます。SNSにおけるブランディングの方向性や、運用上の目的に照らして判断することが望ましいでしょう。

リスク対策を講じておく

Xはきわめて拡散性の高いプラットフォームであり、社会的に問題があると見なされた投稿が瞬く間に批判を集め、炎上につながってしまうケースが少なくありません。

企業アカウントを運用するうえでは、担当者間で投稿時のルールを明確にし、投稿前の内容チェックを必須化するなどリスク管理体制をチームとして講じておきたいところです。

炎上対策のうえでも、ユーザーに対して効率的に情報を届けていくうえでも、マーケティング担当者には「いま、どんなことが話題になっているのか」「何が社会的に問題として共有されているのか」といった世相を読む姿勢が求められます。

自社に関連する分野の動向はもちろん、SNS上のトレンド情報なども定期的にチェックしながら、「自社に求められる社会的なスタンス」を見つけていきましょう。

SHARE
FacebookTwitterLineHatenaShare

この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

UPDATE 更新情報

  • ALL
  • ARTICLE
  • MOVIE
  • FEATURE
  • DOCUMENT